森絵都のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
とてもおもしろかった!
教育に人生をかけた女性を中心とした家族の物語。
戦後から今までの教育の歴史、塾の歴史がとても詳しく記述されていて、改めて教育について考えさせられた。
人間の思考を形作る大きな要素となる教育。
今、私も子供の教育に深く関わりながら、日々向き合っている。
時代とともに変わる価値観もあれば、やはり大事な芯となる部分はずっと変わらずにある気がする。
自分で考えること。
(いや、実はこれも最近表立って言われ出したことではあるのだけれど)
教育に対するいろいろな形の熱い想いに触れて、心が震えた。
決して満ちることのない三日月。
私自身も、学生時代、勉強していて、知らない -
Posted by ブクログ
今作は、ポカリスエットの
味が口いっぱいに広がるようなお話。
「死と生」いや「死と青春」を題材にした
本作は、簡単にいえば主人公の女の子が
死んだ家族に会うため、40km走れるように
努力するお話です。
家族全員を事故で失った主人公の『環』
彼女が生きる希望を見いだし、目的も
性格も年齢もバラバラな大人たちとともに
フルマラソンに挑みます。
フルマラソンと、天国。
全く関係ないものを違和感なく繋げる
森絵都さんの天才的なインスピレーション。
そして手に汗握りながら、応援したくなる
ような没入感。そして一体感。
大人も一生青春なんです。
汗でちょっぴりしょっぱく感じた
ポカリスエッ -
Posted by ブクログ
あまりに世界観が好きすぎて、
読み終えるのがもったいない物語だった。
読み終えるのが、終わってしまうのがもったいない、と思いながら読んだのは本当に久しぶり。
一晩寝かしてみたけれど、我慢できなくて結局次の日には読破。
三者三様の飛び込み選手と、それを応援するみんなの気持ち(本当に、みんな!)がとても爽やかで、青春で、とてもよかった。
飛び込みという競技が大好きになった。
運命の試合の、一回のダイブごとに順位が入れ替わる書き方とか、物語としても最高におもしろいです。
次のオリンピック飛び込みの選手たちから、要一と、飛沫と、トモを探すことにする。
あーあ、終わってしまった。楽しかったー。 -
Posted by ブクログ
森絵都さん、初読み!タイトルと、40近い目次から、エッセイかな?と軽い気持ちで読み始めてみたら、非常にオトクな短編集でした。
面白いじゃないの、森絵都さん。
まず、言葉が美しい。仰々しくなく、華美でなく、日常使いの美しさ。機能美。
話し言葉が自然。読みながらうっかり声に出してしまいそう。声に出して読みたい森絵都。
すごいなと思うのは、話のジャンルや語り口が実に様々でバラエティに富んでいて、40篇も読んでも同じものがないこと。NOを書いた短編であるはずなのに、嫌な気持ちになるものがないこと。電車広告くらいの、本当に短い話なのに、しっかり読後感があること。
そしてそして、たくさんの短編の最後 -
Posted by ブクログ
森絵都さん、最近ご無沙汰だったけど、久しぶりに読んでやっぱりすごくいいなあと感じ入った。
読みやすい文体なのに、もやっとした感情が的確に言語化されていて、ほんとそうなのよ、とグッと引き込まれる瞬間が何度もある。
特に好きだったのは『あの日以降』『漁師の愛人』。
『あの日以降』は震災以降の話だけれど重くなりすぎず、震源地からは距離のある場所で「あの日」を迎えた自分としては共感しやすい温度感だった。
被災地にいなかったからこそ「幸せであったらいけない」と感じた人は多かったんじゃないだろうか。
『漁師の愛人』については、物語の大テーマではないものの
「良かろうが悪かろうが、彼女自身が望んだ人生で