山口周のレビュー一覧

  • ChatGPTは神か悪魔か

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    AIの時代、人間は何をするか。コストだけみてAIの方が安ければ、本当に全部AIを選択していくのか。人間臭さが邪魔をして、合理的な判断はなかなか下せないのではないかと思う。これだけの時代の変化についていける人間がそもそも多数派ではないはず。動き出した人とそうでない人のAI格差は生まれていきそうだと思った。
    微分可能なオントロジーの話はとても興味深い。もはや文系も理系もない。はやく垣根を取っ払ってほしい。あまりに定量化が重視される社会も嫌だけど、新しい見識が得られるのは間違いないと思う。

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    2026年02月14日
  • 知的戦闘力を高める 独学の技法

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    独学(しかも知的戦闘力を高める)のシステム
     ①「戦略」:戦う武器をどう集めるか(何を学ばないか)
        (テーマが主、ジョンルは従)
     ②「インプット」:ゴミを食べずにアウトプットを極大化
        リベラルアーツを学ぶ
        「覚える」ことを目指さない→「脳の外部化」
     ③「抽象化・構造化」:本質を掴み生きた知恵に変換する
        抽象化=モデル化、公理系を導く部分
        構造化=公理系から様々な命題を演繹する部分
     ④「ストック」:創造性を高める知的生産システム
        面白かった「事実」
        →ビジネスや実生活に対する「示唆」
        →具体的な「行動」の仮説

    ※著者が哲学科出身ということに親近感を覚える

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    2026年02月11日
  • ニュータイプの時代―――新時代を生き抜く24の思考・行動様式

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    AIが問題を解決してくれるので課題設定が大事という話。既に生成AIがこの手の話になっていて、アホなプロンプトを入れるとそれなりの答えになる。つまり発信側の知能がより試される時代なったと思う。

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    2026年02月11日
  • 外資系コンサルのスライド作成術 図解表現23のテクニック

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    【目的】スライド作成のスピードを上げる
    【内容】
    スライド構成要素
    ①メッセージ②グラフチャート表のタイトル③グラフチャート表④脚注⑤出所⑥ページ番号
    文字サイズ12p以上メッセージ2行以内
    メッセージが主、グラフは従
    書く順番
    ①ページ番号②メッセージ③出所④グラフタイトル⑤グラフ⑥脚注
    良いメッセージとは
    ①1スライド1メッセージ②明快な主張がある③短い(30~60文字程度)
    パッケージ作成の7割はメッセージストーリーに割く
    グラフで使う数字
    ①実数値→棒グラフ、折れ線グラフ
    ②構成比→円グラフ、積み上げ棒グラフ
    ③指数値→折れ線グラフ、棒グラフ
    引き算でフォーカスを作る
    引き出しを増やす、真似て学ぶ、手を動かす
    円グラフは1つのデータ要素をその他全体と比較する&値が25の倍数の時にのみ使える。基本は避ける
    情報に秩序を持たせる
    左右で示しやすい指標→過去未来、プロセス、革新保守、原因結果
    上下で示しやすい結果→空間、組織階層、ランキング、量の多寡、年齢
    カテゴリ、時間、場所、五十音、連続量で分類可能
    同じ言葉を何度も使わない
    色は3色まで
    数値を表すメモリは3~5程度


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    2026年02月08日
  • 読書を仕事につなげる技術 知識が成果に変わる「読み方&選び方」の極意

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    むしろ気持ちいいほどに、「読書を仕事につなげる技術」に特化した本だった。小説や文章の滋味をあじわうみたいな目線はとっぱらい、ビジネス書の古典や周辺のリベラルアーツの点と点を線にしていく技術が詰まっていた。勝間和代も本の本質は2割だと言っていたなと思い出す。

    この技術を自分の人生において活用するかはわからないが、山口周のこの本に書いてあったなと思い出せるだけでいい。思い出せるようにノートに書いておこう。冒頭の「これだけ読めばいい必読マンダラ」にクラっとする。これだけ思想に強度があると、本当におもしろい。

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    2026年01月31日
  • ビジネスの未来――エコノミーにヒューマニティを取り戻す

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    今のGDP至上主義的な社会を批判する本。

    納得できる部分も、しっくりこない部分もあるが、総じて面白かった。

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    2026年01月27日
  • 仕事選びのアートとサイエンス~不確実な時代の天職探し 改訂『天職は寝て待て』~

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    AIがとてつもない速度で発展する中で、キャリアについて悩む機会が増えたので読んでみました。

    そして自分のように色々と悩みすぎるのも意味があまりないという結論に至りました。

    なぜなら未来は不確実すぎて予測ができないので、キャリアプランを作ったところで3年先すらどうなってるか分からないからです。

    ただキャリアを選択する上で以下の2点を大事にしていきたいと思いました。

    ①外発的な動機ではなく、内発的な動機に従ってキャリアを選択する。
    ②偶然を大切にするために、勉強しながら自分の琴線に触れるものを探す。

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    2026年01月16日
  • 世界で最もイノベーティブな組織の作り方

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    イノベーションは多様性から生まれる。
    多様性とは、属性ではなく思考や感性や意見である。そういう多様性を、どう確保し、どう引出し、そして認めるか。
    つまるところ、組織運営とリーダーシップである。
    そこには6つの要素から構成され、コンテクストに応じて使い分けるポートフォリオがある。

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    2026年01月14日
  • 世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?~経営における「アート」と「サイエンス」~

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    ネタバレ

    ■システムにルールが追いつかない資本主義の限界において、論理と感性の止揚を説く一冊。出版は2017年だが、AIの著作権問題、グーグルの独占禁止法など、現在にも十分通ずる内容。

    ■正解がコモディティ化し、論理的な正しさが差別化を失う現代、再現性のない「アート」こそがイノベーションの突破口となる事実は重い。

    ■トップにアート人材を据え、両翼にサイエンス人材(理論派)と、クラフト人材(実行派)を配する組織像は、千利休の精神にも通じる。不要なものを削ぎ落とし、エッセンスを抽出する「美意識」は、単なる趣味嗜好ではない。それは、エージェントリスクを回避し、複雑な事象を「超論理」で捉え直すための、極めて実戦的な知性。

    ■経営陣の仕事を「与えられたルールで勝つこと」ではなく「ルールそのものを書き換えること」と定義する視座が鋭い。そこには、数値化できない倫理観やストーリー性が不可欠。過去のWinny事件に象徴されるような、美意識なき規制がイノベーションを殺す構図への警鐘は、AI時代の今こそ切実さを増す。

    ■2017年の刊行ゆえ事例に古さは見られるが、提示されたパラダイムシフトの有効性は揺るがない。頑張る人が報われる仕組みを創るという、経営の根源的な責任。そこに血を通わせるための「美意識」を、我々はどこまで研ぎ澄ませているか。ビジネスパーソンの生存戦略を再定義する、思考の源流。

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    2026年01月12日
  • DX進化論 つながりがリブートされた世界の先

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    ネタバレ

    最大多様の最大幸福、とうい視点は興味深かった。これまでの民主主義で最大公約数をとるという社会政治システムでは限界なことを認識し現代社会の限界を言語化できた気がする。

    個人的にはコンサルと陰陽師が似ているであるとか、人は何らかの言葉による呪いをかけられているというところが興味深かった。

    人的資本を貯めて能力を高め、社会資本に変換し仲間を作り、それを元に金融資本を増やす。金融資本を時間資本に転換し人的資本に還元するってところが重要な示唆だと感じた。いきなり金融資本を目指すと時間資本を削られて幸福を感じない、まずは自分の能力や人間力を高めることの重要性を改めて感じることができ、視界が開けた気がした。

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    2026年01月11日
  • 自由になるための技術 リベラルアーツ

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    「リベラルアーツ」という言葉を知っていても、概念を理解していなかったが、本書を読むことでリベラルアーツの本質が分かってきた。

    リベラルアーツとは?
    なぜリベラルアーツが大事なのか?
    さまざまな専門家との対談を通じて抽出される示唆が、わかりやすく、納得感がある。

    リベラルアーツは、まさに押さえておくべき教養。
    ・人と会う
    ・本を読む
    ・旅をする

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    2026年01月09日
  • 仕事選びのアートとサイエンス~不確実な時代の天職探し 改訂『天職は寝て待て』~

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    天職の定義が独特ながらも強い説得力を感じた。リスキリングの重要性を分かりやすく解説している一冊。働き疲れしている人におすすめ。

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    2026年01月04日
  • 新装版 外資系コンサルが教えるプロジェクトマネジメント

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    プロジェクトマネジメントのTIPSが学べる。仕事で困ったときに、目次見て該当の項を見返す使い方が出来そう。

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    2025年12月27日
  • 外資系コンサルの知的生産術~プロだけが知る「99の心得」~

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    ネタバレ

    かなり読みやすく、最後まで一気読みしてしまった。
    コンサルタントとして知的生産を行う上での心得を学ぶことが出来た。単に知識だけでなく実践してみようと思う内容が多く、筆者が知的生産を行う上で重要と主張する『事実・洞察・行動の提案』がセットになっていて良かった。

    文化人類学者の差異に対する反応の論説が特に印象的だった。相対主義者になりがちな自分の態度を改めようと感じた。

    日常の『問い』を忘れないようにストックする、というのは是非実践してみたい。

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    2025年12月18日
  • 読書を仕事につなげる技術 知識が成果に変わる「読み方&選び方」の極意

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    良本。
    抽象化。
    折に触れて再読する。
    Evernoteをイケスにする(検索性)
    本はテキストがすでに書かれたノート
    物理書籍で持ってみる?
    次に読みたい本
    ファスト&フロー
    わたしの履歴書シリーズ
    フロー体験 喜びの現象学 チクセントミハイ
    人間性の心理学 マズロー
    ビジョナリーカンパニー
    ブランド戦略シナリオ
    ブランドエクイティ戦略

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    2025年12月17日
  • 外資系コンサルのスライド作成術 図解表現23のテクニック

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    今更ながら、、と思いつつ、スライドのあるべき形を言語化しておくために通読。今更と思って読んでおいて良かった。

    ・インクは、紙の白に対して「差異」を形成する。この「差異」とは情報そのもの。必要な情報のみを効率的に見せること。
    ・先方にとって「Surprising」な情報がなければ、その資料は先方にとって余り意味のないものである可能性が高い。更に、「Surprising」な情報が含まれていたとしても、それが先方にとって違和感のある(=「Wrong」)な情報だとすれば、先方の認識を改めてもらうに足るだけの十分なサポートデータが必要。

    フォントやチャート使いで綺麗に見せるテクニックも無論習得が必要だが、情報過多になりすぎず、相手が求めるメッセージを研ぎ澄ますことに注力すべきだと、改めて再認識。

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    2025年12月15日
  • 未来を照らすコトバ ビジネスと人生、さらには社会を変える51のキーワード

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    山口周さんの広く深い知見から、人生に役立つ・興味深いTipsがちりばめられている。
    ラジオで紹介されたキーワードが、特に規則性なくちりばめられているので、興味があるところから辞書的に見るのも良いと思う。教養とは何か、何のために必要なのか、どのように習得するのか、古代ギリシアから現代の思想をインプットにして分かりやすく伝えてくれている。対談で柔らかい文体なので、サクサクと読み進められる。ラジオもちょっとしか聴いたことが無かったので、今後毎週聴いてみたいと思う。

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    2025年12月10日
  • 教養としての日本改造論

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    日本改造論というタイトルで、政府や行政への提言もあるが、「いかに生きるべきか」を対談形式で、二人の巨匠が親しみやすく伝えてくれる。幸せは他者との比較の中ではなく「その人だけの感覚」、歳を取るということは「時」という情報が加わることで魅力を感じることという考えには、肩の力を抜けさせてくれる力がある。人の心のありようや、自分はどうありたいか、どうあるべきか、について考えさせてくれる。しかし、対談ではなく山口周さん単独の本を早く読みたい。

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    2025年12月09日
  • ビジネスの未来――エコノミーにヒューマニティを取り戻す

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    「文明的豊かさを生み出すビジネス」から「文化的豊かさを生み出すビジネス」へ。
    大量生産、大量消費の時代が終わりを迎えつつある今、ビジネスはどのように変わっていくべきなのだろうか。
    不足を満たすという視点から、大切なものを生み出す時代への変換点にきているのだろう。

    ビジネスで考えた時に、それはかなり難しいものかもしれない。
    お金を回しつつも、精神的に豊かになる仕組みを生み出す。
    考え、チャレンジし続けていく必要があるのかもしれない。

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    2025年11月30日
  • ビジネスの未来――エコノミーにヒューマニティを取り戻す

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    1.私たちの社会は、明るく開けた「高原社会」へと軟着陸しつつある
    ・私たちの社会は、古代以来、人類が長らく夢に見続けた「物質的不足の解消」という宿願をほぼ実現しつつある。長らく続けた上昇の末に緩やかに成長率を低下させている現在の状況をメタファーとして表現すれば、それは「高原への軟着陸」として言い表せる
    ・緩やかに高度を落としつつ「高原」へとアプローチする現在の状況は、しばしば「低成長」「停滞」「衰退」という言葉で表現されるが、このようなネガティブな表現で現在の状況を形容するのは極めて不適切
    ・19世紀半ば以降、私たちを苛みつづけた「無限の上昇・拡大・成長」という強迫から解放された社会を、どのようにしてより豊かで瑞々しいものにするかを構想し、活動することが私たちに残された次の使命

    2、高原社会での課題は「エコノミーにヒューマニティを回復させる」こと
    ・さまざまな制度疲労が指摘される資本主義だが、これを全否定して新しいシステムを求めれば「観念の虜」に陥る危険性がある
    ・むしろ、すでに社会にインストールされている資本主義・市場原理の仕組みを「ハックする」ことでこれを乗っ取ることを考えるべき
    ・その際、経済性原理=エコノミーの中に人間性原理=ヒューマニティを稼働ロジックとして埋め込むこと、社会という集積回路においてプロセッサの役割を果たす個人の演算にヒューマニティをファクターとして組み込むことが必要

    3.実現のカギとなるのが「人間性に根ざした衝動」に基づいた労働と消費
    ・経済合理性にハックされた思考・行動様式を、「喜怒哀楽に基づく衝動」によって再びハックし返すことで、経済合理性だけに頼っていては解けない問題の解決、あるいは実現できない構想の実現を図る
    ・その際、「未来のためにいまを犠牲にする」という手段主義的=インストルメンタルな思考・行動様式から、「永遠に循環する“いま”を豊かに瑞々しく生ききる」という自己充足的=コンサマトリーな思考・行動様式への転換が必要
    ・衝動による経済活動を取り戻すことで、過度の経済合理性の追求ゆえに停滞してしまった社会イノベーションをふたたび活性化する

    4.実現のためには教育・福祉・税制等の社会基盤のアップデートが求められる
    ・衝動に根ざしたコンサマトリーな経済活動を促進するために、誰もが安心して「夢中になれる仕事」を探し、取り組むための補償となるユニバーサル・ベーシック・インカム(UBI)の導入が必須
    ・物質的算出の量によって経済状況を把握するGDPが無効化しつつあるなか、高原社会の健全性・豊かさを計量するための複数の指標、ソーシャル・バランス・スコアカードを導入する
    ・物質的不足を解消して文明化を推し進めるための人材を育てるために構築された現在の教育制度を抜本的に見直し、自分の衝動に気づき、行動し、仲間と協働できる人材を育成するための教育制度に刷新する
    ・上記のUBIや教育施策を実践するための税制度をより高負担・高福祉型に転換し、 富のダイナミックな再分配を図る


    社会民主主義の方向へ大きく社会ビジョンをシフトすべき時
     かつて社会に存在した数多くの問題を市場原理が「経済合理性」に基づいて解決した結果、 現在の社会には「経済合理性限界曲線」の外側にある問題が残ることになりました。このような問題に対処するためには経済合理性を超えるモチベーションが必要だと指摘しましたが、 これらの問題が「経済合理性限界曲線」の外側にある以上、対処しようとする人や組織は必然的に大きな不確実性とリスクを背負うことになります。このとき「衝動」に基づいてその問題に取り組んだものの、結局はうまくいかずに失敗してしまった、という人が次々と経済的に破綻してしまえば、そのような「衝動」に根ざした活動をする人は誰もいなくなってしまうでしょう。経済合理性限界曲線の外側にある問題の解決を個人個人の「そうせずにはいられない」という「衝動」によって駆動しようとするのであれば、経済的に破綻してしまう心配のない社会的セキュリティネットが必要になります。
     このようにつらつらと考えてみれば、一つの結論に到達せざるを得ません。それは、これからやってくる高原社会に残存する「希少かつ重大な問題」を解決していくために、これまで私たちが依拠していた新自由主義・市場万能主義から、より社会民主主義的な方向へと舵を切らざるを得ない、ということです。
     先述した通り、社会に多数の物質的問題が残存していた時代にあって、市場原理は極めて効率的に、それらの問題を解消することに貢献しました。しかし現在、私たちの社会に残存する問題の多くは、もはや経済合理性だけに頼っていたのでは解決できないのです。
     経済合理性のハードルを軽々と跳躍して飛び越えるような人材が、不当に不利益を被らないような社会基盤の整備がどうしても必要なのだということを考えたとき、私たちは、これまでのアメリカによって象徴的に示されていた新自由主義・市場万能主義の社会ビジョンから、北欧型のそれに近いような社会民主主義の方向へと、大きく社会ビジョンをシフトするべき時にきていると思います。


    電通戦略十訓
    1.もっと使わせろ
    2.捨てさせろ
    3.無駄使いさせろ
    4.季節を忘れさせろ
    5.贈り物をさせろ
    6.組み合わせで買わせろ
    7.きっかけを投じろ
    8.流行遅れにさせろ
    9.気安く買わせろ
    10. 混乱をつくり出せ


    「必要」と「奢侈」のあいだの答え
    ここで一旦、整理してみましょう。ポイントは次の三つです。
    1.今日の先進国では、安全で快適に生きるための物質的生活基盤の整備という課題をあらかた解決した上、これ以上の人口増大も期待できない「高原への軟着陸」へのフェーズに入りつつあり、必然的に「需要の飽和」が発生している。
    2.ビジネスが「問題の発見」と「問題の解決」で成り立っている以上、問題の多くが解決してしまった「需要飽和社会」では経済の停滞、利益率の低下が起き、それが先進国に共通して見られるGDPの低成長率、極端な低金利に表れている。
    3.これを避けるために「不必要な消費」を誘起すると、それは容易に「奢侈」に接続されてしまうが、そのような消費のあり方は「自然・環境・資源」の問題がより重要性を増している現在、倫理的に許されるものではなく、物理的にもサステナブルでない。


     大きく整理すれば、その活動は、第二章の冒頭で示した次の二点になります。
    1.社会的課題の解決(ソーシャルイノベーションの実現):経済合理性限界曲線の外側にある未解決の問題を解く
    2.文化的価値の創出(カルチュラルクリエーションの実践):高原社会を「生きるに値する社会」にするモノ・コトを生み出す


     筆者は2013年に上梓した著書「世界でもっともイノベーティブな組織の作り方」を執筆する際、スティーブ・ウォズニアックをはじめとして、世界中でイノベーターとして高く評価されている人物、およそ70人にインタビューを行いました。その際、判明したのは「イノベーションを起こそうとしてイノベーションを起こした人はいない」という、半ば喜劇的な事実でした。彼らは「イノベーションを起こそう」というモチベーションによって仕事に取り組んだのではなく「この人たちをなんとか助けたい!」「これが実現できたらスゴい!」 という衝動に駆られて、その仕事に取り組んだのです。
     ここでポイントとなるのは、彼らイノベーターたちが「こうすれば儲かる」という経済合理的な目論見だけによってではなく、「これを放ってはおけない」「これをやらずには生きられない」という強い衝動・・・・、それはしばしばアーティストにも共通して見られるものですが…………によって、それらのイノベーションを実現させているということです。
     過去のイノベーションを調べてみれば、核となるアイデアの発芽したポイントに、経済合理性を超えた「衝動」が必ずといってよいほどに観察されることが確認できます。


     一方、今日のビジネスの世界を顧みてみれば、新規事業の検討に際し、徹底して「数学的期待値」や「数量化された利得に数量化された確率をかけた加重平均」が意思決定の根拠として求められていることが思い出されます。しかも、一般にエリートと言われる、高い教育水準を受けている人ほど、この手のプロトコルに強く縛られてしまう傾向があります。これは社会資源の活用という観点から考えると恐ろしい機会費用です。
     誤解のないようにしておきたいのですが、私はなにもこのようなスキルを否定しているわけではありません。真に問題なのは、本来は「主」であるはずの「人間性に根ざした衝動」が本来は 「従」であるはずの「合理性を検証するスキル」にハックされ、主従関係が逆転してしまっている、ということです。「衝動という主人」が「スキルという家来」を使いこなすことで人類は進化させてきたわけですが、この関係が逆転して「スキルが主人になって衝動を圧殺する」状態になってしまっている、というのがいまの経済システムの問題です。 この主従関係を再度、逆転して「衝動にシステムをリ・ハックさせる」ことが求められます。

     
     すでに需要・空間・人口という三つの有限性を抱えている世界において、大きな経済的値を創出しようとすれば、それは「文化的価値」という方向をおいて他にないというのが私の考え方です。文明化がすでに終了した世界にあって、これ以上の過剰な文明化が富を生み出すことはありません。
     一方で「文化的価値の創出」についてはその限りではありません。意味的価値には有限性がありませんから、無限の価値を生み出すことがこれからも可能です。そしてその価値は資源や環境といった有限性の問題から切り離されているのです。 文明化の終了した世界にあって、人々が人生に求めるのはコンサマトリーな喜びであり文化的豊かさであると考えれば、これからの価値創出は「文明的な豊かさ」から「文化的な豊かさ」へとシフトせざるを得なくなります。


    キャリア形成のきっかけとなるもの
     結果的に成功した人は一体どのようにキャリア戦略を考え、どのようにそれを実行しているのか? この論点について初めて本格的な研究を行ったスタンフォード大学の教育学・心理学の教授であるジョン・クランボルツは、アメリカのビジネスマン数百人を対象に調査を行い、結果的に成功した人たちのキャリア形成のきっかけは、80%が「偶然」であるということを明らかにしました。彼らの80%がキャリアプランをもっていなかった、というわけではありません。ただ、当初のキャリアプラン通りにはいかないさまざまな偶然が重なり、結果的には世間から「成功者」とみなされる位置にたどり着いたということです。
     クランボルツは、この調査結果をもとに、キャリアは偶発的に生成される以上、中長期的なゴールを設定して頑張るのはむしろ危険であり、努力はむしろ「いい偶然」を招き寄せるための計画と習慣にこそ向けられるべきだと主張し、それらの論考を「計画された偶発性理解=プランド・ハップスタンス・セオリー」という理論にまとめました。
     クランボルツによれば、我々のキャリアは用意周到に計画できるものではなく、予期でき ない偶発的な出来事によって決定されます。それでは、キャリア形成につながるような「良い偶然」を引き起こすためには、どのような要件が求められるのでしょうか? まずハップスタンス・セオリーの提唱者であるクランボルツ自身が指摘したポイントを挙げてみましょう。
    ・好奇心=自分の専門分野だけでなく、いろいろな分野に視野を広げ、関心をもつことでキャリアの機会が増える
    ・粘り強さ=最初はうまくいかなくても粘り強く続けることで、偶然の出来事、出会いが起こり、新たな展開の可能性が増える
    ・柔軟性=状況は常に変化する。一度決めたことでも状況に応じて柔軟に対応することでチャンスをつかむことができる
    ・楽観性=意に沿わない異動や逆境なども、自分が成長する機会になるかもしれないとポジティブに捉えることでキャリアを広げられる
    ・リスクテーク=未知なことへのチャレンジには、失敗やうまくいかないことが起きるのは当たり前。積極的にリスクをとることでチャンスを得られる

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    2025年11月29日