あらすじ
【内容紹介】
私は、本書を通じて、ある希望にみちた仮説をみなさんと共有したいと思っています。
その仮説とは、社会運動・社会批判としての側面を強く持つビジネス=クリティカル・ビジネスという新しいパラダイムの勃興によって、経済・社会・環境のトリレンマを解決するというものです。
私は2020年に著した『ビジネスの未来』において、安全・快適・便利な社会をつくるという目的に関して、すでにビジネスは歴史的役割を終えているのではないか?という問いを立てました。原始の時代以来、人類の宿願であった「明日を生きるための基本的な物質的条件の充足」という願いが十全に叶えられた現在、私たちはビジネスという営みに対して社会的意義を見出せなくなりつつあります。
この問いに対する前著での私の回答は「条件付きのイエス」というものでしたが、その後も、営利企業あるいはビジネスの社会的存在意義に関する議論が沈静化する兆しはなく、世界経済フォーラムをはじめとした会議の場においても、この論点は主要なアジェンダであり続けています。
ここ数年、世界中で盛り上がりを見せている「パーパス」に関する議論も、この「このビジネスに社会的意義はあるのか?」という、素朴だけれども本質的な質問に対して応えることのできなかった人々が引き起こした一種のパニック反応だと考えることもできるでしょう。
私は、本書を通じて、このウンザリさせられる問いに対して、ある仮説としての回答を提唱したいと思います。それが前述した命題、すなわち「社会運動・社会批判としての側面を強く持つビジネス=クリティカル・ビジネスという新たなパラダイムの勃興によってそれは可能だ」という回答です。
【著者紹介】
[著]山口 周(やまぐち・しゅう)
1970年東京都生まれ。独立研究者、著作家、パブリックスピーカー。ライプニッツ代表。慶應義塾大学文学部哲学科、同大学院文学研究科美学美術史学専攻修士課程修了。電通、ボストンコンサルティンググループ等で戦略策定、文化政策、組織開発などに従事。『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?(光文社新書)』でビジネス書大賞2018準大賞、HRアワード2018最優秀賞(書籍部門)を受賞。その他の著書に、『劣化するオッサン社会の処方箋』『世界で最もイノベーティブな組織の作り方』『外資系コンサルの知的生産術』『グーグルに勝つ広告モデル』(岡本一郎名義)(以上、光文社新書)、『外資系コンサルのスライド作成術』(東洋経済新報社)、『知的戦闘力を高める独学の技法』『ニュータイプの時代』(ともにダイヤモンド社)、『武器になる哲学』(KADOKAWA)、『自由になるための技術 リベラルアーツ』(講談社)、『ビジネスの未来』(プレジデント社)など多数。神奈川県葉山町に在住。
【目次抜粋】
■第1章 クリティカル・ビジネス・パラダイムとは?
■第2章 クリティカル・ビジネスを取り巻くステークホルダー
■第3章 反抗という社会資源
■第4章 クリティカル・ビジネス・パラダイムの背景
■第5章 社会を変革したクリティカル・ビジネスの実践例と多様性
■第6章 アクティヴィストのための10の弾丸
■第7章 今後のチャレンジ
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山口周さんらしい奥の深い内容であった。従来型のビジネスでは競争優位性も持続可能性もなくなり、社会運動・社会批判の側面を持つ新しいパラダイムであるクリティカルビジネスが勃興してきた。それにより未知の新しい未来も淘汰される過去も訪れうる。自分たちはそれを受け入れる勇気や覚悟があるかを問われている気さえした。
・難易度の高いアジェンダは優秀でモチベーションの高い人にとっては報酬である。
・善意から行われたにもかかわらず、結果的により悪い方向へ状況を変化させてしまうイニシアチブには、①根本的な問題ではなく、症状へ対処している。②誰の目にも文句なしの策に映る。③短期的には効果がある場合も多い。という共通点がある。
・「この先、自分はどのようにして生きていくのか、これまでの人生を続けて、それでいいのだろうか」という問いにしっかりと向き合い、ほとんどのケースは直感的に「それは違う」という判断を下した。
この辺りを備忘しておきながらこの一冊を自分の行動変容のきっかけとしたい。
Posted by ブクログ
2024/9/19
これらのフェアフォンによる取り組みを並べてみて、奇妙な特徴があることに気づかれたでしょうか?そうです、これらの取り組みのうち、何一つとして、マーケティングが非常に重視する「顧客便益」の向上につながるものがないのです。「モジュラーデザインの採用」も「ライフサイクルの延長」も「リペアラビリティの向上」も、直接的に顧客に何らかの便益を与えるものではありません。言うなれば、フェアフォンは、既存の競合メーカーに対して、後発として差別的優位になるような顧客便益を、何一つとして提供していないまま、参入に成功したのです。これは驚くべきことです。
もちろん、アップルやサムスンといった大手スマートフォン・メーカーもサステナビリティに関する取り組みを進めてはいますが、フェアフォンとは取り組みの位置付けが異なります。アップルやサムスンにおいて、競争優位の形成は主に、デザイン・技術革新・ブランド・マーケティングの強化によって追求されています。
一方で、フェアフォンの場合、これらのサステナビリティに関する取り組みそのものが、顧客を惹きつける要因、競合に対する競争優位を生み出す意味を形成しているのです。
フェアフォンが、新興のスタートアップであったにもかかわらず、非常に競争の激しい市場において一定の存在感を持つまでに成長できた理由は、製品の品質や機能が優れていたからではなく、彼らが、既存のビジネスの慣習に慣れきってしまっている業界や市場に対して、彼ら自身の哲学に基づいて批判的=クリティカルな提言を行ったからです。彼らの批判的提案に共感した人々が、顧客を中心としたステークホルダーとして集まることで、フェアフォンの提案が一種の運動として社会変革のうねりを生み出しているのです。
実際に、フェアフォンの創業者たちは「私たちがやっているのはビジネスというより「修理する権利を取り戻す」という社会運動なのです」とインタビューにおいて答えています。彼らはまさに「社会運動としてのビジネス=クリティカル・ビジネス」を運営しているのです。
今日の成功からはなかなか想像し難いことですが、Googleは創業当初に資金調達に非常に苦労した会社で、ベンチャーキャピタルから300回以上も投資を断られています。なぜ、当時の投資家はGoogleへの投資に魅力を感じなかったのでしょうか?
理由は明白です。それは彼らのビジョンに「顧客や市場という概念が含まれていなかったから」です。「世界中の情報を整理して情報格差をなくす」というのは非常に美しい社会ビジョンではありますが、では、それを望んでいる顧客がどの程度いるのか?繰り返しますが、当時の人々のほとんどは既存の検索エンジンに対して大きな不満を感じていなかったのです。顧客がさしたる不満を抱いていない市場において、しかも複数の検索エンジンがレッドオーシャンの様相でしのぎを削っている中、大型の設備投資を伴う検索エンジン・ビジネスに投資して最後発として新規参入するという意思決定を合理化することは非常に難しかったでしょう。
▫️市場に存在しない問題を生成する
これらの企業が短期間に非常な成長を遂げた理由は一つしかありません。それは、「市場に存在しない大きな問題を、企業の側から生成することに成功したから」です。一般的に、マーケティングやデザイン思考では「市場に存在する問題を見つける」ことがブランニングの初期段階で重視されますが、これらの企業は「新たな問題を発見」したのではなく「新たな問題を生成」したのです。
しかし、ではどのようにして、彼らは市場に新たな問題を生成したのでしょうか。答えは「あたかも哲学者やアーティストのように、社会を批判的=クリティカルに眺め、考えることによって」です。彼らは、それまで誰もが「当たり前だろう」「まあ仕方ないよね」の一言で済ましてきた様々な社会の事象や習慣や常識を批判的に考察し、現状の延長線とは異なる別の社会のあり方を提示することで、市場に新たな問題を生成したのです。
では、ビジネスにおける古典的なパラダイム・・・・・・つまり、顧客の既存の価値観にフィットする便益を競合企業よりも効率的に提供することで売上・利益の極大化を図るというパラダイムが転換する先にある、新しいパラダイムとは何なのでしょうか?
それが、本書で提示する「クリティカル・ビジネス・パラダイム」ということになります。クリティカル・ビジネス・パラダイムにおいて、企業の活動は社会運動・社会批評としての側面を強く持つことになります。クリティカル・ビジネスの実践者は、社会で見過ごされている不正義や不均衡を批判し、改善するための行動を起こすことによって価値を創造します。
アファーマティブ・ビジネス・パラダイム
投資家、顧客、取引先、従業員などのステークホルダーの既存の価値観や欲望を肯 定的に受け入れ、彼らの利得を最大化させることを通じて自己の企業価値の最大化を目指すビジネス・パラダイム
クリティカル・ビジネス・パラダイム
投資家、顧客、取引先、従業員などのステークホルダーの価値観を批判的に考察し、これまでとは異なるオルタナティブを提案することを通じて社会に価値観のアップデートを起こすことを目指すビジネス・パラダイム
一時期あれだけ騒がれたデザイン思考が、ブームの熱量に見合うようなインパクトを残 すことができなかった理由がこの点にあったと思います。デザイン思考は方法論として、最初のステップに「現場にいってユーザーの抱える問題や課題を実体験する」ことを提唱 していますが、このアプローチを採用する限り、把握できるのはユーザー体験に内在する 既存の問題だけで、新しい問題を認知的に生成することは原理的にできません。
この点については後ほどあらためて述べますが、資本主義は「市場に存在する大きな問題」から順に解決していくため、「顧客の体験に内在する既存の問題」にしかアドレスすることのできないデザイン思考の枠組みを用いる限り、宿命的に時間を追うごとに「瑣末なアジェンダ」に取り組むことにならざるを得ません。デザイン思考がさしたるインパク トを残すことができなかったのは構造的な原因がある、ということです。
▫️クリティカル・ビジネス・パラダイムにおける顧客の役割・意味
1.価値共有者としての顧客
2.社会変革のパートナーとしての顧客
3.オピニオンやフィードバックの提供者としての顧客
前述した通り、クリティカル・ビジネスは、社会的なコンセンサスの取れていない少数派のアジェンダを掲げてイニシアチブを立ち上げます。一方で、短期的な経済的リターンを重視する投資家は、往々にして、すでにコンセンサスの取れている儲かりそうな「流行のソーシャルアジェンダ」に取り組むことを経営者に求める傾向が強いのです。このような投資家に初期段階で関わられてしまうと、経営を引っ掻き回され、悲惨なことになります。
このような悲劇を避けるためにカギとなるのが、投資家の期待値をコントロールするためのコミュニケーションです。投資家の注目が集まるタイミングで「私たちは長期的な社会・環境へのインパクトを生み出すことを目指しているのであり、短期的な財務リターンを期待する投資家の期待に応えるつもりはない」と明言するのです。
▫️起きているのは「欲求の抑制」ではなく「新たな欲求の台頭」
ここで留意しなければならないのは、このような共感は「倫理」や「道徳」や「義務」といった規範によって醸成されているわけではない、という点です。英国の哲学者、ケイト・ソパーは、近年、特に一定の世代以下で顕著に見られる、環境や社会へ配慮したライフスタイルや消費スタイルは「自己利益を抑制すること」・・・・・・つまり一種の「痩せ我慢」によって駆動されているのではなく、むしろ「環境や社会への配慮が自己利益として内部化されること」によって駆動されている、と指摘しています。
彼女は、端的にこの現象を「Alternative Hedonism=新しい快楽主義」という概念として整理しています。自分たちの欲求や快楽を抑制することによって新しい消費のスタイルが生まれているのではなく、より環境に適した消費生活を送りたい、他者の問題を解決したいという新しい欲求や快楽の登場によって、新しい消費のスタイルが生まれている、ということです。まさに「資本主義のハック」が起きている、というのがソパーの理解です。
これは非常に重要な指摘だと思います。というのも、もし、このような社会的な流れが、抑制によって生まれているのであれば、この流れはやがて必ず元に戻るからです。抑制というのはサステナブルではありません。規律によって抑え込まれている欲望や欲求の質が本質的に変化していないのであれば、いずれは必ず大きな揺り戻しとなって戻ってきて、それは従前よりもさらに悪い結果を引き起こすことになります。いま、世界で進行しているのは、20世紀以前の世界において肯定されていた欲望や欲求を抑制するということではなく、それを超克的にアップデートするという趨勢なのです。
●社会を変革したクリティカル・ビジネスの実践例と多様性
クリティカル・ビジネスの「クリティカルさのバターン」
1 支配的価値観への批判
フォルクスワーゲン社による 「Think Small」キャンペーン
「大きければ大きいほど良い」という価値観への反抗
広告がメッセージの価値観を端的に表現している
2 貧困と経済的不平等の解決
グラミン銀行
「業界の常識」にチャレンジする
「顧客に応える」のではなく「顧客を鍛える」
3 気候変動・資源枯渇への対応
Patagonia(パタゴニア)
クリティカル・ビジネスの筆頭となる実践例
本業とは相乗効果を見出しにくい活動にもコミット
環境保護の取り組み
政治的立場とバートナーシップ
ベンチャーキャピタル活動
環境活動家のためのカンファレンスの実施
Fairphone (フェアフォン)
最もクリティカルな点は「設定した敵の巨大さ」
TESLA (テスラ)
市場の存在しなかった事業を始めた
予測はどうせ外れる
4 企業倫理と透明性の向上
The Body Shop (ザ・ボディショップ)
元祖クリティカル・ビジネス
打ち出しているビジョンに「顧客ベネフィット」が含まれていない
意味のオセロで敵をひっくり返す
5 労働者の権利と福祉の改善
モンドラゴン協同組合
協同組合にして企業連合体
なぜ経営者の報酬は上がり続けるのか?
6 ダイバーシティとインクルージョンの推進
IKEAイスラエルによる 「ThisAbles プロジェクト」
発信力のないマイノリティの声を代弁する
グローバル市場を意識すると「マイノリティの巨大市場」が浮かび上がる
7 地域社会とコミュニティの生成
Brunello Cucinelli (ブルネロ・クチネリ)
「場所」もまた意味的価値を持つ
虚構を維持できない時代におけるブランディングとは
▫️アクティヴィストのための10の弾丸
1 多動する
2 衝動に根ざす
3 難しいアジェンダを掲げる
4 グローバル視点を持つ
5 手元にあるもので始める
6 敵をレバレッジする
7 同志を集める
8 システムで考える
9 粘り強く、そして潔く
10 細部を言行と一致させる
Posted by ブクログ
山口周さんの本を手に取るのは初めてではないが、この本くらいうなづき続けたのは初めて。
どうして、AppleやTeslaやIKEAが世界的に企業になって、業界をリードし続けているのか、そういった企業が日本から生まれていない理由を、企業、顧客、その社会の分析から明らかにして、どうすればその環境が変わるかまで、綿密に提案がなされた良著。
Posted by ブクログ
クリティカルビジネスパラダイム(CBP)とは、社会で見過ごされている不正義や不均衡を批判し、改善するための行動を起こすことによって価値を創造すること
少数派であることこそがCBPの核心をなす要素
問題とは私たちが認知的に新たに生成するもの
社会改革運動は、理想社会とはどのような社会ではないのか
CBPのアクティビストがイニシアチブを立ち上げるきっかけとなった経験は偶然によってもたらされる
とにかく早く小さく試す
安定した収入をもたらしてくれる本業を続けながら起業した人ほと、副業で大胆なリスクを取れる
逸脱者のよって多数派の規範がアップデートされる開かれた社会を築く
過去はこれからをどのように生きるか次第でいくらでも変えられる
アクティビストのためのブックガイド
これからの、今の社会において逸脱者になること、社会変革活動家になること、社会を変えていくことに対する実践的な武器となる本
社会に対する活動に加えて、まずは自分の所属する組織の中での活動においても参考にしたい。反抗することだけを目的にするのではなく、どうなりたいか、あるいはどうなりたくないのかをゴールとしながら。
Posted by ブクログ
アファーマティブビジネスはステークホルダーの価値観や欲望を肯定的に受け取り、彼らの利得を最大化させて企業価値をあげるビジネス。
クリティカルビジネスはステークホルダーの価値観を批判的に考察し、オルタナティブを提案することを社会的に価値観のアップデートを起こすことを目指すビジネス。
イノベーティブな意見ほど評価されない
Posted by ブクログ
今後の企業の在り方を考えさせられました
資本主義をハックする、という切り口のためには、
もっと頭を柔軟にしておかないといけない
読書メモ
・いち早く問題意識を持った企業によるマーケティング・コミュニケーションによる市場の教育が大きく寄与する。今日の社会では、公共メディアによる報道やジャーナリズムよりも、私的な企業によるマーケティングコミュニケーションこそ、社会変革の大きな役割を担っている。
・本当に考えなければいけないことは、「SDGsの17個のアジェンダは実行あるのみ。あなたは18番目に何を掲げたいですか」ということ。
・社会運動、社会批評としての側面を強く持つクリティカルビジネスのパラダイムにおいては、競合企業は必ずしも打ち倒すべき敵ではなく、同じ社会的問題の解決を目指す同志の側面を併せ持つことになる。
・プラスサムゲーム。市場の大きさは可変であり、市場の拡大によって参加者すべての売り上げや利益を増やせる状況。クリティカルビジネスによる啓発や教育を通じ、新たな価値やニーズを創出している。
・社会には常に不完全さがあり、その不完全さに対する反抗がなければ社会は進歩しない。
・テクノロジーやイノベーションが経済を成長させるという主張は、一種の宗教。科学的なエビデンスがないにも関わらず、単に「そう信じたい人が、そう信じているだけ」だから。
・公共性への関心が低い社会では、クリティカルビジネスは生まれにくい。この点こそ、西欧の社会において存在感を示すようになったクリティカルビジネスが、日本の社会からなかなか生まれない本質的な理由があると思っている。
・能力レベルの高い人はそれに見合う挑戦的な課題を求める。「難易度の高いアジェンダ」は優秀でモチベーションの高い人を引き付け、逆に凡庸でモチベーションの低い人を遠ざける非対称性がある。
・一般的に私たちは敵をつくることを避けるが、クリティカルビジネスでは逆に「意識的に敵を作り出し、その敵の持つエネルギーを反作用のように利用している。
・言葉は情報でできており、情報はエネルギーを生み出す。社会運動は情報を食べて前進のエネルギーにする。
Posted by ブクログ
利潤追求優先のビジネスという活動自体を食わず嫌いし、ビジネスと社会貢献の交差点を探っていた自分にまさにクリティカルヒット。
それにしても黒カバーに緑色の字体の本には良作が多いような、、笑
Posted by ブクログ
人類は、明日を生きるための基本的な物質的条件の充足を達成した。これからのビジネスは営利よりもパーパスなどを重視していくべきだ。そのためのコンセプトが『クリティカルビジネス』であると。明快で興味深い内容である。
Posted by ブクログ
著者の山口さんは視点がユニークで、本書も読んでいて非常に刺激を受けるものとなりました。
今まで社会運動がなぜビジネスになるのか?という点について私自身は無理解でしたが、なるほど、今までの延長線上にはすでに成長要素は存在しないとか、今後は共感性が必要になるなど言われると、確かに、とは思います。
また、この本の良いところは、問題を問題としてのみで終わらせず「どうしたら自分の確信している課題が共感され大きな社会変革が生まれるか」といった手法論にも言及しているところでしょう。
「小さな問題も、啓蒙と共感により大きな問題となり、解決へのスピード感が上がる」といった考え方や、「小さな問題もグローバルでとらえることによって大きな市場が形成できる問題となる」といったスケール論などについても、多く参考とできるところがありました。
上記のほかに覚えておきたい内容がありましたので、簡単にメモしておきます。
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現状のAS-isはTo-beが思い描けようが描けまいが同じである。To-beを思い描くことで初めてAs-isとのギャップが生まれ、問題を認識できるようになる。
顧客の言うことを聞かない、むしろ顧客が正しい要求ができるよう、教育や啓蒙を進めて正しいフィードバックを得られるようにすることが、本当の意味での顧客志向である。
小さな問題も「啓発」と「共感」の拡散により大きな問題となり、解決へのスピードが上がる。
物的な要求が満たされている現在、「より環境に適応した消費生活を送りたい」「他者の問題を解決したい」といった新しい欲求や快楽が生じている。
とりあえず手元にあるものではじめる。失敗しても失うものはその手元にあるものだけ。
ローカルでは対象となる人数が少なく、普遍性の低い問題であったとしても、とも、グローバルにあまねく存在する問題としてとらえれば普遍性が高まる。
アクティビストに必要なのは「今は認められていないが、このアジェンダは必ず多くの人の共感を得るものになる」という確信。
Posted by ブクログ
本書で提唱される「クリティカル・ビジネス・パラダイム」とは、顧客や投資家の価値観や要望・利得の最大化を通じて自社の企業価値の最大化を目指す「アファーマティブ・ビジネス・パラダイム」(≒ 従来型のビジネス)とは対照的に、顧客や投資家の価値観や要望を批判的に考察して従来とは異なるオルタナティブを提案することを通じて社会にアップデートを起こすことを目指すものだ。前著『ビジネスの未来』で語られていた「高原社会」において我々はどのようなビジネスを展開すべきなのかという問いに対し、本書ではクリティカル・ビジネス・パラダイムを解としてその背景や具体例を論じている。
「クリティカル・ビジネス・パラダイム」そのものの議論・主張の切れ味もさることながら、その論の展開に援用された理論や引用も非常に示唆深く、普段の仕事観に影響を与えるであろうものも多い。例えば、前著から議論されてきた「問題の普遍性 ✕ 難易度」のマトリクスによる「経済合理性限界曲線」の乗り越え方はまさに本書の中核的論点だが、これを「少数派が多数派に影響を与えることで社会がアップデートされていく」というモスコヴィッシの「少数派影響理論」を応用することで解を提示したことには膝を打った。その実現のためには「小さな個人的問題」を「大きな社会的問題」へと自分ごと化するための社会的アクティビズムが鍵となるが、短絡的に自己利益の最大化を志向する従来型のビジネスを「アファーマティブ・ビジネス・パラダイム」と名付け、この対概念として「クリティカル・ビジネス・パラダイム」を位置づけることにより従来型のビジネスを「ダサいもの」として相対化するリポジショニングはマーケティングとポピュリズムをポジティブに応用した著者ならではの芸当に感じた。
また、「顧客の要望に対してクリティカルであるのが本当の顧客志向」という言葉や、人々の価値観を形成してきた/していくメディアや広告の責任と影響力にはハッとさせられるものがあった。また、ビジネスに関わっている人間であれば誰しも「課題・問題」に常に向き合いながら日々を過ごしているが、クリティカル・ビジネス・パラダイムへの理解を深めていくほどに「課題・問題」とは「あるべき姿」と「現状」の対比があって初めて「私たちが認知的に新たに生成するもの」だということが再認識・腹落ちさせられた。他にも、「ゼロサム・ゲームからプラスサム・ゲームへ」「情報は運動にとってプラスのエネルギーを生み出す」「システムは常に表の目的にではなく、裏の目的に最適化される」など、巻末の参考書籍をシェルパとしてもっと深く考えていきたいと思わされるサブテーマも多数あった。
著者は終盤、これまで論じてきたクリティカル・ビジネス・パラダイムの実現に対する日本社会の遅れ・逸脱に対する不寛容性に対して警鐘を鳴らしているが、トレードオフの論点へと矮小化させない姿勢にも感銘を受けた。(以下引用)
ーー「安定していて秩序が保たれているけれども、なんの逸脱も認められず、変化が起きない社会」と「不安定で秩序が乱れているけれども、逸脱が認められ、次々と変化が起きる社会」のどちらが良いか?と問われれれば、私の答えは一つしかありません。「どっちも嫌だ」です。
Posted by ブクログ
従来の競争優位を追求するビジネスモデルから脱却し、クリティカルな視点で社会のあるべき姿を提示・実現する、"高原社会"と相性の良いビジネスの考え方。
顧客の欲求に迎合せず、むしろ顧客の美的・倫理的感性を引き上げるような視座で、共感を武器にレバレッジしていく。
原研哉氏の考えが引用されていてジワる。
Posted by ブクログ
意味付けの重要性と、ビジネスの持つ力をソーシャルビジネスに転用するという考えはすでに持っていたが、筆者の言う、既に共感されているアジェンダではないところをアジェンダにするのがクリティカルビジネスだという考えは革新的だと思った。
公共性への関心と未来の他者への共感で、新しい市場が創造できるという点は納得。
Posted by ブクログ
著者山口周さんは「人文科学と経営学の交差点で仕事をする」戦略をとる。過去作も世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか?など印象的な作品が多い。
本書には今ビジネス社会におきている新たなパラダイムの台頭について書かれている。多くの人が「そういうものだ」「仕方がない」と甘んじて受け入れている現状に対して批判的な考察を行い、現状とは異なる「あるべき姿」を提示することで、多くの人が共感する「新しい問題」を生成してビジネスを生み出すのがクリティカルビジネスであると。
そういえばSDGsがどうだと騒がれ出して久しいが、身の回りを見渡せば、ランニングシューズの生地に再生材が使われ出すとか、ストローがプラから紙に変わるとか、ビニール袋が有料になるとかそれらを企業が全面に打ちだすとか、これらは欧州特有の自分有利なルール変更を日本にも押しつけてせてきたり業界保護のためだろう?と穿った見方をしていた自分が恥ずかしい。社会問題を解決するための方策を企業が模索しているのだと、新たな視点が増えた。
但し著者は具体的にこれらをクリティカルビジネスとは言っていない、むしろSDGsを行うのは当然として、18個めの課題を生み出し新しいビジネスを作り出すことをクリティカルビジネスと言っている。
クリティカルビジネスパラダイム台頭の構造的原理
先進7ヶ国のGDP成長率が右肩下がりである事実をとらえ、インターネットの普及等で生産性が飛躍的に上がっているのになぜ成長率は下降の一途なのか解き明かす。資本主義は大きな問題から解決するが、主要国では資本主義が解決する問題がなくなってきており、資本主義と市場原理の限界がきていると。経済合理性限界曲線の外側の社会問題をどう解決するのか。
本書により社会運動とビジネスの交わるところが何処なのか、その思考方法や実践企業を知れて良かった。
2025年1月20日。行きすぎた社会運動の反動からアメリカで第二次トランプ政権が発足した。
「他者への共感する力」が生み出している「遠くの他者」と「未来の他者」への共感の流れが止まらない事を願う。
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既存の社会システムの中で上手く儲けようという思考の人が跋扈する世の中において、クリティカルビジネスによってシステムを少しでも良きものにしていこうという生き方に確信を持てた。
Posted by ブクログ
市場のニーズを調査しそれに応える従来型のビジネスに対比して、市場や顧客に批判的な=クリティカルな立場を取るビジネス(クリティカルビジネス)を今日より重要なビジネスのあり方として紹介している。
筆者の主張は明確で、私自身も概ね賛成であるのだが、自分の主張を補強するために事例となる企業を一面的に切り取っているように見られる部分もあり、「クリティカル」に読むと躓いてしまうときもあった。
ブルネロ・クチネリについては初めて知ったが、よい企業のあり方だなと感じた。
Posted by ブクログ
これからのビジネスの主流と目されるクリティカル・ビジネスの解説書。
成熟社会において、批判的考察を通して、遠くの・未来の他者への共感から、「歓びに充ちた節制と解放する禁欲=joyful sobriety and liberating austerity」(イヴァン・イリイチ)の実践(この言葉が個人的には一番気に入った)など、
社会とビジネスの課題を解決を目指すための、実例とアプローチ方法が多数述べられている。
これからの社会人だけでなく、これまで既に会社人人生を送ってきた壮年層含め、今後の生き方を見つめるのに最適なボリューム感の著作。
まずは行動から。
Posted by ブクログ
クリティカル・ビジネスとは、社会運動・社会批判としての側面を強く持つビジネス。
アムステルダムで創業されたスマートフォン「フェアフォン」がその一例。商品ライフサイクルを長期化することで資源・環境に関する負荷を低減するというビジョン。
「フェアフォン」の存在を知らなかったのと、ビジネスにはとても大きな社会変革の力があるという指摘で、ワクワクしながら読む。前著『ビジネスの未来』で指摘のあった経済合理性限界曲線も無効となる。
後半箇条書き項目が多く、生成AIのようで、正直ややうんざり。この本の発行日前後に、英国ザ・ボディショップの破綻の記事がでており、ビジネスは単純ではないと思いしられるが、社会運動とビジネスの連携には今後も期待したい。
Posted by ブクログ
クリティカルビジネスパラダイム→→
社会運動・社会批判としての側面を強く持つビジネス。
昨今、日本でも会社のパーパス、社会貢献などが
持て囃されているが本書はその一歩先をいっている内容に感じられた。
読んでいて、こういう事って日本は苦手だなぁと
思っていたら、案の定、逸脱が許容できない日本社会にはクリティカルビジネスは育ちにくい土壌と書かれている>_<
だからこそ、今の日本を脱するためには最大のチャレンジだと述べているのには共感する。
Posted by ブクログ
◾️目的
山口周さんファンとして、新著だから。
◾️本質
社会運動・批判としての側面を持つクリティカル・ビジネスを通じて、経済、社会、環境問題を解決できる
◾️感想
過去の作品から同様の主張で一貫している。
パタゴニアなどをはじめてとする、「利潤追求目的型の企業ではない企業」がむしろ、市場において独自のポジションを得て、利益追求できている事実などはクリティカルビジネスの可能性を感じさせる事例として非常に納得感が高かった。著者もクリティカルビジネスを推進する立場から後半から、クリティカルビジネスに関わる方法論的な記載をしてくれている。ただし、今の日本の現状を踏まえるとすでに非常に高い視座を持ち一定のレベルに至っていない民衆にはいささか高すぎる要求に思えた。だからこそ、著者も指摘する美的センスを鍛えることが今後も求められて、著者のような啓蒙家が必要だと痛感した。
◾️ポイント
・ソーシャルビジネスとの違いは、コンセンサスが社会的に取れているかいなか。
・少数派から始まるのがクリティカルビジネス
・問題は存在しないが、あるべきを掲示することで新しい問題が生成される。
・センスの悪い客に向けてマーケティングすると、センスの悪い商品が生まれる。
・資本主義では、大きな解決しやすい問題から着手される
・システムで考えることの重要性。目の前に対処するとその解決策がまた次の問題の原因になることも。
・ヘイマエイ島の噴火の事例について。噴火で家を失ったがそれで離島した人が結果的に収入が増えている。過去はどう生きるかによって、解釈は変えることができる。→だからこそ、新しい機会に身をなげよ。
Posted by ブクログ
従来の資本主義の中で利益追求するのではなく、新しい社会を提示できる企業が勝つ時代という話。
かつて「Japan as No.1」と言われながらそれが出来ずに、「失われた○年」と言われて久しいわけで、GAFAMを始めとする海外企業にやられっぱなしの日本を見ていれば、そんなに新しい話ではない。
個人としては、未知に身を投げ出していくことに対する応援歌ではある。
Posted by ブクログ
全く新しい概念提示ではないけれど、なんとなくそうだろうなと曖昧に思っているところを、言葉やデータ、事例をうまく使って整理してある本。
クリティカル・ビジネスとソーシャルビジネスは解決しようとする社会課題が顕在化、合意形成できているか否かで整理されている。
また、行動を起こしてもらうことを主眼に書いてあり、おすすめ書籍もリスト化されている。
就活前の学生にもおすすめのわかりやすさ。
Posted by ブクログ
クリティカル・ビジネスは社会や市場の現状に対して批判的な視点を持ち、既存の価値観や慣習に挑戦することを目指す。
従来のビジネスが市場や顧客のニーズに応えることを重視してきたのに対し、クリティカル・ビジネスは社会や市場の現状に対して批判的な視点を持ち、既存の価値観や慣習に挑戦することを目指します。
市場教育・啓蒙の役割: 市場や顧客の要求に従うのではなく、むしろ市場や顧客を教育・啓蒙し、新たな価値観や行動を促すことを重視します。
Posted by ブクログ
ビジネスにおいて、「儲ける」、以外の価値軸を加えることはできるのか、というお話かなー。
サブとしては、理念に基づくパーパス経営や、サステナビリティを一つの評価基準とする動きは近年活発になっている。ソーシャルビジネスでは、利益よりも社会課題の解決を優先とする。
著者のクリティカル・ビジネスと呼ぶものは、ビジネス事態を通して社会課題を定義し、社会の変革を促す。
社会運動のツールとしてのビジネス。
抵抗としてのビジネス。既存の体制、価値体系、社会の在り方に対して。
企業の成功の新たな価値軸として、「センス」を打ち出しているのかな、と思いました。
先日読んだ、ク゚チネリさんの本を思い出しましたが、途中、彼の会社についても触れられていました。
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普段思っていたことなど、共感できる点がいろいろとありました。
社会運動!
個人的には、ビジネスはこれまで社会運動をしていなかったのか、とまず問いたいと思います。かなり、著者は本書で、ビジネスの社会における大きな力について述べられています。
企業広告 国内年間 約7兆円
政府広告 国内年間 約100‐200億円
どれだけ私たちは民間企業の宣伝広告に影響を受けているか。
これは社会運動だと思います。ビジネスの手により、私たちの社会は大きく変革されているに間違いない。消費社会を形作り、加速させているのは、日々目にし続け耳にし続ける企業広告。今のビジネスが創り上げてきたパラダイムが、この大量消費社会であり、価格の高いものをもってステータスを表現する社会、といったようなことなのではと思います。
その強大な民間企業の運動によってつくられた私たちの欲望、需要が市場を作り、その市場ニーズにさらに応じる形で、企業が成功を求めて争っているのではと思います。
なので、本書で論じられているクリティカル・ビジネスは、そんな既存のニーズ、顧客のペインポイントに応えるのではなく、アルタナティブ、対抗軸を打ち立てるもの。
抵抗!
私はわりと抵抗を通して自分の存在意義を確認しているところがあるので、ビジネスでもそれを当てはめる、というのは入ってきやすかったです。カミュの『反抗的人間』については、知りませんでした。興味深い。
ピーター・ティールさんの問いー世界に関する、世界が認めていない、君自身が重要と考えているアジェンダは?
革新的なものは初めは敵としても認知されない。
デザイン思考が既存の社会枠組みを打ち破るような影響を生み出せなかったのは、顧客がすでに持っている課題を解決することを追求するアプローチだから、といいます。
人々がいまだ問題視していない問題…
今の市場ニーズに応えることは、社会を崩壊させること。
一定の人々のニーズが満たされた、というのは企業の功績でもありますが、その目的を今は達成してクリティカルな目的を失っているともいえるのかもしれません。
今は消費が、他者に見せびらかす記号と化している、と述べています。
また、少数によるニーズについては、リターンが小さすぎて回収できない。利益が至上主義的に求められる従来のビジネスでは解決できない。
センス!
無教養な専門家、品格のないビジネスの危険性。
センスの低い顧客という考え方。カスハラが社会問題化している今日ですが、低俗な人々を相手にすることの危険性。
オルテガ・ガセットのいう、文明の恩恵で甘やかされた「大衆」が引用されています。
なので、人々を啓発する、意識変革を促す、それにより、人々の欲求を変える、新しいニーズを打ち立てる、社会運動。
仮想敵国、~でない、否定を明確にした時の団結力。資本主義を強烈に叩くマルクス、ディストピアを描いたジョージ・オーウェル。
カギとなる、共感。伝えるものの鮮度。小さく、手元にあるものから、とにかく始める。
モデルとなる企業
テスラー2003年創業当時のEVシェアは全自動車市場の0.01%だったにもかかわらず、電気自動車の特許をオープンソース化し、ゼロサムではない、プラスサムのアプローチで、新しい価値観と顧客を作っている。
ブルネロ・ク゚チネリさんの会社ーサステナブルで上品な水準の利益しか求めない。共感に欠かせない、細部の言行一致の極み。
市場利益よりも重要なもの。センスのありかたを問うこと。
Posted by ブクログ
ガソリン車はCO2の排出で環境に悪いのはわかっているが「仕方がない、そういうものだ」
スマホの画面が割れたりバッテリー交換の修理代が高いが「仕方がない、そういうものだ」
安いしデザインも良いファストファッションは大量生産でCO2の排出も多いし児童労働問題もあるが「仕方がない、そういうものだ」
「仕方がない、そういうものだ」が世の中たくさん溢れていて、毎日当たり前のこととしてそのままスルーしていました。
そんな中、アムステルダムのフェアフォンはiphoneとは違い誰でも液晶画面が割れたり、バッテリー交換したいときは自分で交換することにより、同じスマホを使い続けることでサスティナブルなことにつながる。まさに修理する権利を取り戻す社会運動ビジネスが代表的なクリティカルビジネスのようで、とても哲学的でわかりやすかったです。
このクリティカルビジネスの対義語として、アフォーダンスビジネスを掲げていました。
顧客のニーズに応えて企業は試行錯誤して新商品を開発したり、顧客の「こんなのサービスにしてほしい」を叶えてあげることも、アフォーマティブビジネスのようです。
その真逆として企業が社会問題を生成して、顧客に対して提示していくことがクリティカルビジネスのようで、アウトドアブランドのパタゴニアの商品を買って使い続けていることで環境にも配慮していくことになり、顧客も協力していくことができる。本当のWinWinですね!
クリティカルビジネスのクリティカルとは批判的、反抗的というとこになると、そんなネガティブな考えが本当にビジネスとして良いものなのかを、歴史上哲学者やデータに基づいて詳しく解説していました。
近年、脱物質主義者と物質主義者の対率変化もとても参考になります。
まさにわたしも若い頃はあれが欲しいこれが欲しいと物力旺盛でしたが、今思えばあれはなんだったんだろうと思ってしまいます。
そしてクリティカルビジネスは少数派という問題。そこにはモスコヴィッツによる少数派影響理論で納得できました。
そして、クリティカルビジネスに挑戦あるいは参加していくにはどうしたらよいのか、日本の国だからこそ社会を変えていくチャンスでもあることを解説していただきました。
安全・快適・秩序の三拍子揃った日本では逸脱者をなかなか許容しない環境ではあるようですが、今の子供たちのためにも、これからの時代にとても必要な情報だと思います。
最後の半脆弱性の話も面白かったです。
ありがとうございました。
Posted by ブクログ
クリティカル・ビジネスは①あるべき世界を定義し、②共感の力を利用し、③ビジネスとして行うことが重要。その理由としては、①現在の問題は変わらないので、どうありたいかが重要であり、②コンセンサスが取れていない少数のコアの力が推進上重要であり、③ビジネスとして行わないと広まらないからである。
特に、③のビジネスと社会運動的要素のバランスを取ることが重要であり、それには個人・会社の思想・哲学が必須であることを再認識した。
Posted by ブクログ
ビジネスの未来で言われていた高原社会でどんなビジネスが起こってくるのか、そんな内容を期待していたがそこまでは行かず。社会課題の解決とビジネスの良いとこどりはどう成立するのか知りたかった。