クリティカル・ビジネス・パラダイム――社会運動とビジネスの交わるところ

クリティカル・ビジネス・パラダイム――社会運動とビジネスの交わるところ

2,090円 (税込)

10pt

【内容紹介】
私は、本書を通じて、ある希望にみちた仮説をみなさんと共有したいと思っています。
その仮説とは、社会運動・社会批判としての側面を強く持つビジネス=クリティカル・ビジネスという新しいパラダイムの勃興によって、経済・社会・環境のトリレンマを解決するというものです。

私は2020年に著した『ビジネスの未来』において、安全・快適・便利な社会をつくるという目的に関して、すでにビジネスは歴史的役割を終えているのではないか?という問いを立てました。原始の時代以来、人類の宿願であった「明日を生きるための基本的な物質的条件の充足」という願いが十全に叶えられた現在、私たちはビジネスという営みに対して社会的意義を見出せなくなりつつあります。

この問いに対する前著での私の回答は「条件付きのイエス」というものでしたが、その後も、営利企業あるいはビジネスの社会的存在意義に関する議論が沈静化する兆しはなく、世界経済フォーラムをはじめとした会議の場においても、この論点は主要なアジェンダであり続けています。

ここ数年、世界中で盛り上がりを見せている「パーパス」に関する議論も、この「このビジネスに社会的意義はあるのか?」という、素朴だけれども本質的な質問に対して応えることのできなかった人々が引き起こした一種のパニック反応だと考えることもできるでしょう。

私は、本書を通じて、このウンザリさせられる問いに対して、ある仮説としての回答を提唱したいと思います。それが前述した命題、すなわち「社会運動・社会批判としての側面を強く持つビジネス=クリティカル・ビジネスという新たなパラダイムの勃興によってそれは可能だ」という回答です。

【著者紹介】
[著]山口 周(やまぐち・しゅう)
1970年東京都生まれ。独立研究者、著作家、パブリックスピーカー。ライプニッツ代表。慶應義塾大学文学部哲学科、同大学院文学研究科美学美術史学専攻修士課程修了。電通、ボストンコンサルティンググループ等で戦略策定、文化政策、組織開発などに従事。『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?(光文社新書)』でビジネス書大賞2018準大賞、HRアワード2018最優秀賞(書籍部門)を受賞。その他の著書に、『劣化するオッサン社会の処方箋』『世界で最もイノベーティブな組織の作り方』『外資系コンサルの知的生産術』『グーグルに勝つ広告モデル』(岡本一郎名義)(以上、光文社新書)、『外資系コンサルのスライド作成術』(東洋経済新報社)、『知的戦闘力を高める独学の技法』『ニュータイプの時代』(ともにダイヤモンド社)、『武器になる哲学』(KADOKAWA)、『自由になるための技術 リベラルアーツ』(講談社)、『ビジネスの未来』(プレジデント社)など多数。神奈川県葉山町に在住。

【目次抜粋】
■第1章 クリティカル・ビジネス・パラダイムとは?
■第2章 クリティカル・ビジネスを取り巻くステークホルダー
■第3章 反抗という社会資源
■第4章 クリティカル・ビジネス・パラダイムの背景
■第5章 社会を変革したクリティカル・ビジネスの実践例と多様性
■第6章 アクティヴィストのための10の弾丸
■第7章 今後のチャレンジ

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クリティカル・ビジネス・パラダイム――社会運動とビジネスの交わるところ のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    読みごたえしかない。

    少数派の現状に対する批判が出発点となるクリティカルビジネス。アファーマティブビジネスとの対比を含めてすべてが面白い。

    0
    2025年03月30日

    Posted by ブクログ

    どのようにして世の中の本質的な問題を解決していくか、様々な視点から示唆を得ることのできる書籍でした。

    0
    2025年03月08日

    Posted by ブクログ

    山口周さんらしい奥の深い内容であった。従来型のビジネスでは競争優位性も持続可能性もなくなり、社会運動・社会批判の側面を持つ新しいパラダイムであるクリティカルビジネスが勃興してきた。それにより未知の新しい未来も淘汰される過去も訪れうる。自分たちはそれを受け入れる勇気や覚悟があるかを問われている気さえし

    0
    2024年11月20日

    Posted by ブクログ

    2024/9/19
     これらのフェアフォンによる取り組みを並べてみて、奇妙な特徴があることに気づかれたでしょうか?そうです、これらの取り組みのうち、何一つとして、マーケティングが非常に重視する「顧客便益」の向上につながるものがないのです。「モジュラーデザインの採用」も「ライフサイクルの延長」も「リペ

    0
    2024年09月19日

    Posted by ブクログ

    山口周さんの本を手に取るのは初めてではないが、この本くらいうなづき続けたのは初めて。
    どうして、AppleやTeslaやIKEAが世界的に企業になって、業界をリードし続けているのか、そういった企業が日本から生まれていない理由を、企業、顧客、その社会の分析から明らかにして、どうすればその環境が変わるか

    0
    2024年08月13日

    Posted by ブクログ

    クリティカルビジネスパラダイム(CBP)とは、社会で見過ごされている不正義や不均衡を批判し、改善するための行動を起こすことによって価値を創造すること
    少数派であることこそがCBPの核心をなす要素
    問題とは私たちが認知的に新たに生成するもの
    社会改革運動は、理想社会とはどのような社会ではないのか
    CB

    0
    2024年08月13日

    Posted by ブクログ

    アファーマティブビジネスはステークホルダーの価値観や欲望を肯定的に受け取り、彼らの利得を最大化させて企業価値をあげるビジネス。

    クリティカルビジネスはステークホルダーの価値観を批判的に考察し、オルタナティブを提案することを社会的に価値観のアップデートを起こすことを目指すビジネス。

    イノベーティブ

    0
    2024年07月10日

    Posted by ブクログ

    利潤追求優先のビジネスという活動自体を食わず嫌いし、ビジネスと社会貢献の交差点を探っていた自分にまさにクリティカルヒット。
    それにしても黒カバーに緑色の字体の本には良作が多いような、、笑

    0
    2024年05月22日

    Posted by ブクログ

    人類は、明日を生きるための基本的な物質的条件の充足を達成した。これからのビジネスは営利よりもパーパスなどを重視していくべきだ。そのためのコンセプトが『クリティカルビジネス』であると。明快で興味深い内容である。

    0
    2024年05月12日

    Posted by ブクログ

    著者の山口さんは視点がユニークで、本書も読んでいて非常に刺激を受けるものとなりました。

    今まで社会運動がなぜビジネスになるのか?という点について私自身は無理解でしたが、なるほど、今までの延長線上にはすでに成長要素は存在しないとか、今後は共感性が必要になるなど言われると、確かに、とは思います。

    0
    2024年05月12日

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