団鬼六のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
実在した「真剣師」である小池重明の半生を綴った長編小説。
小池は将棋はべらぼうに強いが、ギャンブル、酒、女にのめり込む癖があっために、アマ棋士では当時最強だったにも関わらず将棋界から追放を喰らったという破天荒な人物であった。
「偏り」とは「才能」であると言える。何かにそこまで入れ込めること自体が並大抵のことではない。
人は長期的にも短期的にもさまざまなことにバランスを取ろうとする。しかし、それは凡人の発想で、圧倒的な才に恵まれてそれを自覚してしまった人は圧倒的にそれに偏ってしまう。将棋にしろ、スポーツにしろ、仕事にしろ、このように圧倒的にバランスを失ってしまう人は一定数存在する。
また小池 -
購入済み
女性にオススメ
初めてこういった分野に足を
踏み入れてみました。
内容は総じてソフトな印象で
幸いでしたね。ノーマルな志
向の?女性向けの一冊だと思
います。 -
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ネタバレ・ストーリー
最初に,最後を匂わせて,ストーリーテラーから徐々に離れていく,という書き方は読者をひきつける。
・キャラクター~テーマ~世界観
この本は小池重明のキャラクターだけでもっている。
モーツァルトを思わせる破滅型の天才。人間として出来損ないであるが,出来損ないであるという弱さが,そして絶対に将棋だけは負けないという矜持が背反し,人を引き付ける魅力となっている。ある人は,こんな人がプロに勝ちまくっていることに痛快感を覚えるのだろう。ある人は,このような男に嫌悪を憶えるだろう。
しかし,議論を呼んでもそれこそが人間的な魅力であり,これが本作のテーマであり,団鬼六の愛する世界観でも -
Posted by ブクログ
2015年22冊目は、今年に入って2冊目の団鬼六作品。
妻を弟子に寝取られ、嫉妬にかられる「不貞の季節」
独自の倒錯的官能美感を吐露しているような「美少年」
男の器というものを感じさせられた「鹿の園」
以上の短編が3篇。
そして、日活ロマンポルノ、初代SMの女王谷ナオミの半生を回顧録的に綴った「妖花」
新潮文庫の団鬼六作品は『檸檬夫人』に続いて2冊目。この2冊に共通するのは、どちらも私小説的な短編集だということ。そして、SMの巨匠、倒錯文学家という肩書きからは少々想像付きにくい、女々しいまでに嫉妬深い一面。また、独特なユーモア感覚を持つ、人間臭い部分がとても目立つ。
300p程度 -
Posted by ブクログ
大崎善生「赦す人」を読んで、小池重明という人に団鬼六氏以上の強い印象を受けた。まさに破滅型の天才。本書は、期待に違わぬ達意の文章で、紛れもない天分を持ちながら、ついにまっとうな道を歩むことなく死んでいった愚かで愛すべき男の人生を浮かび上がらせている。
本書を読むと、少し前までは将棋界というのも今とはずいぶん違ったものだったのだなあということがよくわかる。谷川名人、そして羽生名人の誕生というのがいかに大きな出来事だったのか、門外漢の私にも少し理解できたように思った。
小池重明氏はちょうど時代の変わる潮目に巡り合わせたということなんだろう。彼がもう少しだけ後に生まれていれば、棋界を席巻したので -
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Posted by ブクログ
面白かった。
読んですぐレビューを書くべきだった。
母が購入した本だが、母は作者の若き日の出来事に受けて、爆笑していた。
私はむしろ、作者の晩年について興味深く読んだ。
特にこの本は、作者がこれまで雑誌などに執筆して来たエッセイを、少年期~青壮年期、中年~老年期と分けて、エッセイそのものも年代順に掲載しているのだが、さらにはエッセイのタイトルの下に、その当時の作者の年齢が書かれているのだ。
ネタばれには当たらないと思うので書く。
例えばこんな具合である。
第一話 ジャパニーズ・チェス・・・十三歳(昭和二十年)
第十五話 牛丼屋にて・・・六十二歳(平成五年)
といった具合である。
私が
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