あらすじ
就いた職業は無数、人妻との駆け落ちは三回。寸借詐欺騒動を起こし、新聞沙汰にもなった。逃亡と放浪を繰り返したが、将棋だけには破格の才能を持っていた男・小池重明。プロ棋士を次々となぎ倒し、“新宿の殺し屋”と呼ばれた伝説の将棋ギャンブラーが、闇の世界で繰り広げた戦いと破滅の軌跡を描く傑作長編。話題のベストセラー待望の電子化!
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将棋の棋士については関心がなかったのだけど、ロマン優光さんがコラムで幻冬舎アウトロー文庫について触れていた際に大好きな本として揚げていらっしゃり、随分前に買った。そうして読んでみると、本当にめちゃくちゃで最高に面白い。将棋の世界で圧倒的に強いのにアマチュアで、プロをどんどんなぎ倒していくのが痛快だ。しかし人生については下手ばかり打ち、袋小路に突き進んでいくのが凄い。将棋の腕前でいくらでもうまくやれただろうし、他の博打にさえ手を出さなければなどと思うのだが、しかしそこで下手を打つところがチャーミングで、応援したくなる。才能とは、幸福とは、など大いに感じさせられる。
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小池重明さんの一生を描いた作品。天才とあほが入り乱れている人物。こんな人がいたんだなーって感じです。将棋に関しては天才であったのかな。今で言えば何か発達障害の様な障害があると診断されるかもしれない。
いずれにしても、勉強になる作品でした。
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どうしようもなく駄目な人間だが、人を惹きつけずに止まない魅力と才能を持つ男の伝記。自分はこういうアウトローの生き方に未だ憧憬を感じてしまう。どうして自分はまとも過ぎるのかとも思う。
2年以上将棋から離れていた晩年の小池が、アマ名人や奨励会会員などを次々と打ち破っていく「果たし合い」のくだりは何度読んでもぞくぞくする。そして通奏低音のような、鬼六先生の無頼漢に対する優しさ。どんなに酷い話であっても、それがどこか喜劇的な色彩を伴うのは、この底無しの優しさによるものだろう。
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団鬼六と言えばSMというイメージしかないのだが、趣味の将棋では89年から将棋ジャーナルのオーナーとして93年まで私財をはたいて発行を続けた。その団が6年ぶりに小説家として復帰したのが92年に亡くなった新宿の殺し屋こと真剣師の小池重明の懺悔録「流浪記」を基にした本作だった。余命1年と宣告された小池に懺悔録を書かせ将棋ジャーナルに連載したのもその団の仕掛けだった。団と小池の付き合いが始まったのが88年ごろで、冷静に見れば団はいいカモにされているのだが、破滅型の小池を見捨てきれなかったようだ。
中学生で将棋を覚えた小池は高校に入ると学校に行かずに将棋にのめり込む。ほぼ一年で三段になり中部日本学生将棋選手権では大学生も破り優勝した。小池の最初の真剣(賭け将棋)は通いつめた将棋クラブで席主の娘に片想いし、その娘と仲の良い大学生に彼女をかけての勝負を挑んだのがきっかけだった。結局不良高校生の応援団を引き連れた小池は勝負には買ったが真剣禁止の将棋クラブからは出入り禁止にされ、彼女はのちにこの大学生と結婚している。
高校を中退し売春宿の番頭を振り出しに喫茶店、酒場などで働くが長続きしない。岐阜のホテルに勤めた際には浮気をするオーナーの当て付けにとオーナーの奧さんに誘惑され関係を持つのだが、わざわざそのことをオーナーに言いつけ、逆にそのまま関係を続けろと言われたのに逃げ出してしまう。後にも度々仕事場から金を持ち出したり、未亡人や人妻と3度駆け落ちしているが金と女にはとにかくだらしない。
酒にもだらしなく団には娘に会いたいと泣きつきもらった金をその日のうちに飲んで使い果たしてしまうなど、飲みだすとコントロールが効かなくなる。大山名人との対局前夜には深夜営業のスナックでビールを飲み始めて口論になったボーイを殴り、留置場から対局場へ二日酔いで向かうのだが角落とは言え大山名人の考慮時間74分に対しわずか29分しか使わず完勝してしまう。この辺りが破滅型の天才と言われる所以だ。
岐阜から戻った小池は名古屋の将棋クラブに居候をしながら真剣師と交流を持ち始めこのころ将棋の腕を上げていく。21歳でアマ名人戦の愛知県代表になりこの年名人になった関則可を頼って東京に出将棋修行を始める。奨励会入会試験の口利きを松田八段の推薦を取り付けたのはいいがキャバレーの女に入れ込んで道場の金を使い込み、松田にも関にも顔を合わさず名古屋に逃げ帰ってしまう。一定期間は真面目に働くのだが周りが信頼し始めたころに酒や女に溺れるとコントロールが効かなくなり逃げ出すしかなくなってしまう。時には世話になった店の金や車を持ち出して逃げるのだが、一応借用書だけは書いておくあたり弱い自分に対して言い訳を作っている。
小池が新宿の殺し屋として名を挙げ出したのは名古屋で働いた葬儀屋をその仕事で知り合った未亡人と駆け落ちし再度東京に出てきてからだ。32歳になった小池は鬼加賀と呼ばれるアマ名人にもなった大阪の真剣師と死闘に挑んだ。初日勝てば50万円の5番勝負、二日目は1番10万の10番勝負を戦い、トータル7勝7敗ながら初日の勝ちが効いて加賀は小池を日本一の真剣師と認めることになった。翌80年からは2年連続でアマ名人を取り表の世界でも日本一となるとプロにも連勝し1982年には棋聖を取った森雞二に角落、香落ち、平手と3連勝をする。将棋は勝ち続けるが生活は破綻しており出入りしていた将棋酒場の金を持って女と逃げ出し、さらにはサラ金地獄。賞金百万円の大会で優勝してもその場で借金取りに抑えられてしまう。
このころ再度プロ入りの話が出たのだが棋士会は反対し、更には新聞にに寸借詐欺の記事が出てアマチュア将棋界からも追放された。子供の将棋道場を作る、プロになるために紹介料がいると言って集めた金はすぐに使い込んでしまうのだった。この時小池は35歳になっていた。そしてまた数年間将棋界から姿を消した。
小池の最後の公式戦は亡くなる前年で相手は竜王戦でプロ相手に3連勝をしたアマ名人の天野高志、結果は小池の2連勝だった。すでに肝硬変を発症していた小池は対局数日後にまた血を吐き、負けた天野は準決勝で丸山忠久相手に必勝の将棋を落とした。今やコンピューターが強くプロでもなかなか勝てなくなってきているが20年前はまだこういう時代だったのだ。
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もう何度か読んでいる本だが、ときどき読みたくなる。
こんなにわかりやすく、かつ、とてつもないスケールで破綻する人なんて、他にいないだろう。誰にでもできることではない。そこに、憧れのような気持ちを持ってしまう。
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勝負の世界で強い人が生き残る世界にいるにもかかわらず、強いが故に破滅的な人生を歩んでしまった小池氏。
競馬で100万円買った翌日に今度は競馬で全額すって、その翌日には飯場での肉体労働に身を置くというくだりが凄まじ過ぎる。
自分勝手な行動で周囲に迷惑をかけ続ける小池氏ですが、読んでいても全く不快感を覚えず、逆に共感を覚えるのは、書き手の思い入れから来るものなのかもしれない。
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まっとうに生きるチャンスは多々あったのに残念だ。
才能があっただけに悔やまれる人生だったと思う。
表現を変えれば「健康的・建設的な人生」と「そうでない人生」との
わかれ道に何度もさしかかり、そしてみごとにそうでない人生を
選択してしまう。
これは偶然ではないと思う。
感情的な生き方から、冷静に人を洞察し、
周囲に調和する生き方に変わる。
すなわち社会性を獲得することが人としての成長だとするなら、
彼に何があれば建設的な人生を選択できたのか。
もう一回読み返してみたい。
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新宿の殺し屋の異名を持った最強の真剣師小池重明の軌跡を描いた名著。将棋の天才、いや、賭け将棋の天才と呼ばれ破天荒な生涯を遂げた男、小池重明。彼の生き様を垣間見る事ができる。将棋以外はなんとも人間らしいというか、一芸に秀でてはいるものの妙に人間臭いところが共感を呼ぶ。将棋に明け暮れては、女と駆け落ちし、酒におぼれては、路頭に迷う日々。滅茶苦茶な人間だが魅力がある。そんな一人の人間をこの本の中で見れる。
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痛快、破天荒、将棋以外は全くダメ男の小池重明を、ポルノ小説界の大御所、団鬼六センセが書き上げた怒涛の人生。読み始めたらやめられません。将棋の綺羅星をバッサバッサと破って行くさまはまさに痛快。でも将棋以外はホントにダメ男です。こんな天才、もう出てこないでしょうねぇ。
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ギャンブルに直接絡んではいないが、まさに破滅的人生の生き様を綴った、近年稀にみる傑作だと思う。悲哀、そして愛くるしさ、かっぱエビせんではないが、余りに面白くて、読むことが<止められない、止まらない>僕でした。
(Feb 15, 2000)
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本当にクズでどうしようもない、でも、まばゆい煌きを放ちつづけた純真な男の一生を、一筆入魂で描ききったセミドキュメント。
私は将棋は駒の動かし方を知っている程度の素人ですが、どんどん引き込まれてゆき、何度も読み返してしまいます。
そして、どうしようもないほどの喪失感に圧倒されるのです。
作家名で偏見を持たず、是非一読を。
【大傑作】。
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すごい天才がいたんだな。
そんな事を感じさせられるノンフィクションでした。
近年は将棋の強豪というと一昔前でも羽生さんや谷川さんのような一見優等生タイプが思い浮かぶが、やはり昔の天才というと今作の主人公である小池氏のような破滅型の人物が思い浮かぶ。
ある種の才能を持つ人は、それ以外ではてんでダメ。でも周囲の人には愛される。
小池氏もそのイメージ通りであったのだろう。しかし、その天才の将棋、見てみたかった。そして将棋界、世間の反応も見てみたかったな。
そんな風にある意味ワクワクさせられる人物であり、やはりその行動に怒りをおぼえたかもしれない人物でもあったのだろう。
当時の事を知る現役棋士の話を聞いてみたいとも思いました。
それくらい魅力的な小池氏であり、それを伝えてくれる著者の作品でした。
藤井君とは違う昭和の天才
久しぶりに読み返した。藤井聡太君と同じ愛知県出身であることに気づいた。もし小池さんが生き返って藤井君やAIと対局したらどんな感想を持つだろう。その対局を先生はどう表現しただろう。
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あまりにも将棋が強く、将棋以外がダメすぎた男小池重明。
「将棋の鬼」とまで評される強さで並み居るアマプロ強豪をなぎ倒していく対局録は痛快ながら、対照的にさっぱり上向かず放蕩に沈んでいく人生はもの悲しく思える。
しかし、品行方正に将棋の才能を生かし切る人生が小池重明にあり得たのかと言うと、それも無かったのではないか。
団が結びに書き記した「人に嫌われ、人に好かれた人間だった」という一文が小池重明という男を評している。
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「小池は終生、放浪癖を抜けなかった天衣無縫の人間だった。女に狂い、酒に溺れた荒唐無稽な人生を送った人間だった。〜 とにかく、面白い奴だった。そして、凄い奴だった。」
と、ここまで団鬼六に言わせる小池重明。こういう人が存在していた事が時代だなと思うが、こういう人に生きる隙間がある時代はまだ世の中が清潔になりきっていない、生きやすい時代であったのでは無かろうかと思う。
こんな人生がホントにあるのかと驚きとともに、この本は一気に読めてしまう。
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昔は賭け将棋でメシを喰ってる「真剣師」ってのがいたわけだ。将棋の世界はプロとアマの実力格差がとてつもなく大きい。にも関わらず、この小池重明って真剣師はプロの棋士に連戦連勝し、当時の棋界を震撼させる。強い。そして凄い。で、こういう男にはありがちなんだけれど、一方で欠落している部分もまたどでかいわけだ。借金はこしらえる。人妻と駆け落ちする。挙げ句の果てに詐欺騒動をやらかして、棋界からは永久追放されてしまう。そんな彼の「弱さ」を「強さ」とともに愛した団鬼六にしか書けない評伝。「買い」です。
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実在した「真剣師」である小池重明の半生を綴った長編小説。
小池は将棋はべらぼうに強いが、ギャンブル、酒、女にのめり込む癖があっために、アマ棋士では当時最強だったにも関わらず将棋界から追放を喰らったという破天荒な人物であった。
「偏り」とは「才能」であると言える。何かにそこまで入れ込めること自体が並大抵のことではない。
人は長期的にも短期的にもさまざまなことにバランスを取ろうとする。しかし、それは凡人の発想で、圧倒的な才に恵まれてそれを自覚してしまった人は圧倒的にそれに偏ってしまう。将棋にしろ、スポーツにしろ、仕事にしろ、このように圧倒的にバランスを失ってしまう人は一定数存在する。
また小池の面白さはその人間臭さにある。高圧的で孤高を貫くのではなく、どこか小物で長いものに巻かれる性質がある。圧倒的な才能と人間臭さを併せ持つというこの二面性が彼をより味わい深い男にしているではないか。
自分はここまでバランスを崩すことがないから、このような人物が(多少誇張されているとしても)実在して、壮絶な人生を歩んだということが非常に興味深い。ふとしたときに自分の「まともさ」に失望することがあったが、本当にそのような「才能」ひいては「偏り」を持つことが幸せなことなのかを再考させられた。
「将棋盤の前に座っているときだけが幸せでした。盤の前に座り、駒の動きを見つめている。そこには他に何も介入してくるものがないのです。」本文より
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囲碁も将棋もプロになるのはとても厳しい/ 年齢制限が設けられ、小さな頃から地域では天才と称される子どもたちが全国から集められ、その中でも特に抜きんでる天才が生業とするものである/ そんなプロたちをも蹴散らしてきた在野の天才、自己流将棋、新宿の殺し屋、小池重明の生涯を描いた作品/ 何年も将棋を触らず、肉体労働に従事、酒を飲んでろくに研究もしない、それでも毎日そればかりやっているプロに勝つ/ 日陰の天才/ すべての元凶は一番はじめの奨励会試験を飛ばしたこと/ もったいない/
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団鬼六による、将棋指し小池重明の評伝。
謙虚なようでどこか図太く、とにかく将棋が滅法強い一方で、生活は破茶滅茶、でもどこか憎めない、というキャラクターを描き出しています。
「こんな人が本当にいたんだ」と驚きながら読み進めていたら終わっていました。
将棋の出来ない私でも楽しめましたが、将棋を知っていれば、よりその凄い指し口を実感出来るのかもしれません。
評伝でありながら、著者の小池重明への愛情も感じられる鎮魂歌のようでした。
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・ストーリー
最初に,最後を匂わせて,ストーリーテラーから徐々に離れていく,という書き方は読者をひきつける。
・キャラクター~テーマ~世界観
この本は小池重明のキャラクターだけでもっている。
モーツァルトを思わせる破滅型の天才。人間として出来損ないであるが,出来損ないであるという弱さが,そして絶対に将棋だけは負けないという矜持が背反し,人を引き付ける魅力となっている。ある人は,こんな人がプロに勝ちまくっていることに痛快感を覚えるのだろう。ある人は,このような男に嫌悪を憶えるだろう。
しかし,議論を呼んでもそれこそが人間的な魅力であり,これが本作のテーマであり,団鬼六の愛する世界観でもある。。
勝負の中だけにしか生きられない人種。そういう男が勝負の場さえ奪われ,真剣に生きられなくなった男の悲哀。男ならわかるところがあるはずだ。
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プロ棋士になるには厳しいルールがある。プロ棋士になれなかった真剣師の小池重明は、将棋ではアマはもちろん、プロにも負け知らずの生活破綻者なのである。将棋は確かに強いのだが、飲む打つ買うのデタラメな生活を続ける。結局、そんな生活にも終止符が打たれることになる。生涯、大好きな将棋との縁が切れない、彼の将棋を愛しつづける姿に感動を覚えた。
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大崎善生「赦す人」を読んで、小池重明という人に団鬼六氏以上の強い印象を受けた。まさに破滅型の天才。本書は、期待に違わぬ達意の文章で、紛れもない天分を持ちながら、ついにまっとうな道を歩むことなく死んでいった愚かで愛すべき男の人生を浮かび上がらせている。
本書を読むと、少し前までは将棋界というのも今とはずいぶん違ったものだったのだなあということがよくわかる。谷川名人、そして羽生名人の誕生というのがいかに大きな出来事だったのか、門外漢の私にも少し理解できたように思った。
小池重明氏はちょうど時代の変わる潮目に巡り合わせたということなんだろう。彼がもう少しだけ後に生まれていれば、棋界を席巻したのではないだろうか。いや、やっぱり無頼の性は変えられなかっただろうか。そんなことを考えずにはいられない。
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これは傑作だ。そして怖い。まだこれが途中団鬼六が茶化して書いたみたいに、時代劇なら良かった。そうではなくて、舞台が昭和や平成で、場所は新宿や横浜や所沢だ。
私はこういう踏み外した人生が怖い。
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賭け将棋で収入を得て、生計を立てる真剣師。プロも何人も破り、史上最強の真剣師だった小池重明を描いたノンフィクション。天才であると同時に、将棋以外は何をやってもダメな超破滅型人間。「破滅の美」をまさに体現している。破滅の美に若干の羨望を覚えると共に、教育の重要性を感じる一冊。子供には読ませちゃダメ。
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5月に亡くなられた団鬼六先生の追悼読書。追悼ならちゃんと SM 小説を読めという話はあるのだが、代表作である「花と蛇」は気楽に読むには長過ぎるし、一番のお気に入りである「鬼ゆり峠」にしてもまだ長過ぎる。結局、大学時代に読んで手元に置いてあった「真剣師 小池重明」を読み返すことにした。
圧倒的な強さでトップ・アマはもちろん数多くのプロ棋士を薙ぎ倒した真剣師の生涯を、その晩年を共にした団鬼六が緻密な筆で描く。幾度となく勝ち筋に入りながら、土壇場で一手バッタリの借金、逃亡、駆け落ちを繰り返す小池重明の人生は、その将棋とは裏腹にとうとう逆転の妙手を見つけることなく微か44年という短手数で幕を閉じた。晩年、団鬼六のはからいで再び将棋を指す機会を与えられたときの喜びはいかほどであったろうか。
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最初こそちびちび読みながらもなかなか進まず…そのうち真剣師としての話がはじまったあたりでスイスイとページをめくる手が止まらなくなってしまった。
ハチワンダイバー好きだし。あ、あんまり関係ないかな。
しかし読めば読むほど将棋の鬼というか「マンガの世界のひと」つーかフィクションの方がしっくりくるような気がするのだけど、実在してしまうのだからすごすぎる。
こんなに太く短く、ひとの記憶に強烈に残るような人生に憧れもありつつ。
こんな「マンガにでてきそう。」ではなく、こういう人がマンガにされるのか、どっちかな。