垣谷美雨のレビュー一覧
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2021年 天海祐希主演 映画化
柿谷さんの作品の中でも本作は実に痛快です。 地に足がついていると言うか、庶民の味方と言うか、私たち市井の人間の生活の不安をわかりやすく再現してくれます。そしてシリアスにならないのがとても良いですね!
巻末に 室井佑月さんの解説があるが「こういう本が読みたかった」とあって、本当にその通りだと思いました。下手なHow to本よりも胸に響きます。お葬式の棺 一つをとっても何百万もかかる物があり「すぐに燃やしてしまうものなのにそんな高いものが必要?」という主人公の篤子さんの庶民感覚に私も思わずうなずきました。
この本は大切にとっておいて必要な時何度か 読み返すでし -
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エッセイを読んで、フィクション作品の方が面白いな...と思う作家さんに出会ったので、このエッセイも読むかどうか迷った。垣谷美雨さんの作品が大好物だから、読まなきゃよかったになるのが怖くて。
しかししかし、読後は悪くない!!偉そうですみません。
他の方も書いておられたが、毒舌というよりチャキチャキというのがしっくり。
はっきりものを言ったかと思いきや、思ったことを口にできなかった話があったり、一人参加ツアーで友達を作るような積極的な面を語ったかと思えば、暗い性格だと言ったり。
普通の庶民の一面が覗けて楽しい。
笑ったのは、昔から歴史に興味が持てないところ。
歴史好きな人に好きな歴史上の人物を -
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「絆を盾に段ボールの仕切りすら使わせない避難所が現実にあった。男達の横暴に、3人の女が立ち上がる。憤りで読む手が止まらぬ衝撃の震災小説!」
裏表紙の内容紹介にあったとおり、本当に憤りで読む手が止まらなかった。あとがきにて作者の垣谷美雨さんが記されていたとおり、この震災大国日本で、誰がいつ被災してもおかしくない。明日は我が身と思いながら、多くの方に手にして欲しい作品だと思った。
東日本大震災の震災報道は、年月が経つにつれ随分と減った。また震災報道といえば、絆や人間愛、ボランティアをクローズアップした美談が多く、違和感を感じていた方も少なからずいると思う。かくいう私もその一人だ。
本作は、被 -
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ネタバレ40歳未婚で予想外の妊娠をした主人公を軸に様々な社会問題を絡めてエンタメに落とし込んだ良作。
読み始めたら止まらなかった。
リアリティとファンタジーの匙加減が絶妙。
産むことを決意した主人公。
全てを受け入れた同級生と偽装結婚、物分かりの良い重役の計らいで出張のない部署へ異動、兄夫婦のマンションの隣りに引越し、母親が田舎から出てきて家事育児のサポート。結末だけ羅列するとご都合主義に感じるけど通して読むと違ってくる。リアリティのある描写が細部に散りばめられてるから。
ラストにさらっと働きやすい部署に異動したはずの主人公が異動先の同僚と上手くいってなくて残業が増えて疲れているようなことが書かれ -
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垣谷美雨さんの作品はスカッとする!
封建的な男尊女卑を押し付けて家庭内で疎んじられる定年後の「ジジイ」が、孫のお守りを通じて周囲とも打ち解けていく理解のある「ジイジ」へ変わっていくストーリー。
序盤は常雄の時代錯誤な発言にイラッとしたけれど、保育園や公園でそれまでの生活で交わらなかった母親たちと交流して、違う考えに触れられたのが大きかったんだろうな。
退職後も家に閉じこもっていては良くないよ、と自分の父に伝えたい。
それにしても、イクメン気取りの和弘も見事なダメンズだったな。親の背中を見て子も育つということか…専業主婦家庭は子育てに手をかけられる分、子が甘やかされてしまうのかも。
女は家 -
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四十手前で妊娠してしまった働く未婚女性のお話
以下、公式のあらすじ
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未婚の母になったりしたら苦労するに決まってる。
でも、子供を産む、最初で最後のチャンスだ。だったら……。
四十歳を目の前にして思わぬ妊娠に揺れる、旅行代理店で課長代理として働く優子。お腹の子の父親は28歳のイケメン部下・水野で、恋愛関係にあるわけでないし、本人にはどうしても言えない。偏見のある田舎の母親やパワハラ上司、不妊治療に悩む同期にも、言えない。しかし、どこからか優子の妊娠の噂を聞きつけた水野とその彼女があれこれまとわりついて嗅ぎ回る。女は出産したら一人前には働けないというパワハ -
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いやはや、おもしろかった! 今どき常雄ほど間違っている人はいないとは思うが、部分的にでもこっそり賛同する人はいるのではないかとも思う。多くの方のレビューに「◯◯に読ませたい」とあるのはその表れでは?
私も、子育てや家事は「手伝う」ものと思っておられる全ての方々に読んでほしいと思う。
それにしても、登場人物一人一人の描写のなんとうまいこと。全ての登場人物の個性が光り、その状況のみならず空気感までありありと伝わってきた。常雄が改心するまでの経緯も丁寧で自然な感じがした。
初めは常雄の考えにイライラし通しだったが、最後は丸くおさまり、ほんわかした気分が残るよい読後感。 -
Posted by ブクログ
人生をやり直すと言うストーリー。
主人公達は今の生活に不満を抱えて、過去に戻れるというチャンスを手にして30年前の高校生に戻って人生やり直す。
自分もやり直すなら高校生からやり直したい。もっと勉強すればよかった。大学に行けばよかった。資格を取ればよかった。あの人と結婚しなければよかった‥
後悔ばっかり。
でも物語の主人公たちはリセットして元の自分に戻ることを選びます。最初信じられない!と思ったが、人生やり直してもやっぱりそれはそれで後悔することもある。それなら今の人生を他人に変えてもらうんじゃなく、自分で切り開く方がいいんだと思えた。
結局、自分を変えるのは自分しかいないんだと思った。