垣谷美雨のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
◯◯病棟シリーズ第2弾
主人公は前作と変わってます。
前作同様、短編だと思って読んでいましたが、
複数の患者を同時並行に診ており
あれっと気づいた時には、
ページの半分ぐらい進んでいて、
長編だと気づきました。
しばらく積読状態でしたが
本書の直前に
辻堂ゆめさんの「トリカゴ」、
マンガの「東京貧困女子」、
ネットの兵庫県知事や石丸新党、
奨学金帳消しプロジェクトなど
本書と関係ありそうなものを
見聞きしており
それらもあって興味深い読めました。
まさかこんな出来過ぎの話はないよねと
思っていた部分は、
作者の思惑どおりスカされ
また、過去の聴診器の所持者も
サラッと現れて次作が楽しみ -
Posted by ブクログ
主人公はパートで働く主婦(53)。夫婦には娘と息子。夫(57)はサラリーマン。
老後に備えて生活をコツコツとケチりながら貯金しているが、家計に無頓着な夫、結婚資金の援助を当たり前のように無心する娘、舅の葬儀代、姑を引き取る事になるも浪費癖の抜けない姑に振り回され、四苦八苦する…やがて夫婦揃って失職する…どんどんお金が減っていくことに不安ばかり…ちょっと身につまされる。
垣谷美雨さんの小説は何冊か読んでいるが、現代社会においての『ありふれた市井の人』を描かせたら天下一品だなあとつくづく思った。映画では姑の生前葬を行ないコミカルでほっこりとエンディングを迎えるが、小説は淡々と終わる。まあ映画には -
Posted by ブクログ
聴診器を胸に当てると、患者の心の声が聞こえてきて、束の間ではあるが人生のやり直しを体験できる…そんなファンタジックな小説。
それぞれの章で様々なテーマで患者の後悔が描かれるが、特に印象深かったのは中年男性が主人公の章だなあ。
仕事優先で子育ては妻に任せきりだった男が不治の病で入院してくる。
若い頃に都会のマンションか郊外の一戸建てかを悩み、一戸建てを選んだために通勤に片道2時間。早く家を出て、残業続きで家族と話すこともなく馬車馬のように働き、そして病に倒れた。奥さんは見舞いに来ても、ベッドの横で死亡保険金の計算をしている…自分が家族にとって何なのか『給料運搬人』だけだったのか自問自答する…何 -
Posted by ブクログ
すごくリアルでした。
地方在住の中年女性なら誰もが感じたことがある、田舎特有の閉塞感がよく描かれていました。
主人公の澄子さんも、ごくごく一般的な女性です。
自分は澄子さんよりだいぶ年下ですが、田舎は男尊女卑の文化が本当に根強いと思います。
例えばお正月には親戚一同が集まり食事の準備、配膳、おじさんたちは座ってお酒飲んでるだけ…
みたいな構図はあるあるです。
夫婦関係が良くて、それでも幸せならまぁいいんですが、そうじゃない場合は辛いですね。
澄子さんもずっと我慢して夫に尽くして、蔑まれ、とても気の毒でした。
最後の方は自分らしさを取り戻して、元気になっていったところが良かったです。