あらすじ
58歳の主婦・澄子は、横暴な夫・孝男との生活に苦しんでいた。
田舎の狭いコミュニティで、モラハラ夫に従うしかない澄子を変えたのは、離婚して自分らしく生きる元同級生との再会だった。
勇気を振り絞って離婚を決意するも、財産分与の難航、経済力の不安、娘夫婦の不和など、困難が山積。澄子は自分の人生を取り戻せるのか? 平凡な主婦による、不屈の離婚達成物語!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
私は20代後半の女性ですが、今出会えて良かったと読み終え、しみじみと感じています。平成生まれの私ですら、女性とは男性の一歩後ろにいるべきだという考えが少なからずありました。掃除や料理、子育ても女性である私が負担していくべきだと勝手に思い、結婚後もそういう女性でいようとしていました。ですが、やはり夫婦になり一緒に人生を歩む意味とは?なぜ女性がいつでもして当たり前?と感じたり、掃除をお願いしてはそんな自分に罪悪感を感じる日もありました。そんな時にこの本に出会い、自身は離婚というステージではないですが、日本で生きると自然と身につく女性の立ち位置の不自然さ、自己犠牲の塊に気付かされ、一石を投じてくれた作者に感謝の思いでいっぱいです。
日本に生きる全ての女性に読んで欲しい一冊でした。いや、男性も読むべきですね。
Posted by ブクログ
結局、結婚ってなんだろう?男と女って?なんでおんなじ人間なのに役割が存在するの?と改めて考えさせられる本でした。
でも、主人公が離婚について自分と向き合いながら強くなっていく姿に凄く勇気をもらいました。
他人の目なんかクソ喰らえ、人生楽しんだもん勝ち、自分の幸せは自分で決める、私もそんな芯のある大人になりたい。
匿名
心が救われました。数年前の自分の事が書いてある!
本当に共感する事が多過ぎて驚きと安心感でいっぱいです。女が集まれば夫への愚痴だらけだけれど、ここまで深くは誰も話さないので、本当の所はどうなんだろう?と、思っていたました。子供に対してヒステリックに怒っていたのを何十年たっても後悔してる。涙が出そうになりました。
離婚や結婚生活にここまで切り込んだ作品を読む事ができて嬉しかったです。
Posted by ブクログ
自分だったかもしれない主人公を書かせたら、垣谷氏の右に出る作家はいないと思っている。
「誰の稼ぎで…」と言う男は、恋愛も結婚もしなければいい。給料全額独りで好きに使えばいい。プロ以外の女性に関わるなと言いたい。
スッキリしたいい終わり方だった。
Posted by ブクログ
最高すぎる。
澄子は20年後の私だ。
オットは、私が毎日なにに苛立ち
何に怒っているのか
知る由もないままあと20年過ごすんだろう。
ここに全部書いてある。
共働きなのに
お前が好きなだけ残業して
好きなように飲みにいけるのは、
私が夕方の家事育児を担当しているからだ。
朝ゆっくり寝て、ぼんやりソファに座ってられるのは
早起きな子供の相手や世話を
全部わたしが引き受けているからだ。
それに感謝もせず当たり前のように振る舞うオットよ。
勝手にせわしなく動いて、
自分のことを犠牲にしているわたしを馬鹿にして、
総合職正社員なのに時短勤務をすることで
給与が低くならざるを得ない
私のことを馬鹿にしているオットよ。
この本を読んでくれないか
まあ読んだとてあいつは
何がどう自分に当てはまるのかなんて
わからないんだろうけどな!!!
男尊女卑というか、
自分が正しく、周りがダメだと思うその自信は
激しく間違っているのだということに
気づいてほしいです。
妻を我慢させている男性たちには。
Posted by ブクログ
還暦目前主婦、モラハラ夫との離婚を決意!でも先立つものがない…。
揺らぐ心の描写が丁寧で、日本の社会問題にも切り込む名著。
私たちの親世代ぐらいの女性のお話。
封建的な田舎に暮らすと、人間関係が面倒で噂なんて秒で広まる。
家に居ればモラハラ夫が目の前のリモコンすら自分に取りに行かせる。
想像しただけで息ができなくなってゾッとする。
でも、あるある話。
我が家も似たような感じで、何度「離婚じゃ!」と思ったことか。
(今のところ、ただ勢いで言ってるだけですが…汗)
でも、やっぱり本書と同じように悩み、諦め、怒り・不満は蓄積する。
ホント日本とは女性が生きにくい。
『熟年離婚の問題』がテーマと思いきや、『日本のジェンダー問題』が根底に潜んでいると思う。
ぜひ、全政治家と結婚している男性陣に読んで頂きたい。
私はこの本をお守りとして手元に置いておこうと思います。
Posted by ブクログ
おもしろかったー!けど、途中は感情移入しすぎてめちゃくちゃモヤモヤしたー。たぶん地方に住んだことがある方なら共感度は高めなのではないかなと思いました。そこそこの厚さはあるけど、勢いで一気に読めて楽しかったです。
Posted by ブクログ
一気読みした!
さまざまな理由があって離婚を決意するけど、上手くいってよかった!
夫には、気付かぬ妻の不満があって、先立つものが無いがために離婚できない!けれど友達が助けてくれる、まずは正直に自分の置かれている身を、はなすことかな?ってかんたんにはいかないけど
Posted by ブクログ
離婚、というものについて真剣に考えさせられる。
みんな人より安全で幸せでありたい。
馴れ合いや蹴落とし合いはうんざりだと思いながら、ゼロではない自分もいてだけども抜け出したい気持ちも大きい。
自分に素直になることが大人になるにつれて難しくなっていく。
Posted by ブクログ
夫が買って読んでみた直後に、なんとも言えない表情で、読んでみ、と渡してきたので読んでみました。
読み始めたら、その表情の意味がわかったような気がして可笑しかったのですが、
とにかく、始終主人公の夫にイライラしながら読んでいて、しまいに、後半に出てくる娘の夫には、アホちゃうか、と声に出して毒づいてしまいました。
まわりの人物描写も具体的でリアリティを感じるし、
面白かったです!
Posted by ブクログ
主婦の家事を軽く見てる男性の話は、垣谷美雨さんの本では割とよく出てくるんだけど、基本的に音はいい人が多いので、実際に自分で家事育児やってみて「何やこれめっちゃ大変やん!」って心を入れ替えて家事を手伝い始める話が多かったんだけど、今回のこの本に出てくる男性はモラハラ夫にDV夫とろくな旦那しか出てこない。
唯一まともなのは弟夫婦くらいなものなのでは…。
主人公の澄子は、離婚した原因に「夫が嫌いになったから」って言ってたけど、こんなんどう考えてもモラハラが原因やん。
特に主人公の旦那は、うちの会社の上司を思い出すちゃう陰湿さだわ…。
うちの会社で働いてる子持ち女性も、熱出したお子さんを迎えに行ったり休んだりしてるけど、ダンナさんが迎えに行ったって話はあまり聞かない。
一旦既得権益化しちゃった男の特権を崩していくのは並大抵のことではないのかなあって思う。
小説のほうは、モラハラ男と離婚して、アラカンの澄子が自由を取り戻して頑張っていく話だった。めちゃくちゃ見せ場!ってシーンはなかったけどグイグイ読ませて面白かった。
モラハラ男と、友達のダンナのDV夫以外は、みんなそれなりにいいところがあって面白いキャラクターだったと思う。
個人的には、友達の千鶴がダンナのDVで骨折した時に、おしゃべりの小夜子が「千鶴は惨めな女なんかとちがうわ!あの子は高3の時バスケ部のキャプテンで、ごっついカッコええ女の子やったんやから」と涙ながらにいう、セリフが印象的で、私もジーンとしたかな。
Posted by ブクログ
60歳を目前にして、
定年間際の旦那と離婚を考えるパート主婦の澄子。
地元の同級生たちも、旦那に嫌気がさし
離婚を考えるも、お金がなく渋々夫婦でいることを
選択していた。
共働き家庭が増える昨今では、
「男が上、女が下」のような考え方は
減りつつあるのだろう。
要するに、財力さえ女性が身に着けていれば
1人でもたくましく生きていけるのだろう。
(澄子は財力がなくても工夫して1人で生きていこうと
決めていたが)
熟年離婚も周知されている言葉としてあるように、
好き同士(おそらく。。)で結婚したとしても
それは永遠には続かないものである。
夫婦は所詮他人。
澄子の旦那は暴力や浮気はないものの、
モラハラがひどい。
妻を何だと思ってるのか。
本当に読んでいて腹立たしかった。
こんなオッサンに自分の人生を捧げないといけない
かと思うと、貧乏でも1人で生きていくほうが幾倍も
マシやと私でも思う。。笑
澄子の残りの人生が晴れやかになることを心から祈る。
Posted by ブクログ
結婚や離婚について考えさせられるお話でした。
私はそもそも男女は分かり合えないものだと思っているので、嫌であればどんどん離婚をするべきです。今や3組に1組が離婚しています。離婚というとてつもないエネルギーを使う行事をする人がそれだけの割合いるとなると、結婚を後悔している人は結婚した人の半分以上になるのではないでしょうか。結婚して家族になっても、育ちも経験も違う他人です。改善して欲しいと伝えても理解できない人は理解できません。なので、一度きりの人生世間体や将来を心配して窮屈で辛い生活を送るより自分の進みたい道へ進むできですし、そうしやすい社会になっていく事を願います。学生で結婚や世間体について考えることがあまりないのでこのような浅はかな考えになるのでしょうが、、、、。
Posted by ブクログ
面白かった、と言って良いのでしょうか。
まるで私自身のようでした。
「お金がない」
だから子どもが家を出るまで我慢しようと考えていたら、向こうが痺れを切らして離婚の話をして来ました。私の場合は。
お金は無いです。
でも、子どもたちと笑って暮らせるようになった。
それだけでも良かったと思えます。
男尊女卑というか男女格差というか差別は無くならないだろうな〜と思っています。
男性、女性の特性というものはあるだろうし、人それぞれの得手不得手はあると思う。
でも、性別だけで決めつけられて我慢をするのはおかしい。
こんな世の中だから結婚に未来を見れないのでは。
私は主人公の澄子さんのように子どもはひとり立ちしてないので自由気ままというわけではないけれど、自分の人生は自分で豊かにしていきたいなと思っています。
Posted by ブクログ
澄子は私の日より少し上の世代だったから、あるある〜とはならなかったけど夫婦の間に流れる気まずい空気が感染して、読んでる私も息が詰まるような感覚に陥った。
妻を下女みたいに扱う夫にも、そんな夫に強く言えない澄子にもやきもきしてしまった。東京に行くと言えばいいのに、夫の反応を恐れて歯切れの悪い言い方になっちゃう場面が特に印象に残った。もう!焦ったい!
澄子がお金がないことを言い訳にするのをやめて、自由を手に入れていく姿はすごくスカッとした。
あと、あんなに疎ましく思っていた小夜子なのに、その口軽さとでたらめさを利用して夫を窮地に追い詰めていくところ、賢くて狡くて最高だった!笑
夫が早死にするまで我慢するなんて勿体無い!
人は何歳からだって、自由になれるし人生を謳歌できる。人生における重要な局面で、自分の意思を持って、自分で判断することが、幸福度を高めるんだなと思った。
あとがきもすごく勉強になった。
この小説に、さまざまな社会問題が詰め込まれていたんだなぁ。
Posted by ブクログ
扱っている題材に興味があり手に取った作品。
58歳の主婦、澄子は夫との生活に苦しんでいた。田舎の狭いコミュニティ、意地悪な同級生たち、モラハラ夫に従うしかない澄子を変えたのは元親友との再会だった。
読み手の年代、置かれている環境によってこの作品の感じ方は大きく違うのかもしれない。
主人公と同年代かそれ以上の方、年代は違えど置かれている環境が澄子や澄子の同級生たちと似ている方はもしかしたら共感の嵐かもしれない。
私はきっと恵まれているんだろう。
前半、読み進めるのがとてもしんどかった。
田舎の生きづらさ(男尊女卑、女の序列、離婚は絶対悪という思想、プライバシーのなさ)に加え、意地悪な同級生たち、澄子の夫のあまりの横暴さ、澄子の母の嫁に対する役割の決めつけ、押しつけ…読みながら息が詰まりそうだった。
けれど前半の描写があったからこそ、後半、澄子が様々な不安を抱えながらも自分の人生を取り戻そうと奮闘する場面は、素直に応援したくなった。
また、その過程で澄子が周りにもいい影響を与えていくのが印象的だった。
解説がとても興味深く、この作品が扱っている社会問題の多さに驚くと同時に自分自身に重ねて考えさせられた。
私は正社員で勤務していたが、育休明け、時短勤務を拒否され退職せざるを得なかった。
これが日本の正規雇用の実態だったのか。
「次の首相になる人には、ぜひこの小説を読んでほしい。(p.338)」とあるように、広く読まれてほしい作品。
男性が読んだらどのような感想を抱くのだろう。
✎︎____________
無意識のうちにどちらがより不幸かと、不幸の目盛りを測ってしまう。そして自分の方がマシだと思うと安心する。そういういやらしさがいつまで経ってもなくならない。(p.29)
この世の中で最も遠慮してものが言えない相手は夫だ。(p.41)
正社員とパートという身分の違いで、どうしてこれほどまでに見下されなければならないのか。(p.54)
鬼婆だとか意地悪ばあさんなどという言葉があるが、鬼爺や意地悪じいさんという言葉はない。それがなぜなのか、最近はよくわかる。見下されている側だけが鬼になっていく。同じ人間なのに、下女のように軽く扱われる毎日の中で、真っ直ぐな心を保つことなど不可能だ。(p.75)
人生はポジティブに生きんとあかんのよ(p.100)
こんな罪悪感を一生抱えて生きていくのは女だけだ。(p.109)
相手に好感を持っているなら臭いも音も気にならないとは、人間とはなんと精神的な生き物なのだろう(p.119)
考えてみれば、今まで何度も小説に助けられてきた。つらい現実を忘れられる本の存在は本当にありがたい。(p.136)
女はいったん嫌いになると虫酸が走るほど嫌いになるから、修復は不可能だよ(p.272)
日本人は自分が幸せかどうかよりも、人から幸せそうに見えることの方が大切なんだってさ(pp.276~277)
どちらか一方が相手の顔色を窺いながら遠慮して暮らしている。そういった夫婦関係を見て成長する子供は少なくないだろう。日本の家族は、それを延々と何世代にも亘って続けてきたのではないか。(p.295)
いつまでたってもこの世は男性優位だ。そんな社会構造の中で、男と女がお互い様なんてことが、ひとつでもあるだろうか。(pp.319~320)