あらすじ
「結婚を考えている彼女ができたから、部屋を出て行ってくれ」派遣ギリに遭った日、32歳の水沢久美子は同棲相手から突然別れを切り出された。3年前、プロポーズを断ったのは自分だったのに。仕事と彼氏と家を失った久美子は、偶然目にした「農業女子特集」というTV番組に釘付けになった。自力で耕した畑から採れた作物で生きる同世代の輝く笑顔。――農業だ! さっそく田舎に引っ越し農業大学校に入学、野菜作りのノウハウを習得した久美子は、希望に満ちた農村ライフが待っていると信じていたのだが……。
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Posted by ブクログ
老後の資金に引き続き、始まりの悲壮感が辛いのだが、だんだん好転していく様子が気持ちよく、安心して読み進められる。
農業、就農をベースにしつつも、そこにあるのは男女不平等な社会制度、気遣いの女性と仕事ができる男、実際にそこで妥協として結婚にたどり着く人も多いという現実。主人公のように仕事一筋になる道を選ぶ人は現実にはもっとギスギスしていて、結局フィクションはこの小説のように「自分を磨いていれば結果的に素敵な出会いの芽生えもあった」(その後は知らんが)という希望を描いているものの、現実は、独自路線を進みすぎて怖い印象の人が多い(苦笑)。実際、誰にしろ、生き延びるには強くなければならない→強いと言えば男、という単純変換なのだから仕方ないのだろうが、もっと他人に言い訳しながらじゃなくて好きなように生きられたらいいのに。まさに透明なルールに縛られた我ら、みんな中学校に立ち戻って透明なルールを打ち破るべしだなあ。
Posted by ブクログ
本当に身近にある話で読むのが止まらない。給料は上がらず物価が上がり支払う税金だけが増えていく昨今、久美子のように人生や結婚に焦りつつも次の手がなかなか見つからず四苦八苦している姿は現代人に通ずるものが沢山あると思う。そして耕作放棄地に対する貸す側と借りたい側の思惑。背水の陣の主人公が努力しつつ小さな繋がりから少しずつ開けていく過程が心に沁みました。
Posted by ブクログ
農業に興味があって、表紙デザインにも一目惚れして読んでみた♬.*゚
すごく取材されたんだろうなって分かる詳細な農業のリアルが描かれていてすごく良かった。
あと、女性の将来の不安も重ねてリアルだった。この本に出てくるような女性きっといっぱいいるだろうな。
あー私も自分で野菜を育てて食べてみたい!
初心者向けの野菜の本を買って勉強してみよ☆
土いじりしたくなる1冊です♬.*゚
Posted by ブクログ
派遣切り、同棲していた男性との別れ、住むところの喪失、貯金を切り崩す毎日…。
30代にして頼る親戚もなく、この先どうしようかと困り果てた主人公はある時、テレビで農業を1人で営む同い年の女性の特集を目にする。
一念発起してそこから奮闘していく女性の物語。
何度何度も辛い局面を迎え、心が折れそうになりながらも、些細なやり取りの中でまだ笑顔になれる自分がいる。もう少し頑張れる。
そんな主人公の一生懸命な姿に、胸が熱くなりました。
出会った人たちも、一生懸命な主人公のためにとつながっていき、ものごとが良い方へと動き出していく。
あきらめずに頑張ってみることの大切さや、困った時は周りの人に頼ることの大切さを感じました。
私も幸せに向かって1日1日を大切に、そして一生懸命に生きていきたい!!と思える作品でした。
今日もステキな本との出会いに感謝致します。
同じ作者の別の作品にも触れてみたいと思いました。
ありがとうございました。
Posted by ブクログ
主人公は、派遣社員で派遣切りにあってしまい……。
そんな時期に、長く一緒に暮らしていた同居人(彼氏みたいな感じ?)から他の人と結婚するから、家を出て欲しいみたいな事を言われ。
八方塞がりだった主人公が、たまたまテレビで見た農業やっている女性を見て、自分もそれを目指す!という話。
簡単に決断してしまったものの、実行するには色々と難関があり。
主人公は無事に農家になれるのか?という話です。
色々な生き方の人が出てきて面白かったです。(キャラクターがすごい)
Posted by ブクログ
おもしろい。人の温かさ、言葉いろんなことが心に染みた。一人で生きて行く術の農業、苦労も現実的に描かれていて、じわじわ軌道に乗っていく様子、他の人の幸せの掴み方、いろいろ共感できるしいい話だった。これから人生どうしようかな〜と考える時期になった自分にとってすごくほっこり前向きになれる本だった。
Posted by ブクログ
就農の難しさや農家の難しさを学べた。
農業大学校に行っても田畑が借りにくいことやムラ社会のしばり、野菜の価格が安いことなど、農業の難しさを知ることができた。
困難な中ももがき、必死に生きていく久美ちゃんにも応援したくなるような人物設定だった
Posted by ブクログ
笑って共感できる人生物語です!
最初から波乱万丈な久美子の人生。
派遣ギリに会った日に彼氏だと思っていたルームメイト?から他の恋人との結婚を告げられ、部屋を出ていかなければならない状況に、、
そんな時にふと見た農業番組に興味を惹かれた久美子。早速農業大学に入学して農家になるため奮闘します。
しかし、現実はそんなに甘くなかった!!
くすっと笑えて元気をもらえる一冊です
Posted by ブクログ
女子が頑張る系の本
アラサーが等身大で頑張ってる
食料自給率どんどん下がってるのに
就農ってつくづく大変なんだなーと思う
農に少し興味があったから
そんな意味でもおもしろかった
Posted by ブクログ
コンビニの店先で、店員がビニール傘を並べているのが見える。——一本300円
迷う余地なく一本抜き取り、レジに向かった。
物語の終盤の、主人公久美子の行動。
途中では、同じ場面で、違う行動を取っていたのだ。そこに至るまでに、変化があったんだろうな。
農業って、重労働だし、上司はいなくて、自分の裁量で工夫することもできるとはいえ、天気や自然災害に振り回されるし、苦労も多いなあ。
たとえあと30才若かったとしても、その道に踏み出す勇気は、私には持てないだろう。
Posted by ブクログ
垣谷美雨の農ガール農ライフを読みました。主人公の久美子は33歳。
大学を出て勤めていた会社が倒産。その後派遣社員で勤めていましたが、契約も打ち切られて失業。
長年同棲していた修に一度はプロポーズされたがその時はまだまだ家庭には入りたくないときっぱり断ります。
派遣を切られたその日、アパートの前で若い女とすれ違いますが、部屋にはその女の香りがしました。
修に別れを告げられ、自暴自棄になっていて何気なくテレビを観ていると、若い女の子が農業で生き生きしているのを観てこれしか無いと農業に飛び込みます。
思った以上に甘く考えて居たことを、思い知らされながら農業にはまっていくのがなかなか面白かったです。映画かドラマになれば面白いですね
Posted by ブクログ
テレビの『農業女子特集』を見て農業を始めようとするなんて、初めはなんて楽観的なんだろうと思いましたが、
自分の意思を持ち、しっかりと人生を生き抜いて行く久美子はとても格好よかったです。
自分も人生で嫌なことがあった時、「田舎でのんびり暮らしたいなあ」なんて思うことがありますが、
それがいかに見当違いなのかがよく分かりました。
田舎の閉鎖的な人間関係に取り入っていかなければならないし、畑をずっと見守って長期休暇も取れないし、農業だけでは食べていけない。
生きるって楽じゃないなと思います。
安定した生活がほしくて婚活に勤しむ女性も描かれていましたが、久美子は安易に結婚に逃げず、周りに助けられながらも道を切り開いていきます。
正解は無いですが、どちらもその人の生き方だなと思いました。
久美子のような生き方はなかなかできるものでは無いですね。すごいの一言です。
Posted by ブクログ
物語の主人公は、水沢久美子である。彼女は、派遣切りに遭ったその日に、長年同棲していた同級生の篠山修から突然、「結婚したい人がいるので出て行ってほしい」と告げられる。仕事も住む場所も彼氏も失い、三十二歳の春にまさに絶望の淵に立たされた状態であった。その部屋には、今もグレープフルーツの香水の香りが残っていた。
久美子が修と共に暮らしていた部屋は、窓ガラスが多く気に入っていたものの、家賃は月額十万円を超えていたため、一人で支払うことは極めて難しかった。彼女は、新たな仕事探しと居住地の確保に奔走せざるを得なかった。しかし、父母のいない彼女には保証人もなく、職もなく、貯金もわずかであったため、新しい住まいを見つけることは容易ではなかった。
追い詰められた彼女は、偶然テレビで見た「農業女子特集」のドキュメンタリー番組に強く惹かれる。そこには、ピンク色のかわいらしい女子が、自由に農業に取り組む姿が映し出されていた。「そうだ。農業だ」と彼女は運命を感じ、早速田舎に引っ越し、農業大学校への入学を決意する。彼女の新しい暮らしのために、大学の二年上にあたる先輩がおり、その先輩に連絡を取ると、オーストラリアで仕事をしていたことが判明した。すぐに連絡がつき、その先輩の母親アヤノが経営するアパートに空き部屋があったため、彼女はそこに居候させてもらうことになった。
久美子はコンビニでのアルバイトをしながら、農業大学校に通う。定員は16名であり、彼女は4人のグループに所属した。メンバーは、20歳の亜美、26歳の勇太、そして家族を持つ42歳の黒田であった。世代は異なるが、皆農業への熱意を共有し、良好な関係を築いた。農業大学校での授業や実習は充実したものであり、彼女はニンジンが種から育つことを初めて知るなど、多くの新しい発見をした。
農業デビューへの期待が高まる中、しかし久美子の夢は挫折の危機に瀕する。卒業後、参加した市の就農相談会で、担当者から次のような言葉を耳にするのである。
「独身女性に田畑を貸す農家はほとんどない。」
「農業をやりたいなら、農家に嫁に行くのが一番だ。」
「有機農業のような趣味の農業は求められていない。経済的にやれる農業ができる人を望んでいる」
農地を借りるのは非常に困難であり、研修先の農家に相談してもほとんど話を聞いてもらえなかった。
それにもかかわらず、久美子は真面目で堅実、ノートをきちんと取り、勉強熱心な性格から、周囲の人々の支援を得ることができた。老農家の富士江の協力もあり、農地を借りることができたのである。ちなみに、大家のアヤノと富士江は、同級生でありライバル同士であった。こうして、彼女を支援してくれる人々に恵まれ、彼女の農業生活は少しずつ前進していった。
さらに、彼女は婚活パーティに参加し、ヒトミや野口静代といった仲間と交流を深めるとともに、大学の先輩・瑞希のSNSのフォロワーを通じて、彼女の野菜セットを販売してもらうことに成功した。プレミアム野菜の注文も入り、イタリアンレストラン「フェリーチェ」(幸福を意味する店名)のシェフも彼女の野菜を購入した。ヒトミと静代は、それぞれ大胆な人生の選択をも行うのであった。
このようにして、久美子は新たな人生の一歩を踏み出すことになったのである。
Posted by ブクログ
職も彼氏も同時に失ってしまうという踏んだり蹴ったりのタイミングでTVで見た農業女子の番組に感動し安易にその道に踏み出した32歳の水沢久美子の物語。人を動かすのは人。農業の物語だけど人と人のつながりあっての人生物語。
Posted by ブクログ
2016年出版。就業先の中堅会社が潰れて派遣勤務に疲弊し、惰性で続けてきた同棲相手にフラれ、住む場所すら喪う… という所からのスタートの32才女性が中心人物。出版当時の新規就農関係の下調べも相当にしたのだろうと思う。色々と面白い。紆余曲折有るが、最終的に後味の悪い終わり方で無くて良かった。
Posted by ブクログ
まず作者へ 。上手い題名にあっぱれ!
30代独身女性がとある理由から、住むところも仕事もお付き合いしてた彼氏も無くし、ふとしたきっかけで、農家を目指して行く物語。
プロローグからグレーな人生ドラマがはじまりドロドロの沼にはまった感じで、そこからまさに雑草のように堪え忍んで色を取り戻し、最後には周りの暖かい支えに心が和んだ。
楽天的な彼女の性格にひかれるものありで、人生を自分の力で切り開くとはこういう試練を何度も乗り越えなければならないんだなーと、現実の非情さと人生の面白さなど色んな感情を抱けた。
Posted by ブクログ
失業して同棲相手から「いっそ、結婚しちゃおうか」と言われたのに断ってしまい、結婚に逃げるなんてと軽蔑し、いくらでも挽回のチャンスはあると信じていたり、「しっかりしている」と言われるたびに誰も本当の自分をわかってくれないと反発したり、おんなごころに頷きながら、痛痒いような、胸を突かれるような思いを感じながら読み進めた。
農作物のできや収入、住まいの確保がうまくいきすぎだが、まぁ読み物だから楽しければいいか。
Posted by ブクログ
仕事も恋人も失ったアラサーの久美子。
たまたま見ていたTV番組がきっかけで農家になる!と決意。
農業大学で農業を学び、いざ農家をやろうとするも現実はそんなに甘くなく…
農家ではないけど、私も畑仕事をするので、女性1人で農家になる大変さは理解できる。しかもゼロスタート。
それでも様々な困難にぶつかりながら進んでいく久美子の姿に元気をもらえた。
Posted by ブクログ
今の生活は収入は少なくても、小さな喜びを感じることが多かった。
どんな小さな約束でも守らなきゃダメよ。約束が小さければ小さいほど、破った時に信頼を失うわよ。
何でもわかっているつもりになっていたが、実は周りのことが全く見えていなかったのかもしれない。修のことも、瑞希のことも、自身の基準で勝手に決めつけていたのではないか。
解説 作家 原田ひ香さんより
垣谷さんの作品の登場人物には、どんな悪人もその一面だけでない 美点をちゃんと用意してくださるというバランス感覚が必ず利いています。
Posted by ブクログ
私の親戚は兼業農家だった。しかもある程度都市部の。
そのため地方の専業農家の実態や新参者が農業を始めるという状況を知っているようで全く分かってなかったと思った。
でもやっぱり人と人との繋がりは農業の世界だではなく全ての業界において通ずるものがあると思った。
楽しく読めた1冊だった。
Posted by ブクログ
育った環境から努力して掴んだ社会的地位を失って、自尊心と自分の現状とのギャップに苦しんでいるであろう主人公が農業に希望を見出し、悪戦苦闘するお話。
主人公とアヤノさんには終盤まで共感出来ませんでしたが、富士江のばーさんのおかげで楽しく読めました。
地の文から、作者の思想とこれまで受けた理不尽やら屈辱が滲み出ています。著者の作品は「七十歳死亡法案、可決」しか読んだことはありませんが、男社会に振り回され、今も闘い続けている人なんだろうなと思いました。
最後まで良い男キャラは出てこないのは、女性に向けた物語だからなのか、別の理由なのか。
終わり方がハッピーな感じだから良し。
Posted by ブクログ
いつか農業に関わりたいと思ってたので手に取りました。
私の考えは甘かったと感じましたし、就農の難しさについて知れて本当に勉強になりました。
物語についてはそれまでどんでん返し!ハラハラ!があったわけじゃないけど、何気ない日常の中にある心温まる瞬間だったり、どうしようもなくムカムカすることだったり、
そういった瞬間が散りばめられていて、最後もすごく上手くまとめられていたなと感じました。
面白かったです!
Posted by ブクログ
私ね、農家に嫁げば良かったなーって時々思うの。
両親の実家はどちらも農家でね。
蔵の中に大きな樽で味噌仕込んだり、漬物仕込んだりしてて。
大人になってから毎年自分で味噌を仕込んでいるんだけど、やっぱり一般家庭じゃあんな大量のお味噌を仕込んでも置いておく場所もないし。。
家庭菜園じゃ収穫できる量もたかがしれてるし。
前に母が父の実家の畑を貸してもらえないかなぁって冗談混じりで言ったことがあったんだって。
ダメだった。
親族でも大事な畑や田んぼは貸してくれないんだよ。
この本読んで農業始めることがいかに大変か分かった。
たぶん父の実家は伯父の代で米農家終わる。
従姉妹夫婦が同居してるけど、農業ほとんど手伝ってないもん。
それなら私が!って思ったりもしたけど、上記の通りできっと難しいだろうし、田舎ならではの難しさもあるんだと思う。
農業を志す人はきっと少なからずいるだろうに、難しい世界だなぁと思いながら読んだ。
Posted by ブクログ
派遣切りの日同棲中の彼から、結婚したい彼女がいるからと部屋を出てほしいといわれた32才。テレビで見かけた農ガールに魅せられて紆余紆余曲折、何とかたどりついた農ライフ。どーなるのー⁈と気がかりで読み進めて2日、垣谷美雨はいつも安心して読めるから。
Posted by ブクログ
主人公が起死回生をかけてひとり農業に挑んでいくお話。いいことばかりじゃないし、悪いことばかりでもない。
移住を迎え入れている地方は多いけれど、行政の思惑と土地に根付き生きてきた人々の本心には微妙な食い違いがあるのだろうなと思った。とはいえ、もし、自分が代々受け継いだ土地で農業をやっていて、都会からきた出自も過去も知らない人に、いきなり土地は貸せないよなぁ。自分ごととして置き換えると良くわかる。
自分はダメな人間だと落ち込みながらも、ひたむきに農業を学び頑張る主人公。頑張り続ける、学び続けるってなかなか出来ないもの。
婚活パーティーで知り合った女性が計算高いのには驚いたが、シングルマザーである彼女には覚悟が出来ていたからなのだろう。
元気が出るお話でした。
Posted by ブクログ
前半は
男と仕事、住むところも失くした女性が
田舎で農家をして楽しく暮らしていくお話かと思って、うんざりしてしまいました。
私の実家もそれなりに田舎でムラ社会なので、現実の厳しさをよくしっています。
だから田舎礼賛の本は納得いかなかったのです。
でも後半は現実の厳しいこと厳しいこと。
そうだよね、そうだろうね、と共感しました。
さらに付け加えると、田舎はよくわかない交際費がめちゃくちゃかかるんですよ。
ただ、まわりが結局結婚に逃げちゃって残念だったので⭐3つです
Posted by ブクログ
現実は厳しい!けれど困難に果敢に立ち向かい解決策を見つけようとする主人公に尊敬。
女性の農家さんに興味があったので、読んでみましたが、独身の女性が一人で農業することの大変さを学べて良かった。独身女性や若者の農業支援がもっと充実していけばいいな。
Posted by ブクログ
主人公の心理描写や登場人物との会話が多少くどくて気疲れしてしまいましたが、本人の真面目さが呼び込む周りの温かみも伝わってきて、少し元気をもらえました。