垣谷美雨のレビュー一覧
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まさに病は気から。
気持ちも結局は人間関係から通じるものがほとんど。人間関係が安定すれば、心も安定することを痛感。
自然と縁が切れてしまうことはあっても、自ら縁を切ることほど難しいことはない。特に身近な人であればあるほど。
この本を読んでいると、自分にとっての悪縁は切った方が良いということを痛感させられる。
当事者だとなかなか気づくことが難しいが、客観的に見ると「今すぐ縁を切った方がいい!」ってすぐにわかるのに。
やはり自分の心が苦しくなる関係性は、どこかがおかしいのだと思う。縁を切るまでいかなくても、相手との何かを変えなければならないのだと思う。距離感なのか、本音を出し合えてないのか…
できれば縁は切れない方がいいけど、切らないといけない時もあるのだろう。
その時はしっかり決断できる人でありたい。 -
Posted by ブクログ
単純な汚部屋の片付けの話ではなく、セルフネグレクトがテーマなのかなと思いました。セルフネグレクト(自己放任)とは、自分自身の基本的な生活管理や健康管理を十分におこなえなくなっている状態のことです。年齢問わず誰にでも、ストレスや社会的孤立等により起こりうるものです。
私も、部屋の現状が、精神状態の現状と一致していることがよくあります。うまくいっていないときは、変に物を買ってしまい、それを片付ける気は起こらず部屋の片隅に積まれたまま、なんてことがよくあります。私の場合は波があるので、それをならせば平均的な部屋の片付け具合に収まるはずです。
それが、波ではなく、自分ではどうにもならない状態に陥ってしまった場合が、今作です。現実では、こんなにスイスイと改善がみられることはほぼないと思いますが、大庭さんのような存在はいたらいいなと思います。ただ片付けるだけでは、すぐに元の木阿弥です。『なぜ』から共に見つめてくれる、そんな存在が必要ですね。 -
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垣谷美雨さんの本は初めて。とても面白かった。
1 本書において重要な役割を果たすのが「走馬灯的人生透視」聴診器ですが、ドラえもんのひみつどうぐのようで面白い。「見えざる不調」を解き明かす手段として、よく考えられていると思う(医師桐ケ谷キワミが特殊能力として、人生透視力を持っているという設定だったら、こう面白くはならないように思う)。
2 本書に出てくる女性患者3人、いずれも「NOが言えない」人、こういう人いますよね。そして「不調」の原因となっている人たち、これまた、「こういう連中いるよな」と頷いてしまいます。
3 主人公(?)の人物造形、更には看護師(とりわけ、松坂マリ江)の人物造形も出色。読んでいて笑ってしまいます。
4 「不調」を治すための「処方箋」がこれまた、いい。
5 各話のタイトルがまた、いい。
とても気に入ったので、他の「〇〇病棟」も読んでみようと思う。 -
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同著者による『マンダラチャート』に似ている設定で驚いた。本書の『リセット』とどちらが早く書かれたのだろか?『マンダラチャート』は2024年発行とあるから、おそらく本書が先だろう。
『リセット』も3人の女性が高校時代にタイムスリップする。高校では進学組だった専業主婦の香山知子と一見キャリアウーマンに見える黒川薫、一方就職クラスに在籍していた赤坂晴美。彼女たちは三者三様に現在(いま)の自分たちに満足していなくて高校時代に戻り、違った人生をやり直す。そして現在と異なる15年間を過ごし、再び選択するチャンスが巡って来るのだが、彼女らが押したリセットボタンは元居た場所だった。しかしタイムスリップで習得した経験値を生かし、以前と違う新たなステップを踏み出した。
3人の中で頭でっかちになっていない晴海の生き方がとても新鮮に思えたのは、私の年齢から来るものだろうか?
若い頃は知子と薫の生き方に諸手を挙げて共感しただろうが、アラ古稀となった今は素直に頷けなくなった。巻末に本作を文庫刊行するにあたってインタビューが添えられていた。垣内さんがSEの仕事で知り合った専門学校卒の本を読んでいない男子に教えられたと語っている。『彼らは書物から得た知識がない分、すべて自分の奥底から出る考えで動いている。実に天真爛漫な部分が残っていて、むずかしいことを考えずに自分の言葉で考えて順応して生きていくことができる。それを見ていたら、本を読む事が必ずしも良いことではないかもしれないとも思えて来た。私は自分の中にある考えはすべて自分で考えたように思っているけれど、実際には色んな本から得た知識だけでしゃべっているのであって、そんなものなら別に威張れたものじゃないなと、彼らの生き方に対し羨ましいような気持ちがありました』と。
おそらく当時垣内さんは晴海の視点を描きたかったのだろう。
そして時を経て、再びタイムスリップストーリーを試みたということかな?
タイムスリップしても大本の人格や性格はさほど変わらないとも思えた。
岐路で違う道を選んでも個性がそれなりの判断を下して進んでいくのかも。