垣谷美雨のレビュー一覧
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作品の感想というよりは、それを受けての「私のブログ」かも
不妊治療の渦中にいる私には気持ちが揺さぶられすぎるお話だった。
ずっと「男はいいよなぁ、(肉体的にも社会的にも)大きな負担なく子供が持てるもん」と思っていた。で、その気持ちに対して「でも、男は生まれた子供が確実に自分の子供という確証は普通はなく(DNA検査等しないかぎり)、そのなかで子育てしなくちゃならないから…」というところで、なんだか性格悪い感じだけど、自分のなかで折り合いをつけていた。
で、いざ不妊治療となったときに夫の名前が記された容器に入った精子を見て、上記の気持ちが打ち砕かれたというか。もちろん夫のことが嫌いになったと -
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夫の墓には入りません。タイトルを見た瞬間に購入確定。夫婦関係のこじれ、舅姑との関係などなんとなくの内容はすぐに察することができる。しかし、「一緒の墓に入らない!」なにがそこまで言わせるのか気になってしまった。
夏葉子の夫が急死したところから物語は始まる。急死した時、夫と関りのあった人たちが押し寄せてくる。夫の死を悲しんでくれているということで夏葉子も温かい気持ちになる。と同時にもともと夫とうまくいっていなかったため1人になった解放感も生まれる。通夜、四十九日が終われば新しい人生と思っていたがまさかのことがどんどん発覚していく。まったく気にしていなかったことまで夏葉子に負担がのっていく。
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ネタバレ「人生をやりなおせたら」
ほとんどの人が抱えている命題なのかもしれない。それをSFではなく教訓としてでもなく3人の女性、それぞれの二回ずつの人生を通してエンタメにしていただき、客観的に女の生き方を考え直すきっかけにしてもらった。
垣谷先生にまず御礼。(かなり初期の小説らしい。解説に語られていた石川達三の小説に当時、同じ憤りを抱いた同志として感銘)
ちょっとの間にも社会は歩み続けているので現代はこの小説の時より女性は生きづらくなってはいないはずだけど、それでもやはりうなずく場面は多いし、人生に岐路に立ったときの選択で大きく変わってしまうというのも理解できる。あ〜これだから女って…とも思うし、一 -
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ネタバレ東日本大震災の話。
椿原福子、山野渚、漆山遠乃。
3人の女性の視点で、被災の瞬間から避難所生活、その後までが細やかに描かれていく。
僕は楽しい本を選びがちだが、読書による擬似体験で「想像力」を養う、というのはとても大切なことだと感じた。
僕は阪神・淡路大震災で27歳のとき、1週間ほど小学校で避難所生活を送った。
そのときの避難所には、作者の垣谷さんが本作を書くきっかけになったという「仕切り」などなかった。
その当時の僕は、「仕切りはない方が・・・」と説かれればそんなもんなのかと思っただろうし、「プライバシーの確保に仕切りは必要」と訴えられたら、それはそうだろう、と思ったことだろう。 -
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ネタバレ夫を脳溢血でなくした妻が主役の物語。下町で育ち、品のない親に育てられた夏葉子。名家に嫁ぐも、夫ともそんなに仲がよいわけでもなく、そんな折、40代で旦那を亡くしてしまう。義理の父や母は、自分の親と比べると立派で尊敬していたが、夫の死後も嫁として、将来自分達やひきこもりの義理の姉の面倒を見るように期待される。
夫の浮気相手が出現したり、新たな恋人ができるが、ろくでなしだったりと様々なことが続く。
そんなこともあり、嫌になるが、自分の家は気に入っているから、ここは離れたくはない。そんな時に助けてくれたのは、実家の父だった。また、姻戚関係終了届なるものが、役所で提出すれば姻戚関係をリセットできること -
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超面白くて1日で読み切ってしまった!近未来の経済格差が広がった日本で、未成年のユキは義父に代理母にされてしまう。生活に困ったユキは、その経験を活かして、代理母も育ての家族もどちらも幸せになれる代理母エージェントを立ち上げる。代理母を希望するもの、依頼人の方、それぞれがいろんな事情を持っている。不妊治療の末、売春目的、子どもがいれば一人前という考え方を信じている人、妊娠・出産期間にキャリアを失うのが怖い女性、独身でも子供を持ちたい人、LGBT等。
中絶のやり方に疑問を抱いた女医が相次いで辞められた院長先生の変わりっぷりも面白かった。掻爬手術は本当に体への負担が大きいのに、なぜいまだに行われてい