垣谷美雨のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
人の気持ちが分からない女医、ルミ子。いや、彼女だけのせいではないと思うけれども。医者という職業にありがちな空気の読めないタイプ?
ルミ子は不思議な聴診器を拾い、治療末期の患者の後悔を受け入れ、「ではなかった方」の人生を共に体験する。総じて「ではなかった方」は思っていたような幸せな結末にならない。千登勢さんなんて、孫までできたのに。隣の芝生は青く見える、というやつだ。それで思い残すことなく逝ける。
死という悲しい結末を迎えるのに、穏やかな読後感。不思議。
自分もよく考える。たとえば戦地で銃口を向けられて恐怖のまま死ぬのと、「さっきまで話したのに」と言われながら眠るように亡くなるのの違い。同