同著者による『マンダラチャート』に似ている設定で驚いた。本書の『リセット』とどちらが早く書かれたのだろか?『マンダラチャート』は2024年発行とあるから、おそらく本書が先だろう。
『リセット』も3人の女性が高校時代にタイムスリップする。高校では進学組だった専業主婦の香山知子と一見キャリアウーマンに見える黒川薫、一方就職クラスに在籍していた赤坂晴美。彼女たちは三者三様に現在(いま)の自分たちに満足していなくて高校時代に戻り、違った人生をやり直す。そして現在と異なる15年間を過ごし、再び選択するチャンスが巡って来るのだが、彼女らが押したリセットボタンは元居た場所だった。しかしタイムスリップで習得した経験値を生かし、以前と違う新たなステップを踏み出した。
3人の中で頭でっかちになっていない晴海の生き方がとても新鮮に思えたのは、私の年齢から来るものだろうか?
若い頃は知子と薫の生き方に諸手を挙げて共感しただろうが、アラ古稀となった今は素直に頷けなくなった。巻末に本作を文庫刊行するにあたってインタビューが添えられていた。垣内さんがSEの仕事で知り合った専門学校卒の本を読んでいない男子に教えられたと語っている。『彼らは書物から得た知識がない分、すべて自分の奥底から出る考えで動いている。実に天真爛漫な部分が残っていて、むずかしいことを考えずに自分の言葉で考えて順応して生きていくことができる。それを見ていたら、本を読む事が必ずしも良いことではないかもしれないとも思えて来た。私は自分の中にある考えはすべて自分で考えたように思っているけれど、実際には色んな本から得た知識だけでしゃべっているのであって、そんなものなら別に威張れたものじゃないなと、彼らの生き方に対し羨ましいような気持ちがありました』と。
おそらく当時垣内さんは晴海の視点を描きたかったのだろう。
そして時を経て、再びタイムスリップストーリーを試みたということかな?
タイムスリップしても大本の人格や性格はさほど変わらないとも思えた。
岐路で違う道を選んでも個性がそれなりの判断を下して進んでいくのかも。