垣谷美雨のレビュー一覧
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垣谷美雨さんのエッセイ。
小説は読んできたが、エッセイを読むのははじめて。
これまで読んだ小説から、垣谷さんって、豪放磊落なお人柄なのでは?と勝手にイメージしていたのだが、とても真面目で努力家、繊細な心をおもちなのだと分かった。
テキトーに時代に流されて生きてきてしまい、今更後悔が山になっている私と違い、子どもの頃から女性の扱われ方に疑問をもっていて、時代に抗いながら生きてこられたんだなぁと実感した。
以前読んだ『マンダラチャート』の主人公は垣谷さん自身を色濃く投影しているような気がする。
時代の急速な変化に翻弄されてきた女性の生き方を見つめる今後の作品にも注目し続けたい。
2026.1 -
Posted by ブクログ
読みやすさと切り口の斬新さで少し甘めの星4つ。
「結婚」や「親子関係」「女性の生きづらさ」を直接的に描いた作品で、切り口は斬新で読みやすかったです。特に、母との共依存や「生きがいを押し付けられる苦しさ」の描写はリアルで印象に残りました。
一方で、登場人物の思いが説明的に語られる場面が多く、テーマの面白さの割に少し薄っぺらく感じたのは残念でした。終盤の「みんな必死で生きている」という着地も悪くないですが、やや予定調和にも思えます。つまらなくはないですしすらすら読めますが、強く余韻が残るタイプではなく、問題提起型のライトな作品という印象でした。 -
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今年で20代の折り返し地点に来ました。昭和では、25歳までに結婚するという風潮がある中で、現代は年齢に縛りがなくある程度自由な恋愛ができると思っています。だからこそ、今結婚について考えるこの年齢で読んでみようと思いました。
結婚は好きな人として、生涯愛し合うものだと家族の姿を見て感じていました。しかし、主人公の澄子のように、パートナーに対して拒絶反応を示す関係もあることを知りました。いかに家庭環境が子の価値観を形成する上で重要な役割を果たしているのか読んでいて嫌なほど感じました。
この話は母の視点中心でありましたが、教育機関で働く身として、子の視点にも注目でき、働く上で子への接し方について改め -
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人間関係によって体調不良になってしまう人たちの話。
最初の2篇は実際私の身近でも聞いたことがあるなと思い返せるような話でした。
以前、定年退職する女性が近所の初老の方に好きだと付きまとわれていると仰っていて(彼女は綺麗な未亡人)、失礼ながらそんな年でそんな事あるかな?と皆半信半疑で聞いていました。ホントだったのかなと1話目の話を読んで思い出しました。
2話目は結構身近でもよく聞きます。介護も独身だと押し付けられたとか。親兄弟に利用されるのは可哀想すぎます。お金って人を変えますね。
3話目はあまり身近ではなかったですが、主人公の母親の「人の心の裏の裏を読もうとする嫉妬深い庶民」という -
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あれは違うんじゃないかとか、何であのまま受け入れてたんだろうとか、過去を振り返ると思うことはある。自分自身が経験を積んだり、時代の影響を受けてたり、その時の自分が気付けないのは仕方ないことだと思う。
だからこそ、その時に社会を俯瞰して見ていた人はすごいなと思う。わかっていても、その時代の風潮とか流れに反して動くことはエネルギーもいるし、メンタルにくるし、大変なことなんだろう。
でも逆に、何でも自由とか平等とか行きすぎてしまうと、また違う問題がでてくるだろうし。
良し悪しで決まるものではないのが、社会というか、この世の摂理とかいうか、なんとも難しい。 -
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本のタイトルから想像していた内容とは違っていて良かったです。
内容は読んでいて家族から受ける理不尽さにイラッとしましたが。
悲しいのは優しさをもつ人から優しさを奪おうとする、優しさを突いて利用しようとする人間は少なからずいる事。
勇気を出して周りに相談しても優しい人は遠慮がちに話してしまい、相手がずる賢すぎて普通の常識人には中々理解してもらえず更に追い込まれてしまうこと。
何故平気で人を傷つける人は結局は周りから捨てられてしまう事が分からないのかな…。
今回は3人の患者さんのお話で、皆んな幸せになって欲しい。その後がいつか読めたら嬉しい。 -
Posted by ブクログ
穏やかな地方都市の描写とは裏腹に、女性が無自覚のうちに引き受けさせられる役割の重さを鋭く描いた作品。
夏葉子の「可愛げがない」という自己認識や、頼られる側に回ってしまう生き方は非常に現実的で、随所に痛みがあります。夫の浮気相手ではないかと夏葉子が想像していたサオリの存在は、疑念や不安の象徴としては効果的である一方、生前の旦那の行動を説明する要素としてはやや違和感が残りました。
ただ、実父が登場してから理不尽が言語化されていく過程は痛快です。「人が良すぎる者ほど便利に使われる」という指摘は本作の核心であり、弱者に見える人間が本当に弱い立場なのかを問い直す終盤の視点も印象的でした。
前向きな -
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ネタバレ垣谷美雨『あなたのゼイ肉、落とします』は、タイトルの軽妙さから想像される以上に、人の人生や尊厳に深く踏み込んだ物語だった。描かれているのは単なる減量の成功譚ではなく、長い時間をかけて身にまとってしまった「思い込み」や「諦め」、そして他人の価値観という名の重荷を、少しずつ削ぎ落としていく過程である。
登場人物たちは皆、決して特別な存在ではない。仕事、家庭、人間関係の中で傷つき、無自覚のうちに自分を縛り続けてきた、ごく普通の人々だ。その姿があまりに現実的であるからこそ、読者は彼らの葛藤に自然と自分自身を重ねてしまう。体重が増えた理由の裏に、心の疲労や孤独が静かに横たわっていることを、本作は声高に