垣谷美雨のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
死の間際、誰しも後悔を抱えているもの。何の悔いもない人がいるだろうか。あの時こうしていればと思ったことをやり直してみることができ、その結末を知ることができたら、どう思うんだろう。人それぞれだけど、今の人生で良かったと思うのか、更なる後悔を生むのか。
主人公は懸命に勉強して医者になったが、「空気が読めない女医」として、女性なら優しく話を聞いてくれるというイメージに苦しんでいたりする。かくいう本人も、イケメン同僚にイメージで決めつけていることに気付く。事実じゃなくても想像だけで決めつけていることって、無自覚であると思う。
過去を悔やんだり、未来に不安を抱いても仕方ない。今の人生、現在しかないん -
Posted by ブクログ
片付け屋の十萬里さんが、さまざまな事情で部屋を片付けられない人のもとを訪れ、ただ物を捨てるだけでなく、その人の心の問題にも寄り添いながら向き合っていく物語。
部屋の状態と心の状態は比例する」とよく言うけれど、読んでいて本当にその通りだなと感じました。
特に印象に残ったのは「豪商の館」のお話。
いつか使うかもしれないと思って捨てられなかったり、困ったときのためにと買い置きをたくさんしていたり、買って満足してそのままになっている物があったり…。
自分にも当てはまることが多くて、ハッとさせられた。
どんなに良い物でも、使わなければ結局は“ただの物”になってしまう。
思い切って手放す勇気を持ちたいと思 -
Posted by ブクログ
ネタバレ【あらすじ】
39歳の小松原菱子は42歳の夫麦太郎、中学3年の娘実花、小学5年の息子真人と4人で2LDK+Sのマンションに暮らしている。新しいマンションを探しているとパソコン履歴で夫の浮気相手(夫と同じ大東亜製粉株式会社営業三課)の山岸星見のブログを見つけてしまう。夫には直接聞けず、浮気相手に会って話をしようとしたところ『真っ赤なロングドレスをきたババア』に菱子と星見の中身を入れ替えられてしまう。2ヶ月間お互いになりきって生活していくなかで、菱子は星見の同僚達と親しくなり仕事の成果もあげ、星見の母親との関係も修復する。一方の星見も菱子の子供達を自立させ実花の悪先輩との関係も絶たせ、PTAでも発 -
Posted by ブクログ
「お墓のことって、いつかは考えないといけないけど、正直後回しにしている」
そんな人ほど、この本は他人事じゃなく刺さってきます。
『墓じまいラプソディ』は、親の死や先祖の供養をきっかけに、「誰が」「どこで」「どうやって」弔うのかという現代ならではの問題に直面する人たちの群像劇です。少子化、核家族化、地方の過疎化といった現実が背景にあり、いわゆる“お墓を守るのが当たり前”という価値観が、静かに崩れていく様子が描かれます。
面白いのは、この作品が「墓じまい=合理的で正しい」とも、「伝統を守るべき」とも単純に言わないところ。世代や立場によって考え方がまったく違い、そのズレがとてもリアルです。ある人 -
Posted by ブクログ
垣谷美雨さんのエッセイ。
小説は読んできたが、エッセイを読むのははじめて。
これまで読んだ小説から、垣谷さんって、豪放磊落なお人柄なのでは?と勝手にイメージしていたのだが、とても真面目で努力家、繊細な心をおもちなのだと分かった。
テキトーに時代に流されて生きてきてしまい、今更後悔が山になっている私と違い、子どもの頃から女性の扱われ方に疑問をもっていて、時代に抗いながら生きてこられたんだなぁと実感した。
以前読んだ『マンダラチャート』の主人公は垣谷さん自身を色濃く投影しているような気がする。
時代の急速な変化に翻弄されてきた女性の生き方を見つめる今後の作品にも注目し続けたい。
2026.1 -
Posted by ブクログ
読みやすさと切り口の斬新さで少し甘めの星4つ。
「結婚」や「親子関係」「女性の生きづらさ」を直接的に描いた作品で、切り口は斬新で読みやすかったです。特に、母との共依存や「生きがいを押し付けられる苦しさ」の描写はリアルで印象に残りました。
一方で、登場人物の思いが説明的に語られる場面が多く、テーマの面白さの割に少し薄っぺらく感じたのは残念でした。終盤の「みんな必死で生きている」という着地も悪くないですが、やや予定調和にも思えます。つまらなくはないですしすらすら読めますが、強く余韻が残るタイプではなく、問題提起型のライトな作品という印象でした。