垣谷美雨のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
読み出しはちょっと無理があるのでは?と思うのに、読み進めるとなんだか納得させられてしまう、不思議な読後感のある小説だった。
著者の本ははじめてだったので、他の本も色々読んでみたい。
大庭十萬子(おおばとわこ)によって人生を整頓していく登場人物たちの視点で物語が進んでいき、その結末になんとも納得感を覚えてしまう。「物はいいものだから捨てるのはもったいない」という気持ちがすごいよくわかるというか、自分もそういうところがあって捨てられないものがある!と思うとちょっと胸が苦しくなったし捨てなくては…と思うようになった。
十萬子さんが、スーパーウーマンというよりは等身大の感情も人並みにある普通のおばちゃんなのも不思議な説得力がある。妙に優しいわけでもないし、妙に厳しいわけでもない。最後の物語だけ十萬子視点で進むんだけど、片付けられない依頼人にイライラしたり、ほんとに普通のおばちゃんなんだよね、十萬子さん。
そこがこの物語のミソって感じがする。
片付けられない人たちが、みんな自分はまともでなんともないって思ってて、それが徐々にやばさを自覚していく様がとても良かった。
片付けがしたくなる1冊だった。 -
Posted by ブクログ
おもしろかった。もしこの法律があって、自分が独身だったら…私、パソコン屋に集う彼らと同じく陰の民なので、わくわくするかもしれない…。
昔より未婚の男女も増えたとはいえ、今でも「結婚はしなければ…」と考える人は少なくないと思う。本人がというより、その周りが。
私には同じ歳の従姉妹がいます。彼女は美人でスタイルもよくて、頭のいい大学出ててスポーツも大会で毎回賞を取ってた人。卒業後は海外で働いて、4ヶ国語くらい喋れるバリキャリ。
彼女と子どもの頃から比べられる平々凡々な私。私が彼女より出来たことといえばピアノくらいだけど、それは私が上手いとかではなく、彼女が下手すぎたから。
そんな私が彼女より褒められたことが「結婚」でした。いつも私が彼女と比べられてたのに、私が良い人と結婚したと、今度は彼女が私と比べられることに。
結婚しとる人間はそんなに偉いんかー!!!
私も美人で海外で働くようなバリキャリなら結婚なんて考えなかったかもな!!
この法律、私の田舎ではみんな大賛成しそう。 -
Posted by ブクログ
垣谷美雨さんの『姑の遺品整理は、迷惑です』は、遺品整理という出来事を通して、人との関わり方や生き方について考えさせられる作品だった。
物語では、主人公モトコの実母と義母が対照的に描かれている。実母は、常にきちんとし、他人に迷惑をかけないことを信条として生きてきた人。一方で義母は、おせっかいなくらい世話好きで、多くの人と関わりながら助け合って生きている。
どちらの生き方にも長所があると思う。実母のように、自立し責任を持って生きる姿勢は素晴らしい。しかし、それを完璧に追求しようとすると、人とのつながりはどうしても希薄になってしまうのかもしれない。
反対に義母は、人に頼り、人を頼られながら生きている。時には周囲を振り回すこともあるけれど、その分、人との温かな交流がある。困ったときには助け合える関係性が自然と築かれているのだ。
もちろん、こうした違いには生まれ持った性格も大きく影響しているだろう。それでも私は、人との関わりを避けて完璧を目指すよりも、少しの優しさや思いやり、そして許しを持ちながら生きていきたいと思った。
身近な人との関係を大切にし、お互いに支え合いながら暮らしていくこと。それが私の理想の生き方だ。
読み終えて、私自身も義母のように、人との縁を大切にしながら生きられる人になりたいと思った。 -
Posted by ブクログ
人生には、いくつもの岐路がある。進学、就職、結婚、人間関係――そのときは自分なりに考えて選んだはずなのに、うまくいかないことがあると、「あのとき別の道を選んでいたらどうなっていただろう」と考えてしまう。
本作の主人公たちも、それぞれの人生に後悔を抱えている。そして不思議な体験を通して、自分が選ばなかったもう一つの人生を生きることになる。
しかし、実際にその人生を経験してみると、そこにはそこなりの苦労や悩みがあり、決して理想通りではない。むしろ、自分が選んできた人生にも大切なものがあったことに気づいていく。
読んでいて感じたのは、人は「選ばなかった未来」を美化しやすいということだ。今の現実に不満があると、別の選択肢のほうが幸せだったように思えてしまう。しかし、本当にそうだったかは誰にもわからない。
人生は日々選択の連続だ。迷うこともあるし、選んだあとに後悔することもある。それでも、自分で決めた道を信じ、「この選択でよかった」と意識することが、幸福につながるのではないだろうか。
結局のところ、どの道を選ぶか以上に大切なのは、その選択をどう受け止めるか。どんな人生も、自分の意識次第で「結果オーライ」に変えていけるのだと思った。
『後悔病棟』は、過去をやり直したいと思ったことのある人にこそ読んでほしい一冊だった。