垣谷美雨のレビュー一覧
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垣谷美雨さんの『姑の遺品整理は、迷惑です』は、遺品整理という出来事を通して、人との関わり方や生き方について考えさせられる作品だった。
物語では、主人公モトコの実母と義母が対照的に描かれている。実母は、常にきちんとし、他人に迷惑をかけないことを信条として生きてきた人。一方で義母は、おせっかいなくらい世話好きで、多くの人と関わりながら助け合って生きている。
どちらの生き方にも長所があると思う。実母のように、自立し責任を持って生きる姿勢は素晴らしい。しかし、それを完璧に追求しようとすると、人とのつながりはどうしても希薄になってしまうのかもしれない。
反対に義母は、人に頼り、人を頼られながら生きている。時には周囲を振り回すこともあるけれど、その分、人との温かな交流がある。困ったときには助け合える関係性が自然と築かれているのだ。
もちろん、こうした違いには生まれ持った性格も大きく影響しているだろう。それでも私は、人との関わりを避けて完璧を目指すよりも、少しの優しさや思いやり、そして許しを持ちながら生きていきたいと思った。
身近な人との関係を大切にし、お互いに支え合いながら暮らしていくこと。それが私の理想の生き方だ。
読み終えて、私自身も義母のように、人との縁を大切にしながら生きられる人になりたいと思った。 -
Posted by ブクログ
人生には、いくつもの岐路がある。進学、就職、結婚、人間関係――そのときは自分なりに考えて選んだはずなのに、うまくいかないことがあると、「あのとき別の道を選んでいたらどうなっていただろう」と考えてしまう。
本作の主人公たちも、それぞれの人生に後悔を抱えている。そして不思議な体験を通して、自分が選ばなかったもう一つの人生を生きることになる。
しかし、実際にその人生を経験してみると、そこにはそこなりの苦労や悩みがあり、決して理想通りではない。むしろ、自分が選んできた人生にも大切なものがあったことに気づいていく。
読んでいて感じたのは、人は「選ばなかった未来」を美化しやすいということだ。今の現実に不満があると、別の選択肢のほうが幸せだったように思えてしまう。しかし、本当にそうだったかは誰にもわからない。
人生は日々選択の連続だ。迷うこともあるし、選んだあとに後悔することもある。それでも、自分で決めた道を信じ、「この選択でよかった」と意識することが、幸福につながるのではないだろうか。
結局のところ、どの道を選ぶか以上に大切なのは、その選択をどう受け止めるか。どんな人生も、自分の意識次第で「結果オーライ」に変えていけるのだと思った。
『後悔病棟』は、過去をやり直したいと思ったことのある人にこそ読んでほしい一冊だった。 -
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ネタバレタイトルを見て、修羅場系の話かな、と思って読み始めたのだけど…全然ちがった。
夫の浮気を疑った妻が、相手の女性と直接対決しに行ったら——なぜか二人の中身が入れ替わってしまう、という予想外のファンタジー展開。最初は「え、そっちに行く?」となったけど、ぐんぐん引き込まれてしまった。
立場が変わると、見える景色って全然ちがう。自分が「正しい」と思ってたことは、あくまで自分というフィルターを通したものであって、正しさはひとそれぞれなんだよな、と。
垣谷美雨さんの文章はテンポがよくて、重くなりすぎない。シリアスな場面なのにちょっと笑えて、でもじんわり考えさせられる。
コミカルなのに、すごく刺さる。嫌いな人でも、理解しようとする過程って、意外と面白いな——垣谷美雨さんに、またやられました。 -
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感想
身近に起こりそうな問題で、面白くてついつい読んじゃうな。
最後の話は怖かった。
あらすじ
熊野佐奈枝は71歳。優しかった夫に先立たれ、最近は身体の不調が続くが病院での診断結果はどれも健康そのもの。とある病院でキワミという女医にかかる。キワミは、男性医師から渡された聴診器を使ってみると佐奈枝の半生が見える。
佐奈枝は向かいの主人の大塚からセクハラを受けて精神的に参っていた。それを理解して対策を佐奈枝に渡し、問題は無事に解決する。
2話目は家族から寄生される真澄の話。自分は家族のいうことを聞いて頑張り、ネイルサロンを経営するまでになったが兄弟や母親が寄生するようになり、ストレスが溜まっていた。
3話目は、家を買ってもらい家事もする必要がない静歌の肩こりが治らない。下された診断は慈悲的差別症。いつまでも自分を一人前と扱ってくれない周囲にストレスを感じるものだ。そのうち義父母がやってあげていたこと、自分の実家を下に見ていたこと、夫が女子中学生相手に過去に事件を起こしていたことが分かり、親の助けを得て逃げ出す。 -
Posted by ブクログ
本作を読んで最も印象に残ったのは、「立場が入れ替わることで見えてくる人間関係の本質」である。物語は、平凡な主婦と夫のカノジョが入れ替わるという非現実的な設定から始まるが、その奇抜さとは裏腹に、描かれているのは非常に現実的な感情の揺れや葛藤であった。
主人公の主婦は、家庭を守りながらもどこか満たされない思いを抱えている。一方で若いカノジョは自由に見えるが、彼女なりの不安や孤独を抱えている。この二人が入れ替わることで、互いの生活や価値観を体験し、「見えていなかったもの」に気づいていく過程が丁寧に描かれている点が興味深かった。
特に印象的だったのは、「相手の立場に立つこと」の難しさと重要性である。普段は対立する関係にある二人だが、入れ替わりを通して相手の事情や気持ちを理解していく。その過程で、単純な善悪では割り切れない人間の複雑さが浮き彫りになっていた。読んでいる自分自身も、他人を一面的にしか見ていないのではないかと考えさせられた。
また、この作品は「結婚とは何か」という問いも投げかけている。長い時間を共にする中で生まれる倦怠感やすれ違い、そしてそれをどう乗り越えるのか。非日常的な出来事をきっかけに、登場人物たちは自分の本当の気持ちと向き合い、関係を見つめ直していく。その姿は、現実の夫婦関係にも通じる普遍的なテーマだと感じた。
全体として、本作はコミカルな要素を持ちながらも、人間関係の深さや難しさを描いた作品である。読み終えた後、「相手を理解しようとする姿勢」の大切さを改めて考えさせられた。日常の中で見落としがちな感情に目を向けるきっかけを与えてくれる一冊だと思う。