垣谷美雨のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
作品の感想というよりは、それを受けての「私のブログ」かも
不妊治療の渦中にいる私には気持ちが揺さぶられすぎるお話だった。
ずっと「男はいいよなぁ、(肉体的にも社会的にも)大きな負担なく子供が持てるもん」と思っていた。で、その気持ちに対して「でも、男は生まれた子供が確実に自分の子供という確証は普通はなく(DNA検査等しないかぎり)、そのなかで子育てしなくちゃならないから…」というところで、なんだか性格悪い感じだけど、自分のなかで折り合いをつけていた。
で、いざ不妊治療となったときに夫の名前が記された容器に入った精子を見て、上記の気持ちが打ち砕かれたというか。もちろん夫のことが嫌いになったとかではないけど、その「夫の名前が記された容器に入った精子」という異物を体内に入れるのに非常に抵抗を感じた。(もちろん言動には出さなかったけど)
なんで女しか子供は産めないんだろう、
なんで人間の妊娠・出産というのは肉体的にも社会的にもこんなに大変なんだろう、
と色んな気持ちがまぜこぜになってしまった。
同じような気持ちのはてに、自分自信の妊娠出産は諦めて、里親制度を利用することにしたと言った知人がいたな。なんの皮肉か彼女は産婦人科医だった。
私もその話を聞いて里親についても検討もしたけれど、「自分と血の繋がった」子供がほしいという我儘を諦められない。
………だから、もし代理母というシステムがあったら私は利用してしまうかもしれない。
とんでもなく利己的な理由で。
さてこの作品、代理母のシステムを提供または利用する、色んな人が出てくるわけですが…
自身のキャリアを優先しつつ、自分と血が繋がった子供を持つことができる状況にたどりつけた美佐を、こんな状況の私は心底うらやましいと思った。
あともし、未婚で子供を持つことが全くタブー視されていない世の中だったら私は結婚していただろうか。……していなかった、ような気がする、たぶん、いや分からんけど。
垣谷美雨の作品は、前半は露悪的な感じでストーリーが進むので読んでいて、イライラしたり心がしんどくなる。ラストがハッピーエンドってわかっているから読める、って感じ。
今回も、まさしくそういう流れです。
さらに言えば、垣谷作品は「少しうまくいきすぎじゃ?、いやでも絶対に無理をは言いきれないか」というような着地をする。
今作もまさにそんな感じ。
ユキちゃんが代理母をする流れになったことの、問題は男尊女卑…もあるだろうけど、もっとも大きな要因は義父からの虐待なのでは。
LGBTQ+、搾取子、格差社会、男女差別(じつは簡単に「男尊女卑」といえる話でもないと思う)、女性のキャリア形成(妊娠出産により閉ざされるとか、医学部受験の女子差別とか)、ヤングケアラー、子を持つとなった場合の男性の存在・立場
めっちゃ色々詰め込んでくるやん!
1つ1つが、それだけで1冊の本になりそうなトピックスでもあるし、もう少し長いお話としてじっくり読みたかった。
飛躍しすぎ、かもしれないけれど……代理母と依頼主との関わりかたに、妊娠出産する女とそれが出来ない男の関係の一部を見たような気もする。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ東日本大震災の話。
椿原福子、山野渚、漆山遠乃。
3人の女性の視点で、被災の瞬間から避難所生活、その後までが細やかに描かれていく。
僕は楽しい本を選びがちだが、読書による擬似体験で「想像力」を養う、というのはとても大切なことだと感じた。
僕は阪神・淡路大震災で27歳のとき、1週間ほど小学校で避難所生活を送った。
そのときの避難所には、作者の垣谷さんが本作を書くきっかけになったという「仕切り」などなかった。
その当時の僕は、「仕切りはない方が・・・」と説かれればそんなもんなのかと思っただろうし、「プライバシーの確保に仕切りは必要」と訴えられたら、それはそうだろう、と思ったことだろう。
どっちやねん、という感じだが、今なら、本作が「避難所」から「女たちの避難所」に改題され、しんどくなるほどしっかり書かれている福子の夫に対する不満、遠乃の舅や義兄に対する憤り、彼女たちの置かれている理不尽な状況がよく分かるようになった。
フォロワーさんとのやりとりがなければ、本作を手に取らなかったと思うので、まずはそこに感謝したい。
「想像力」と、それが自分に欠けているのではないかと自戒する気持ち、他者への「配慮」、それらを、自分が追い詰められているときに持ち続けることができるかどうか。
自問させられた作品であった。 -
Posted by ブクログ
超面白くて1日で読み切ってしまった!近未来の経済格差が広がった日本で、未成年のユキは義父に代理母にされてしまう。生活に困ったユキは、その経験を活かして、代理母も育ての家族もどちらも幸せになれる代理母エージェントを立ち上げる。代理母を希望するもの、依頼人の方、それぞれがいろんな事情を持っている。不妊治療の末、売春目的、子どもがいれば一人前という考え方を信じている人、妊娠・出産期間にキャリアを失うのが怖い女性、独身でも子供を持ちたい人、LGBT等。
中絶のやり方に疑問を抱いた女医が相次いで辞められた院長先生の変わりっぷりも面白かった。掻爬手術は本当に体への負担が大きいのに、なぜいまだに行われているのか、著者の怒りがこもっているように思った。
最初に反旗を翻した芽衣子先生、転職先の静子先生のやり方には納得。晩婚化やLGBTQ+法整備の進む日本で、これから代理母が認められていくために大切なことがギュッと凝縮されているような一冊だった。
p.247 代理母たちは苦労して生きてきた分、若くても老成しているのかと思っていたら、そんな女はほとんどいなかった。その一方、依頼人の女たちは学校や会社の中で揉まれてきたからか、社会性があり大人だった。 -
Posted by ブクログ
いろんな親子、夫婦がいるんだなと思った。
それから理想どおりに進んでも、その先も理想どおりにいくのかは分からなかったり、思うようにいってなくてもそれなりになったり…
私の場合、子供にきちんとした教育を受けさせて、それなりの学校へ進学させて、自分で選んだ企業に勤めて、生活に困ることなく育ってほしいと考えていましたが、全く理想どおりになりませんでした。
でも、元気で幸せに日々を送っている。
今後どうなるか分かりませんが、もしかしたら変化があるかもしれない。とにかく、夫や子供を中心に据えず、自分を第一にして生きてみようとか思うことができました。