山形浩生のレビュー一覧
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「経済発展によって、もう世の中からは貧乏なんてなくなる」と言われて久しいが、しかし実際のところは格差だけが広がり、貧乏な人はあいかわらず貧乏のままだ。世の中がこんなに豊かになっているにもかかわらず、貧乏人は貯蓄の手段がなく(ので貯蓄もせず)、保険にも入れず、事業のための借り入れもできず、結局貧乏から抜け出す手段がない。貧乏人への救いの手は途中にいる様々な人々によって搾取されて当人に届かない上、予防接種や基本教育のように効果が見え難い施策は今度は人々が見向きをしないのだ。
そんな現状を打破するために、ランダム化対照試行をひっさげて「貧乏を打破するボタン」を探して回る著者たちの研究成果をまとめた一冊。マイクロファイナンスも医療の拡充も、貧乏を根絶する銀の弾丸にはなり得ないが、状況を良くしていることは確かであり、正しい人々に正しいプロモーションで正しい仕組みを届ければ、貧乏は少しずつ改善されるのだという、経済学と社会学と心理学を組み合わせたような一冊。 -
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「資本とイデオロギー」という題名だが、内容は、格差というものは何か、それが悪化している現在はどんな世界なのか、それを克服出来るのか、を歴史と膨大な統計を使って分析する壮大なもの。
著者の主張ポイント(最も危機感を持つ未来予測)は、バラモン左翼と商業右翼の権力(ブルジョアブロック)の思い上がり(高所得者有利の政策・高教育インテリ富裕層の過度な称賛)が、社会の混乱に憤激する大衆の暴走、つまり暴動を伴う移民排斥や自国中心主義の台頭を許すのではないか、というもの。
今日の民主主義の混乱は、市民的、政治的な領域において、経済学が他の社会学から独り歩きしすぎたのが原因。経済学者は、「持ち合わせてもいない技能や分析能力の独占」をたびたび主張したがる930
2013年にフランス社会党政権は同性婚を合法化した。これには実践カトリック(月に一回以上教会に通うカトリック)とイスラム教徒投票者双方が非難した。しかしそれでもイスラム教徒投票者の9割以上は左派政党に投票した。これは、同性婚の問題など些末で、危機的なのは自分たちを国外追放することを堂々と政策に掲げる右派(国民戦線ら)の台頭だから。左派政党は右派のこの政策に真っ向から反対する718
フランスの社会党・共産党は戦前から前後にかけて資産・所得課税による国営事業や福祉などに力を入れた。そして賃金労働者を最も重要な支持者としたため、彼らには様々な控除を用意した(そのため彼らは実質、無増税であった)。しかし低所得の自営業者(農民・商人・職人)には「彼らは所得を過小申告する不正」をするので、控除を認めないか、複雑な確定申告を要請した。これが農民・商人・職人の左派不審になった708
2000年くらいまでは教育水準の低い者が左派に投票して、高い者が右派に投票していた。これが21世紀になると教育水準の低い者は右派に投票し、高い者は左派に投票するようになる。この傾向は年々大きくなっていく。それはイギリス、フランス、アメリカどこも同じ傾向。左派政党は労働者の党から高学歴の人々の党へと変身した。左派を支持する高学歴を「バラモン左翼」と呼ぶ695
ロシア帝国は末期に多くの債権を発行した。ロシアフランス同盟や、ロシアの賄賂の影響で「ロシア債権は安全で堅実」キャンペーンがマスコミで展開された。これにフランスをはじめ欧米諸国の富裕層が反応して大量の債権を買った。しかしロシア革命が起こるとソヴィエト政府は債権の全面的償還拒否をした。米英仏はソヴィエトに兵を送ったが無駄に終わった。420
日本の王政復古による急速な社会ー経済的近代化の実現は、前代未聞376
「アファーマティブアクション」はアメリカで生まれたのではなく、独立後のインドで始まった345
ヨーロッパがインドを「発見」したのは、ポルトガル王国がイスラム教国を挟み撃ちにできる国、はるか遠方にある未知のキリスト教国「プレスタージョンの王国」を探すことから始まった。そこでバスコ・ダ・ガマが探険にのりだし、喜望峰を発見してアフリカ東海岸沿いを訪ねたが、どこにもキリスト教国は無かった。そこで更に船を進めインドに到着して、ケララ州のヒンドゥー寺院を発見し、これを「キリスト教の神殿」と誤解して、リスボンに帰り「ありました!」と報告したから323
インドのカーストでは道徳と規律が重要視される。菜食主義やアルコール禁止など。そのなかで特に性欲・愛欲には厳しい。そのため未亡人の再婚がタブーであり、思春期前の少女の結婚が重要視される313
植民されたアメリカ大陸が20世紀を迎えると、南北で違いが起きた。南(ラテンアメリカ)では人口の大半がネイティブ・奴隷・白人の混血となった。対する北は、人口増加したがほとんど混血が進まなかった253
ハイチは1805年に歴史上初の黒人奴隷反乱と、独立宣言を行った。やがて、1824年独立は承認されるが、その条件に、フランスのハイチ奴隷主に「奴隷を手放した損失補てん」が含まれていた。ハイチ政府はこれを完済するのに130年かかった。218
歴史を決定論的に読むよりも、過去の出来事を思想の十字路や分岐の可能性として見るほうが興味深い122 -
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アメリカの経済学者による無形資産について述べた本。企業が発表する財務諸表では、有形資産のみが記されているが、「のれん代」といわれる資産やシステムやソフトウェア、ガバナンスや教育など、企業の経済活動に大きく影響する無形資産の価値が、大きくなってきている。しかしながら、この無形資産はその価値を数値化しづらく、影響も測り難い。これら無形資産の特徴を纏めており勉強になった。内容はやや発散的であり、体系的ではないところが残念。
「あのライト兄弟は、世界初の飛行の後で、もっと優れた飛行機の開発に時間を費やすどころか、特許を侵害していると思った競合開発者と戦うのにほとんどの時間をかけていた」p14
「雇用と解雇に制約の多い国は有形資産に多くを投資し、無形資産への投資は少ない」p44
「(コンピュータによる定型作業の置き換え)電話交換所での交換作業、生産ラインでの反復作業、銀行での現金払い出しなどだ。そして過去数年でコンピュータはさらに賢くなった。飛行機の搭乗券を発券し、スーパーでレジ打ちをして、電話でありがちな質問に答えてくれる。こうしたコンピュータがますます安くなると、企業は低技能労働者をコンピュータで置き換えるほうがずっと得になる。その結果、労働者の需要は下がり、したがってその賃金も下がる」p181
「企業戦略、経営、会計、経済学の専門家に投げかけるべき最も重要な実務的質問は「どうすればうちの企業が他を出し抜けるだろうか?」というものだ」p275
「(無形資産についての本書の結論)
1. 有形資産から無形資産への長期的なシフトが起こっており、今なお続いている。
2.このシフトの大半は企業のバランスシートや国民会計に登場しない。会計士や統計学者は無形支出を投資としては計上せず、日常的な経費扱いにするからだ。
3.無形資産が生み出す無形の知識ベースの資産はスケーラブルで、サンクコスト(埋没費用)を持つ。そしてその便益はスピルオーバーし、他の無形資産とシナジーを示しがちだ」p353
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■■概要・感想■■
○人類の歴史を振り返ったときに、OPENさを基調とした組織は発展し、クローズドな組織は発展しなかった。その実例たんまりで解説した本。
○これとFACTFULLNESSとを続けて読んだことで、自分の常識が古くて間違ったていたり、懐古主義だったりすることに気づくヒントを得られた。
○OPENであることの重要さとともに、Closedになってしまう心境、本能、実例などがある。両方の側面から見ることで、それでもOPENでいることは大事。というか、今まで成功した事例は、ホントはclosedにしたかったけど、openにせざるを得なかったという状況が、全体のレベルアップに貢献したということになったのだと感じた。 -
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才能ではなく努力
10000時間法則
著者は元卓球のアスリートとは知らなかった。好きこそ物の上手なれなのは間違いないけど、努力し続けられるエリアを持てる事こそ才能な気がする。そしてその様な環境を得られる運も大事。でも天性のものなんて無いと思えるとフェアな気がして生きる希望が持てるかもね。
部下やアスリートを褒める時は知性を褒めるのではなく、努力を褒めるのは大事というのはちょっと気をつけるかな。ついつい直感で君は優秀とか言ってしまうので…
読みやすいが、多少説明というか具体例が冗長な部分があって飽きる。プラシーボ効果の話とか最後の黒人アスリートの話とかはもっと簡潔でも良いのでは… -
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勉強の出来る人、スポーツで秀でた結果を出す人などに体して、生まれ持った才能と片づけてしまう事が多いが、著者は卓球でイギリスチャンピオンとなり、オリンピックでイギリス代表になった。
その著者が「才能なんてものはなく、すべては努力」と言っている。
タイガーウッズやベッカムなど、スポーツで世界を魅了する選手は、小さいときから、自分の意思で練習を練習とも思わず、何度も自分の限界を超える練習を続けていた。
傑出するために近道がある証拠は一切無い。と言うセリフは有機をもらえる反面、成功の会議を握るのは才能ではなく練習なのだ。と言う言葉は、自分のこれまでのしてきたことを振り返り反省すべき点が数え切れないほどあるなと暗くなってしまう。
より賢く、より深く、より目的を持って訓練(練習)する目的性訓練をすることが、実力を飛躍的に向上させる練習方法 -
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15 現状
26 イタリア、アメリカ、フランスのポストモダニズム
33 近代主義的二分法(客観的普遍性と主観的個人)から、それに対する懐疑主義によって局所的ナラティブ重視=文化構築主義へ
35 ポストモダニズムの原理と主題
40 リオタール
44 ポストモダニズムの左翼性(人類がもつ抑圧的権力構造は非難されるべき)
45 反証可能性よりも理論的原則と世界観に依拠
67 クレンショー「インターセクショナリティ」
82 ポストコロニアリズム
110クィア理論
115 リベラルとポストモダニズム
116 規範性を排した接頭辞 hetero cis thin
117 クィア理論とは
121 フーコー
124 クィアの政治目標
127 バトラー
129 パロディの政治
134 セジウィック
137 リベラルフェミニズムやLGBTアクティビズムとの違い
138クィアへの批判
146 白人の人種差別廃止
148 貧困から言説と権力へ
189 リベラルフェミニズム
192 多様性
205 障害の社会構築主義的見方の変遷
7章まで -
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「才能」とは「努力」である、と言うこの書。様々な意見、評価、立証等が載っているが「才能は結局努力次第」とある、が果たしてそうだろうか。天才などもって生まれた才能は努力ではなく「環境と他人が、家族が見出した結果」でもあると思う。一般的な「才能」とは「努力」も大きな要因だが、体内・脳内に潜む持って生まれた「天性」が必ずやある(才能=特技)と私は思う。スポーツのできない人に「努力」でスポーツ選手になれと言ってなれる人はいないと同じで、人間には「天性」があり、それは人それぞれの「才能」が隠れているだけだと信じたい。「天性」があるから「努力」でその才能が伸ばせるのだと、信じたい。ゴルフプロの双子(岩井姉妹)の優勝は、そんな背景があると信じたい。
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1 どんな本?
遺伝的に決まる才能なんてもの存在せず。傑
出性は目的を持った練習とフィードバックのル
ープで決まる事を説く本。人種の特徴にまで言
及した本は初めて見た。
2 なんで読んだの?
(1) 子育てに役立てたいから。
(2) 教育に役立つ知識が欲しい。
(3) 具体的な教育の仕方を更新した状態。
3 構 成
3部10章構成310頁
自伝バイアス、著者の卓球経験から始まり、
人種の色眼鏡を捨てる事ができたならば世
界を変える事ができると締めくくる。1/2は
本書の主眼である才能と言う幻想に費やさ
れている。
4 著者の問題提起
傑出するのに才能が必要だと思って無いですか?
5 命題の至った理由
卓球の英国代表だった著者の考察から生まれ
た疑問。その疑問を解決する科学的根拠から。
6 著者の解
傑出には努力の量と質が大事(運も)遺伝的
な物は関係が薄い。
7 重要な語句・文
(1) 傑出才能説
(2) 才能至上主義
(3) 神秘の花火
(4) 関連性がモチベーションを産む
(5) あがりのメカニズムとその回避法
(6) フィードバックループ
(7) 成長思考
(8) 行動を褒める。
(9) 能力は褒めない。
(10) 感情は皆一様に遺伝子に組み込まれている。
8 感 想
既知のリマインドにもなったし、新たな学び
にもなった。
刺さったのは人種にすら遺伝的特徴は薄い事。
外見ぐらい。私の偏見が薄らいだ。世界は一つ
になれると感じた。
深く知りたい事は内的動機の出し方。やる気
を出す事ができればなんでも出来ると思う。
人に勧めるなら目的性訓練とフィードバック
ループ。誰もが何にでもなれる。
私がタイトルをつけるなら「才能を否定する
科学」
9 TODO
(1) 子供の能力を評価しない。
(2) 子供の行動を褒める。
(3) 失敗なんかない事を伝える。
10 問 い
人間とは?
11 答 え
皆一緒