あらすじ
≪資本収益率が産出と所得の成長率を上回るとき、資本主義は自動的に、恣意的で持続不可能な格差を生み出す≫ 経済的格差は長期的にどのように変化してきたのか? 資本の蓄積と分配は何によって決定づけられているのか? 所得の分配と経済成長は、今後どうなるのか?
決定的に重要なこれらの諸問題を、18世紀にまでさかのぼる詳細なデータと、明晰な理論によって解き明かす。格差についての議論に大変革をもたらしつつある、世界的ベストセラー。
「本年で、いや、この10年で、最も重要な経済学書になると言っても過言ではない」ポール・クルーグマン(プリンストン大学教授)、「地球規模の経済的、社会的変化を扱った画期的著作だ」エマニュエル・トッド(フランス国立人口統計学研究所)、「時宜にかなった重要書だ」ジョセフ・スティグリッツ(コロンビア大学教授)、「かれの解決策に賛成するにせよ、しないにせよ、資本主義を資本主義から救おうとする人たちにとって正真正銘の課題だ」ダニ・ロドリック(プリンストン高等研究所教授)、「この事実の確立は、政治的議論を変化させる、ノーベル賞級の貢献だ」ローレンス・サマーズ(ハーヴァード大学教授)、「かれの研究が、スマートな人たちを富と所得格差の研究に惹きつけることを望む」ビル・ゲイツ、「情報の豊かさがすばらしい」ロバート・シラー(イェール大学教授)
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Posted by ブクログ
格差が生まれる原因に興味があり読んだ。
多くの人が望む資本の蓄積に拡大再生産する性質があり、放置すると格差の固定化につながる、との結論は驚いた。
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データのまとめ方が秀逸。
そして、恒常的に資本収益率が経済成長率を上回る状態が世界各国に何をもたらすかということを真剣に受け止めなければならないのだと理解した。
格差社会化は日本に限った話ではない。これが行きつく先はどんな世界なのかと思うと希望がなくなってくる。
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8年ぶり再読。2024年現在の状況は日経平均最高値更新、なかなか増えない名目賃金とまさにr>gの世界であり、ますます本書の指摘通りとなっている。
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時間が有り余っている学生時代に読めておけて本当に良かった。
r > g の原則を知らずに社会人として社会に放り込まれていた可能性を考えると怖くなる。
中々裕福になれないやるせなさを感じるも原因は分からない。なぜなら資産の大半は上位層がガッツリ確保しており、それを使って芋ずる式に不労所得を蓄えているのだから。
歴史から得られる原則と、信用性の高い数字と向き合う大切さを学べた。
様々な事象や通説が重なりあって経済は動いている。
あとは読解力がかなり増した気がする。本書を読む前後では、他の本を読む時の理解力が断然に違う。
本書に出会えたことに感謝を。
Posted by ブクログ
5年以上、積読だった本。きっと一人じゃ読まないままだ、と思い友人を巻き込みたった二人の読書会を企てました。二週間に一部ずつ読んで、週末2時間zoomで語り合うという方式です。全4部構成を4回で読み終わりました。ものすごい達成感!ノートを取りながら読書したの学生以来か。夜、夕食後に自宅で集えるzoomという仕組みに感謝。いやいやこの試みに付き合ってくれる友人の存在することが最大の幸せ。大昔、パルコのコピーに「本読む馬鹿が、私は好きよ。」というのがありましたが、本を読む馬鹿仲間は宝物です。この読書会と同時に読んでいた「人新世の資本論」でピケティの新刊「資本とイデオロギー」が出ることを知り、次のテキストはそれにするか?その前に、もう一発、別の読むか?そんなやりとりも楽しいです。
Posted by ブクログ
「資本収益率が経済成長率を上回っている状態だと、どんどん格差が拡大していく」ということの問題点と解決方法が提示された本。
私個人的には格差社会などの社会問題が極限の状態にまで行きついたら、暴動や反乱、カリスマ指導者によって現状が打破されるといったイメージがあるが、著者は歴史的事実と彼が考えた合理的な制度の提案で解決方法を述べている。
自分の生活を豊かにするために資本収益に手を伸ばしてもいいが、その一方で貧しくなっていく人もいることになる現在の経済のありかたに疑問を持たなければという視点が生まれる一冊でした。
Posted by ブクログ
富の分配について、歴史的な観点から分析を行っています。ややこしい数式はさておき、資本所有における格差の大きさがポイント。ピケティ現象が政策に反映されることはあるのだろうか。
Posted by ブクログ
フランス人経済学者による、資本主義について書かれた本。
著者は、r>gという不等式を使って、過去に蓄積された富が、労働賃金の成長より上回ることを問題視している。フランスをはじめ、イギリス、ドイツ、イタリアなどのヨーロッパ諸国、あるいは米国、日本などに関する豊富なデータをもとに、論理を展開しており、論理的で説得力がある。問題解決策として、累進的な資本税の導入を主張している。
マルクスやレスター・サローと資本主義に関する分析は大きく違わないと思うが、不完全にしろデータの裏付けがある分、より学術的アプローチに挑戦していると言えるのではないか。
「資本主義は自動的に、恣意的で持続不可能な格差を生み出し、それが民主主義社会の基盤となる能力主義的な価値観を大幅に衰退させることになる」p2
「産業革命以来、格差を減らすことができる力というのは世界大戦だけだったことがわかる」p9
「マルクスの主要な結論は、「無限蓄積の原理」とでも呼べるものだ。つまり、資本が蓄積してますます少数者の手に集中してしまうという必然的な傾向だ。これがマルクスによる資本主義の破滅的な終末予測の基盤となる。資本収益率がだんだん下がってくるか(そうなると蓄積の原動力がなくなり、資本家同士の紛争が起こる)、国民所得における資本の比率が無限に上昇するか(そうなると遅かれ早かれ労働者たちが団結して反乱を起こす)。いずれにしても、安定した社会経済的、政治的な均衡はあり得ない」p11
「相続財産を持つ人々は、資本からの所得のごく一部を蓄積するだけで、その資本を経済全体より急速に増やせる。こうした条件下では、相続財産が生涯の労働で得た富より圧倒的に大きなものになる」p29
「過去の成長は、ほぼ常にかなりゆっくりした年率で生じており、通常は年率1~1.5%程度の成長でしかなかったのだ。年率3~4%以上の成長は、他の国に急速に追いつこうとしていた国で起こったものだけだ」p99
「ドイツは20世紀、どの国よりも、インフレで公的債務を埋めてしまった国だったと言える。両世界大戦で二回とも巨額の財政赤字を出したのに、いずれの場合もインフレによって負債はかなり低い水準まで急減した」p149
「1800年、奴隷は米国人口の約20%を占めていた。総人口500万人のうち、奴隷はだいたい100万人。南部では、奴隷が占める比率は40%に達した」p167
「長期にわたる純粋資本収益率の安定(18、19世紀は4~5%、現在は3~4%)は、たいへん重要な意味を持つ」p214
「最初に気づく規則性は、資本の格差が、労働所得の格差よりも常に大きいということだ」p254
「(財産構成)トップ十分位のほとんど全員が持ち家だが、不動産の重要性は富の階層を上がると激減する。トップ百分位では、金融、事業資産が不動産を凌駕する。資産1000万ユーロ以上では、不動産は10%以下で財産の大半は株だ。住宅は中流階級と小黄金持ちに人気の投資だが、本当の富は常に金融、事業資産が主体なのだ」p269
「今日では、資本所得が労働所得を上回るには、社会階層のずっと高いところまで登りつめる必要がある。資本所得が労働所得を超えているのは所得配分の上位0.1%に限られる」p286
「金融危機があっても米国の格差の構造的拡大は止まっていない」p307
「(米国)2000~2010年の所得階層上位の0.1%の大半がトップ重役だと言える。スポーツ選手や役者、さまざまな分野のアーティストは、グループの5%以下でしかない」p313
「長い目で見て賃金を上げ賃金格差を減らす最前の方法は、教育と技術への投資だ」p325
「どんな社会でも、富を蓄積する過程は主に二つある。労働と相続だ」p394
「(世界の富の格差)トップ千分位が世界の富の約20%、百分位が約50%、十分位が80~90%を所有している。下半分が所有しているのは、どう見ても5%未満しかない」p454
「(1990~2010年の資産変化)ビル・ゲイツは、10年以上「フォーブス」ランキングの第一位に君臨したが、その資産は40億ドルから500億ドルに増加している。ロレアルのリリアンヌ・ベタンクールは、20億ドルから250億ドルに増加している。どちらの財産も、1990~2010年の年間成長率は13%超で、インフレ調整後の実質資本収益は10、11%相当だ」p456
「報告されていない巨額の金融資産がタックス・ヘイブンに存在する。ガブリエル・ズックマンの推計によると、世界のGDPのおよそ10%に相当する。これを上回る(最大で2,3倍の)推計を出したNGOもある」p484
「保健医療・教育への国家支出と代替・移転支払い(年金、失業保険)を足すと、社会支出は総額で国民所得の25~35%となる。これは20世紀の富裕国における政府歳入増加のほとんどすべてを占める」p498
「70%以上の税率を試してみた最初の国は米国だった」p528
「(米経済学者)経済的、金融的なエリートたちは、自分の利益を死守するためなら、天井知らずの偽善ぶりを発揮する。かれらは、米国の所得階層の中でうらやむべき地位にいるのだ。自分の私的利益を擁護しつつ、それが一般の利益を守る行動なのだというあり得ない主張を平気でする。どうも米国の政治家たちは、民主党だろうと共和党だろうと、ヨーロッパの政治家たちよりもずっとお金持ちであり、平均的な米国人とは全く違う区分に属しているらしい。これでなぜかれらが、自分の私的な利益と社会全体の利益とを混同しがちなのか説明がつくのではないか」p537
「(中国が資本統制をしていること)この点で中国は明確に有利であり、資本統制で中国を負かすのは困難だろう」p563
「政府が支出をまかなう方法は主に二つ。税金と負債だ」p567
「(巨大な公的債務を減らす方法)手法は三つある。資本税、インフレ、緊縮財政だ」p568
「不安定化をもたらす主要な力は、民間資本収益率rが所得と算出の成長率gを長期にわたって大幅に上回り得るという事実である」p601
「不等式r>gは、過去に蓄積された富が算出や賃金より急成長するということだ」p602
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ジャック・アタリのように数字で押しまくるページもあればバルザックからの長い引用もあり、教養の深さの見せ方もさすがといったかんじ
14章、15章は近〜現代の各国の制度における功罪について述べており興味深い
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19世紀から20世紀にかけての世界のお金の流れを、今までにない規模でのデータから集約、分析し、資本主義のなかで拡大する格差に歯止めが必要であると訴える書。
ふとしたきっかけから手にした、ピケティ『21世紀の資本』。
本文、およそ600ページ。
経済の話、苦手だし……、読んでもわからないかもしれないし……。
読まない理由はいくつもあったけれど、2010年代を代表するベストセラー、せっかくならどんな本か知りたい!と1ページ目から体当たりしていくことにしました。
さいしょは「資本」とか「所得」の用語が出てくるたびに、意味が頭に定着していないから、いちいち立ち止まっていました。
ノートにメモをとって、付箋をはって見返して。
くりかえしていくごとに、少しずつ定着して、第2部あたりからは、わからないなりにもなんとなく本のリズムにのって目を動かせるように。
基本的に、集約したデータの結果をグラフで示して、その内容を解説していく形式なので、経済に詳しくなくても案外(?)読めるな、というのが途中からの感想。
けっきょく、議論の詳細や深みを追うことはできなかったけれど、世界を流れているお金の量や、階層ごとの格差の規模感は、なんとなく肌で感じることができました。
とくに、上位1%の人々が所持している資産って、莫大だなあ。
これだけ資産があったら、好きな本を値段を気にせずいくらでも買えるかしら。
本書(5500円+税)をネットで注文したとき、クリックする手がふるえた本読みとしては、うらやましいかぎりです。
「あらゆる市民たちは、お金やその計測、それを取り巻く事実とその歴史に、真剣な興味を抱くべきだと思うのだ。お金を大量に持つ人々は、必ず自分の利益をしっかり守ろうとする。数字との取り組みを拒絶したところで、それが最も恵まれない人の利益にかなうことなど、まずあり得ないのだ。」
最後を締めくくるこの言葉が身に沁みる。
とりあえず、私は経済のもう少し基礎的な部分を学べる本をまた探して読んでみよう。
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この本の3分の1は、「21世紀の資本」という本の代名詞のようになっている r > g(資本利益は経済利益を上まわる)という式の解説である。残りの3分の2は、格差と資本集中の解消に資本に対する累進課税と、相続税への課税の有効性、政治と経済の関係についての考察である。とくに終わりにちかい50ページについては、EUの抱える問題点に言及がある。経済というと、様々な数式や、理論があるが、現実はどうだったのか。資料を集め精査し、経済理論の様々な色眼鏡を外してみると、事実が見えてきた。というかんじなのだ。いくつか、象徴的だと感じる瞬間が読んでいてある。たとえば、累進課税方式が格差をなくすための知恵の産物かと思いきや、大戦の戦費の穴埋めの目的で導入された事実などは、そう考えるとその結果は、偶然に近いものなのではないか。中間層があるのは、なにも、社会が進歩したというわけではない。放っておけば、いつかはもとの格差にもどるということなのか。考えることは、たくさんある。この本は、あまりに厚い。ここに書ききれないほどたくさん興味深いことが書かれているし、それぞれについて考えるとおもしろそうだ。私は、一回に読む量を小項目2こまでとし、一冊よみあげるまでに、ガイド本を2冊読んだ。途中で読んだ内容が、書かれている内容を読み取れているか、不安になったからだ。今、ウクライナとロシアの戦争は、経済に打撃と影響を与えているけれども、ピケテイは、どんなふうに考えるのだろう。
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トマピケティの代表的な名著
資本主義はいずれ資本の均等化、貧富の差は縮まるとするクズネッツ仮説を否定して、富めるものはより富み、貧するものは永久に貧する事を膨大なデータにより(r>g)証明せしめた、いわば現代の黙示録である。
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トマ・ピケティ(1971年~)は、フランスの経済学者。2002年にフランス最優秀若手経済学者賞を受賞。パリ経済学院設立の中心人物、教授。社会科学高等研究院の研究部門代表者。
本書は、2013年にフランス語で発表され、2014年4月に英語版が発売されるやベストセラーとなり、同年12月には日本語版が出版されブームとなった。30ヶ国以上で翻訳され、経済学書では異例の300万部以上を売り上げている。また、2019年には、ピケティ本人が出演するドキュメンタリー映画が公開された。
私は従前より、世界中で格差を広げる資本主義に問題意識を持っており、これまでも、ジョセフ・スティグリッツ、水野和夫、広井良典(社会学者)らの本を読んできたが、近年の斎藤幸平のベストセラー『人新世の「資本論」』を読むに至り、あまりの大部であるがために敬遠していた本書を手に取ってみた。実際には、予めネットで本書のポイントを押さえ、その部分を中心に飛ばし読みをしたが、著者の言いたいことは極めて明確なので十分だったように思う。
論旨は概ね以下である。
◆長期的なデータによると、資本収益率(r)は概ね4~5%、先進国の国民所得の成長率(g)は1.5%程度であり、r>gである。これは、資本(不動産や金融商品)の増加率は所得の増加率を上回っている、即ち、資本で稼ぐ人と所得で稼ぐ人の格差は広がっていることを示し、これが資本主義の根本的矛盾である。また、<資本主義の第1基本法則>資本分配率(α)=r×資本ストック(β)なので、先進国のβを概ね国民所得の6倍程度であり、r=5%とすると、α=30%となり、国民所得の分配は、労働による所得:資本による所得=70%:30%となる。
◆また、<資本主義の第2基本法則>β=貯蓄率(s)/gなので、国民所得の成長率(g)が低くなるほど資本ストック(β)は増え、資本分配率が上がり、格差が拡大する。
◆格差の拡大という矛盾を解消するためには、(ユートピア的提案ではあるが)保有資産の透明化や、巨額の資産への世界共通の累進資本課税が必要である。
本書の特徴は、著者が15年をかけて収集した20ヶ国/300年分のビッグデータ(このデータだけでノーベル賞の価値があるという研究者すらいる)に基づく分析にある。理論的ではないとの批判もあるようだが、著者は、経済学者の多くが数理的な理論の研究に偏りがちであることに疑問を呈し、「(歴史的に)実際の数値はどうだったのか」を知ることに立ち戻るべきと語っており、まさにその点が本書の狙いだったのだ。
また、『資本論』を想起させる題名にもかかわらず、マルクスの主張とは大きく異なる(資本主義には不平等が内在しているという点のみ共通している)ものであるし、資本主義システム自体を否定してもいない。しかし、格差の拡大という資本主義の抱える最大の問題のひとつをデータで明らかにしており、ジョセフ・スティグリッツ、ポール・クルーグマンらニューケインジアン左派の経済学者の主張に近く(実際に本書は彼らからも称賛されている)、延いては『人新世の「資本論」』とも親和性があると言えるだろう。
資本主義の矛盾・限界と、修正のアプローチの一つとして、概要だけでも知っておく意味はある。
Posted by ブクログ
才能ある人に大きな報酬を与えて才能を開花してもらえば、社会の生産性が高まり経済が発展して、結果として最下層の人々にも恩恵がある(クズネッツ)というわけではない。80年代以降、先進国の経済成長率は低下している。賃金は経済成長率と同じくらいしか増加しない。一方、金融や不動産など、資産を投資して得られる収益率は増大している。経済成長率が、資産からの収益率よりも低ければ、収入格差は広がっていく。労働者が経済成長によって得る所得の増加幅よりも、資本家土地や株式で得る利益の方が常に大きいので、不平等が拡大した。資本の格差は相続によって固定されている。所得(フローへの課税だけでなく、資本(ストック)への課税を増やすべき。トマス・ピケティ『21世紀の資本』2013
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日本と米国は、1900年~1940年まで、上位0.1%の所得シェアは8%前後と高かった。その後、1950年~1970年まで、日本と米国の上位0.1%の所得シェアは2%前後になった。その後、1980年~2012年まで日本の上位0.1%の所得シェアは2%前後を維持している。一方、米国では1980年~2012年まで、上位0.1%の所得シェアは急上昇を始め、9%を越えた。森口千晶
Posted by ブクログ
データを集めること。そのためにも各国各企業が透明性のあるようにすること。そして、稼いだお金でなく所有するお金に累進課税をかけるべきだということ。恐慌、大戦のショックで経済に多くの影響を与えたこと。そして持ち直ししたが、19世紀とは比べられないくらいに複雑になったこと。インフレは20世紀に発明されたものであること。数字に細かくならないこと。民主的に解決すべきであること。経済学は歴史学、政治学、人類学、文学などと共に立ち上がらなければならないこと。
以上、頭に残っていること。
Posted by ブクログ
長い上に難解で、理解できなかった部分があった。要するにピケティが言いたいことは「過去から現在までr(資本収益率)はg(国民所得成長率)を上回ってきたから、このまま何の手も打たなければ格差はどんどん開いていくよね」ということだと理解した。この「何らかの手」とは、「教育」と「(累進的)資本課税」だとピケティは主張する。しかしこの実現には高度な国際政治的協調が必要で、難しい。それでもこれを目指していくことが大事だという。
データが豊富で、非常に説得力がある。経済学や金融財政学の知識をもっと増やして、もう一度戻ってきたいと思える一冊。
Posted by ブクログ
ようやく読み終わりました・・・注釈含めると700Pの大作・・・読破するには覚悟が要ります・・・
自由な資本主義の行きすぎにより留まるところを知らず拡大した格差。ピケティの主義主張は一貫して、「累進課税」。資本税の導入だという。不労所得にも税をかけること。確かに。寝かせられるだけのお金をたくさん持っていればいるほど、その人は働かなくても食っていける。そうすると富めるものはより富み、持たないものはより細る。ただし、資本税が有効に働くのは、すべての国の銀行口座情報がガラス張りになっていること、これがないと、今横行している税金逃れが続いてしまう。
コロナで世界中で景気が停滞し、失業者が出る一方で、今までの生活を続けられるものがいる。コロナ中に本著を読むと、同意する点が多い。NHKでたまに報道する資本や経済の特集でいろんな学者が登場するけど概ね同じようなこと言ってるように思う。
また、気づいたことの一つとして、ピケティはかなりの文学の読書家でもあるということだ。経済学者だから経済の本ばかり読んでいるのかという先入観は持ってはならない。この本にはゴリオ爺さんや、pride and prejudicsといった文学作品が多々登場し、その生活ぶりから当時の貧富の差、貴族の所得等が説明されている。こういう人は多くの間口から学ぶし、実際に「終わりに」では、経済学者は計算ばっかりしてないで、社会や政治にも関わって考えるべきということを述べている。
結局私はこの本の600pで経済のことはちょっとしか学習できなかったかもしれないが、少しは見識が広まったかな。そうであれば良いな。
Posted by ブクログ
「資本収益>経済成長」という経済格差問題を超超超絶長い紙幅で論じた本
リーマンショック後の影響もありこれでピケティが世界的に有名な学者になった
補足として、『21世紀の資本論』は解説本が魍魎跋扈しているが、
あまり読む意味のない本が多いのでネットにある訳者解説を見るべき
Posted by ブクログ
経済書としては良本だと思うが、読むのに凄く時間がかかる。
グラフなどたくさん書かれているが、統計していない時代も多いため、正確かといえばそうでもないように感じた。
経済の用語や見方、資本社会の全体の流れを知るにはいいと思う。
Posted by ブクログ
読み切った!!!!が素直な感想。
今まで読んだ本の中で一番文量が多く、他領域の話で読み切るのがしんどかった。
でも最初に他の解説本を一つ読んでおいて良かった。
今目の前に起きているお金・経済的なことに対して、長期的な目線で俯瞰して物事を捉えられるようになるかもしれない、いい本だと思えた。
格差はこれだけ広がっているんだなと。このままいけば、もっと広がるんだなと。21世紀、自分が生きている中で、どういう行動・思考をしたほうがいいかをじっくり考えさせてくれる本だと思えた。
自分がこの経済をどうにかしようとは流石に思えなかったが、仮に自分が資本的に裕福な状態になったとしても、ピケティが提唱していることに対しては、賛同できるだろうなと思えた。
Posted by ブクログ
持てる者と持たざる者が延々と続いてきた歴史と、これからも現代の低成長時代が続く限り、格差社会はどんどん拡大されるんだと思うと虚しさを感じる一方で、そんなに人類が好き放題に地球や自然は放って置かないんじゃないかと思う。
Posted by ブクログ
分厚いし難しい。
r>g
資本収益率は経済成長率を上回る。
投資の重要性を再認識した。
貧富の格差を是正するための方法が詳らかに書かれていたのが印象的。
累進資本課税というのが出てきたが、現在の日本で施行されている累進課税ではだめなのか疑問。
Posted by ブクログ
はじめに
第1部 所得と資本
第1章 所得と算出
第2章 経済成長―幻想と現実
第2部 資本/所得比率の動学
第3章 資本の変化
第4章 古いヨーロッパから新世界へ
第5章 長期的に見た資本/所得比率
第6章 21世紀における資本と労働の分配
第3部 格差の構造
第7章 格差と集中―予備的な見通し
第8章 二つの世界
第9章 労働所得の格差
第10章 資本所有の格差
第11章 長期的に見た能力と相続
第12章 21世紀における世界的な富の格差
第4部 21世紀の資本規制
第13章 21世紀の社会国家
第14章 累進所得税再考
第15章 世界的な資本税
第16章 公的債務の問題
おわりに
凡例
図表一覧
原注
索引
Posted by ブクログ
過去最も難儀した本の一冊。
長いし難しいし。
でもたまには苦労しつつもこういう難解な本を読むべきだとも思う。
なんとなく5年後、10年後ふと効果が出てくるんじゃないかと思わせる一冊。
Posted by ブクログ
r>g 「資本収益率が産出と所得の成長率を上回るとき、資本主義は自動的に、恣意的で持続不可能な格差を生み出す。」
いろんな国の税制データを駆使しながら、歴史を紐解きながら、上述の文章を証明していく本。
当たり前のことを当たり前に忠実に細かく記述していく作業。。 トマピケティは大変だっただろうが、読む方もめっちゃ大変な1冊。
Posted by ブクログ
やっと読み終わったが、行きつ戻りつしながら半年近くかかってしまった。
もうブームは去ってしまったのか・・・
富と所得の分配について再度考えさせられるきっかけになったこと、関連する日本経済構造のベースはアメリカではなくヨーロッパに近いことが再認識できたことは大いにメリットであったが、正直それ以外いまいち得たものがなかった。
私の意識が低すぎるのかも知れないが。
2回目
発刊当時は上記の様に感じたが、今になって書かれていることがようやく理解できるようになった気がする。
ピケティ少し先を行き過ぎていたのかも知れない。これから再評価されるのではという気がする。
Posted by ブクログ
やっと読み終わった。長い。長いよー。
さんざん言われてるように、r > g(資本収益率 > 経済成長率)が議論の出発点。そしてそれが資本の集中と大きな経済格差につながること、その格差を是正するための政策を議論する。話としてはとてもシンプル。
それがこんな大著になるのは、世界中の膨大なデータを収集し、詳細に実証して見せているからで、そうして構築された議論はやはり力強いし説得力がある。
ただ、あまりに長く込み入っているので、通読するのはやはりしんどい。かといっていろいろ出てるピケティ本も玉石混淆ぽいし。とりあえず手っ取り早くおさえるには、山形浩生(訳者)の解説PDFがいちばんいいと思う。