【感想・ネタバレ】貧乏人の経済学――もういちど貧困問題を根っこから考えるのレビュー

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Posted by ブクログ 2023年02月28日

収益を得るにはある程度まとまった投資をする必要があるため,それ以下の投資では逆に貧しくなってゆく貧困の罠について,その有無を机上で論じるのは無意味でで,調査してどちらの場合になるのかRCTで確かめなくては問題は解決できない.この方針で,様々な調査結果が示される.
防接種率を,豆のオマケを付けることで...続きを読む向上させる著名な例の紹介.イデオロギーでは,右派からは無駄,左派からは不道理と言われる政策だが,それよりも実効性が重要と主張している.
イデオロギー ideology,無知 ignorance,惰性 inertia の3I問題のため,実効性のない政策が行われる.インドで親が学校の運営に関わる政策で,人々に権限を与えるイデオロギーに基づいて,人々の要求を知ること無く政策が立案され,それの結果が評価されずに惰性で維持される例など.
ドグマ・ルール指向の施策より,現実に有効なのはシステム指向であるという主張を支持する内容で,よく同意できる内容だった.

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Posted by ブクログ 2022年05月05日

1年前から少しずつ読んでやっと!RCTを経済学に応用してノーベル賞を取ったお2人。“人は生まれながらにして小さなコストを先送りし現在ではなく将来に負担させたがる”
膨大な研究結果を体系立てて平易にまとめて、経済学なのに現場感がひしひしと伝わってくる。翻訳も◎

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年02月23日

・貧乏な人は重要な情報を持っていないことが多く、間違ったことを信じている。魅力的で単純な方法でキャンペーンを実施。信頼できる情報源を。
・貧乏な人は自分の人生にあまりに多くの側面について責任を背負い込んでいる。意思決定の難しさ。お金持ちであれば、誰かが正しい判断を下してくれる。⇨先送り傾向⇨既に正し...続きを読むいと分かっていることをできるだけ実行しやすくすれば人生は大幅に改善する。
・一部の市場が貧乏人に提供されていなかったり、そこで貧乏人がかなり不利な価格に直面したりするのにはやむを得ない理由がある。
・貧乏だから失敗する、不幸な過去を持つから失敗確実ということはない。大いなる陰謀のせいではなく、詳細な政策設計における欠陥が原因。即ち、無知、イデオロギー、惰性。
・自己成就的な予言

⇨もっと細かくみよう。怠惰で紋切り型の発想を拒絶しよう。

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Posted by ブクログ 2021年11月10日

この本はノーベル経済学賞を受賞した本です。

この本は、「貧乏な人を救うにはどのような方法がいいのか?」という問題について、様々な研究や検証を行い答えを探していきます。
「援助は無駄である❕」という考え方や「どーんと援助しないと効果がないよ❕」など、様々な意見もあるなか、本当に必要なものは何か?を探...続きを読むしていくという内容です。

とてもいい本なので、ぜひぜひ読んでみてください

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Posted by ブクログ 2021年09月24日

10年も前に書かれたとは思えない、今現在の状況を表している。
貧乏人に寄り添う形でいろんな切り口で調査実験して問いかけている。食糧、医療、教育、家族、マイクロ融資や貯蓄について、漠然と感じていた事が間違っていたことも分かる。その根本に訴えないと供給ワラーだけでは解決しない。
貧困から脱する方法、この...続きを読む極貧状態の人々だけではなく、全ての人々にも大いなるヒントを示していると思った。
素晴らしい本で、海外援助などに関しても勉強になりました。

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Posted by ブクログ 2020年07月20日

タイトルの通り経済学についての本だが、人間の行動心理について書かれている部分も多くあり、そこが私にとってはとても興味深かった。

特に「時間不整合性」や「豊かな国に住む者は眼に見えないあと押しに囲まれて生活している」という二つの事実は、今後もずっと覚えておきたいと思った。
まず一つ目の時間不整合性は...続きを読む単純に言うと「今チョコレートを食べるのを我慢できないのに、来年にはダイエットに成功しているはずと思っている」ようなことで、これはとても身に覚えがある!いつも将来に過大な目標を立ててしまい、一方で現実は全く努力ができていない。いつもそう。
それは私がとんでもなく怠け者のせいなのかと思っていたが、人間すべてに共通する傾向であると分かり、安心した。「そういうもの」なのだとわかれば、それに即した対策が立てやすい。
二つ目のことについては、私は先進国に生まれた幸運への実感が足りなかったと反省した。蛇口をひねれば水が出てきて、娘の予防接種もすべてお膳立てされていて、医療機関への信頼も高い。この恵まれた環境が私の履いている下駄であることに気づくことができた。
今までは正直に思えば「貧乏人は何かしらの原因(低栄養、低IQ、教養の低さなど)で合理的な判断ができないのだ」と思っていた。しかし本書を読んで、それが事実ではないことが分かった。
そもそも貧乏人はそれぞれ「そのとき・その環境において合理的な判断」をしているし、私が自分で言う「合理的な判断」ができるのは、私が大きな下駄を履いているからなのだ。優れた人間であるからではない。もしこの本の中にあるような貧困の中にいたら、私も結局「合理的でないように見える」判断をし、行動しているのだろう。
このことは、「その人はいまの精一杯をやっている」という知見を与えてくれる。一見不可解な言動でも、その人の選択肢の中ではベストかもしれない、ということ。これは日常のいたるところで役に立つ考えだと思う。「その人は精一杯やっている」と思うことで、相手を慮ることができるし、「じゃあなぜそれが精一杯なのか?」と相手の背景に関心を持つ源流にもなる。


ほかにも様々な人間の心理が確かな実験データを用いながら説明されており、経済学に縁遠くても最後まで興味をもって読むことができた。
一つの包括的で普遍的な答えはないということ。
塊のように思えるものも実態は多様な問題の束であり、一つ一つ観察して調べ、内実を把握し、それに適した解決法を充てていくのが必要だということ。
本書を通じて主張されていることで、著者は最後に「静かな革命」という表現をしているが、それがとても大切なことで、真実だなと思った。一つ一つの取り組みは小さいものだし、その効果も地味に見えるかもしれないが、確かに意味があり、前進している。オールオアナッシングの誘惑に打ち勝たねばならない。
自分の人生に必要なのも、この「静かな革命」ではないのか?と感じた。

ただ、最後の第十章は読むのに苦労したし、たぶん理解できていない。自分の知識の不足を感じた。

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Posted by ブクログ 2020年01月26日

2019年にノーベル経済学賞を受賞した、インドの経済学者アビジット・バナジーとフランス人経済学者エスター・デュフロ(二人はご夫婦だそうです)の共著のこの本を頑張って読んでみました。
この本では経済、教育、農業、政治を通し、人間の心理まで考えます。
言葉が非常に丁寧で、貧乏な国や地域の問題を読者の多く...続きを読むがいるであろう先進国の人たちも身近に感じることができるような説明になっています。

そもそも「貧乏な国、家庭はずっと貧乏である」、つまり貧困の罠に囚われるということはあるのかということは、長年議論されています。
貧しいことに対して他者(他国)からの援助は必要なのか。この問題は「貧困に囚われているなら、一つの世代に“どん!”と後押しをするべきだ」という意見もあるし、「そのようなおせっかいはその国の自由市場を奪う」という意見もあります。
それぞれ調査結果により勘案されてはいますが、数字だけではわからないその国や人の事情があり、それを現地調査しなければいけません。
例えば「マラリアを予防すれば医療費はかからないし将来的に働き手にもなり、経済的に向上する」と分かっていても、蚊を避けるための蚊帳をお金を出して買う人が少ないとする。この結果をどう読み取るか。「蚊帳を買わない人は貧乏な人だ。将来的に良いことだと分かっていてもお金がない」と言う場合もあれば、「蚊帳を買わない人はお金持ちだ。コネで無料で回してもらえるから」という場合もあるというわけです。

こちらの本では、例えば2つの地域に別々のアプローチをして効果を確認したり、数字だけでは見えない実情を現地で調査したりしています。

私自身は世界情勢政治経済がとても苦手なので根本が分かっていなかったり理解できないことも相当ありますが、
しかしこの本を読んで貧しいことへの問題について非常に身近だと感じたことは多々あります。

❐食よりも大切なもの。
・1日1食しか食べられない家庭があったとして、収入が上がった(または補助する)としても、1日2食になるのではなくて、その1食が少し良いものになるということ。
人間は味気のないものをたくさん食べるよりも、ちょっといいものを(高いもの)買いたがる。
⇒私達が「安月給だけどスマホは必需品」と思うのなら貧困の人たちも「1日1食しか食べられないけれどカラーテレビは必需品」と同じように思うのです。

❐教育支援のこと
・子供が複数いる家では、収入が上がったとしても全部の子供を学校に行かせるのではなく、一番できる子供をより上の教育(高価な学校)により高度な教育を与えたがる。
・学校を作っても、子供自身が行きたがらない。
・学校を作っても教師がいない、またはやる気がなければ意味がない。
・「この学校に入りこの技術を身につけたらこの会社で雇い、給料はどのくらいです」と現実的に示せば就学率は上がる。しかし「そこまでおせっかいするのか。その国が精神的に独立しない」ということもある。

❐貯蓄の難しさ
・全員が先の見えない大成功のために努力をしたいわけではない。自分の知っている範囲での成功で良いという考えもあるとなると、貯蓄や融資を利用するほどでもない。
・家庭内で夫のほうが妻より決定権があると、女性の意見は取り入れられづらい。
・融資を受けた場合、返却する、しない、は地域ごとになる。たとえば一つの村はほぼ全員が返し、一つの村はほぼ全員が返さない。人間は周りと同じ行動になる。
・人は、明日の自分は今日よりも立派になっていると錯覚する。
⇒「今日はケーキを食べて、ダイエットは明日から★」が実行できない私たちにも心当たりがありすぎますねorz
・1年間肥料を無料配布し、現実的に収益が上がった。しかしその村で翌年の肥料を買う人は少なかった。現実的に成功を体験したし、収穫直後は「翌年も肥料を買います!」と言ったにも関わらず。調査したら「肥料がある店が遠すぎて行けなかった」「肥料を買いに行くまでに、別のものが必要になり、肥料代がなくなった」
⇒似たような心当たりはありすぎますねorz

ではなぜ「分かっているけれど教育を受けない」「分かっているけれど貯蓄できない」「人は堅実な医療行為を受けるため貯蓄や保険を利用せず、呪いや即効性のある注射を信用する」のか。
それは、教育や貯蓄や保険によった良い結果が現れるのは長い先であり、成功するかもわからないので「賭け」になります。そのため「大変だけれど将来のため勉強しよう」「目の前のお酒を我慢して貯蓄しよう」ということが難しいわけです。…いや、これまさに自分orz
さらには途上国では「安心できる」「強制的な」社会システムが構築されておらず、確実性がないということもあります。
そして先進国では、教育、医療、保険、法律などの「後押し」「おせっかい」を知らず知らずのうちに受けて生きているのです。(同じ国の中での貧富の差も、根本はその「おせっかい」に手が届かないということ??)

…とこのように、貧乏な国の問題と言われると、戦争が〜旱魃が〜などの事情に原因があると思ったり、どうして蚊帳を買わないの?などと考えてしまいますが、
貯蓄や保険や教育などまさに私達と同じ考え方であり、人間の考え方は変わらないのだなと思います。

この本では、どうすればよいというような解決はないし、私自身も自分がすぐできる効果的な行動もわかりませんが、
「貧乏人の経済学」を身近なものとして感じ、そして今自分が所属している社会のシステムを見回してみよう、という気持ちになります。

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Posted by ブクログ 2020年01月05日

2015年に読んでいたことが判明したので再読だったようだ。貧困問題に止まらず、様々な社会問題について、考えさせられるきっかけが豊富に含まれている。原書発売から10年を経ているが、色あせるどころか全く古びていないのが素晴らしい。

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Posted by ブクログ 2018年11月01日

貧乏人が貧乏であり続け、豊かな人が豊かになれる社会構造が理解できる。
人はカロリーの高さで食べ物を選ぶのではない。そのため餓死が起きる。
貧乏な人は重要な情報を知らない。
人生の多くの側面に責任を背負っている。すべて自分で決断しないといけない。やらないといけない。
貧乏だとサービスが受けられなかった...続きを読むり、不利な価格になる。
貧乏だから失敗確実ではない。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2017年03月11日

面白かった!薄暗い装丁だったのでどんよりした気分にさせる本なのかと思ったら、すっごい前向き。医者が患者に問診するみたいに、色んな角度からのヒアリングと施策と経過観察が繰り返し続く。しかし文章がとにかく長いのが玉に瑕。この粘り強いというかしつこい程の慎重さはどっかで?と思ったら、末の賛辞にピケティの名...続きを読む前があってやっぱりーと思う。各論より後ろの訳者評と総論から読んだ方が分かりやすいかなあと思った。
・正しい知識と情報が必要
・「正しい」判断のデフォルト選択肢が重要
・初期に無料提供した方がトータル安上がりの場合もある
・制度の改良によって改善できることは実は多い
・希望を持つこと、達成感を得ることが好循環の始まり
貧乏人に向けて、というのもあるけど自分のことを言われてる気がしてくるのが不思議。

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Posted by ブクログ 2015年12月10日

貧乏人がいかに貧乏から脱するか行動経済学を用いて、選択決定方法を明らかにする。新たな視点が多く、現場での活動に対して、多くの示唆をもらえる。確かに良さそうなんだけど、本当に良いのか分からないことを根拠を持って成果を示し、より効果的な方法を模索する必要性を痛感する。

加えて、問題を簡単に解決してしま...続きを読むえるような方法はないけども、小さく積み重ねていくことで世界は変わるという筆者の姿勢に励まされた。

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Posted by ブクログ 2013年12月21日

です、ます訳がよい。メジアンなんとか、他、改善すべきとこはあるが、翻訳は読みやすい。内容は、平易に問題を述べていて、とても良い。考えさせられる。貧困問題を考えるには、読んどいてそんはない。日本の貧困家庭には直接は関係ないので、貧困国の経済学ーがより正しいタイトルかと思う。

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Posted by ブクログ 2023年08月29日

貧困問題について、こうだろうと思っていた先入観をバッサリ切ってくれる本。データ付きなのでぐうの音も出ないほど、論がスッキリと述べられていて面白い。

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Posted by ブクログ 2022年05月07日


みすず書房 ノーベル経済学者 バナジー &デュフロ 訳 山形浩生 「 貧乏人の経済学 」


行動経済学の立場から 貧困原因を検証した本。個人が貧乏から脱却するための行動をし、まわりが それを支援をすれば、国の貧困も解消されるという論調。タイトルの「貧乏人」とは 開発支援が必要な...続きを読む国の国民を意味


貧乏脱却例の数々は 当たり前の事を言っているように思うが、言うは易し行うは難し
*食事は美味しさより 栄養素を重視せよ
*健康は 高くつく治療より、安く済む予防に支出せよ
*教育について投資効果を期待をするな、子供の学習を諦めるな
*保険で備えろ、貯蓄をしろ


「貧乏人は 大量のリスクを抱えている〜重要な情報を持っておらず、金融機関の融資や専門家の意見を受けられず、自分ですべて背負わなければならない」とある。ソーシャルビジネスは かなり厳しい環境と感じた


名言「家族は、完全な調和で結ばれているわけでなく〜他のメンバーに対する責任を規定した契約〜 不完全、粗雑、とても緩い〜でまとまっている」


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Posted by ブクログ 2022年03月11日

読みやすい経済書。貧困層、地域の当事者にとって本当に善い助けとはなんなのかをデータや体験をもとに。。。

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Posted by ブクログ 2021年07月19日

2019年にノーベル経済学賞を受賞したバナジーとデュフロによる、一般向けの平易な書籍。
貧困問題について、一発で解決する魔法は存在しないが、貧乏な人たちの生活を改善する方法については間違いなくわかっている、と主張する。彼らの十八番であるランダム化比較試験(RCT)を活用した具体例を多く示しながら、ど...続きを読むのような問題とその原因や解決策が分かってきているのか、ということを平易に解説する。
途上国や開発に興味のある方なら、一度は読んでおいて損はないであろう。

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Posted by ブクログ 2020年05月24日

やっと読みました。途上国の貧困が大きなテーマであるけれど、行動経済学を扱ってるので自分や日本社会にも当てはまる部分(特に、政治や制度の話など)が多くありました。貧困の原因や解決方法は、白黒分けて考えられるような単純なものではないこと、細かく実験を繰り返すことで見えてくること。考えてみれば当たり前だけ...続きを読むど、盲目になりがちな点にたくさん気づけました。繰り返し読みたい。

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Posted by ブクログ 2019年11月08日

まとめ

経済学は大きな立場を表明してきた
ex)資本主義の是非

ところで世の中の公的政策には、上手く機能していないものが多く存在している。
なぜ機能していないかというと、政策担当者は脳内のイメージにのみ頼って政策を作っているからだ。

経済学は、このような政策1つ単位をよくデザインするために有効...続きを読むな道具である。
思い込みで政策を考えるのではなく、上手く行くためにはどうすればいいか分析することができる。
具体的には、国民に行動してもらうためにはどのようなインセンティブをつければいいかを考えることができる。

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Posted by ブクログ 2016年05月12日

アフリカなど発展途上国の開発の現状について書かれたもの。医療などの世界では既に行われていることだが、開発援助の世界でも統計データを用いた「エビデンス・ベースト」の考え方が徐々に浸透してきているようだ。

それまでの開発援助の歴史が、途上国をどう変えてきたのか。ムダだった支援も含めて書かれている。理論...続きを読むと実践の違いの中で、上手くいかない開発の現状が見てとれる。中々面白い。

ところで、本書の中に「経済成長率6%成長が10年続くと、所得が約2倍」という記述があった。それを元にすると、ベトナムや中国などは6%以上の成長率が続いていたので、10年前と比較すれば3倍以上の規模になっている計算になる。(調べてみたところ中国は4倍、ベトナムは3倍)

「爆買い」のような現象が起こったのは、決してたまたまではなかったということになる。アジアの他の国々は急激に豊かになってきている。ちなみに、2050年には中国とインドがGDPの1位、2位になる予測がある。一人当たりで見ても、先進国並の豊かさを持った人達が、一気に増えていく。

日本はいつまで、支援する側でいられるだろうか。本書の中の数字を見ていて感じた。

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Posted by ブクログ 2014年09月27日

なぜ貧乏人は貧乏なのか、を世界規模でもう一度考え直す一冊。
日本にも貧困の問題はあっても、程度としては、やはり豊かな中の貧しさなのだと思い知らされます。
国自体も貧しく、そこで貧困の罠に捕らわれて暮らす人々が、なぜ貧困から抜け出せずにいるのか。
先進国、赤十字、ユニセフなどが援助を続けているはずが、...続きを読むなぜ状況が改善されないのかの答えの一端が分かった気がします。

ただし、ワクチン接種による病気の予防より、病気を発症してからの治療に多額の治療費をかけるという点や、薬を多く処方してもらった方が納得するという状況は、日本の一部にも当てはまると思いました。
有効な予防接種にすら否定的な人や、病院に行っても薬を出されなかったら医者(病院)を替える人は身近に何人もいます。

状況をよりよい状態に変えることは難しいし、こちらでうまくいったことがあちらでもうまくいくとは限らない。
貧困はとても難しい問題ですね。

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Posted by ブクログ 2014年09月01日

「あなたの○○円で××人の子供を救う薬が買えます」という言葉に対して「本当かよ」と思う人や、「貧乏なのに何故子供を沢山産むのか?」と疑問に思う人にはオススメ。
訳者あとがきを読んで初めて山形浩生氏の翻訳であることに気がついた。道理で読みやすいわけだ。

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Posted by ブクログ 2013年11月21日

貧乏人でも、お菓子とお茶は飲みたい、テレビも見たい、お葬式もちょっとは豪華に、と希望すると思いますが、それらはすべて否定されていました。
 たとへば、カロリー重視の食事をもっと追求して、貧乏人には、栄養バランスのとれた流動食を支給して、喉に付けたプラグから摂取してもらう、というアイデアを考えました。...続きを読むついでに排泄も人口肛門からにして、決められて時間に密閉パックのなかにすれば、衛生状態も大幅に改善するでしょう。うわぁ〜、なんか『マトリクス』か『未来世紀ブラジル』みたい、とバカなことを考えていました。 
 マイクロファイナンスのところで、利用率が低いのは、みんながみんな商売や軽工業のオーナーを目指しているわけではない。勤め人になりたい人が、ほとんどである。仕事があれば、工場で働きたい、とありました。やっぱりそうなんだ、と思いました。

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Posted by ブクログ 2013年11月17日

人類がいつの時代も直面している「貧困」。

本書は、簡単に言うと、以下の方法による貧困の根絶を提唱しています。
・貧困に関するあらやる問題を同じ一般原理に還元する紋切り型の発想による解決策をやめる。
 -貧困を解決する唯一のレバーなどない。
・「貧乏な人の行動原理」に焦点をあてて、辛抱強さが必要だが...続きを読む一つ一つの貧乏な人のケース・行動原理を知り、それに応じた解決策を取る。
 -徐々にではあるが確実に貧困を減らす。

だから、本書の名前は「貧乏人の経済学」。

本書ではこのアプローチを「ランダム化対照試行」という方法によって現場に適用・推進した事例集でもあります。
「ランダム化対照試行」を簡単に言うと以下のような考え方に基づいています。
・理念だけあれこれ議論していても、結論はでない。
・実際にやってみて成果があがるかどうかをきちんと検討して、はじめてその手法がいいか悪いかを判断できる。
・きちんと検討するには、その施策を実施した場合と実施しない場合とを、条件を揃えて比べる必要がある。

言葉だけ聞くと当然のようですが、適用対象が現実社会であり生身の人間であるところに、特徴があります。
言葉を変えると「細部を見逃さず、人々の意思決定方法を理解して、実験を恐れず」とも表現されています。

本書には、これらの実際の適用事例が溢れています。
食生活・健康管理・教育・金融市場・資産運用・身分制度・起業や労働・政策と政治・・・貧乏な人の様々な場面での意思決定方法を理解し、
実験・検証した事例・データにもとづいて書かれた本書は、
・これまで私が知らなかった意思決定のしくみを明らかにしてくれます。
・これまで私が理解していると思っていた意思決定のしくみを覆してくれます。
・これまで私が考えもしなかった施策とその結果を教えてくれます。
・これまで私が知っていた施策が永続的な結果につながらない理由を教えてくれます。
・私に対して「もっと理解し・考え・試行する必要がある」ことを教えてくれます。
・etc・・・。

ナイーブな議論や、お涙頂戴なストーリーが先行しがちなテーマ「貧困」。
貧困とはなにか、貧困を減らすには何が必要なのかについての知識を得たいと思い手に取った本書ですが、
私にとって想定以上のものを与えてくれ、お土産まで持たせてくれました。

「貧困」に限らず、あらゆる問題解決に重要なヒントを与えてくれる一冊です。

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Posted by ブクログ 2020年08月05日

開発経済学、と言うそうです。初めての分野の本。ノンフィクションと論文の中間的なものという印象でした(そのせいか、なかなか読み進めませんでした笑)。我々は過保護なくらい社会制度に保護されており、そこからの思い込みや押し付けは的外れ。イデオロギー、無知、惰性の「3I」が敵。知ったかぶりと無関心が敵。正に...続きを読む、「細部がモノを言う」。たくさん教えて頂きました。

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Posted by ブクログ 2020年05月23日

「なぜ貧困から抜け出せないか」の話。ここの中ではありきたりなステレオタイプな論調でなく、貧困と貧困から抜け出せない理由には様々な要因があると説いている。よく聞かれる貧困のS字曲線なんかもそんな単純な話じゃないということらしい。そこには心理学的要素も深く関わっていて、貧乏人と称される人々が必需品だけを...続きを読む優先できずに嗜好品を手にする現状をあきらかにしている。
また一時期よく取り上げられていたマイクロクレジットについても、なんかいい面だけが喧伝されているけれどもMCが貧困に対して万能でないことも実例を挙げて示しているとが目新しかった。

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Posted by ブクログ 2020年01月18日

貧困な状況に関する面白い情報、眼から鱗な情報が結構あって面白かった。心理学という観点でも興味深い。
残念ながら自分の生活に活かせる情報は少なかったかと。

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Posted by ブクログ 2019年05月01日

内容が難しく、調査結果も割と詳細に書かれているので、研究材料としてもある程度は活用できるかと思われる。

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Posted by ブクログ 2014年05月27日

刺激的な一冊でした。繰り返されることはごく生得的な弱さであったり、夢を抱けない虚しさです。本当に当たり前のことばかりで溢れてます。同じ人間なのに根底的な考えを無視していたことに気づかされました。この不平等な世界に対して幸運だとホッと安心する自分がいて嫌な気分になり、次に思うのは申し訳なさとか怒りです...続きを読む。人生をかけて現地で支援している人々に最大の敬意を表します。今までの既存な考えに懐疑心を持ちます。でも、この本で書かれている考えを含め、あらゆる考えを鵜呑みにして一般化することなく、細部にこだわり、人の意識決定を受け入れて、あくまで現地の目でスマートで粘り強い支援が大切だとこの本は訴えています。社会人になってまで支援出来るほど僕はできた人間ではないが、大学生の間ぐらい自分の経験のためにもやってみたいし、そこで何を感じるか試してみたい。

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Posted by ブクログ 2014年02月14日

様々なアプローチをした結果が書かれている
失敗例も多く、問題は複雑で、一筋縄ではいかない
でも、雇用が安定していて収入が定期的にあるということが、精神的にも安定して将来への希望を与えてくれるということらしい
そういう意味では、終身雇用制度は良かった
まあ、歪みが生じてきた訳だから、修正は必要なんだけ...続きを読むれど

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Posted by ブクログ 2018年10月14日

有効な援助方策を見出さんがために、いくつもの貧困社会で「実験計画法」を使う、というのは、ちょっとアブナイ話ではないのか。レヴィ=ストロース的「民俗学」という西洋至上主義がにじみ出ているぞ。

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