【感想・ネタバレ】貧乏人の経済学――もういちど貧困問題を根っこから考えるのレビュー

あらすじ

貧困研究は、ここまで進んだ! 食糧、医療、教育、家族、マイクロ融資、貯蓄……世界の貧困問題をサイエンスする新・経済学。W・イースタリーやJ・サックスらの図式的な見方(市場 vs 政府)を越えて、ランダム化対照試行(RCT)といわれる、精緻なフィールド実験が、丹念に解決策を明らかにしていきます。

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Posted by ブクログ

五常・アンド・カンパニーの慎さんがお薦めしていたのをきっかけに購読。
貧困を巡る根本的な教養が凝縮されている一冊。
経済や金融のみならず、教育が社会にもたらすものの大きさを知らしめてくれる内容でもありました。

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2025年06月09日

Posted by ブクログ

素晴らしい本でした。読み味がライトでさらっと読み進められるにも関わらず、金言が豊富でメモが捗った。貧困問題を照らしつつその目線は人を見ているので、射程が幅広くどんな人が読んでも得るものが多い本だと思った。

最後奥付見て2012年初版でびっくりした。ここ数年で出たものと読みながら勝手に勘違いしていた

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2025年04月11日

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貧乏な人を悲劇の主役に添えた貧困対策はうまくいかない。貧困が生まれる仕組みやプロセスなど全体像を把握しないとダメだって本。

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2025年03月25日

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収益を得るにはある程度まとまった投資をする必要があるため,それ以下の投資では逆に貧しくなってゆく貧困の罠について,その有無を机上で論じるのは無意味でで,調査してどちらの場合になるのかRCTで確かめなくては問題は解決できない.この方針で,様々な調査結果が示される.
防接種率を,豆のオマケを付けることで向上させる著名な例の紹介.イデオロギーでは,右派からは無駄,左派からは不道理と言われる政策だが,それよりも実効性が重要と主張している.
イデオロギー ideology,無知 ignorance,惰性 inertia の3I問題のため,実効性のない政策が行われる.インドで親が学校の運営に関わる政策で,人々に権限を与えるイデオロギーに基づいて,人々の要求を知ること無く政策が立案され,それの結果が評価されずに惰性で維持される例など.
ドグマ・ルール指向の施策より,現実に有効なのはシステム指向であるという主張を支持する内容で,よく同意できる内容だった.

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2023年02月28日

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1年前から少しずつ読んでやっと!RCTを経済学に応用してノーベル賞を取ったお2人。“人は生まれながらにして小さなコストを先送りし現在ではなく将来に負担させたがる”
膨大な研究結果を体系立てて平易にまとめて、経済学なのに現場感がひしひしと伝わってくる。翻訳も◎

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2022年05月05日

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ネタバレ

・貧乏な人は重要な情報を持っていないことが多く、間違ったことを信じている。魅力的で単純な方法でキャンペーンを実施。信頼できる情報源を。
・貧乏な人は自分の人生にあまりに多くの側面について責任を背負い込んでいる。意思決定の難しさ。お金持ちであれば、誰かが正しい判断を下してくれる。⇨先送り傾向⇨既に正しいと分かっていることをできるだけ実行しやすくすれば人生は大幅に改善する。
・一部の市場が貧乏人に提供されていなかったり、そこで貧乏人がかなり不利な価格に直面したりするのにはやむを得ない理由がある。
・貧乏だから失敗する、不幸な過去を持つから失敗確実ということはない。大いなる陰謀のせいではなく、詳細な政策設計における欠陥が原因。即ち、無知、イデオロギー、惰性。
・自己成就的な予言

⇨もっと細かくみよう。怠惰で紋切り型の発想を拒絶しよう。

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2022年02月23日

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この本はノーベル経済学賞を受賞した本です。

この本は、「貧乏な人を救うにはどのような方法がいいのか?」という問題について、様々な研究や検証を行い答えを探していきます。
「援助は無駄である❕」という考え方や「どーんと援助しないと効果がないよ❕」など、様々な意見もあるなか、本当に必要なものは何か?を探していくという内容です。

とてもいい本なので、ぜひぜひ読んでみてください

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2021年11月10日

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10年も前に書かれたとは思えない、今現在の状況を表している。
貧乏人に寄り添う形でいろんな切り口で調査実験して問いかけている。食糧、医療、教育、家族、マイクロ融資や貯蓄について、漠然と感じていた事が間違っていたことも分かる。その根本に訴えないと供給ワラーだけでは解決しない。
貧困から脱する方法、この極貧状態の人々だけではなく、全ての人々にも大いなるヒントを示していると思った。
素晴らしい本で、海外援助などに関しても勉強になりました。

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2021年09月24日

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タイトルの通り経済学についての本だが、人間の行動心理について書かれている部分も多くあり、そこが私にとってはとても興味深かった。

特に「時間不整合性」や「豊かな国に住む者は眼に見えないあと押しに囲まれて生活している」という二つの事実は、今後もずっと覚えておきたいと思った。
まず一つ目の時間不整合性は単純に言うと「今チョコレートを食べるのを我慢できないのに、来年にはダイエットに成功しているはずと思っている」ようなことで、これはとても身に覚えがある!いつも将来に過大な目標を立ててしまい、一方で現実は全く努力ができていない。いつもそう。
それは私がとんでもなく怠け者のせいなのかと思っていたが、人間すべてに共通する傾向であると分かり、安心した。「そういうもの」なのだとわかれば、それに即した対策が立てやすい。
二つ目のことについては、私は先進国に生まれた幸運への実感が足りなかったと反省した。蛇口をひねれば水が出てきて、娘の予防接種もすべてお膳立てされていて、医療機関への信頼も高い。この恵まれた環境が私の履いている下駄であることに気づくことができた。
今までは正直に思えば「貧乏人は何かしらの原因(低栄養、低IQ、教養の低さなど)で合理的な判断ができないのだ」と思っていた。しかし本書を読んで、それが事実ではないことが分かった。
そもそも貧乏人はそれぞれ「そのとき・その環境において合理的な判断」をしているし、私が自分で言う「合理的な判断」ができるのは、私が大きな下駄を履いているからなのだ。優れた人間であるからではない。もしこの本の中にあるような貧困の中にいたら、私も結局「合理的でないように見える」判断をし、行動しているのだろう。
このことは、「その人はいまの精一杯をやっている」という知見を与えてくれる。一見不可解な言動でも、その人の選択肢の中ではベストかもしれない、ということ。これは日常のいたるところで役に立つ考えだと思う。「その人は精一杯やっている」と思うことで、相手を慮ることができるし、「じゃあなぜそれが精一杯なのか?」と相手の背景に関心を持つ源流にもなる。


ほかにも様々な人間の心理が確かな実験データを用いながら説明されており、経済学に縁遠くても最後まで興味をもって読むことができた。
一つの包括的で普遍的な答えはないということ。
塊のように思えるものも実態は多様な問題の束であり、一つ一つ観察して調べ、内実を把握し、それに適した解決法を充てていくのが必要だということ。
本書を通じて主張されていることで、著者は最後に「静かな革命」という表現をしているが、それがとても大切なことで、真実だなと思った。一つ一つの取り組みは小さいものだし、その効果も地味に見えるかもしれないが、確かに意味があり、前進している。オールオアナッシングの誘惑に打ち勝たねばならない。
自分の人生に必要なのも、この「静かな革命」ではないのか?と感じた。

ただ、最後の第十章は読むのに苦労したし、たぶん理解できていない。自分の知識の不足を感じた。

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2020年07月20日

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2019年にノーベル経済学賞を受賞した、インドの経済学者アビジット・バナジーとフランス人経済学者エスター・デュフロ(二人はご夫婦だそうです)の共著のこの本を頑張って読んでみました。
この本では経済、教育、農業、政治を通し、人間の心理まで考えます。
言葉が非常に丁寧で、貧乏な国や地域の問題を読者の多くがいるであろう先進国の人たちも身近に感じることができるような説明になっています。

そもそも「貧乏な国、家庭はずっと貧乏である」、つまり貧困の罠に囚われるということはあるのかということは、長年議論されています。
貧しいことに対して他者(他国)からの援助は必要なのか。この問題は「貧困に囚われているなら、一つの世代に“どん!”と後押しをするべきだ」という意見もあるし、「そのようなおせっかいはその国の自由市場を奪う」という意見もあります。
それぞれ調査結果により勘案されてはいますが、数字だけではわからないその国や人の事情があり、それを現地調査しなければいけません。
例えば「マラリアを予防すれば医療費はかからないし将来的に働き手にもなり、経済的に向上する」と分かっていても、蚊を避けるための蚊帳をお金を出して買う人が少ないとする。この結果をどう読み取るか。「蚊帳を買わない人は貧乏な人だ。将来的に良いことだと分かっていてもお金がない」と言う場合もあれば、「蚊帳を買わない人はお金持ちだ。コネで無料で回してもらえるから」という場合もあるというわけです。

こちらの本では、例えば2つの地域に別々のアプローチをして効果を確認したり、数字だけでは見えない実情を現地で調査したりしています。

私自身は世界情勢政治経済がとても苦手なので根本が分かっていなかったり理解できないことも相当ありますが、
しかしこの本を読んで貧しいことへの問題について非常に身近だと感じたことは多々あります。

❐食よりも大切なもの。
・1日1食しか食べられない家庭があったとして、収入が上がった(または補助する)としても、1日2食になるのではなくて、その1食が少し良いものになるということ。
人間は味気のないものをたくさん食べるよりも、ちょっといいものを(高いもの)買いたがる。
⇒私達が「安月給だけどスマホは必需品」と思うのなら貧困の人たちも「1日1食しか食べられないけれどカラーテレビは必需品」と同じように思うのです。

❐教育支援のこと
・子供が複数いる家では、収入が上がったとしても全部の子供を学校に行かせるのではなく、一番できる子供をより上の教育(高価な学校)により高度な教育を与えたがる。
・学校を作っても、子供自身が行きたがらない。
・学校を作っても教師がいない、またはやる気がなければ意味がない。
・「この学校に入りこの技術を身につけたらこの会社で雇い、給料はどのくらいです」と現実的に示せば就学率は上がる。しかし「そこまでおせっかいするのか。その国が精神的に独立しない」ということもある。

❐貯蓄の難しさ
・全員が先の見えない大成功のために努力をしたいわけではない。自分の知っている範囲での成功で良いという考えもあるとなると、貯蓄や融資を利用するほどでもない。
・家庭内で夫のほうが妻より決定権があると、女性の意見は取り入れられづらい。
・融資を受けた場合、返却する、しない、は地域ごとになる。たとえば一つの村はほぼ全員が返し、一つの村はほぼ全員が返さない。人間は周りと同じ行動になる。
・人は、明日の自分は今日よりも立派になっていると錯覚する。
⇒「今日はケーキを食べて、ダイエットは明日から★」が実行できない私たちにも心当たりがありすぎますねorz
・1年間肥料を無料配布し、現実的に収益が上がった。しかしその村で翌年の肥料を買う人は少なかった。現実的に成功を体験したし、収穫直後は「翌年も肥料を買います!」と言ったにも関わらず。調査したら「肥料がある店が遠すぎて行けなかった」「肥料を買いに行くまでに、別のものが必要になり、肥料代がなくなった」
⇒似たような心当たりはありすぎますねorz

ではなぜ「分かっているけれど教育を受けない」「分かっているけれど貯蓄できない」「人は堅実な医療行為を受けるため貯蓄や保険を利用せず、呪いや即効性のある注射を信用する」のか。
それは、教育や貯蓄や保険によった良い結果が現れるのは長い先であり、成功するかもわからないので「賭け」になります。そのため「大変だけれど将来のため勉強しよう」「目の前のお酒を我慢して貯蓄しよう」ということが難しいわけです。…いや、これまさに自分orz
さらには途上国では「安心できる」「強制的な」社会システムが構築されておらず、確実性がないということもあります。
そして先進国では、教育、医療、保険、法律などの「後押し」「おせっかい」を知らず知らずのうちに受けて生きているのです。(同じ国の中での貧富の差も、根本はその「おせっかい」に手が届かないということ??)

…とこのように、貧乏な国の問題と言われると、戦争が〜旱魃が〜などの事情に原因があると思ったり、どうして蚊帳を買わないの?などと考えてしまいますが、
貯蓄や保険や教育などまさに私達と同じ考え方であり、人間の考え方は変わらないのだなと思います。

この本では、どうすればよいというような解決はないし、私自身も自分がすぐできる効果的な行動もわかりませんが、
「貧乏人の経済学」を身近なものとして感じ、そして今自分が所属している社会のシステムを見回してみよう、という気持ちになります。

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2020年01月26日

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2015年に読んでいたことが判明したので再読だったようだ。貧困問題に止まらず、様々な社会問題について、考えさせられるきっかけが豊富に含まれている。原書発売から10年を経ているが、色あせるどころか全く古びていないのが素晴らしい。

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2020年01月05日

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貧乏人が貧乏であり続け、豊かな人が豊かになれる社会構造が理解できる。
人はカロリーの高さで食べ物を選ぶのではない。そのため餓死が起きる。
貧乏な人は重要な情報を知らない。
人生の多くの側面に責任を背負っている。すべて自分で決断しないといけない。やらないといけない。
貧乏だとサービスが受けられなかったり、不利な価格になる。
貧乏だから失敗確実ではない。

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2018年11月01日

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ネタバレ

面白かった!薄暗い装丁だったのでどんよりした気分にさせる本なのかと思ったら、すっごい前向き。医者が患者に問診するみたいに、色んな角度からのヒアリングと施策と経過観察が繰り返し続く。しかし文章がとにかく長いのが玉に瑕。この粘り強いというかしつこい程の慎重さはどっかで?と思ったら、末の賛辞にピケティの名前があってやっぱりーと思う。各論より後ろの訳者評と総論から読んだ方が分かりやすいかなあと思った。
・正しい知識と情報が必要
・「正しい」判断のデフォルト選択肢が重要
・初期に無料提供した方がトータル安上がりの場合もある
・制度の改良によって改善できることは実は多い
・希望を持つこと、達成感を得ることが好循環の始まり
貧乏人に向けて、というのもあるけど自分のことを言われてる気がしてくるのが不思議。

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2017年03月11日

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事例が多く読みやすかった。それが良いか悪いかは横に置いてなぜ貧困が生まれるかのメカニズムを説明し、貧乏人のお金と無形資産の使い方について筆者と訳者の独自の言葉で語っている。貧困は悪ではないが、そのメカニズムと背景を学ぶことは極めて重要だと感じた。

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2025年07月11日

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ネタバレ

まずは現場に行け。現場の人たちに耳を傾けてることですね。それだけではなく長期的に暮らして、彼らの価値観を理解することも重要。



最後の訳者解説のところに、全体を大きく捉えて、「ドーンと援助しないと貧困は解決しない」という言葉があります。

生成AIに聞くと、『文字通り解釈すると、大規模な援助、つまり大量のお金や物資を一気に提供しなければ貧困問題を解決できないという意味になります。〜(抜粋)〜単純に「大規模な援助が必要」という意味だけでなく、援助の質や持続可能性、自立支援の重要性なども含意している可能性があります。』とのこと。

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2025年01月12日

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ネタバレ

事例が多く、事例に引き込また、
多くの本が引用、紹介されており、これ全部読めばいろいろ相当になるだろうなと感じた。時間がないのでトライ断ねん。

貧乏人へ金銭支援をする。あげた人は解決してほしい問題に使ってほしいが、うまくいかない。貧乏人は目先の快楽にお金を使ってしまう。
貧乏人は、何も持たないから何でも自分でしようとする。チャレンジ精神が旺盛で、小さい家業を営む者も多い。が、ほとんどが小さすぎる。家業が生活の暮らし向きを飛躍的に向上させることはあまりないと言える。
政府からの支援は、その政策がまともで、それをしっかり実行する土壌があって成功する。
貧乏人の多い国では。政策、実行する土壌が整っていないことが多い。結果の出ない支援になることが多い。
支援が実を結んでいる例はある。

第一部
第一章
 貧困に囚われているのか?
 この議論は一般的な原則を理解するのに有効。所得や財産をすぐに増やす方法はあるが、投資をするにもお金がない人たちにとってその方法を選ぶことは難しく、障害となっている。大きく投資できる人が急速に増えるような状況では、貧困の罠が発生することになる。
もし、貧困者の急成長の可能性が大きい場合、豊かになるにつれて貧困の罠はなくなると言える。
 貧困になってしまうルートがたくさんあるのではなく、主要な要因はごく少数。この問題を改善すれば、貧困を解消できる
 現在はデータとツール(RCT)ランダム化対比試がある。。貧困アクション研究所(のちのアブドゥル。ラティーフ・ジャーナル貧困アクション研究所 J-PAL)は新しい経済学を実践できるように支援し政策立案者に広めようとしている
新しい経済学とは、理論だけでは不十分だった経済学を見直し、・・・?現実の状況がそうなっているのかを明らかにし。問題発見。解決策を模索する
■この新しい経済学の記述は私が書いたもの。本書では別の表現で不空箇所にちりばめられている。不足有)P29・32にグラフを用いて旧経済学、新経済学の違いが書かれている。

第2章
 飢えているの定義を見直した方がいい。こんな現状がある。
 貧困者で収入が増えた場合その増えた割合分食費に回されるのではない。また食料購入できた多としても、カロリーの最大化のための購入ではなく。よりおいしい高価なカロリーを買う傾向にある。
収入の増加について、貧困層と富裕層で食費に回す率は変わらない。収入が1%増加しても、食料総額は0.67%しか増加せず、この比率はに両層に差はなかった。
 多くの人が貧困のままなのは食が足りているせいではない。
食事が十分になったととき、収入の劇的向上は見られなくなる。
また食料が買うようになれたとしても、食事を増やしたがらない。カロリー的に実際には減っている。他の栄養バランスも改善が見られない。もっとおいしいものを食べることが優先されている。(本分では中国の支援。インドの経済成長が事例にある)
 ■この点、―運動しても痩せないのはなぜかーの本と同じ傾向が書いてあると思った。普遍法則は非合理的な世界にあるんだなと感じた。まぁ訳の分からないモノに規則性を見つけようとするんだから当たり前か。不自然になるわ、そりゃ。

第3章
貧困の世界では、公衆衛生の改善が重要となってくる。水を殺菌する塩素系漂白剤、塩、砂糖、水道と下水施設、蚊帳、駆虫剤、栄養強化小麦粉などが必要となる。
 貧困の罠の中にはしごを下ろしても、上り方を知らない、さらには登りたくないとすら思っているよう。
 だが健康改善願望はある。健康のへのお金は、民間の医療機関(医師のレベルが十分でない)や伝統的祈祷師に使われる。公的な病院があってもそれを利用することは少ない。なぜか、それは病院がうまく機能していないように見えるから。看護師は欠勤が多く。患者も少ない。誰も利用してないことを不信がり足が遠のく。看護師は仕事がなく、欠勤して・・・の負のループがそこにある。
 価格が安いという点も心理的に大きく影響する。人は高品質を価格で判断し。安いは無価値と判断してしまう。人は今の小さな出資をためらいリスクを未来へ先送りしている。小さな出資からの利益を過小評価していることが多い。
 貧乏な人々は、情報不足、弱い信念、問題の先送りなどの問題に直面している。実は貧乏ではない私たちもこれらの問題を抱えている。今の公衆衛生の仕組みも知らない。豊かな国でも過干渉な支援が行われているが、仕組みの中に埋没し多くの人がそれに気が付いていない。過干渉の支援を受けると、生活の他のことに専念することができる。
 貧乏な人々は、情報を得ても、うまくいかないことが多い。それが実情。
 貧乏な人々への過干渉な支援は大きな恩恵を得られるのも事実

第4章
教育は良い結果を生みだす。が貧乏は人は兄弟の中で最も頭がいい子供に集中投資をする傾向にある。ほかの落ちこぼれ兄弟は教育の恩恵にあずかれず、多くの才能が無駄になっている。
 公共教育の質は燦燦たるものが多い。私立の学校では公立の学校に通うよりも多くの勉強をする生徒が多い。しかし学力の低いも者も多くいる。P124 以下教育に正常な市場原理(学校間の競争による質の向上)が働いていない。教育の中にある独特の重要な問題などか書かれていた。割愛

第2部
省略

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2024年04月24日

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貧困問題について、こうだろうと思っていた先入観をバッサリ切ってくれる本。データ付きなのでぐうの音も出ないほど、論がスッキリと述べられていて面白い。

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2023年08月29日

Posted by ブクログ


みすず書房 ノーベル経済学者 バナジー &デュフロ 訳 山形浩生 「 貧乏人の経済学 」


行動経済学の立場から 貧困原因を検証した本。個人が貧乏から脱却するための行動をし、まわりが それを支援をすれば、国の貧困も解消されるという論調。タイトルの「貧乏人」とは 開発支援が必要な国の国民を意味


貧乏脱却例の数々は 当たり前の事を言っているように思うが、言うは易し行うは難し
*食事は美味しさより 栄養素を重視せよ
*健康は 高くつく治療より、安く済む予防に支出せよ
*教育について投資効果を期待をするな、子供の学習を諦めるな
*保険で備えろ、貯蓄をしろ


「貧乏人は 大量のリスクを抱えている〜重要な情報を持っておらず、金融機関の融資や専門家の意見を受けられず、自分ですべて背負わなければならない」とある。ソーシャルビジネスは かなり厳しい環境と感じた


名言「家族は、完全な調和で結ばれているわけでなく〜他のメンバーに対する責任を規定した契約〜 不完全、粗雑、とても緩い〜でまとまっている」


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2022年05月07日

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読みやすい経済書。貧困層、地域の当事者にとって本当に善い助けとはなんなのかをデータや体験をもとに。。。

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2022年03月11日

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2019年にノーベル経済学賞を受賞したバナジーとデュフロによる、一般向けの平易な書籍。
貧困問題について、一発で解決する魔法は存在しないが、貧乏な人たちの生活を改善する方法については間違いなくわかっている、と主張する。彼らの十八番であるランダム化比較試験(RCT)を活用した具体例を多く示しながら、どのような問題とその原因や解決策が分かってきているのか、ということを平易に解説する。
途上国や開発に興味のある方なら、一度は読んでおいて損はないであろう。

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2021年07月19日

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やっと読みました。途上国の貧困が大きなテーマであるけれど、行動経済学を扱ってるので自分や日本社会にも当てはまる部分(特に、政治や制度の話など)が多くありました。貧困の原因や解決方法は、白黒分けて考えられるような単純なものではないこと、細かく実験を繰り返すことで見えてくること。考えてみれば当たり前だけど、盲目になりがちな点にたくさん気づけました。繰り返し読みたい。

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2020年05月24日

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まとめ

経済学は大きな立場を表明してきた
ex)資本主義の是非

ところで世の中の公的政策には、上手く機能していないものが多く存在している。
なぜ機能していないかというと、政策担当者は脳内のイメージにのみ頼って政策を作っているからだ。

経済学は、このような政策1つ単位をよくデザインするために有効な道具である。
思い込みで政策を考えるのではなく、上手く行くためにはどうすればいいか分析することができる。
具体的には、国民に行動してもらうためにはどのようなインセンティブをつければいいかを考えることができる。

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2019年11月08日

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1日1ドル未満で生きる最底辺10億人の人々は先進国の莫大な援助に関わらず何故改善しないのか?
現地でのリアルな事例に基づく、人々が何故、どう動いているのか、その現状と制度の問題提起。
難しいことではないのだが、ひどく手間はかかる。
正しい情報、教育、制度を整えると同時に現場に即した形に調整し、それが正しく運用されるように監査し、成果を測定する。先進国の政府制度への「信頼」が全くないことや、援助のわずかな割合しか現地に届かない現状。
援助が有害であるという説、大規模に或いは革命的に変えなければという論、いずれも一面ではあるが、最終的には手間をかけるしかない。
3つのI、つまり無知、イデオロギー、惰性は第三世界の問題だけではなく、小さな社会組織にも共通する課題ではある。

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2025年10月05日

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原著2011年、日本語版2012年。当時のビジネス書ベストセラーらしい。インド出張からの帰国便の中で読んでみた。(著者のひとりはインド人)

開発援助の経済学については、制度設計が(素人が思うより)非常に難しく、効果の測定も入念な準備が必要であることは、行動経済学の本で見聞きはしていたつもりだけど、本著者の執念にはアタマが下がる思いだ。

多用されている、ランダム化対照試験(randomized controlled trial)は、社会学者にとってはとてもやりがいがある手法だと思うが、平等思考の日本では中々導入が難しいだろうなあと思った。仮に、「ゆとり教育」を全国導入する前に5年程度特定地域でRCTを行っていたとして、ネガティヴな結果が測定されたとしたら(政策趣旨上何を測定するのか不明だが)、該当集団は導入を承認した責任者(市長とか)を訴えたくもなるだろう。

訳者解説より
本書の知見の多くは、かなり意外なものだ。たとえば、
・飢えているひとでもカロリー増よりおいしいものやテレビのほうを優先する。
・就学率が上がらないのは、学校がないからではない。むしろ子供自身や親が学校に行きたがらない/行かせたがらないから。
・マイクロファイナンスは悪くはないが、一般に言われるほどすごいものでもない。
高利貸しは悪らつな強突く張りでは(必ずしも)ない。
・途上国に多い作りかけの家は、実は貯蓄手段。

本文より
P347
網羅的な結論にかえて
貧困を削減するのに魔法の銃弾はありません。でも貧乏な人の生活を改善する方法については、まちがいなくいろいろわかっています。特に、重要な教訓五つが浮かび上がってきます。
 まず、貧乏な人は重要な情報を持っていないことが多く、まちがったことを信じています。(中略)
 第二に、貧乏な人は自分の人生のあまりに多くの側面について責任を背負い込んでいます。金持ちになればなるほど、だれかが「正しい」判断を代わりに下してくれます。(中略)
 第三に、一部の市場が貧乏人に提供されていなかったり、そこで貧乏人がかなり不利な価格に直面していたりするのには、やむを得ない理由があるのです。(中略)
 第四に、貧乏な国は貧乏だからといって失敗が運命づけられているわけではありませんし、また不幸な過去を持つから失敗確実などということもありません。(中略)
 最後に、人々に何ができて何ができないかという期待は、あまりにしばしば自己成就的な予言に早変わりしてしまいます。きみはカリキュラムを習得できるほど賢くないよ、というシグナルを先生(そして時には両親)から受け取った子供は、学校をあきらめてしまいます。(中略)看護師たちは、クリニックにいるとだれにも期待されていないために、クリニックにこなくなります。

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2025年02月23日

Posted by ブクログ

「経済発展によって、もう世の中からは貧乏なんてなくなる」と言われて久しいが、しかし実際のところは格差だけが広がり、貧乏な人はあいかわらず貧乏のままだ。世の中がこんなに豊かになっているにもかかわらず、貧乏人は貯蓄の手段がなく(ので貯蓄もせず)、保険にも入れず、事業のための借り入れもできず、結局貧乏から抜け出す手段がない。貧乏人への救いの手は途中にいる様々な人々によって搾取されて当人に届かない上、予防接種や基本教育のように効果が見え難い施策は今度は人々が見向きをしないのだ。

そんな現状を打破するために、ランダム化対照試行をひっさげて「貧乏を打破するボタン」を探して回る著者たちの研究成果をまとめた一冊。マイクロファイナンスも医療の拡充も、貧乏を根絶する銀の弾丸にはなり得ないが、状況を良くしていることは確かであり、正しい人々に正しいプロモーションで正しい仕組みを届ければ、貧乏は少しずつ改善されるのだという、経済学と社会学と心理学を組み合わせたような一冊。

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2024年08月23日

Posted by ブクログ

開発経済学、と言うそうです。初めての分野の本。ノンフィクションと論文の中間的なものという印象でした(そのせいか、なかなか読み進めませんでした笑)。我々は過保護なくらい社会制度に保護されており、そこからの思い込みや押し付けは的外れ。イデオロギー、無知、惰性の「3I」が敵。知ったかぶりと無関心が敵。正に、「細部がモノを言う」。たくさん教えて頂きました。

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2020年08月05日

Posted by ブクログ

「なぜ貧困から抜け出せないか」の話。ここの中ではありきたりなステレオタイプな論調でなく、貧困と貧困から抜け出せない理由には様々な要因があると説いている。よく聞かれる貧困のS字曲線なんかもそんな単純な話じゃないということらしい。そこには心理学的要素も深く関わっていて、貧乏人と称される人々が必需品だけを優先できずに嗜好品を手にする現状をあきらかにしている。
また一時期よく取り上げられていたマイクロクレジットについても、なんかいい面だけが喧伝されているけれどもMCが貧困に対して万能でないことも実例を挙げて示しているとが目新しかった。

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2020年05月23日

Posted by ブクログ

貧困な状況に関する面白い情報、眼から鱗な情報が結構あって面白かった。心理学という観点でも興味深い。
残念ながら自分の生活に活かせる情報は少なかったかと。

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2020年01月18日

Posted by ブクログ

内容が難しく、調査結果も割と詳細に書かれているので、研究材料としてもある程度は活用できるかと思われる。

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2019年05月01日

Posted by ブクログ

有効な援助方策を見出さんがために、いくつもの貧困社会で「実験計画法」を使う、というのは、ちょっとアブナイ話ではないのか。レヴィ=ストロース的「民俗学」という西洋至上主義がにじみ出ているぞ。

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2018年10月14日

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