山形浩生のレビュー一覧
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何回であった。幾度もところどころ読み返しても、頭に入ってこず。、「社会的差異を超えたコラボレーションのための技術」について今までとこれから期待されること(懸念されるととも)をわけて、解説をしているのだが、鈴木健の日本語版解説で何とか、ぼんやりと掴んだか、という感覚。自分の理解が、ちょっと頼りない。ただ、これは別のところは引っ張ってきた知見だが、ICTがInformation Communication Technologyという頭文字なのが、これからはInnovation Collaboration Technologyと取り替えたほうがずっとしっくり来るだろうな、ということは納得できた。
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> 社会世界は、孤立した個人の無秩序な寄せ集めでもなければ、一枚岩の全体でもない。むしろそれは、個人アイデンティティと集合的組織の両方を特徴づける、多様で交差する帰属性が織りなすものだ。(3-0 プルラリティ(多元性)とは?)
PLURALITYの思想には共感する。一方で、この思想に世界全体が染まる日は来ないだろうと感じた。
> 文明の最大の価値は、生活手段をもっと複雑にすること、つまり、人々が衣食住を持ち、あちこちに移動できるように、単純で無秩序な知的努力ではなく、大きく統合された知的努力が必要となることなのだ。(3-1 世界に生きる)
それぞれの人が知的努力を義務として必ず行う社会はどのようにしたら実現できるのか。
さまざまな観点からPLURALITY的な視点や技術を与えるカタログ的な文章が並んでおり、勤勉で多元的な社会に共感を示して語ることのできる人々だけが想定され、現実の厳しさや悪意に対抗するための方法論が欠如している。 -
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読み切った!!!!が素直な感想。
今まで読んだ本の中で一番文量が多く、他領域の話で読み切るのがしんどかった。
でも最初に他の解説本を一つ読んでおいて良かった。
今目の前に起きているお金・経済的なことに対して、長期的な目線で俯瞰して物事を捉えられるようになるかもしれない、いい本だと思えた。
格差はこれだけ広がっているんだなと。このままいけば、もっと広がるんだなと。21世紀、自分が生きている中で、どういう行動・思考をしたほうがいいかをじっくり考えさせてくれる本だと思えた。
自分がこの経済をどうにかしようとは流石に思えなかったが、仮に自分が資本的に裕福な状態になったとしても、ピケティが提唱していることに対しては、賛同できるだろうなと思えた。 -
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原著2011年、日本語版2012年。当時のビジネス書ベストセラーらしい。インド出張からの帰国便の中で読んでみた。(著者のひとりはインド人)
開発援助の経済学については、制度設計が(素人が思うより)非常に難しく、効果の測定も入念な準備が必要であることは、行動経済学の本で見聞きはしていたつもりだけど、本著者の執念にはアタマが下がる思いだ。
多用されている、ランダム化対照試験(randomized controlled trial)は、社会学者にとってはとてもやりがいがある手法だと思うが、平等思考の日本では中々導入が難しいだろうなあと思った。仮に、「ゆとり教育」を全国導入する前に5年程度特定地域でRCTを行っていたとして、ネガティヴな結果が測定されたとしたら(政策趣旨上何を測定するのか不明だが)、該当集団は導入を承認した責任者(市長とか)を訴えたくもなるだろう。
訳者解説より
本書の知見の多くは、かなり意外なものだ。たとえば、
・飢えているひとでもカロリー増よりおいしいものやテレビのほうを優先する。
・就学率が上がらないのは、学校がないからではない。むしろ子供自身や親が学校に行きたがらない/行かせたがらないから。
・マイクロファイナンスは悪くはないが、一般に言われるほどすごいものでもない。
高利貸しは悪らつな強突く張りでは(必ずしも)ない。
・途上国に多い作りかけの家は、実は貯蓄手段。
本文より
P347
網羅的な結論にかえて
貧困を削減するのに魔法の銃弾はありません。でも貧乏な人の生活を改善する方法については、まちがいなくいろいろわかっています。特に、重要な教訓五つが浮かび上がってきます。
まず、貧乏な人は重要な情報を持っていないことが多く、まちがったことを信じています。(中略)
第二に、貧乏な人は自分の人生のあまりに多くの側面について責任を背負い込んでいます。金持ちになればなるほど、だれかが「正しい」判断を代わりに下してくれます。(中略)
第三に、一部の市場が貧乏人に提供されていなかったり、そこで貧乏人がかなり不利な価格に直面していたりするのには、やむを得ない理由があるのです。(中略)
第四に、貧乏な国は貧乏だからといって失敗が運命づけられているわけではありませんし、また不幸な過去を持つから失敗確実などということもありません。(中略)
最後に、人々に何ができて何ができないかという期待は、あまりにしばしば自己成就的な予言に早変わりしてしまいます。きみはカリキュラムを習得できるほど賢くないよ、というシグナルを先生(そして時には両親)から受け取った子供は、学校をあきらめてしまいます。(中略)看護師たちは、クリニックにいるとだれにも期待されていないために、クリニックにこなくなります。
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ー 無形資産は四つの変わった経済的性質を持つ。こうした性質は有形投資にもあるが、全体として無形資産のほうがそれぞれの度合いが高い。
その特徴とは以下の通り:
・スケーラビリティ
・サンク性(埋没性)
・スピルオーバー
・シナジー
この四つからは、さらに三つの特徴が派生する。それが不確実性、オプション価値、紛争性だ。本書の残りでは、こうした性質から生み出される、ますます無形リッチとなる経済の影響について論じよう。 ー
容易には計測出来ないけれども、意識的に投資していかなければ、急激に見える形で差が出るわけではなく、じわじわと効いてきて気がつくと大きな差が出てしまう、そんな無形資産の重要性が分かる作品。
DXもその一つなんだろうけど、結局、どういう価値を企業として育てていきたいのか、その目指すものが曖昧だと、何に投資しているのか分からなくなってしまうのだろうな。 -
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そう言われてみれば、組織に属している限りはその安寧と引き換えに、何かを預けている気がしないでもない。
それは、主体性だったりするのかもしれない。
そりゃそうだ。会社員がいちいち会社の方針を批判したところで、何も変わらないし、仕事が進まない。
だったらサラリーマンなんかやめて、起業すればいい。
服従なんてまっぴらごめんだわ。
ん?
えー⁈
めんどくぜーな。それ。
ちゃうちゃう。
権威が正しい権威たるように、ちゃんと“服従”できるように、組織員がそれぞれの役割に応じて、主体的に、そして有機的に機能することこそが重要なんではないか、それが組織を健全にし、ナチスやその他もろもろの悪の組織に陥らないようにすることでっせ、とこの本を読んで思いました、と。
がしかし、クソみたいな会社に文句言いながら居続けるのも、もう疲れたな。。。
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「経済発展によって、もう世の中からは貧乏なんてなくなる」と言われて久しいが、しかし実際のところは格差だけが広がり、貧乏な人はあいかわらず貧乏のままだ。世の中がこんなに豊かになっているにもかかわらず、貧乏人は貯蓄の手段がなく(ので貯蓄もせず)、保険にも入れず、事業のための借り入れもできず、結局貧乏から抜け出す手段がない。貧乏人への救いの手は途中にいる様々な人々によって搾取されて当人に届かない上、予防接種や基本教育のように効果が見え難い施策は今度は人々が見向きをしないのだ。
そんな現状を打破するために、ランダム化対照試行をひっさげて「貧乏を打破するボタン」を探して回る著者たちの研究成果をまとめた一冊。マイクロファイナンスも医療の拡充も、貧乏を根絶する銀の弾丸にはなり得ないが、状況を良くしていることは確かであり、正しい人々に正しいプロモーションで正しい仕組みを届ければ、貧乏は少しずつ改善されるのだという、経済学と社会学と心理学を組み合わせたような一冊。 -
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「資本とイデオロギー」という題名だが、内容は、格差というものは何か、それが悪化している現在はどんな世界なのか、それを克服出来るのか、を歴史と膨大な統計を使って分析する壮大なもの。
著者の主張ポイント(最も危機感を持つ未来予測)は、バラモン左翼と商業右翼の権力(ブルジョアブロック)の思い上がり(高所得者有利の政策・高教育インテリ富裕層の過度な称賛)が、社会の混乱に憤激する大衆の暴走、つまり暴動を伴う移民排斥や自国中心主義の台頭を許すのではないか、というもの。
今日の民主主義の混乱は、市民的、政治的な領域において、経済学が他の社会学から独り歩きしすぎたのが原因。経済学者は、「持ち合わせてもいない技能や分析能力の独占」をたびたび主張したがる930
2013年にフランス社会党政権は同性婚を合法化した。これには実践カトリック(月に一回以上教会に通うカトリック)とイスラム教徒投票者双方が非難した。しかしそれでもイスラム教徒投票者の9割以上は左派政党に投票した。これは、同性婚の問題など些末で、危機的なのは自分たちを国外追放することを堂々と政策に掲げる右派(国民戦線ら)の台頭だから。左派政党は右派のこの政策に真っ向から反対する718
フランスの社会党・共産党は戦前から前後にかけて資産・所得課税による国営事業や福祉などに力を入れた。そして賃金労働者を最も重要な支持者としたため、彼らには様々な控除を用意した(そのため彼らは実質、無増税であった)。しかし低所得の自営業者(農民・商人・職人)には「彼らは所得を過小申告する不正」をするので、控除を認めないか、複雑な確定申告を要請した。これが農民・商人・職人の左派不審になった708
2000年くらいまでは教育水準の低い者が左派に投票して、高い者が右派に投票していた。これが21世紀になると教育水準の低い者は右派に投票し、高い者は左派に投票するようになる。この傾向は年々大きくなっていく。それはイギリス、フランス、アメリカどこも同じ傾向。左派政党は労働者の党から高学歴の人々の党へと変身した。左派を支持する高学歴を「バラモン左翼」と呼ぶ695
ロシア帝国は末期に多くの債権を発行した。ロシアフランス同盟や、ロシアの賄賂の影響で「ロシア債権は安全で堅実」キャンペーンがマスコミで展開された。これにフランスをはじめ欧米諸国の富裕層が反応して大量の債権を買った。しかしロシア革命が起こるとソヴィエト政府は債権の全面的償還拒否をした。米英仏はソヴィエトに兵を送ったが無駄に終わった。420
日本の王政復古による急速な社会ー経済的近代化の実現は、前代未聞376
「アファーマティブアクション」はアメリカで生まれたのではなく、独立後のインドで始まった345
ヨーロッパがインドを「発見」したのは、ポルトガル王国がイスラム教国を挟み撃ちにできる国、はるか遠方にある未知のキリスト教国「プレスタージョンの王国」を探すことから始まった。そこでバスコ・ダ・ガマが探険にのりだし、喜望峰を発見してアフリカ東海岸沿いを訪ねたが、どこにもキリスト教国は無かった。そこで更に船を進めインドに到着して、ケララ州のヒンドゥー寺院を発見し、これを「キリスト教の神殿」と誤解して、リスボンに帰り「ありました!」と報告したから323
インドのカーストでは道徳と規律が重要視される。菜食主義やアルコール禁止など。そのなかで特に性欲・愛欲には厳しい。そのため未亡人の再婚がタブーであり、思春期前の少女の結婚が重要視される313
植民されたアメリカ大陸が20世紀を迎えると、南北で違いが起きた。南(ラテンアメリカ)では人口の大半がネイティブ・奴隷・白人の混血となった。対する北は、人口増加したがほとんど混血が進まなかった253
ハイチは1805年に歴史上初の黒人奴隷反乱と、独立宣言を行った。やがて、1824年独立は承認されるが、その条件に、フランスのハイチ奴隷主に「奴隷を手放した損失補てん」が含まれていた。ハイチ政府はこれを完済するのに130年かかった。218
歴史を決定論的に読むよりも、過去の出来事を思想の十字路や分岐の可能性として見るほうが興味深い122 -
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アメリカの経済学者による無形資産について述べた本。企業が発表する財務諸表では、有形資産のみが記されているが、「のれん代」といわれる資産やシステムやソフトウェア、ガバナンスや教育など、企業の経済活動に大きく影響する無形資産の価値が、大きくなってきている。しかしながら、この無形資産はその価値を数値化しづらく、影響も測り難い。これら無形資産の特徴を纏めており勉強になった。内容はやや発散的であり、体系的ではないところが残念。
「あのライト兄弟は、世界初の飛行の後で、もっと優れた飛行機の開発に時間を費やすどころか、特許を侵害していると思った競合開発者と戦うのにほとんどの時間をかけていた」p14
「雇用と解雇に制約の多い国は有形資産に多くを投資し、無形資産への投資は少ない」p44
「(コンピュータによる定型作業の置き換え)電話交換所での交換作業、生産ラインでの反復作業、銀行での現金払い出しなどだ。そして過去数年でコンピュータはさらに賢くなった。飛行機の搭乗券を発券し、スーパーでレジ打ちをして、電話でありがちな質問に答えてくれる。こうしたコンピュータがますます安くなると、企業は低技能労働者をコンピュータで置き換えるほうがずっと得になる。その結果、労働者の需要は下がり、したがってその賃金も下がる」p181
「企業戦略、経営、会計、経済学の専門家に投げかけるべき最も重要な実務的質問は「どうすればうちの企業が他を出し抜けるだろうか?」というものだ」p275
「(無形資産についての本書の結論)
1. 有形資産から無形資産への長期的なシフトが起こっており、今なお続いている。
2.このシフトの大半は企業のバランスシートや国民会計に登場しない。会計士や統計学者は無形支出を投資としては計上せず、日常的な経費扱いにするからだ。
3.無形資産が生み出す無形の知識ベースの資産はスケーラブルで、サンクコスト(埋没費用)を持つ。そしてその便益はスピルオーバーし、他の無形資産とシナジーを示しがちだ」p353