山形浩生のレビュー一覧
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中国やアメリカの力強さの根源がよくわかる。コロナという一大事件があったが人の本質は変わらないと思うし、今後数十年はこの主流が続いて行くと思えるので安心して中国とアメリカに投資を続けようと思えた。
また、日本に向けてアドバイスも書いてるが個人的に思うに、日本は中国とアメリカと同じような場所で戦うのを目指すべきではないと思う。
そもそも、社会の仕組みや気質その他諸々が向いてない。
コロナ後で半導体に投資するといったニュースをみたが、他の国に比べたらえ?これっぽっちっていう金額しか出せない。
戦う場所を間違えてる気がする。今のままの状態で、技術の進歩により日本語の鉄壁ガードを取り除かれたらどうなるか戦々恐々である。 -
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才能ある人に大きな報酬を与えて才能を開花してもらえば、社会の生産性が高まり経済が発展して、結果として最下層の人々にも恩恵がある(クズネッツ)というわけではない。80年代以降、先進国の経済成長率は低下している。賃金は経済成長率と同じくらいしか増加しない。一方、金融や不動産など、資産を投資して得られる収益率は増大している。経済成長率が、資産からの収益率よりも低ければ、収入格差は広がっていく。労働者が経済成長によって得る所得の増加幅よりも、資本家土地や株式で得る利益の方が常に大きいので、不平等が拡大した。資本の格差は相続によって固定されている。所得(フローへの課税だけでなく、資本(ストック)への課税を増やすべき。トマス・ピケティ『21世紀の資本』2013
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日本と米国は、1900年~1940年まで、上位0.1%の所得シェアは8%前後と高かった。その後、1950年~1970年まで、日本と米国の上位0.1%の所得シェアは2%前後になった。その後、1980年~2012年まで日本の上位0.1%の所得シェアは2%前後を維持している。一方、米国では1980年~2012年まで、上位0.1%の所得シェアは急上昇を始め、9%を越えた。森口千晶 -
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〈ヴァリス〉三部作の第三弾。
とはいえ、前二作とのストーリー上のつながりはなく、共通するのはそのテーマ性。これまでに引きずってきた神学談義や神秘体験などのオカルト妄想に決着をつけた作品である。
小賢しいが常識的な感覚を持ったインテリ女性の一人称による語りが、「そっち系の話を信じる人」の実態を暴き出す。
形而上学的な論議など役に立たない、地に足をつけて現実を直視せよ、即物的、具体的な行動に幸せはある、というような話になってしまうが、ある意味で過去作を否定することで前に進もうとしたディック最晩年の決意が汲み取れる。
読み方によってはどっちにも解釈できるのでは?と思える書き方がされているのがタイトル。アレが実際どうなのかは、読者にゆだねられているのかもしれないが、三部作の最後にして、確かな前向きさを感じる結末なのが救いだ。 -
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「いっしょに暮らさなくてはいけない人物と、とてもやっていけないと思うことはある?」
日々お互いに不満をぶつけ合うしかない、冷え切った夫婦仲。妻が気晴らしに手を出したドラッグによって、とんでもない事態が引き起こされる。
時は2055年、人類は異星人同士の星間戦争に巻き込まれ、リーグ星人と泥沼の交戦状態にあった……。世界観を理解するまでが読みにくいのはSFにありがちなことだが、ドラッグによってある現象が起こると、そこから物語は加速していき、目が離せなくなる。
後半は目まぐるしく展開される盛りだくさんのSFガジェット。見所はたくさんあるが、この小説の本質は夫婦のドラマだ。修復不能にまで陥った夫婦の関係にどう結末をつけるのか。星間戦争のはざまで奮闘するも、予想外の展開に翻弄される主人公が最後に出した決断に感動。
伏線か?と思われるものやネタが回収しきれずに終わったのが惜しい部分もあるが、十分にお腹がふくれる一冊だ。 -
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ミルグラムの社会実験とそれにおける分析をまとめたもの。実験概要は、被験者は先生役を与えられ、実験者である指導役に、学習者が問題を間違えるごとに電流を流すよう指示される。また間違える度に一段階ずつ電流のボルトを上げるよう指示され、電流のショックに呻く学習者にどこまで強い電流を流し続けるか?というもの。
実験は色々なパターンを変えて行われたが、概ねの結果としては多くの人は実験者の指示に逆らえず最高レベルまで電流を流してしまうということだった。被験者は特別サディスティックな性質を持っているわけではなく、至って普通の人たちである。それでも指示されると服従してしまう、という怖い結果だった。
そもそも服従とは個が権威システムへ組み込まれることによりエージェント(代理人)状態へ移行することだという。権威システム自体は家族、学校、会社、どこにでもあるし、その組織を安定させ秩序を保つためにはある程度必要かと思うが、その権威システムがイデオロギーを持って本来なら許されない物事にまで正当性を与えてしまうと、エージェント状態へ移行した際に暴走してしまう。そこには責任感の喪失、守るべきルールの変更があり、善良で平凡だったはずの人たちはその新たなルールのもとで感覚が麻痺していく。
またどれだけ自分の行為は許されないことだと思ったとしても、それを途中でやめることは今までの自分の非を認めることであり、集団の和を乱すことでもあり、その集団から報復される危険性があることでもある。なのでやめられない。エスカレートするしかなくなる。
そうした上記の一連はある種の"緊張状態"であるが、その緊張を解消する手段は大まかに2通り、1つは責任を回避する(命令に従っただけ、学習者が間違えるのが悪いetc)、もしくは学習者=被害者から徹底的に目をそらす、見ないようにすること。2つ目は、いよいよ非服従の選択をとることである。ただし後者はかなり精神的コストが高い。もうここまでくると服従する方が楽だ。服従する快楽はここにあるのだなと思う。とにかく"思考停止"の状態、権威者の言われた通りにしただけ、自分では何も考えない、これがその場を切り抜ける最もコストの低い選択なのだと思う。
そういう意味では、ミルグラムの実験にあるように、とある権威のもとで服従の態度を見せ残虐なことをしてしまう危険性をどんな人間も孕んでいるということだ。では、どうすればできるだけそのような事態を避けられるのか、と考えると、「自分がそういう危険性を孕んでいる」ということを「知っている」ということではないか。この実験で比較的早い段階で非服従した被験者やその際に責任転嫁せず自分の非を全面的に認めた被験者がいたが、彼らは欧州出身でファシズム政権を目の当たりにした人であった。
ただやはり、人間がある環境下において残虐な命令に服従してしまうことについては、その権威システムの強さだけではなく、生来からの「弱いものいじめ」欲がその権威のもとで正当化されて爆発している、という側面もあるのではないかと思う。歴史を遡ると弥生時代以降、いわゆる貧富の差が生まれて以降ずっと階級システムがあって、人は自分よりも下の者がいることで自らを保ってきた、と言うと露悪的だろうか。その気持ちが強大な権威システムによって正当性を与えられ最大利用されたのがファシズムでは…?なので「服従」という心理の一側面だけではないのではないか、とは思った。 -
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ようやく読み終わりました・・・注釈含めると700Pの大作・・・読破するには覚悟が要ります・・・
自由な資本主義の行きすぎにより留まるところを知らず拡大した格差。ピケティの主義主張は一貫して、「累進課税」。資本税の導入だという。不労所得にも税をかけること。確かに。寝かせられるだけのお金をたくさん持っていればいるほど、その人は働かなくても食っていける。そうすると富めるものはより富み、持たないものはより細る。ただし、資本税が有効に働くのは、すべての国の銀行口座情報がガラス張りになっていること、これがないと、今横行している税金逃れが続いてしまう。
コロナで世界中で景気が停滞し、失業者が出る一方で、今までの生活を続けられるものがいる。コロナ中に本著を読むと、同意する点が多い。NHKでたまに報道する資本や経済の特集でいろんな学者が登場するけど概ね同じようなこと言ってるように思う。
また、気づいたことの一つとして、ピケティはかなりの文学の読書家でもあるということだ。経済学者だから経済の本ばかり読んでいるのかという先入観は持ってはならない。この本にはゴリオ爺さんや、pride and prejudicsといった文学作品が多々登場し、その生活ぶりから当時の貧富の差、貴族の所得等が説明されている。こういう人は多くの間口から学ぶし、実際に「終わりに」では、経済学者は計算ばっかりしてないで、社会や政治にも関わって考えるべきということを述べている。
結局私はこの本の600pで経済のことはちょっとしか学習できなかったかもしれないが、少しは見識が広まったかな。そうであれば良いな。 -
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中国の深圳がどのように発展していったのかを知りたくて、この本を読み始めた
頭でっかちな計画を立てるよりも、手を動かしていく中で正解を探していくプロトタイプ駆動。そのプロトタイプ駆動をより正確に行うために必要なコミュニティが、新興国などの新たな都市に芽生えている。プロトタイプ駆動とその実践の場、すなわちプロトタイプシティの新たな時代が始まっている
まず世界経済はこの30年間で大きく成長した。アメリカのGDPは1990年の6兆ドルから、2017年には19.3兆ドルと3倍強にまで成長しているのに対し、日本のGDPは3.13兆ドルから4.87兆ドルへと1.5倍にしか増えておらず、中国やベトナムは30倍の成長を遂げている。
その中でも外資系企業の工場から始まった深圳という街は、たった40年間で大きく進歩し、今ではイノベーションを生み出す、テクノロジーの最先端を行く街へと進化している。
日本のような連続的価値創造のビジネスではなく、非連続的価値創造のビジネスを行う、小産小死型で、計画を深く練ってリスクを回避するよりも、まずは手を動かして、市場にサービスをリリースし、改善点があれば後から手を加えていく。このやり方で成長を続けた。
他にも深圳にはスタートアップの企業が物づくりをしやすい環境が整っていて、小ロットからの発注が、他よりも安くできたり、様々な関連企業が集結しているため、スピーディーにアイデアを形にできるという点が強みであることが分かった。
今後もドローンなどの技術で先頭を走ることになるであろう深圳に、注目していきたいと思った。 -
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無形資産とは、物質的なモノではなく、アイデアや知識、社会関係といったものを指す。具体的に挙げると、次のようなものである。
・スターバックスの「店舗マニュアル」
・アップルの「デザイン」と「ソフトウエア」
・マイクロソフトの「研究開発」と「研修」
・グーグルの「アルゴリズム」
・コカ・コーラの「製法」と「ブランド」
・ウーバーの運転手の「ネットワーク」
1950年代から2000年代まで、上場した企業の簿価や売り上げと、時価総額との相関を調べてみると、年々明らかに相関が下がっている。など無形資産の価値について分析している。
しかしながらwithコロナの世界で起こる無形資産の価値が見直されていることも興味深い。