山形浩生のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
無形資産が経済に及ぼす影響について記載している
スケーラビリティ 拡張性
サンクコスト 投資が回収できない
スピルオーバー 無形資産の効果が自社・他社へ波及する
シナジー 異なる無形資産が掛け合わされることでより多くの便益をもたらす
無形資産が重要になる経済では、スピルオーバーを最小化しつつシナジーを生み出そうとする、少数の支配的な企業が市場を支配する。まさに、Googleが検索アルゴリズムで市場の覇権を握りつつ、異業種とのシナジーを生み出しているのが好例と言える。
Googleの例のように、無形資産の経済では先進企業と後進企業との間で、大きな所得格差が生じてしまう。
無形資産が生み出す格差は都市間と自尊心にも現れる。都市ではスピルオーバーやシナジーが発生しやすいが、郊外では同じ効果を期待できない。さらに都市では無形資産の価値上昇に伴い、住宅価値が上昇する傾向にある。よって、都市に住む人と郊外に住む人の所得格差はさらに拡大する。
自尊心と無形資産も関係している。無形資産を多く保有する人は、外部とのシナジーを積極的に受け入れ、他社からのスピルオーバーを上手く活用しようとしているので、開放的なマインドの人が多い。
よって、無形資産を多く保有する人はそうでない人と比較して、自国経済に固執せずグローバルな性向があるので、伝統的なポピュリズムにとらわれない。
無形資産を有効活用する企業は、従業員の創造性を促進するような経営やリーダシップが求められる -
Posted by ブクログ
世界時価総額上位をみれば無形資産を活用する企業ばかり。それらの企業はいまや国家を超越しようとしている。無形資産企業への富の集中と不可分性(と無形投資という多分の投機性)を、主に経済学的視点から分析する。著者曰く無形資産の特性は①スケーラビリティ、②サンクコスト、③シナジー、④スピルオーバーの4つあり、特に③④が無形リッチがWinner takes allになる本質であろう。GAFAMしかり、これからの自動運転のCASEやシェアリングエコノミーも同様の世界が来るだろう。面白いのが無形資産が優位性の源泉となればなるほど、人材といったソフト部分の流動性は高まるということだ。無形をいかに固着させるかという逆説が今後の経営戦略の要になるかもしれない。
途中から無形資産からポリティカルまで展開するのはやや飛躍し過ぎだが全体的には興味深い分析が多い本であった。
余談だが会計で『無形「固定」資産』と呼ぶが、最初は「無形」で「固定」とはこれ如何に?と混乱したものだが、所謂権威あるお偉い方のこういったセンスにややガクッとする。 -
Posted by ブクログ
書名は『ハードウエアハッカー』となっているが、いわゆるハッキングではなく、メイカームーブメントにまつわる、とても幅広い話題を扱っている。
中身は、Part1については「EMSで行う小規模量産」のテキストである。通常のメーカー勤務であってもこの内容を身につけるためには2〜3年の実務経験が必要だろう。筆者は手探りで数年の経験、それをもとに行われたMITでの授業を書籍化してあり、短時間でポイントがつかめる。実務初心者も、まずこういった本を読んで知識をつけると良いだろう。製造BOMの話(どんな情報が必要か)、DFM(Design for Manufacture)の話、射出成形の話(現在の標準的な技術で可能なこと、制約)、検査ジグの話、工場の選定と付き合い方。今の担当製品の前任者にも、ぜひ読んでおいて欲しかった。
Part2は山寨について。ここまで明らかに解説されている文書は珍しいのではないか。西洋の法基準に照らし合わせると真っ黒だがテクノロジーの進歩との親和性は高いと筆者は言っている。章の後半は偽部品問題だ。幸い、私はまだ遭遇したことはない。
Part3はオープンソースハードウエアについて。文化的には最も興味がある章だが、仕事の参考書としては有用性は低い。筆者がオープンソースハードウエアビジネスを行ってきた軌跡について述べられている。ここで述べられている主張の中で私が最も合意できるものが「議論するより作ったほうが早い」である。また、筆者の2番目のプロジェクトであるオープンソースラップトップの開発について、詳細が述べられている。ラップトップパソコンという複雑なシステムを小ロットで投資を押さえて、かつオモロイように設計する過程が描かれている。こういったトレードオフはシステム設計の醍醐味だ。広い範囲に渡って細部の実装に至る知識が必要となる。
Part4はリバースエンジニアリングについて。かなり具体的で、その道の人ならではの技が解説されている。
根底に流れるのは、目の前に動いているものがあればその原理を理解せずに入られないという好奇心。それは、幼い頃に実際に動いている製品の回路図を見て、製品には仕組みがあって理解可能だというように刷り込まれた。そのような体験にも関わらず、コンピュータが急速に進歩してマイコンとソフトがブラックボックス化してしまった。しかし、現在の技術の進歩は再びハードウエアを取り扱うことができるようになったこと、その喜び。このへんに共感できるならば、本書を興味深く読むことができるだろう。 -
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題名や副題から想像する内容とはずいぶんと違っていた。本書は、タブレットのような電子基板が組み込まれた装置またはデバイスのようなハードウェアを量産するための仕事の進め方という内容である。
生産は中国で行うことを想定しており、深圳での実際の量産立ち上げ経験をもとに、中国メーカーとの付き合い方から、設計のポイント、量産前試験、出荷、品質の大切さ、公差の重要性まで、ハードの量産について一通り書かれている。
メーカーまたは工場で働いている人にとっては基礎の基礎というようなことまで言及しており、ソフトウェア業界の人にとってはそれすらも新しい学びなのかもしれないと思った。
これを読めば、モノを量産することの大変さつまり仕事の多さを改めて思い知らされるのだ。スタートアップ界隈とか若い人たちへ「ものを作るということ」を教えるのに相応しい書のひとつになると思う。 -
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工業製品のモノづくりの現実を知る機会は意外に少ない。生産技術の本でも工場見学でもある一面しか知ることができないが、本書ではオープンハードウェアの量産を通して著者が経験した実態が書かれており貴重な内容だ。加えて興味深いのは、中国で横行するコピー商品について、必ずしも悪い面ばかりでなく必要に迫られて出てきた一面があり、また技術の優秀さが見られると紹介している。さすがXboxのハック本で名を馳せた著者だけのことはある。ただ遺伝子の話題は、読み物としては面白いが本書の内容としては些か冗長にすぎる。それに続くインタビューもブログで十分ではないか。改版/改訂の機会があれば削ってスリムにすることを奨めたい。
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Posted by ブクログ
工学の本か、lifehackの本か判断が難しいが
Lifehackの本だと思う。
工学の人は、よく「発明の呪い」にとらわれて、先にすすめなくなることがあるが、
この人は、うまいこと理学的「発見的手法」で乗り切ってる気がする。
NeTVが一番ぼくの分野に近いと思うけど、ブロック図を見ても、チャキチャキと実装できる気がしなかった。
あのときもう少しLinuxにハマってたらあるいはと思うが…。
特に法的なライセンス的なHackが一番苦しい。
作っても公開できないのは、モチベーションが続かない。仕事ならまだしも
あと、中共の「公開」文化は、ぼくの言う
「最初に著作権を退治したものが21世紀的な中世を終わらせる」というのを地で言ってて、若干の希望を持った。
しかし、昨今の上海の日本以上の日本感。ロボタッチされつくしたデストピアぶりを見ると、前途は暗くも感じる。
というのも、大規模なハードは、結局の所、蓋をしてそれを外してあげる商売以外は前途がないからだ。
迎え撃つプロプライエタリは追い上げるハッカーとは事情が違う。
そして、すぐに中共のメーカーもプロプライエタリ側になる。 -
Posted by ブクログ
話に聞くだけではどこまで信用できるのか分からないような印象を持っていた実験だが、こうして細部を知るとなかなか説得力がある。でもなお、この実験での「服従」の度合いが驚くべきものではあるとは言え、その絶対的な水準からあまり多くを汲み取るのも勇み足である気がある。巻末の山形解説もその点、面白い。引き換え、いろいろ条件を変えて服従度合いへの影響を探るあたりは興味深い。
また、ミルグラムがベトナム戦争でのソンミ村虐殺などに極めて強い問題意識を持っていたこともはじめて知った。山形氏によれば、それがミルグラムの視野を狭めているということで、たしかにその側面は否定できないが、単に心理学の実験というだけではなく、社会的な強い問題意識がバックグラウンドがあるゆえ、これだけ人々の耳目を集める実験にもなったのだろう。 -
Posted by ブクログ
先に読んだ「財政破綻は回避できるか」とはまるで真逆のことを主張している。
あとがきに主張がまとめてある。
「いま(2012年)はまだ、リーマンショック以後の不景気が続いていてまともに回復していない。そして失業者の技能や労働市場での価値の低下から、その害が一時的なものではなく、長期的な被害になりつつある。だから景気回復策をきちんとやろうということだ。
そして、その手法も明快。昔ながらのケインズ的な財政出動をやろう。赤字国債を出して、大量の公共事業をやろう。いままで行われている景気刺激策は小さすぎる。これまでの規模の数倍をどーんとやるべきだ。…そして中央銀行はそれを金融緩和で徹底的に支援すべきだ。それに伴う財政破綻だの金利上昇だのは、悪しき固定為替制度の下にある、ユーロ圏のスペインやイタリアのようなかわいそうな国以外は、全く心配する必要はない。」
財政破たんについて、考え方のどこが異なっているか。それは、つまるところ、クルーグマンはインフレで借金は返済可能だと考えているのに対し、深尾氏は財政健全化を急がずに、国の信用力が落ちれば、資金調達のコストがさらに増し、将来もっと厳しい不況と増税に襲われるという危惧をいただいているということだろうか。そういう意味でアベノミクスは、どちらが正しかったのを証明することになるのだろうか。 -
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訳がおかしくて理解できず、結局、洋書で読んだ方がわかりやすかった。
MIT Media Laboのジョイイトウによる、イノベーションを起こすには、スピードが求められる現代における大事なプリンシパルとは。
マップよりコンパスを。これが最もいい言葉だ。細かく計画していったとしても、結局修正修正。それであれば、コンパス、つまりは方向性をしっかり決めて、あとは全力で進む。途中、色々困難もあろうけど、それをその場で臨機応変に対応する。MBAホルダーが計画して、そこから金を集めて、デザイナー、エンジニアに作らせるのはBIつまりインターネット以前の話。インターネットが登場したあとは、イノベーションコストは限りなくゼロに近い。その環境下では、デザイナーやエンジニアがドリブンとなったイノベーションモデルが登場する。学生であっても、何かを生み出せるし、そのあとで金を集めて、最後にビジネスプランを立てるためにMBAを雇えばいい。ジョイさんは本当に面白い。シリコンバレーではもはやイノベーションが起きない、ファンドが集まっていてお金はあるが、人はグーグルに持って行かれて誰もいない。よって、大学のそばでイノベーションの卵を見つけて、お金はシリコンバレーで集める。そんなモデルもありじゃないか。自分の子供は小学校にはいれたくない。子供は、何かを作ったりするときに成長する。覚えることに時間を費やす意味なく、Wikipediaがあれば十分じゃないか。それより、質問すること、そしてそれをメンターとしてファシリテーターとして見守り進めてやる大人の存在、そして世代の違う人たちが交わることが大事。それは全て、日本の小学校ではできないと感じている。