山形浩生のレビュー一覧
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アメリカのダートマス大学の経済学者による「Naked Economics」、「Naked Statistics」に続き、知っているようで知らないお金の仕組みを解説する第三段「Naked Money」の邦訳版。
邦訳はこの手の本では安心感のある山形浩生で、彼自身が帯に書いてあるように、平易でスタンダード、非常に堅実な入門書、という解説文に嘘はない。
第1部では、お金に関する様々な基礎的概念の整理として、インフレとデフレ、信用とは何か、物価調査の仕組み、為替レート等に関する平易な説明がなされる。
その上で続く第2部では、主にアメリカの経済史(特に1929年の大恐慌と2008年のリーマンショッ -
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400頁にも及ぶ分厚い本であるが、それだけ丁寧に、やや砕けた調子でお金(マネー)の仕組み、役割、良し悪し、歴史(ユーロ、アベノミクス、ビットコインまで)を解説してくれる。
本書名に「もう一度」とあるが、専門家でない人にとっては「ちゃんと」というべき内容である。お金については、経済学の一役者としか学んでないというか、そのようにしか扱われていないが、本書を読んだらむしろ主役はお金で、今や経済学はその僕ではないかとさえ思うようになってきた。
お金の現状は、政治や思想哲学などと同様に、十分に合格点をだせるほど理解が進んで成果が出せている訳ではないかもしれないが、それでも他の選択肢より十分にまとも -
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ジャンルとしては経営、テックなのか分類が難しいが、シンプルな人生訓である。
この本(原題Whiplash: How to survive our faster future)の大前提として、ネットによる無数のコネクションと処理テクノロジーの発展により現代は変化のスピードが加速しており、予測は不可能だしトレンドに乗って安泰となることもない。その環境下を生き抜くすべがトップダウン、例えば一つの技能、権威、理論、方法論、ではなく、各人がやりたい方向を向いて、失敗を繰り返し、そこから学びながらやり抜くことである。
9つの原則は、権威より創発、プッシュよりプル、地図よりコンパス、安全よりリスク、従うより -
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提案の方向性はおそらく正しいものだと思う。ただし、膨大な項目にそれを引用する上での留保。理解する上での前提の多さ、この留保や前提は数字のことではあるものの、どこか宗教的感性が必要だ。これは、この人の物言いがそうなんじゃなくて経済学の話全般に言える胡散臭さや問題点だと思う。テレビでの解説は概ね簡略化されている。コメンテーターもわかりやすく言うが実相が見えている人は表に出てこないで金を稼いでいると思う。そういう人たちの野心の強度に比べて学者の言論は心許ないなというのが正直な印象。合意を形成して目指すにしてはもっと別の枠組みも必要になると感じた。
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サッチャー、レーガン以降、世界で広まった「新自由主義」の間違いを指摘し、さらにいえばアダム・スミスの「国富論」における「見えざる手」を否定する。そんな大きなパラダイムチェンジを起こす。それが本書の目論見であろう。
著者たちは、規制なき、自由な社会がいかに「釣り師」(情報を操作したりして、人々に誤った判断をさせる人または組織)にとって楽園になっているか具体例をあげて説明する。そして、そういった「釣り」がときどき起こる例外的な事象ではなく、あらかじめこの世界に組み込まれているシステムの一部なのだと喝破する。
社会心理学者のチャルディーニは『影響力の武器』においてセールスマンや広告主たちがどのよ -
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ネタバレ☆は3にするか4にするかでちょっと悩んだけど。
普段、経済政策の話って実はあまり読むことなくて、不平等を経済政策としてゆっくり考えたの初めてに近いから、そういう意味で、いいきっかけになったから、4にしました。
つまり、これまで、個別に社会保障問題、年金、税率、社会サービスへのアクセスなど、考えたりはしてきているけど、それを全体政策として捉えきれてなかったし。社会サービスへのアクセスも、貧困層が弱いのはもちろん自明だったし拡大すべきと思っていたけれども、その捉え方はどちらかというと、人権思想であり、まあ、capabilityアプローチであって、それがすなわち所得の拡大と同義だ、なんていう考え方 -
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山形浩生の解説が分かりやすかった。
以下、引用。
本書は経済学という分野を震撼させた、革命的な本だ。
本書は失業というものが一時的な過渡期の現象などではなく、定常的に存在し得ることを説明し、そしてそれが金利を通じてお金の市場(つまりはお金の量)に左右されることを、まとまった形でほぼ初めて示した。
それまでの経済学はこの状況に対して答えを持っていなかった。それまでの経済学は、失業は変な規制や不合理な抵抗さえなければ、だまっていてもなくなる、と述べていた。
需要と供給は市場メカニズムを通じて価格によって均衡する。失業なんてのは、価格による調整が完了するまでの一時的で些末な現象でしかない