山形浩生のレビュー一覧
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最初に書いておくと難読書。訳が非常に難しく(誤訳もあり?)、文章の組み立て方が非常に下手。恐ろしく読みにくい。が、重要な一冊。書かれた年代は少し古いが、ITの施策、提案、構築をする際に市場、法律、規範、アーキテクチャ(コード)という4点を意識することは非常に重要であることに気付く。
またIT黎明期に先人たちが何を求めていたか、何を目指していたかを捉えることは、時として浮つきがちな、この世界に確固たる基盤を示してくれる。
例えばプライバシーの問題を考える時、ITの世界ではそれを透明化することも秘匿することも容易(に見える)。だが、そもそもプライバシーとは何か?何をすべきで何をすべきでないか。 -
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「インターネットと法」というようなジャンルになるのだろうけれど、これはそういう狭い範囲の話ではぜんぜんない。たしかに全編にわたってネットの事例が沢山出てくるし、プライバシーとか著作権とかの話もある。でも、ネットは考えられるべき話の発端なんだと思う。
ネットやIT技術の進展は規制の実現可能性を高めるし、そうした技術の総体としてのアーキテクチャ自体が規制そのものとして参加者をコントロールしていく。それは、従来のコスト的にも技術的にも穴だらけの回避可能な規制ではなくて、回避がほとんど不可能ないわば法の完全執行が実現される世の中を作りだしうる。
そして、そんな完全執行が実現したとき、法は立法者がそ -
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経済の仕組みと、それを管理して繁栄する方法を理解するには、人々の考え方や感情を律する思考パターン、つまりアニマルスピリットに注目しなければならない。アニマルスピリットとは、経済の中の不穏で首尾一貫しない要素をさしている。それには下記の5つの側面がある。
1.理論の礎となるのは安心であり、安心と経済のフィードバック機構である。この機構は不穏さを拡大する。
2.賃金や価格の決定は公平さに大きく左右される。
3.腐敗と配信行動への誘惑も認識するし、それが経済でどんな役割を果たすかも考慮する。
4.貨幣錯覚も理論のもうひとつの礎石。インフレ、デフレで混乱し、その影響について理詰めで考えない。
5.自 -
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[ 内容 ]
パソコン・オタクの方々は、なぜにマニュアルも読まずにパソコンが使えてしまうのか?
マニュアル不要の「パソコン術」はオタクに学べ。
[ 目次 ]
なぜパソコンはこんなにめんどうでわかりにくいのか、またはおたくの罪―コンピュータを理解する方法
キーボードとディスプレイの間には深くて暗い川がある―実存としてのコンピュータ
コンピュータだって、やっぱりさびしい―コンピュータと人との関係
コンピュータだっていそがしいのだ―コンピュータは計算機
コンピュータだって、痛いかもしれない―コンピュータに入力するということ
縁の下の力持ちと、マッキントッシュの衝撃―オペレーティングシステム(OS) -
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これを読んでCPUやメモリの意味が分かるようになった。
クアッドコアとかデュアルコアの概念や、プロトコルが意味するもの、そしてコンピュータは万能でも何でもないことまで、いろんなことが腑に落ちた。
誰もがPCを使う時代になったけど、PCやコンピュータができることは今も昔もたいして変わっていない。
機能の追加やバージョンアップ、速度の変化などはあれど、人間はPCが持つ可能性を使いこなせていない。
梅田望夫氏が「ウェブ時代を行く」の中で示した、これから必要となる人材像という項目で、「自分の好きなようにプログラミングをしてITを活用できる人」みたいなのがあった。
PCを意のままに活用して -
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アニマルスピリットとは 安心、公正、腐敗と背信、貨幣錯覚、物語
合理的 非合理的
経済的 ? ?
非経済的 ? ?
既存の経済学…?の状況でしか使えない
アニマルスピリット…???の状況で使える
既存の経済学が適応できる標準化された世界(合理的、経済的)はとても狭い
我々が生きる広い現実世界はとても不条理で予測不能でそこではアニマルスピリットがとても重要な役割を果たしている
資本主義は公正なルールと適切な管理者がいてこそ正常に機能する ルールがない(もしくは変化する現実(例えば複雑化する金融商品)にルールが追いつけなくなると)屑商品が出回り、一般市民は(投信や40 -
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読み解くと現代社会の「OS書き換えマニュアル」のような一冊だ。思想のポイントを3つに凝縮して紹介する。
1つめは、「個人」から「つながり」へのシフト。これまでの民主主義は「バラバラの個人」を単位にしていたが、本書は「人は関係性の中で生きるもの」という視点を大切にしている。台湾のデジタル民主主義がベースにあり、孤立するのではなく、どう繋がるかに知恵を絞るスタンスだ。
2つめは、「橋渡し」としての多様性。ただ「みんな違っていい」で終わらせず、バラバラなコミュニティの間にどう橋を架けるかという技術(ブリッジング)に踏み込んでいる。SNSの分断を壊すのではなく、違う島同士をポジティブに繋ぎ直すのが、本 -
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言葉を覚えたり書いたり支配することとか、人間を嫌ってるくせになんだかんだ人間に近づきたいのかな。なんて。
牛の乳搾りが達者なブタってのも面白い。
こんなおとぎ話のような世界観だけど、元となる題材はロシア革命とその後。
独裁者となる豚はスターリンがモデル。
風刺がきいたおどろおどろしいディストピアな世界だった。
誰も反発せず考えようともしない環境。
知能の高い者が知能の低い者を洗脳して刷り込ませた言葉を繰り返させ思考を許さない現状に恐ろしさを感じた。
支配されて失うものは大きい。
知識や思考を止めないことがいかに大事なものか痛感させられた。
読んでて苦しくなる政治的皮肉めいた作品でした。 -
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好況と不況、経済のターニングポイントでナラティブが担った役割についての考察。全体を通じて「…かも」と今ひとつ歯切れが悪いのは、その威力の全体像がはっきりしないからなのか。現代、急激なAIの進化の真っ最中である。OSINT、NoSQLデータベース活用により、草の根的に経済を読み解き稼ぐ者が増え、悪しき者が強力なナラティブをポイズニングし私欲を満たす様な事態に政府や一般民が巻き込まれた後、学術的にまとまるかもしれない。だが、仮にまとまったとて、そんな未来における経済・社会に占める人の役割の心もとなさ、憐れさよ。脆弱なる我々は何を聴き何を語るべきなのか。
とここまで書いたが、ナラティブに関しては情報 -
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作品全体には強い感情の爆発はなく、淡々とした、乾いた語りが続く。けどその乾燥は無感情ではなく、重たい倦怠感をまとった乾き。リーは嫉妬し、執着し、欲望に振り回されるが、それを激情としてではなく、疲労の中で繰り返す。人生は止まらない。倦怠の中でも旅は続く。
アラートン(モデルはアデルバート・ルイス・マーカー)との関係は、肉体関係があっても感情は対等ではない。アラートン( 実在の若いアメリカ人男性)は、バロウズよりかなり年下で、性的アイデンティティも流動的だったと言われている。
リーの方が明確に欲望を抱き、アラートンは「今日はやってもいいよ」と許可する側。そこには温度差と主導権の差がある。触れられ