山形浩生のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
〈ヴァリス〉三部作の第三弾。
とはいえ、前二作とのストーリー上のつながりはなく、共通するのはそのテーマ性。これまでに引きずってきた神学談義や神秘体験などのオカルト妄想に決着をつけた作品である。
小賢しいが常識的な感覚を持ったインテリ女性の一人称による語りが、「そっち系の話を信じる人」の実態を暴き出す。
形而上学的な論議など役に立たない、地に足をつけて現実を直視せよ、即物的、具体的な行動に幸せはある、というような話になってしまうが、ある意味で過去作を否定することで前に進もうとしたディック最晩年の決意が汲み取れる。
読み方によってはどっちにも解釈できるのでは?と思える書き方がされているのがタイトル -
Posted by ブクログ
「いっしょに暮らさなくてはいけない人物と、とてもやっていけないと思うことはある?」
日々お互いに不満をぶつけ合うしかない、冷え切った夫婦仲。妻が気晴らしに手を出したドラッグによって、とんでもない事態が引き起こされる。
時は2055年、人類は異星人同士の星間戦争に巻き込まれ、リーグ星人と泥沼の交戦状態にあった……。世界観を理解するまでが読みにくいのはSFにありがちなことだが、ドラッグによってある現象が起こると、そこから物語は加速していき、目が離せなくなる。
後半は目まぐるしく展開される盛りだくさんのSFガジェット。見所はたくさんあるが、この小説の本質は夫婦のドラマだ。修復不能にまで陥った夫婦の関 -
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ミルグラムの社会実験とそれにおける分析をまとめたもの。実験概要は、被験者は先生役を与えられ、実験者である指導役に、学習者が問題を間違えるごとに電流を流すよう指示される。また間違える度に一段階ずつ電流のボルトを上げるよう指示され、電流のショックに呻く学習者にどこまで強い電流を流し続けるか?というもの。
実験は色々なパターンを変えて行われたが、概ねの結果としては多くの人は実験者の指示に逆らえず最高レベルまで電流を流してしまうということだった。被験者は特別サディスティックな性質を持っているわけではなく、至って普通の人たちである。それでも指示されると服従してしまう、という怖い結果だった。
そ -
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ようやく読み終わりました・・・注釈含めると700Pの大作・・・読破するには覚悟が要ります・・・
自由な資本主義の行きすぎにより留まるところを知らず拡大した格差。ピケティの主義主張は一貫して、「累進課税」。資本税の導入だという。不労所得にも税をかけること。確かに。寝かせられるだけのお金をたくさん持っていればいるほど、その人は働かなくても食っていける。そうすると富めるものはより富み、持たないものはより細る。ただし、資本税が有効に働くのは、すべての国の銀行口座情報がガラス張りになっていること、これがないと、今横行している税金逃れが続いてしまう。
コロナで世界中で景気が停滞し、失業者が出る一方で、今ま -
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中国の深圳がどのように発展していったのかを知りたくて、この本を読み始めた
頭でっかちな計画を立てるよりも、手を動かしていく中で正解を探していくプロトタイプ駆動。そのプロトタイプ駆動をより正確に行うために必要なコミュニティが、新興国などの新たな都市に芽生えている。プロトタイプ駆動とその実践の場、すなわちプロトタイプシティの新たな時代が始まっている
まず世界経済はこの30年間で大きく成長した。アメリカのGDPは1990年の6兆ドルから、2017年には19.3兆ドルと3倍強にまで成長しているのに対し、日本のGDPは3.13兆ドルから4.87兆ドルへと1.5倍にしか増えておらず、中国やベトナムは3 -
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無形資産とは、物質的なモノではなく、アイデアや知識、社会関係といったものを指す。具体的に挙げると、次のようなものである。
・スターバックスの「店舗マニュアル」
・アップルの「デザイン」と「ソフトウエア」
・マイクロソフトの「研究開発」と「研修」
・グーグルの「アルゴリズム」
・コカ・コーラの「製法」と「ブランド」
・ウーバーの運転手の「ネットワーク」
1950年代から2000年代まで、上場した企業の簿価や売り上げと、時価総額との相関を調べてみると、年々明らかに相関が下がっている。など無形資産の価値について分析している。
しかしながらwithコロナの世界で起こる無形資産の価値が見直されてい -
Posted by ブクログ
無形資産が経済に及ぼす影響について記載している
スケーラビリティ 拡張性
サンクコスト 投資が回収できない
スピルオーバー 無形資産の効果が自社・他社へ波及する
シナジー 異なる無形資産が掛け合わされることでより多くの便益をもたらす
無形資産が重要になる経済では、スピルオーバーを最小化しつつシナジーを生み出そうとする、少数の支配的な企業が市場を支配する。まさに、Googleが検索アルゴリズムで市場の覇権を握りつつ、異業種とのシナジーを生み出しているのが好例と言える。
Googleの例のように、無形資産の経済では先進企業と後進企業との間で、大きな所得格差が生じてしまう。
無形資産が生み出す格差 -
Posted by ブクログ
世界時価総額上位をみれば無形資産を活用する企業ばかり。それらの企業はいまや国家を超越しようとしている。無形資産企業への富の集中と不可分性(と無形投資という多分の投機性)を、主に経済学的視点から分析する。著者曰く無形資産の特性は①スケーラビリティ、②サンクコスト、③シナジー、④スピルオーバーの4つあり、特に③④が無形リッチがWinner takes allになる本質であろう。GAFAMしかり、これからの自動運転のCASEやシェアリングエコノミーも同様の世界が来るだろう。面白いのが無形資産が優位性の源泉となればなるほど、人材といったソフト部分の流動性は高まるということだ。無形をいかに固着させるかと