山形浩生のレビュー一覧
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ネタバレ・教育よりも学習を
・創発民主主義
アラブの春としての成功
同時にイスラム国も生んだ
トランプもサンダースも、率いたのではなく、乗った
・中心から周縁へのpushではなく、
周縁で起こるイノベーションにあわせて
資源をpullすること。(人材然り)
ストックではなくフローになる時代
個人の心の持ちようとして、オープンネス
・想像プロセスにおける標準化の重要性
ねじの形を標準化することで効率化
・MIT「デモするか死ね」「液体のようになりたい」
・子供は、学習意欲がある。
それを伸ばすのが大人の仕事
・良心的な不服従
そこから生まれる新しいアイデア
・理論体系で考えていると、理論上は正しいが直観的には間違っていることが起こる。
ex)ペストに関する解釈
・共感の輪をいかに拡大させるか
・強さより、回復力。
生物的なシステム多様性。
「予想できない」ということを予想すること
・ものよりも、システムを -
Posted by ブクログ
見ず知らずの人に「殴って下さい。」と言われて実際に手を出せる人はまずいない。
だが、実験室を用意し、実験参加の求人広告に応募してもらい、白衣の指導者が参加者に実験の概要を説明し、
簡単なテストに間違える仕掛け人と電撃発生装置を用意したならば、その電撃の強さを最大値まで設定できる人間は多い。
本書は各所で引用されるミルグラムの服従実験を、スタンレー・ミルグラム自身が語る一冊。
驚くような新事実が載っているわけではないが。
実験室の様子、与えられる役割、種々の条件設定、結果データの数値など、引用では省かれる詳細がよくわかる。
だが、本家だからといって実験に対する考察が十分にされているとは言い難く、それは訳者による解説にて補完される。
この実験から得られる教訓とは、『人は権威への服従により残酷な行動をとりうる』ということではない。
現代戦争における虐殺や捕虜虐待などは、むしろ体制が厳しく禁じているにもかかわらず発生しうるが、
その原因を一つに限定することはできない。
対象との心理的距離の乖離、
厳しい環境におけるストレス、
強すぎる共同体の結束と反抗者への敵愾心、
多段の命令系統による責任の希薄化、
その中の一つが、本書で語られる進行し続ける状況への服従だ。
学校でも会社でも遊びでも、始まってしまった状況へたった一人で反抗することの難しさは、誰しも感じたことがあるだろう。
では、服従さえ克服できれば人類は進歩できるのだろうか。
手持ちの紙幣の価値を疑い、書籍に記されている歴史を信じず、皆が従う法律を認めず、全ての状況に抗う。
そして全ての事実を確かめるために世界を巡る。
そう、状況への服従とは、現代の繁栄の根幹である分業すなわち他者への信用と表裏一体だ。
歴史への服従・信用があってこそ、2,000年以上を費やした学問の利益を得ることができ、
社会への服従・信用があってこそ、突然斬りかかられることを心配せず往来を歩ける。
服従と信用の違いが他発的か自発的かだとすれば、現代社会に生まれた時点で服従を強いられるのは間違いない。
そうやって生きるためのコストを他者にゆだねて得られた時間を用い、
信用できる領域をそれぞれのペースで広げてみよう。
人間社会はそうやって進歩してきたのだから。 -
Posted by ブクログ
アメリカのダートマス大学の経済学者による「Naked Economics」、「Naked Statistics」に続き、知っているようで知らないお金の仕組みを解説する第三段「Naked Money」の邦訳版。
邦訳はこの手の本では安心感のある山形浩生で、彼自身が帯に書いてあるように、平易でスタンダード、非常に堅実な入門書、という解説文に嘘はない。
第1部では、お金に関する様々な基礎的概念の整理として、インフレとデフレ、信用とは何か、物価調査の仕組み、為替レート等に関する平易な説明がなされる。
その上で続く第2部では、主にアメリカの経済史(特に1929年の大恐慌と2008年のリーマンショック)や、日本、ユーロ諸国、そして中国のそれぞれの地域での金融政策についての解説がなされ、最終章ではアメリカのFRBなど中央銀行の役割の重要性と今後の果たすべき役割が語られる。
著者は、一部中央銀行であるFRBの存在を否定する論者がいるアメリカにおいて、中央銀行の役割は絶対に必要であり、少なくともリーマンショックに対するFRBの金融政策は、1929年の大恐慌の反省を踏まえた意義のあるものになっていることを指摘する。日本のアベノミクス及び日銀の金融政策に対する評価も概ね好意的であり、バブル崩壊以降の日本経済から学ぶべきポイントとして、インフレ期待と同じ程度にデフレ期待は根強く、デフレ下では多少のインフレの行き過ぎのリスクがあってもインフレに持ち込むべきであるという点を挙げている。
分かっているようで分かっていないお金や中央銀行の仕組みについて網羅的に学べる一冊、かつ非常に面白い語り口。 -
Posted by ブクログ
400頁にも及ぶ分厚い本であるが、それだけ丁寧に、やや砕けた調子でお金(マネー)の仕組み、役割、良し悪し、歴史(ユーロ、アベノミクス、ビットコインまで)を解説してくれる。
本書名に「もう一度」とあるが、専門家でない人にとっては「ちゃんと」というべき内容である。お金については、経済学の一役者としか学んでないというか、そのようにしか扱われていないが、本書を読んだらむしろ主役はお金で、今や経済学はその僕ではないかとさえ思うようになってきた。
お金の現状は、政治や思想哲学などと同様に、十分に合格点をだせるほど理解が進んで成果が出せている訳ではないかもしれないが、それでも他の選択肢より十分にまともなのである。
まだまだ分からないこともあるが、過去を教訓に進歩し続けているはずのマネー学は興味がつきない対象である。脚注、参考文献も多数示されている。2回目はそれらも確認しながら、ゆっくり読みたいものである。
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Posted by ブクログ
ジャンルとしては経営、テックなのか分類が難しいが、シンプルな人生訓である。
この本(原題Whiplash: How to survive our faster future)の大前提として、ネットによる無数のコネクションと処理テクノロジーの発展により現代は変化のスピードが加速しており、予測は不可能だしトレンドに乗って安泰となることもない。その環境下を生き抜くすべがトップダウン、例えば一つの技能、権威、理論、方法論、ではなく、各人がやりたい方向を向いて、失敗を繰り返し、そこから学びながらやり抜くことである。
9つの原則は、権威より創発、プッシュよりプル、地図よりコンパス、安全よりリスク、従うより不服従、理論より実践、能力より多様性、強さより回復力、モノよりシステム。 -
Posted by ブクログ
提案の方向性はおそらく正しいものだと思う。ただし、膨大な項目にそれを引用する上での留保。理解する上での前提の多さ、この留保や前提は数字のことではあるものの、どこか宗教的感性が必要だ。これは、この人の物言いがそうなんじゃなくて経済学の話全般に言える胡散臭さや問題点だと思う。テレビでの解説は概ね簡略化されている。コメンテーターもわかりやすく言うが実相が見えている人は表に出てこないで金を稼いでいると思う。そういう人たちの野心の強度に比べて学者の言論は心許ないなというのが正直な印象。合意を形成して目指すにしてはもっと別の枠組みも必要になると感じた。
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Posted by ブクログ
サッチャー、レーガン以降、世界で広まった「新自由主義」の間違いを指摘し、さらにいえばアダム・スミスの「国富論」における「見えざる手」を否定する。そんな大きなパラダイムチェンジを起こす。それが本書の目論見であろう。
著者たちは、規制なき、自由な社会がいかに「釣り師」(情報を操作したりして、人々に誤った判断をさせる人または組織)にとって楽園になっているか具体例をあげて説明する。そして、そういった「釣り」がときどき起こる例外的な事象ではなく、あらかじめこの世界に組み込まれているシステムの一部なのだと喝破する。
社会心理学者のチャルディーニは『影響力の武器』においてセールスマンや広告主たちがどのようなテクニックを使って私たちを「誘導」しているのかを解き明かし、その対抗策を示してくれた。同じように本書で著者たちは、私たちがどのように「釣られる」のかを解き明かし、それを防ぐための手段を提示してくれる。 -
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ネタバレ☆は3にするか4にするかでちょっと悩んだけど。
普段、経済政策の話って実はあまり読むことなくて、不平等を経済政策としてゆっくり考えたの初めてに近いから、そういう意味で、いいきっかけになったから、4にしました。
つまり、これまで、個別に社会保障問題、年金、税率、社会サービスへのアクセスなど、考えたりはしてきているけど、それを全体政策として捉えきれてなかったし。社会サービスへのアクセスも、貧困層が弱いのはもちろん自明だったし拡大すべきと思っていたけれども、その捉え方はどちらかというと、人権思想であり、まあ、capabilityアプローチであって、それがすなわち所得の拡大と同義だ、なんていう考え方はしたことなかったがら。なんか、本題はとりあえず置いておいても、なるほどな、って思ったよ。 -
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山形浩生の解説が分かりやすかった。
以下、引用。
本書は経済学という分野を震撼させた、革命的な本だ。
本書は失業というものが一時的な過渡期の現象などではなく、定常的に存在し得ることを説明し、そしてそれが金利を通じてお金の市場(つまりはお金の量)に左右されることを、まとまった形でほぼ初めて示した。
それまでの経済学はこの状況に対して答えを持っていなかった。それまでの経済学は、失業は変な規制や不合理な抵抗さえなければ、だまっていてもなくなる、と述べていた。
需要と供給は市場メカニズムを通じて価格によって均衡する。失業なんてのは、価格による調整が完了するまでの一時的で些末な現象でしかない、と。
そして恐ろしいことだが、もはやケインズ『一般理論』など過去の遺物と思われつつあった 2008 年になって、サブプライム問題とリーマンショックに端を発する世界金融危機が発生し、世界的に急激な景気停滞と失業増加が見られた。そのときも、ケインズから70 年にわたり進歩と洗練をとげてきたはずの新しい経済学は、有効な診断も処方箋も出せなかった。そして危機に対してきちんと対処を行ったあらゆる国(つまり日本以外のほぼすべての国)は、この古くさいケインズの基本的な処方箋どおりの対応を(不十分ながらも)実施し、最悪の事態を回避している。
この本は
「美人投票」 2箇所に出てくる?
「アニマルスピリット」 6箇所に出てくる?
「穴を掘って埋める公共事業」 2箇所に出てくる?
といった、印象的で有名な比喩やフレーズがたくさん登場する。
一部のケインズ解説書などでは、『一般理論』の英語は格調高い美文なのでわかりにくいなどと書かれているがまったくのウソで、関係節に関係節がぶら下がり、そこにいくつもの条件節が並置されて延々と引き延ばされた典型的な古くさい悪文だ(むろん古くさいわかりにくい書きぶりこそが格調高いのだ、という価値観はあり得るが)。
純粋ケインズ左派の立場からすれば、IS-LM などというのは経済学の数理的な処理を明白に否定していたケインズの理論を、中途半端に数式化して後退させてしまったということになる。厳密すぎるからダメ、というわけだ。それどころかこのヒックス論文は、こともあろうにケインズがあれほど批判した古典派の理論を、ケインズ経済学と野合させている。おかげでサミュエルソンが、両者を統合した新古典派総合なんかをでっちあげることになったではないか、と。
IS-LM がなければケインズ理論が戦後の世界経済を席巻できたかどうか。この
モデルの異様な使いやすさは比類がない。この図を一つ描けば、ほとんどの場合には経済政策の基本的な方向性は見極められる。