本著はアメリカ現代史を権力に対して批判的な観点で描いたもの。詰まり歴史を教科書的には触れられていない側面から考察しているところに面白さがある。
特にアメリカという国は自由を標榜する啓蒙主義的な側面と産業資本・金融資本を背景とした実利主義的な側面の両面があり、それを意識しないと国家の在り方を正しく理解
...続きを読むできないのだと思う。
本編は主に第一次世界大戦から第二次世界大戦までをテーマにし、特に最後は広島、長崎への原爆投下の深層について明らかにしていく。
原爆投下不要論は既論評として認識していたが、過去の歴史を遡ってみるとその納得感も高まる。
日本人は自国のこととして様々な観点を理解しておく必要があるのだろう。
アメリカが『世界の警察』になったのは然程昔のことではない。次編以降を読むことでその辺りの理解も深まるのではないか。
2016年大統領選に向けて、アメリカの世界への関わり方が大いに議論されているところでもあり、この歴史的な変遷はよく理解しておきたいところ。