山形浩生のレビュー一覧
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実験のレポートと考察が丁寧に書かれていて非常に読みやすかった。
人が権威に服従するのは責任を権威のあるものに背負わせているからだと思う。
責任の及ばない範囲で人は行動している。
それが社会の仕組みなのかなと。
逆に自由になりたければ責任を負わなければならない。(起業して社長になるとか)
本編も面白かったけど、訳者の考察がとても良かった。
実験の前提と本質に疑問をなげかけている。
例えば、実験では人は性善説に基づいて行動している(根底には人を傷つけたくない心理がある)としているが、訳者は一般的にはそれは成り立つのか疑問を呈している。戦争なんかでは、略奪が目的だったりと、、、
作者のスタンレーミルグラムはスモールワールド実験でも有名だったのか。
6人介せば、誰とでもつながれるという実験。
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ケインズの著書「一般理論」の超訳として、主要なところの日本語訳だけでなく、その部分のポイントも簡潔にまとめられています。枝葉の部分まで詳細な内容というわけではなく、あくまでもケインズがここで言いたかったことが分かることを主点としてまとめられています。そのため、難解なところの多い本書ですが、最後まで読めば、この書の特徴をつかむことができます。さらに、後半に大きく幅を取って、翻訳者による本書の内容やケインズの人となりについて解説が書かれています。こちらは読みやすく、本書の内容を簡単につかむことができますので、先に読んでも良いかもしれません。この「一般理論」がいかに、いまの日本の経済政策にも影響を与えているのかということを実感することができます。雇用が投資に影響を受けること、投資は金利に影響されること、不確実性が投資を左右することなど、それぞれの要素のつながりが見えてきます。
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ケインズに関する著作を全く読んだことがなかったので、分かり易く翻訳されたという本書、一般理論を初めに読んでみました。後半には訳者による解説があるのですが、最初は訳者の文による一般理論を初めから読んでみました。章ごとにポイントが書いてあり、最初の方の章はなんとなく理解できるような気がしたのですが、中盤あたりになってなにを書いているのかよくわからず、終盤には、読むのを止めて、後半の「訳者解説」を読みました。一般理論の内容だけでなく、ケインズについてどういう人だったのかということが詳述されているので、本書はケインズを知らない方にはとても向いている本だと思います。
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時間が有り余っている学生時代に読めておけて本当に良かった。
r > g の原則を知らずに社会人として社会に放り込まれていた可能性を考えると怖くなる。
中々裕福になれないやるせなさを感じるも原因は分からない。なぜなら資産の大半は上位層がガッツリ確保しており、それを使って芋ずる式に不労所得を蓄えているのだから。
歴史から得られる原則と、信用性の高い数字と向き合う大切さを学べた。
様々な事象や通説が重なりあって経済は動いている。
あとは読解力がかなり増した気がする。本書を読む前後では、他の本を読む時の理解力が断然に違う。
本書に出会えたことに感謝を。 -
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5年以上、積読だった本。きっと一人じゃ読まないままだ、と思い友人を巻き込みたった二人の読書会を企てました。二週間に一部ずつ読んで、週末2時間zoomで語り合うという方式です。全4部構成を4回で読み終わりました。ものすごい達成感!ノートを取りながら読書したの学生以来か。夜、夕食後に自宅で集えるzoomという仕組みに感謝。いやいやこの試みに付き合ってくれる友人の存在することが最大の幸せ。大昔、パルコのコピーに「本読む馬鹿が、私は好きよ。」というのがありましたが、本を読む馬鹿仲間は宝物です。この読書会と同時に読んでいた「人新世の資本論」でピケティの新刊「資本とイデオロギー」が出ることを知り、次のテキストはそれにするか?その前に、もう一発、別の読むか?そんなやりとりも楽しいです。
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政府で働く人間たちが全体意識として監視という行為を容認しているわけではなく、あまりにも細分化されたタスクにより「罪の意識」がないことが問題でもあると感じた。誰からの、どういう理由で、何のために、という重要な部分が抜けたまま、上位に位置する人間のきまぐれで個人の情報は赤裸々に暴かれてしまう。
このような話になるとよく、「自分にはやましいことがないから問題ない」という人がいる。
しかしスノーデンも記したように「隠すことがないからプライバシーなんか必要ない、不要だと主張するのは、言うことがないから言論の自由なんかどうでもいいというに等しい」ということ。また、今の現在は自由に対して意識していないかもしれないが、知らない間に物言わぬ機械にタグ付けされ、「反社会的人間リスト」のどこかの層に分類され、当局によって好きなタイミングで利用されてしまうかもしれないのだ。知らない誰かか、もしくは自分自身を罪なき罪人に仕立て上げるために。
何の令状もなく個人に承諾もなく個人情報にアクセスできることは、スノーデンの言葉を借りると「道をはずれたことをやったら、きみの私生活をネタにしますよ、という政府の脅しに等しい」のであり、許してはいけないこと。
これを意識して生活するとしないとでは、だいぶ世の中が違って見えてくるだろう。
誰かが(それが見知らぬ第三者でも)、国内で理由もなくプライバシーと人権を侵害された事件があったときに、すぐに気が付くことができるし、微力ながら力になれるかもしれない。
民主主義とは、目を光らせ手を加え続けていかないとあっという間に形骸化していく。それが、市民や国民に課せられた「終わらない仕事」で「終わらせてはいけない仕事」なのだと思う。 -
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〈ヴァリス〉三部作の第二弾。
難解な神学談義が続いた前作に比べ、まずSFとしてストーリーを楽しめたのが大きい。辺境惑星、冷凍生命停止、巨大人工知能システム、飛行タクシー、スマホ(のような端末)などが存在する未来世界の中での、『覚醒』をめぐる宗教的・スピリチャル的な物語。難しそうに思えるテーマだが、文章も読みやすく、筋運びそのものが素直に面白かったといえる。その上で、聖書の世界観を通じて語られる「世界」「神」「人」などについての論議は学ぶことが多く、たくさんのメモを取りながら読むことになった。自分はやはり知識が追いつかないところもあったが、聖書に興味がわき読みたくなったことがかえって嬉しい。
さらに良かったのが、巻末の訳者あとがきがとても秀逸なこと。作品の全体像をわかりやすく再確認させてくれる上、これだけでひとつの読み物になっていて面白かった(※ネタバレ全開なので先に読む場合は注意)。
ディック教?における、ある種の到達点といえるだろうか。個人的にかなり収穫のあった一冊。 -
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タイトルの通り経済学についての本だが、人間の行動心理について書かれている部分も多くあり、そこが私にとってはとても興味深かった。
特に「時間不整合性」や「豊かな国に住む者は眼に見えないあと押しに囲まれて生活している」という二つの事実は、今後もずっと覚えておきたいと思った。
まず一つ目の時間不整合性は単純に言うと「今チョコレートを食べるのを我慢できないのに、来年にはダイエットに成功しているはずと思っている」ようなことで、これはとても身に覚えがある!いつも将来に過大な目標を立ててしまい、一方で現実は全く努力ができていない。いつもそう。
それは私がとんでもなく怠け者のせいなのかと思っていたが、人間すべてに共通する傾向であると分かり、安心した。「そういうもの」なのだとわかれば、それに即した対策が立てやすい。
二つ目のことについては、私は先進国に生まれた幸運への実感が足りなかったと反省した。蛇口をひねれば水が出てきて、娘の予防接種もすべてお膳立てされていて、医療機関への信頼も高い。この恵まれた環境が私の履いている下駄であることに気づくことができた。
今までは正直に思えば「貧乏人は何かしらの原因(低栄養、低IQ、教養の低さなど)で合理的な判断ができないのだ」と思っていた。しかし本書を読んで、それが事実ではないことが分かった。
そもそも貧乏人はそれぞれ「そのとき・その環境において合理的な判断」をしているし、私が自分で言う「合理的な判断」ができるのは、私が大きな下駄を履いているからなのだ。優れた人間であるからではない。もしこの本の中にあるような貧困の中にいたら、私も結局「合理的でないように見える」判断をし、行動しているのだろう。
このことは、「その人はいまの精一杯をやっている」という知見を与えてくれる。一見不可解な言動でも、その人の選択肢の中ではベストかもしれない、ということ。これは日常のいたるところで役に立つ考えだと思う。「その人は精一杯やっている」と思うことで、相手を慮ることができるし、「じゃあなぜそれが精一杯なのか?」と相手の背景に関心を持つ源流にもなる。
ほかにも様々な人間の心理が確かな実験データを用いながら説明されており、経済学に縁遠くても最後まで興味をもって読むことができた。
一つの包括的で普遍的な答えはないということ。
塊のように思えるものも実態は多様な問題の束であり、一つ一つ観察して調べ、内実を把握し、それに適した解決法を充てていくのが必要だということ。
本書を通じて主張されていることで、著者は最後に「静かな革命」という表現をしているが、それがとても大切なことで、真実だなと思った。一つ一つの取り組みは小さいものだし、その効果も地味に見えるかもしれないが、確かに意味があり、前進している。オールオアナッシングの誘惑に打ち勝たねばならない。
自分の人生に必要なのも、この「静かな革命」ではないのか?と感じた。
ただ、最後の第十章は読むのに苦労したし、たぶん理解できていない。自分の知識の不足を感じた。
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Posted by ブクログ
ネタバレめちゃくちゃ難解なカルト小説だった。チャットのグループの読書会で皆で考察し合えたのが楽しかった。自分の考察を書いておきます(正しいか間違えてるかは置いといて)。登場人物皆狂ってますが色んな解釈ができて楽しめる作品です。読むのキツいですけど。
ヴァリスとは生きた情報システムであり、時間の概念を持たず色んな時代、空間を行き来できるものだと思っています。時間だけでなく空間も存在しないとは、色んな場所を行き来できるということだと解釈しました。
個人的に思うことだけどファットによる世界の考察は割と始めに集約されていると思う。
この世界全体は非理性で構成されており、理性的なものはヴァリスだけ。多分我々人間が時間があって空間があるように感じられるのはこの世界が非理性で支配されているから。それから抜け出すためにはどうすればいいか?
全ての初期キリスト教徒が知っていたように、凡我一如。第三の目を開くことである。ヴァリスはその為に作られた生きた情報システム。そしてヴァリスのみが理性的であり、ヴァリスから色のついた光を放射されることによって世界の真理について気づくことができる(これは放射線でミニはピンクの光を受けすぎたことで癌疾患に罹ってしまった)。この非理性の迷路から抜け出すことができれば時間と空間を超越できるようになる。
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梵我一如(ぼんがいちにょ)とは、梵(ブラフマン:宇宙を支配する原理)と我(アートマン:個人を支配する原理)が同一であること、または、これらが同一であることを知ることにより、永遠の至福に到達しようとする思想。古代インドにおけるヴェーダの究極の悟りとされる。
宇宙の全てを司るブラフマンは不滅のものであり、それとアートマンが同一であるのなら、当然にアートマンも不滅のものである。すなわち個人の肉体が死を迎えても、アートマンは永遠に存続するということであり[1]、またアートマンが死後に新しい肉体を得る輪廻の根拠でもある。
Wikipedia「梵我一如」
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Posted by ブクログ
下巻の本書では、第三帝国の第二次大戦での、初めての大勝利だった対フランス戦から、同帝国崩壊までを著しています。上下巻でそれぞれ700ページ以上あったので、まず読み終えた達成感があります。ナチスに関する事前の予備知識は殆どなかったものの、訳者あとがきで現在でのナチスに関する各専門家の一般的な考察も大雑把ではありますが読めたので、本書の革新的なナチス経済の見解との違いをよく知ることができました。補遺にあるように多くの経済的な数値から導き出される当時の連合軍相手に戦った時のドイツの逼迫した経済状況は、もはや異常なものであり、国自体が日を増すごとに衰退していく様子がはっきりと分かります。本書は、ナチス分析本の白眉と言ってもいいぐらいの詳細な情報とドラマを観ているような興味深さがあり強く印象に残る一冊でした。