あらすじ
「ぼくは真実を語ることにした」今世紀最大の英雄か、それとも国家を破壊しようとした叛逆者か―アメリカ政府による秘密の“大量監視システム”の存在を暴露したことで、最強の諜報組織NSAとCIAを敵に回した男、エドワード・スノーデン。全世界ベストセラーの自伝、ついに日本上陸!
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Posted by ブクログ
政府で働く人間たちが全体意識として監視という行為を容認しているわけではなく、あまりにも細分化されたタスクにより「罪の意識」がないことが問題でもあると感じた。誰からの、どういう理由で、何のために、という重要な部分が抜けたまま、上位に位置する人間のきまぐれで個人の情報は赤裸々に暴かれてしまう。
このような話になるとよく、「自分にはやましいことがないから問題ない」という人がいる。
しかしスノーデンも記したように「隠すことがないからプライバシーなんか必要ない、不要だと主張するのは、言うことがないから言論の自由なんかどうでもいいというに等しい」ということ。また、今の現在は自由に対して意識していないかもしれないが、知らない間に物言わぬ機械にタグ付けされ、「反社会的人間リスト」のどこかの層に分類され、当局によって好きなタイミングで利用されてしまうかもしれないのだ。知らない誰かか、もしくは自分自身を罪なき罪人に仕立て上げるために。
何の令状もなく個人に承諾もなく個人情報にアクセスできることは、スノーデンの言葉を借りると「道をはずれたことをやったら、きみの私生活をネタにしますよ、という政府の脅しに等しい」のであり、許してはいけないこと。
これを意識して生活するとしないとでは、だいぶ世の中が違って見えてくるだろう。
誰かが(それが見知らぬ第三者でも)、国内で理由もなくプライバシーと人権を侵害された事件があったときに、すぐに気が付くことができるし、微力ながら力になれるかもしれない。
民主主義とは、目を光らせ手を加え続けていかないとあっという間に形骸化していく。それが、市民や国民に課せられた「終わらない仕事」で「終わらせてはいけない仕事」なのだと思う。
Posted by ブクログ
【ぼくの世代がやった作業は諜報作業の再編と改良にとどまらない。諜報とは何なのかを完全に定義し直したのだ。ぼくたちにとって、それは秘密会合だの秘密情報交換場所だのの話ではなく、データについての話なのだった】(文中より引用)
アメリカ諜報界による大量監視について告発し、現在はモスクワで亡命生活を送るエドワード・スノーデン。彼が自らの生い立ちとともに、なぜそのような「謀叛」を起こすに至ったかを振り返った作品です。訳者は、シンクタンク勤務の傍ら翻訳業を営んでいた山形浩生。原題は、『Permanent Record』。
波乱に満ちた半生や内部告発に至る過程の叙述はストーリーとして抜群に興味深いのですが、何より技術の目まぐるしい進歩がインテリジェンス業界にどのような影響を与えたかを考える上で参考になる一冊。特に技術と法律の解離という問題は、諜報に限らずあらゆる分野で生じているんだろうなと感じました。
少々目まいを覚えるほどの使命感(というか気負い?)が伝わってくる文章でした☆5つ
Posted by ブクログ
内部告発者として有名となったスノーデンについて、一人の人間としてのストーリーを伝えている本。いかに自分たちと共通する部分があるか、そしていかに強い信念と勇気、頭脳と愛情を持った人間であるか、ということを印象付ける。
国家が永久に私たちのプライベートな情報までも記録として収集し保管している、この事実への危機感や疑念を、あらためて抱く。本で書かれているように、2013年から法律や人々の意識の点でもよい変化がもたらされている一方で、より専門性を高め複雑化する政治と技術の関係性に、一般市民はどこまで何を知らされて、また何を知る必要があるのか、と不安にもなる。
社会の中でシステムの不全はいたるところで表面化しているけれども、システム全体を見て徹底的にその欠陥を見抜き、改善を求めることは、時間もかかるし、一貫性のある考えと行動がいる。そのシステムなるものが世界でも強大な権力である中で、スノーデンの取った行動とそれを可能とした明晰な知性は、現代に生きる民主主義国の市民としてのモデルでありリーダーであると思った。
★★★★★★★★★★★
Posted by ブクログ
読みやすい文章と(技術解説は除く)ストーリーはまるでスパイ映画を観ているようだ。インターネットに載せた個人情報は保護されるなど思うな、という怖いことをリアルに警告される。G.オーウェル 1984年 は所詮昔書かれたフィクション。これは現在進行形の事実。
Posted by ブクログ
これはフィクションではなく現実の出来事なのである。
それを理解するにはあまりにも壮大で、(少なくとも私にとっては)非現実的で、衝撃的な一冊だった。
最終章にある、監視システムの拡大により懸念される市民得点の計算は犯罪者の予測システムは、アニメPSYCHO-PASSの描く未来の日本そのものであり、2つの作品は私の中で完全にリンクした。
PSYCHO-PASSでは、個人の犯罪係数の測定、その係数が(罪を犯してなかろうが)向上すると、処刑対象になる。その支配下の中、個人ではなく集団での犯罪(個人の犯罪係数はあがらない)の場合の倫理、
個人に自覚のない形で連携犯罪がなされる場合の対処方法、先天的に犯罪係数が測定できない人への対処方法についてテーマを設定し、物語が進んでいく。
一個人がここまでのことをやり遂げるその信念と素直さ
国家の中での統率力の低下(テクノロジーを理解している、かつ全体像を把握している人がいない)
人は愛によってここまでも勇気づけられ、自分を信じることができる
私の少ないボキャブラリィではとても表わせない内容だった。
Posted by ブクログ
告発自体もそれはそれで社会的な影響力があるが、この事件が起きた原因と背景が大事な気がする。今の仕事で会社のシステムを担当している身として、なんだかすごく考えさせられる本だった。著者の言う通り、システム担当はすべての情報にアクセスすることができるし、相当な倫理観が試される。きっとこれはどんな時代のどんな職業でも同じことで、往々にして歳を取った権力者よりも、デジタルオタクの若造の方が技術に明るいし、同じだけのアクセスを得てしまう。これが著者の言う不均衡なんだろうな、と。この先の解決策や理想がわからない。
Posted by ブクログ
- ドキュメンタリー。小説かと思わせるような面白さ。映画を見るつもりで選んだので、狙い通りの正解。満足。
- 彼女リンジーの日記をそのまま載せていた、という最後の章は、その意味で最も読み応えがあった。リアリティがある。FBIってここまでするんだなーという感想。
- ところどころ具体的な技術の話があり(それは別にいらんけどな~)というのもあったが、全体として展開は早く、良かった。
- というか29歳とかの話なのか・・という思い。
- そして何もまだ解決されてない、というのが現実であり、それがもっともリアルかもしれない。