山形浩生のレビュー一覧
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ネタバレ未開の惑星で14人の男女が一人また一人と死んでゆくストーリー、そしてあのオチ、そもそも『死の迷路』というタイトル…あとがきで山形浩生氏が「粗製濫造」された作品のひとつ評するのも頷ける超B級SFサスペンス。
なぜ数ある作品の中で、この本を選んだんだっけ?
…なのですが、独特の宗教観(というより神の存在)が、異質な雰囲気を醸し出していて、雰囲気のある小説でした。夏の怪談がわりにもいいかも。読み終わった後に、いつもの夕方の街並みを眺めてハッとしてしまうような、没入感ある一冊でした。そんなわけで、結構好きでした(*´∀`*)。
若かりし頃の斜に構えた山形浩生氏のあとがきも良き。 -
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本書を読むきっかけは、私が現実で目の当たりにしている「格差」について洞察を得たかったからだ。
本書では、イーロンマスクと我々で生活レベルの差はほぼないとされている。
確かに、歴史的に見ても我々は遥かに裕福で、テクノロジーの恩恵を受けている。それはまさにグローバル資本主義がもたらした状況そのものだ。
グローバル資本主義では人々は「自由」なので、格差も自身の状況も、気に食わないのなら改善できるのがミソだということだ。
真に重要なのは、状況の改善方法がわからず、その層に滞留してしまっている人に、「自由」であること、改善方法を示してあげることかもしれない。 -
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読みやすい。
社会主義、共産主義への批判の寓話。
古典作品だけど今も通ずるものがある。
農場の動物たちをまとめ上げ動物主義革命を起こし人間の農場主を追い出した豚さんスノーボールが、同じく同志の豚さんナポレオンに農場を追われ、ナポレオンが私腹を肥やし恐怖政治を敷いていくお話。
何て腹黒いんだナポレオン!!と思っていたら、スノーボールのモデルがトロツキー、ナポレオンのモデルがスターリンだとは。(訳者解説に説明されてあった)
何て腹黒いんだスターリン!!
そして恐怖政治を敷いていくなかで、ナポレオンの出す指示や行動が、だんだん動物たちに不利となりナポレオン側に有利になっていくのに、動物たちが「おかしい、…でも、実は最初からこうだったような気もする」と洗脳または思考停止していく過程がとても恐ろしい。
ナポレオン側の声明を、腰巾着のスクウィーラーという豚が毎回話すのだが、事実を捻じ曲げ決まっていたことをひっくり返しているのに、巧みな演説で動物たちを騙していく過程も怖い。ナポレオン自身はそんなに表に出てこず、このスクウィーラーが動物たちを丸め込んでいくのですよね。
スクウィーラーにモデルがいるとは書いていなかったが、これは当時の新聞などのメディアの擬人化かなと思った。偏った情報のみしか出さないメディアの洗脳は恐ろしい…。
ナポレオン自身もだが、スクウィーラーのほうがヤバさ100倍な気がする。
オーウェル実は自身は社会主義者で、当時の社会主義を正道に戻すという目的で書かれたらしい。
が、訳者解説にもあったように、今までの現実世界で理想を掲げて始まった革命国家が独裁化せずに成功した例は少ないみたいなことが書かれていて、人間ってやはり理想の◯◯を実現するためにみんなで頑張ろうと行動を起こしても一定の悪い人物が出てきて独裁化しちゃうんだよなあ、と切なくなる。
これは国家だけじゃなくてもっと小さい単位、会社でも何かのグループでも家族でも同じ。
どこかで不正を糾弾するシステムや勇気がないと結局は自分たちの首を絞めることになるということを教えてくれる作品。
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競走や物質的に豊かさについて話す時に、とりあえず資本主義を敵として語ってしまいがちだが、それは単純化しすぎていたことが分かった。
自分自身、自由な経済による発展の恩恵を受けて暮らしていることを強く実感した。
「資本主義は、非資本家には信じられないほどおいしい話なのだ。起業家達は借金をして、自宅をリスクにさらし、家族や友人を無視して日夜苦闘し、そしてあらゆる逆境を跳ね除け成功したら、利益の2.2パーセントを手に入れる。一方、ソファでゴロゴロしつつ映画を見ている私たちは、財やサービスの低価格という形、つまりは購買力上昇という形で98パーセント近くを手に入れるのだ」
豊かであることが色んなことを解決するという話は、まあそうだなと納得できた。
本筋とは違うが、9章の「リュックによると、1部の精神的な苦しみは単に魂がすりむき傷を負っただけのことで、それは人生につきものだ。だがそれを魂の骨折と混同してしまい、助けがないと治療がないと対処できないと思いこみはじめているのだ」という箇所が痛快で面白かった。
資本主義が絶対的な豊かさを向上させてきたことは間違いないと思うが、相対的な豊かさについてどう捉えるかをもう少し知りたかった。 -
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知財の「常識」が覆る、モノづくり時代の哲学書
伝説的ハッカーである著者が、世界の工場・深センの製造現場に飛び込み、ハードウェアの未来を語った名著。「偽物・パクリ」と揶揄されがちな中国の「山寨(シャンザイ)」文化を、実は究極のオープンソース・エコシステムであると肯定的に分析する視点にハッとさせられました。
特許でアイデアを囲い込んで利益を守る欧米型のモデルと、知識を共有し合い圧倒的なスピードでイノベーションを生み出す深セン型のモデル。この鮮やかな対比は、これからのビジネス戦略を考える上で極めて重要です。
モノづくりの最前線を知りたい人はもちろん、ソフトウェアエンジニアや、新規事業に携わるすべてのビジネスパーソンにおすすめ。単なる技術書を超えた、新しい時代の「哲学書」です。 -
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貧困者はある程度の支援がないと貧困から抜け出せない(貧困の罠)。
貧困者は学校に行けず、病気にもかかりやすく、貯蓄もできない。それでいて労働力確保のために家族が沢山いる(養うのにお金がかかるのにも関わらず)。
ただ支援をしても、
学校に行かなかったり、予防接種を受けなかったり、貯金をしなかったり、事業拡大のために融資を受けなかったりと思った通りの行動はしない。
貧困削減に1つの解決策はなく、こういった個別の事情を調べて理解して、コツコツ対策を打っていくのが貧困削減への一歩になる。
作りかけの家があるのは何故か。
貧しいと銀行口座も作れなくて、現金で持ってると奪われる可能性があるから貯蓄の手段として家の材料(煉瓦など)に変えて少しずつ家を建てていくっていうのが興味深かった。 -
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うーむ。
わからん。
ぶっちゃけ読めていない。理解出来ていない。かろうじて読み拾うことができる部分がわずかにあるだけという感じである。しかしながら、荒唐無稽でまったく意味がないかというと、おそらくはそうではない。
オープンソース書籍であるこの本は、今なおWEBで多くの人間の手で更新されていて、洗練され続けている……らしい。《らしい》となってしまうのは、私がこの本の趣旨を完全には理解出来ず、さざ波となっている部分を視界に入れる程度しか出来ていないからだ。
序章である第1章を含めて7つの章でまとめられているが、第1章~第7章まで読む順番は決まっていない。円環を描くように繋がっているので、読み始めはどこからでも良いとのことだ。そのあたりは序章の前のまえがき(?)で解説されている。
私は素直に第1章から読み進めていった。第1章は時事関係で、問題提起がメインになっている。民主政治と専制政治についての話は、この本で私がかろうじてつかめたテーマのひとつだ。専制政治について、かなり辛辣に書かれているのだが、最近は本当に洒落になっていないなあ……などと思う。
理解出来たとは口が裂けても言えないが、未来の展望について真摯に向き合っている良書ではあると思う。
あと数年が経過したら、版を重ねた結果としてこの本は進化しているかもしれない。それが少しだけ楽しみだ。 -
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オードリー・タン氏の安定感。本書はオープンソースで成長していくプロジェクト、というのが素晴らしい。おかしかったら自分で直せと。日本のカイゼンやPDCA、なめらかな社会といった考えにはサイバネティクスが通底している。pluralityを社会に浸透させていく上でのオープンソースのマインドセットの重要性。一方、オープン性だけだと、合理性の名の下で画一化が進んで協調的創造による発展が損なわれるため、pluralityによる多様性の担保でバランスを取る必要がある。plurality money、plurality市場、うまく行くんだろうか…今は結構、性善説ベースの話に聞こえるが、時代はゆっくり彼女の言う方向に進んでいくのかなと思った。オープンソースコミュニティにもっと財政的支援を。この本の副題があるとしたらオープンソースというキーワードも入りそう。
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「うわぁ……」と、読み終わったあと、しばらく動けなくなりました。
よくある「めでたしめでたし」の物語よりも、心に深く残る「嫌な傷跡」のような読後感。
でも、その傷こそがSFの醍醐味だと思う。仕事のモヤモヤや日常の小さな悩みなんてどうでもよくなってしまうくらい、強烈なインパクト。
この「救いのなさが、人を救う」という不思議な感覚を、物語の構成に沿って振り返ってみました。
1. 導入:この世界観、意外とリアル?
「動物がしゃべる」というぶっ飛んだ設定。SFが苦手な人にはハードルが高そうですが、実はここが現実世界の鋭いメタファー(比喩)になっています。ただの説明じゃなく、丁寧な描写で「これって私たちの世界の話かも?」と思わせる仕掛けが秀逸です。
2. 第一幕:ワクワクから始まる悲劇
「人間に反抗しよう!」という豚の熱い遺言。ここで読者は一気に引き込まれます。人間を追い出し、自分たちの国を作った瞬間の達成感。でも、このワクワクが最高潮の時に、ラストへの伏線がこっそり撒かれているんですよね。
3. 第二幕:じわじわ忍び寄る「違和感」
国づくりの大変さと、動物たちの純粋な喜び。その裏で、リーダーである豚たちが少しずつ独裁の兆しを見せ始めます。「あれ、おかしいな?」という違和感が確信に変わる頃には、もうページをめくる手が止まりません。キャラクターに感情移入するほど、その変化が苦しくなってきます。
4. 第三幕:最悪で、最高のエンディング
結末は、希望か、絶望か。
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』のような爽快なハッピーエンドもいいですが、本作はその真逆。
・農場は豊かになったのに、動物たちの暮らしはボロボロ。
・支配者の豚たちが、どんどん嫌いだったはずの「人間」に似ていく。
このバッドエンドは、単なる「悲劇」ではありません。人間のどうしようもない業(ごう)を描きつつ、「結局誰がやっても同じなのかも」という虚無感さえも突きつけてきます。
でも、その突き放された感覚が、なぜか個人としての責任感から解放してくれるような、妙な「救い」にも感じられるから不思議です。
読んだあとに数日間引きずってしまうような「心地よい傷」を求めている人にオススメ。 -
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多元性を尊重する価値観には大いに共感できる。目指したい価値観がいわゆるPESTを網羅した形でまとめられており、論調は極めてポジティブ。類似する形態の文書は他に思いつかないほどユニーク。
ただ著者(陣)の頭が良すぎるのかもしれないが、専門用語が前提なしにどんどん使われていくので、読み手を選ぶ本である。せめて索引は欲しかったかなとも思う。
また、ITを社会が徹底的に使うべきなのは賛同するが、やはり人間の社会性に伴う分断や紛争はそう無くならないのかなとも思ってしまう。例えば、仮にプルラリティ的な投票が常識となっても、個人が僅かに抱く不満のようなものは少しずつ蓄積されていくのではないかな、とか。
加えて、規制の在り方は抽象論にとどまり、悪用に対する抑止として十分かは納得しきれなかった。
しかし上記のような議論を誰かとしてみたいと思わせてくれる時点で良書であると思った。
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私たちは誰しもが個性を持ち、一人ひとりが異なる視点と考え、死生観や宗教観、生き方や行動の仕方も生まれながらの多様な環境による影響を日々受けて生まれた時から死ぬまでそれは変化し変質し成長し進化していくだろう。
現代(2026)において、私たちはAIという皆の知識や過去の書物やあらゆる情報からの恩恵を受けることができる時代となった。これから、更に多様で多角的な影響を受け環境や人格形成から気づきの連続により複雑化していくだろう。日本において、未だAIの普及率は少ない。個人レベルでは、生成AIを使ったことがある人は2024年度時点で約26.7%と、米中などと比べてかなり低い水準にとどまり、企業では、生成AIをすでに業務利用している・導入予定の企業を合わせると6〜7割程度に達しており、一方で4割前後は利用する予定がないと答えるなど二極化も見られる。それは本著の指すところの「協働」が核となり、Pluralityは「技術の有無」よりも、「技術を介してどのように多様な人の声を集め、理解し合い、意思決定につなげるか」という“関係性のインフラ”を重視する枠組みとしての機能と活動が意識される「AIへの期待はあるが、どう使えばいいか分からず、意思決定の場にも市民や現場が十分参加できていない」という状況は、まさにPlurality型の合意形成・協働ツールが効きやすい良い土壌であると私は思う。
さて、巷で多様性を説く場で見かけられる「皆違ってみんないい」という枠で、終わる話ではなく、「違いを“そのまま”尊重するだけでなく、それをつないで新しい価値や解決策を生み出す仕組みを作ろう」というところまで踏み込み、Pluralityは「多様な人がただいる状態(ダイバーシティ)」より、「多様な人が交わり、新しい選択肢や解決策が生まれる状態」を大事にする考え方であり、本著が目指すところは「違いを橋でつなぎ、対立を創造に変える実践と技術の体系」と言うほうが正確であると言えよう。
本著はこれからの時代に沿った複雑で多様性に富んだ次世代型の視点であり、これからの常識になり得る良書であると言えよう。 -
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多様な声を生かす未来は単一の正解を求める焦燥からは生まれない。オードリー・タンとグレン・ワイルが示す「Plurality」は対立を否定せずむしろ創造の源として迎え入れる発想だ。テクノロジーは社会を分断する刃にも協働を育む橋にもなる。彼らは後者の道を選ぶ。
AIや巨大プラットフォームに権力が集中すれば人々の声は薄れ民主主義の根が弱る。だからこそ多様な意見が可視化され互いの違いを理解し合える仕組みが欠かせない。
単なる技術論ではない。投票制度、参加型議論、市場設計など社会の基盤そのものを「協働」に向けて編み直す構想である。
世界はひとつの声に支配されるべきではない。多元性を尊ぶ社会こそが孤立した未来を避け共に創る時代を切り開く。Pluralityはその羅針盤となる一冊だ。