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Posted by ブクログ
アレゴリーに富んだディストピア寓話。短めで読みやすいのに色んな示唆に富んでる。
社会主義の批判ではなく、意思決定者に倫理が問われるという話だと受け取った。理念を実行するには体制が必要になる。そこには運営者の意思が介在するので、人格化された手段が理念にとって変わることが起こり得る。これを抑止するためのシステムが権力の外側に必要とされるが動物たちは盲目あるいは事勿れ主義でなす術がない。
世界には別々の軸上の問題がごちゃ混ぜになっていて、それを解きほぐしていけば、目的の設定された構造的な問題は解決可能だが、目的や在り方自体を問う倫理的な問題は解決が難しいのだと思う。
別の軸の問題を混同すると、焦点がずらされて障害の根本原因ではない理念自体への批判にすり替わってしまう。理念の善悪と、それを実現するシステムの善悪と、システムを運用する人間の善悪は、別々に評価する必要がある。
全体として、根源的な人の欲への警鐘を感じた。
Posted by ブクログ
こちらのジョージ・オーウェル氏は「一九八四年」の方で御存知の皆様もいらっしゃるのではないでしょうか?
私はどうも「星を継ぐもの」以来、SF的な作品に慎重になってしまいまして(笑)。
「狐には向かない職業」のヴェラに出会った事ですっかり気持ちは「シェイディ・ホロウ」の住人になってしまっておりました故、以前から気になっていたこちらの「動物農場」を購入致しました。
こちらの作品も、私は非常に楽しめました!!!
一説では当時の時代を風刺した作品だとも言われており、実際後書きにもそのような内容が書かれてはいるのですが、個人的には風刺うんぬんは関係無く普通にファンタジーとして楽しみました(笑)!!!
時代がどうとか世間がどうとか政治がどうとか風刺がどうとか、そう言った事は当時其処にいた訳でもなく情勢に詳しい訳でもなく体験した訳でも御座いませんので、何だか良く分からない小難しい解説は置いておいて、人間に対する教訓を動物達に置き換える事で大人だけではなく子供達にも伝わりやすい内容だと私は感じました。
アニメーション映画も制作されていたようで、チラッと予告編を検索して拝見致しましたが、カートゥーンアニメのようで非常に分かりやすく、全編通して見てみたいと思いました。
裏テーマとしては確かにその小難しい風刺が含まれているのかも分かりませんが、純粋に「動物の世界のファンタジー」として、私はとてもお気に入りの作品と相成りました。
スノーボールと、ボクサー…この二人に関してが、少々心残りで御座います。
Posted by ブクログ
豚は誰か
本書に登場する豚がこのコロナ禍で誕生しつつあるように読んだ。知識は専門家に任せろと主張して囲い、解釈を恣意的に変え、他の価値を踏み躙り、人々の行動を制限し、人々を支配しようとする。今、この現実の世界で、専門家にしてやられてしまったのが政治家であることが、情けない。本当に情けない。ウイルスが人間ジョーンズ、豚ナポレオンが政府系専門家、豚スノーボールが政治家といった当てはめか。本書が結末で豚の王国の崩壊を描いていることを期待したが、叶わなかった。『1984』で描かれる全体主義国家も揺るぎなかった。揺らいだのは個人だった。相当まずい時代が来ている。本書を読んで改めて感じた。
Posted by ブクログ
これは本当の話。信じられないかも知れないが「国民英雄」の圧政粛清の時代には、かつての「建国の元勲」が次々と「祖国への裏切り・反革命勢力との内通」を公開自白したのち処刑されていったのだ。あまりにあからさまなので「(連合国の一角を)悪し様に言うのは好ましくない」として出版は拒否された。一応「ナポレオン」はスターリンであり、「養成した9匹の猛犬」はゲーペーウー、「スノーボール」はトロツキー。
誠実なインテリとして、メディア・リテラシー&記録の偽造・改竄されないことを訴えているようだが、一般大衆はそれほど物覚えが良くないし(記憶を頼りに権力に逆らうほど)正直でもない。
(本書のテーマ=スターリンによる’36〜38大量粛清を日本の教科書も緘黙)’37年に着想し’44年2月に脱稿したが、刊行する出版社はなかなか見つからず戦後となり、アメリカ版は46夏となりフランス語版はさらに遅れ「ナポレオン」を「カエサル」としてはと提案されてオーウェルは激怒したというあ。’47年、ドイツにあったウクライナ難民キャンプでウクライナ語版が頒布され別に序文が書かれた「ソ連には口出ししないが。社会主義者の矜持として、現状についてはきちんと伝えないと」現物は残っていないが英語に訳し戻したものが巻末付録。
(’36年結婚の直後スペイン内戦が勃発。対フランコ救国戦線に義勇兵として参加した体験は『カタロニア讃歌』にまとめられている)P178この戦争の初期、外国人は全般に、政府を支持する様々な政党同士の内部闘争には気がついていなかった。いくつかの偶然のおかげで、私が参加したのは多くの外国人の属する国際旅団ではなく、POUM民兵、つまりスペインのトロツキストたちの派閥だった。だから1937年半ば、共産主義者たちがスペイン政府を(すくなくとも部分的には)掌握し、トロツキスト狩りを開始したときには、二人とも{夫婦共}被害者側になっていた。一度も逮捕されず、生きてスペインを出られたのは本当に運がよかった。友人たちの多くは射殺され、そうでない人々は長い懲役を受けたり、あっさり姿を消したりした。スペインでのこうした人間狩りは、ソ連での大粛清とほぼ並行して行われていおり、いわばそれを補うものとなっていた。スペインでもロシアでも、糾弾の中身(つまりはファシストとの共謀)は同じで、そうした罪状はどう見てもウソだったと考えている。こうしたことをすべて体験できたのは、貴重な具体的教訓だった。民主国での啓蒙された人々の意見を、全体主義的なプロパガンダがどれほど簡単にコントロールできてしまうかを教えてくれたのだ。スペインでのこうした人間狩りは、ソ連での大粛清とほぼ並行して行われており、いわばそれを補うものとなっていた。スペインでもロシアでも、糾弾の中身(つまりはファシストとの共謀)は同じで、そうした罪状はどう見てもウソだったと考えている。こうしたことをすべて体験できたのは、貴重な具体的教訓だった。民主国での啓蒙された人々の意見を、全体主義的なプロパガンダがどれほど簡単にコントロールできてしまうかを教えてくれたのだ。妻も私も罪のない人々が単に異端の疑いをかけられただけで投獄されるのを見てきた。それなのにイギリスに帰ってみると、陰謀説が横行している。
結末で、支配階級の豚はニンゲンと晩餐会を開きカードゲームして、窓の外から見る動物たちにはニンゲンと見分けがつかなくなる。丁度、ナルニア国物語の最後で、アスランがライオンと見えなくなることの裏返しのように。
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