山形浩生のレビュー一覧
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本は分厚いが、要約は鈴木健氏の解説にのっている。
PlURALITYとは
人間は平等でありながら異なるを前提に社会的差異を超えたコラボレーションのための技術
集団による制限より個人の自由に重きを置くリバタリアン(ピーターティール達)ではなく、技術オリエンテッドで世界を変えようとするテクノクラート(サムアルトマン)でもなく、混沌とトップダウンの間の狭い回廊を広げる方法としてPLURALITYを提言する。一人一票の民主主義による混乱ではなく、超人(独裁王)の支配でもなく、多元的な価値観を尊重しつつ、少数にも優しいアウフヘーベンされた合意形成手法を指すものと理解した。新たな方策による合意だけではな -
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資本主義を帯びたグローバル化が世界を救い続けていることがわかった。自由市場では人はいい人になる必要があり、競合からの圧力によって価格は下がり、消費者は低価格で高品質なものを選ぶことができるようになった。
国は豊かになり、人も幸福になった。
でもなぜか、違和感があるような気がしてならない。むずむずするこの感覚はなんだろうか。
確かに私は今必要なものを十分持っているし、冬に寒くて凍死することもなければ栄養不足で痩せこけることもない。そして私はいい人だと思う。自己理解の努力もしていて、大抵のことは我慢できる自信がある。孤独を楽しむこともできる。だからこそ、あえて人と関わる必要がなくなっているのが私 -
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読み解くと現代社会の「OS書き換えマニュアル」のような一冊だ。思想のポイントを3つに凝縮して紹介する。
1つめは、「個人」から「つながり」へのシフト。これまでの民主主義は「バラバラの個人」を単位にしていたが、本書は「人は関係性の中で生きるもの」という視点を大切にしている。台湾のデジタル民主主義がベースにあり、孤立するのではなく、どう繋がるかに知恵を絞るスタンスだ。
2つめは、「橋渡し」としての多様性。ただ「みんな違っていい」で終わらせず、バラバラなコミュニティの間にどう橋を架けるかという技術(ブリッジング)に踏み込んでいる。SNSの分断を壊すのではなく、違う島同士をポジティブに繋ぎ直すのが、本 -
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言葉を覚えたり書いたり支配することとか、人間を嫌ってるくせになんだかんだ人間に近づきたいのかな。なんて。
牛の乳搾りが達者なブタってのも面白い。
こんなおとぎ話のような世界観だけど、元となる題材はロシア革命とその後。
独裁者となる豚はスターリンがモデル。
風刺がきいたおどろおどろしいディストピアな世界だった。
誰も反発せず考えようともしない環境。
知能の高い者が知能の低い者を洗脳して刷り込ませた言葉を繰り返させ思考を許さない現状に恐ろしさを感じた。
支配されて失うものは大きい。
知識や思考を止めないことがいかに大事なものか痛感させられた。
読んでて苦しくなる政治的皮肉めいた作品でした。 -
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好況と不況、経済のターニングポイントでナラティブが担った役割についての考察。全体を通じて「…かも」と今ひとつ歯切れが悪いのは、その威力の全体像がはっきりしないからなのか。現代、急激なAIの進化の真っ最中である。OSINT、NoSQLデータベース活用により、草の根的に経済を読み解き稼ぐ者が増え、悪しき者が強力なナラティブをポイズニングし私欲を満たす様な事態に政府や一般民が巻き込まれた後、学術的にまとまるかもしれない。だが、仮にまとまったとて、そんな未来における経済・社会に占める人の役割の心もとなさ、憐れさよ。脆弱なる我々は何を聴き何を語るべきなのか。
とここまで書いたが、ナラティブに関しては情報 -
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作品全体には強い感情の爆発はなく、淡々とした、乾いた語りが続く。けどその乾燥は無感情ではなく、重たい倦怠感をまとった乾き。リーは嫉妬し、執着し、欲望に振り回されるが、それを激情としてではなく、疲労の中で繰り返す。人生は止まらない。倦怠の中でも旅は続く。
アラートン(モデルはアデルバート・ルイス・マーカー)との関係は、肉体関係があっても感情は対等ではない。アラートン( 実在の若いアメリカ人男性)は、バロウズよりかなり年下で、性的アイデンティティも流動的だったと言われている。
リーの方が明確に欲望を抱き、アラートンは「今日はやってもいいよ」と許可する側。そこには温度差と主導権の差がある。触れられ -
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世界的な反響を呼んだ通称アイヒマン実験。
人間が服従する時、極めて非人間的なことも厭わず行うのはなぜたろう。
本当にそのようなことが起こるのか。
実に興味深い話であった。
しかし、実験した時代にそもそも少しバイアスがかかっている可能性もあり、実験をもっと追求できる部分も残っていたとの感想もあるため、一概に本書の実験結果の説明が全てでないとは思われるが、解釈はともかく結果としては非人間的なことをやってしまう事実は受け入れないといけない。
被験者が電撃を与えることに躊躇しながらも、服従することにより最大電撃を与えることができてしまう心理はきっとその場にならないとわからない。
ただ、本書でも触れ -
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多数派に偏らず、他者との違いを認めて、多様性、多元性をテクノロジーを用いて協調させ、より良い社会を作っていこう。
テクノロジーは、とっても役に立つよってことだと思う。
全く自信ない。
頑張って読んだ自分偉い。
長かった。
この3連休、デジタルに振り回されたので、もうデジタルはしばらく触れたくない(スマホは手放せないけど)(古いパソコンを処分するのに手こずって、まだ終わらない)。
台湾のデジタル政策の素晴らしさはオードリータンの貢献が大きいのだろう。もし、日本にオードリータンがいたとしたら、その能力は潰される運命でしかないのだろうなと勝手な想像をして、残念な気持ちになった。日本には“オー -
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社会に対しての技術の方向性
・テクノクラシー:AIの可能性を重視し、それに社会を適応させる
・リバタリアニズム:暗号とネットワークコミュニティが政治・組織に替わり、
規制から解放され自由市場に個人が参加できる
全要素生産性の停滞要因
・テクノクラシーに起因
→技術進歩が自動化に向かい、労働力を補う方向になっていない
・リバタリアニズムに起因
→政策が積極的な産業発展の構築を止め、自由市場任せにしてしまっている
デジタル民主主義のプロジェクト
・零時政府/g0v(ガブゼロ):オープンソース・自ら実施・公共性
政府のデジタルサービスの品質・データの透明性に不満
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ヨハン・ノルベリ氏は、1973年ストックホルム生まれの歴史学者・著述家。ストックホルム大学で歴史学修士号を取得後、思想史・経済学・統計学・進化生物学などを横断的に研究。経済グローバリズムと古典的自由主義を擁護する立場で、『進歩』(原書は2016年出版)、『OPEN』(原書は2020年出版)で、英誌「エコノミスト」のブック・オブ・ザ・イヤーを連続受賞。2007年から米ケイトー研究所のシニアフェローを務め、公共テレビ向けのドキュメンタリーも多数制作。
本書は、題名の通り、資本主義によるグローバル化と自由市場の優位性を説いたもので、2024年に出版された。原書は『THE CAPITALIST MAN -
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「動物農場」は「昔の作家が書いたブラックな風刺作品」としてYouTubeで紹介されているのを見たことがあり、作品名とあらすじは知っていた。古いし、実はあんまり自分で読もうと思っていなかった小説。
ところが最近SNSでこの作品を読んでいる人を見かけ、その人は働き者の馬にとても哀愁を感じているようだったから私も読んでみたくなった。
私はてっきり社会風刺の作品に登場する「大衆」はただの「大衆」で名前なんかついてないんじゃないのかと何となく思い込んでいた。でもその働き者の馬には名前がついていて「個」として書かれているらしい。
実際、読んでみると登場する動物の特性はキャラクターとしての在り方に結びついて