あらすじ
星間戦争のさなか、人工臓器移植医エリックは、国連事務総長の主治医モリナーリに任命されるが……。ディック中期の傑作、新訳版。
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Posted by ブクログ
「いっしょに暮らさなくてはいけない人物と、とてもやっていけないと思うことはある?」
日々お互いに不満をぶつけ合うしかない、冷え切った夫婦仲。妻が気晴らしに手を出したドラッグによって、とんでもない事態が引き起こされる。
時は2055年、人類は異星人同士の星間戦争に巻き込まれ、リーグ星人と泥沼の交戦状態にあった……。世界観を理解するまでが読みにくいのはSFにありがちなことだが、ドラッグによってある現象が起こると、そこから物語は加速していき、目が離せなくなる。
後半は目まぐるしく展開される盛りだくさんのSFガジェット。見所はたくさんあるが、この小説の本質は夫婦のドラマだ。修復不能にまで陥った夫婦の関係にどう結末をつけるのか。星間戦争のはざまで奮闘するも、予想外の展開に翻弄される主人公が最後に出した決断に感動。
伏線か?と思われるものやネタが回収しきれずに終わったのが惜しい部分もあるが、十分にお腹がふくれる一冊だ。
Posted by ブクログ
当時のディックの奥さんが作品に影響を与えてるらしい作品。それをこんな面白い話に仕立てるんだからすごい。ちなみに途中で登場人物がこんがらがりましたが…
Posted by ブクログ
異星間同士の戦争に巻き込まれ、リーグ星人と泥沼の交戦状態にあった人類。そんな人類の独裁的指導者モリナーリの主治医となったエリックは、妻キャシーに騙されて新型のドラッグJJ-180を飲んでしまう。ドラッグを飲んだエリックの意識は遠く1年後の未来に飛ばされ…
物語の展開が継ぎ接ぎ的な印象だったり、回収されない伏線があったりと、正直腑に落ちないところもある本書ですが(むしろディックらしい?)、訳者あとがきで詳しく解説されており、理解の助けになりました。リーグ星人との異星間戦争という大きな動きに隠れて、エリックと妻キャシーとのとてもプライベートな問題に焦点をあてた本書。あらためて考えてみると、本書のような登場人物のプライベートな問題を物語の芯に据えた作品は、ディックのこれまで読んだ作品のなかでもあまり思いつきませんでした(読み足りないだけでしょうが…)。それだけ離婚寸前の状況が苦しかったのか、と愚察してしまうところですが、現実のディックと本書で示されるラストの示唆が対照的であることは、どうにも気になるところ。「パーマー・エルドリッチの三つの聖痕」でディックが示したような前向きさが本書でも表現されたのか、あるいは、現実逃避を本書で図ったのか。凡人には理解の及ぶところではありません。