法月綸太郎のレビュー一覧
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法月警視の作家の息子綸太郎(作者と同じ名前)が探偵役になって殺人事件の謎を解く短編集。ちょっぴり行動することもあるが、安楽椅子探偵の形かな。父親が難航している事件を息子に相談するのだが、ああでもないこうでもないと推理しているうちに、ぱっと解決の糸口が閃くというもの。無茶苦茶な状況でもなく、正攻法の論理的な進め方で、文章も読み易く結構面白かった。
「イコールYの悲劇」ダイイングメッセージという古典的な道具立てがかえって新鮮だった。
「中国蝸牛の謎」鍵のトリックも、筋自体もつまらない。
「都市伝説パズル」都市伝説という目の付け所がいいし、上手く生かしている。論理的な進め方も納得できる。
「ABCD -
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ネタバレ終盤まで事件の全容が見えて来ない展開で、面白かった。
美術ネタだった。
末期ガンの著名な彫刻家・川島伊作がアトリエで息を引き取る。遺作は、娘・江知佳をモデルにじかに石膏取りするインサイド・キャスティングの技法で制作した石膏像。元妻をモデルにしたかつての代表作《母子像》を引き継ぐ作品と目されたが、気がつけば彫刻の頭部が何者かに切断され、盗まれていた。
殺害予告だと受け取った彫刻家の弟川島敦志は、綸太郎に事件を未然に防ぐよう依頼する。
しかし綸太郎の奮闘?も虚しく、江知佳は殺害され、切断された江知佳の頭部が川島の個展会場となる名古屋市立美術館に郵送される。
各章の冒頭に引用された、石像の目の表 -
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Posted by ブクログ
「新装版 頼子のために」
果たして手記は正しいか。
到叙とは、ミステリで最初に犯人が明かされ、主に犯人の視点で物語が展開されていくタイプのもの。通常の到叙では、最初に犯人や犯行が明かされながら、もう一方の視点(探偵や警察)も描かれ、ミステリか深掘りされていく。古畑任三郎の様に犯人を徐々に追い詰めて行ったり、対峙する程に緊張感が増していくと思う。
だが、本書はちょっと違っている。愛する娘である頼子を失った父が、その娘を殺した犯人に復讐したことを手記にて告白する形式を取っている。到叙ものでは、犯人の視点で描かれる内容は正として進める場合が多いので手記を正にしていくと思いきや、「頼子のため -