【感想・ネタバレ】新装版 頼子のためにのレビュー

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Posted by ブクログ 2023年12月14日

傑作だと思います。
犯罪悲劇的な作品ですが、それが苦手な方は読後感がよろしくないかもですね……。
私はフィクションにおける犯罪悲劇で好きな作品が多いので、高評価です。

元ネタ(小ネタですが)であろうものを少し。

作風→ニコラス・ブレイク『野獣死すべし』のロス・マクドナルド風味(これには法月さん自...続きを読む身の言及もありました)。

手記について→ニコラス・ブレイク『野獣死すべし』の手記の最終日の翌日から始まっていますね。

「フェイル・セイフ作戦」→ジョン・ル・カレ『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』の「ウィッチクラフト作戦」「テスティファイ作戦」のオマージュだと思います。

『頼子のために』→ニコラス・ブレイクは本名がセシル・デイ=ルイスで、英国の推理小説作家であると同時に桂冠詩人でもありましたが、彼が詩人のために書いた本の献辞が「鈴子のために」です。

元ネタをわかるために小説を読んでいるわけではありませんが、わかるとニヤッとできる程度の意味はあると思います。作品の面白さとは関係ありませんが、ミステリ好きの遊び心なんだと思います。

もっとオマージュがありそうですが……。

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Posted by ブクログ 2022年02月21日

これは凄まじい推理小説だと心底震えたのが読後第一の感想だった。こんなにも探偵が犯人に敗北する推理小説というのは珍しいのではないだろうか。勧善懲悪なんてクソ喰らえとでもいうほどに。犯人は全てを知っていた、全てをわかっていたからこそこんな結末を望んだのだ。途中から「もしかして…」という疑念を抱いて読み進...続きを読むめたのだが当たってほしくはなかったと今でも思う。

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Posted by ブクログ 2021年11月17日

韓国で絶賛されているとの事で読んでみました。
親子の登場で、もしやこれは何かの続きか?と思い調べてみたら先に読まなければならない一冊があったけどそのまま読み終わりました。
面白かった。さすがに勘が良すぎるだろうと突っ込みたくなるシーンもなくはないけど、こういう後からいくつものびっくり事実が出てくる話...続きを読むは好きです。

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Posted by ブクログ 2019年12月13日

2年前に読んでめっちゃ面白かったこの作品の新装版を改めて。
最初に読んだ時にはまさか!という驚きの印象が強かったけど、オチが分かっていてもなお面白くて引き込まれてしまうこの作品は、やっぱり法月綸太郎作品のなかでもやっぱりいちばん好き。

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Posted by ブクログ 2018年02月18日

2018年22冊目。再読したいと思っていたところに新装版が出たのでついつい購入。冒頭の手記から、綸太郎の調査を経てのあの真相の衝撃たるや。歪んだ愛と憎悪が織り成す最上級の悲劇に取り込まれてしまいます。

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Posted by ブクログ 2018年01月20日

2017.1.20
「頼子が死んだ」という父親の手記から始まるミステリー。
事件の流れが手記によって示された後に、小説家・法月綸太郎の目線にたって解き明かされてゆくので、展開が整理されていて読みやかった。

17歳の娘を妊娠させた上に殺した男に復讐をし、その上で自殺を図った父親。
ストーリーとして完...続きを読む結したと思われる事件の裏を、あらゆる人の思惑を明らかにしながら「真実」を暴いていくのがおもしろい。こういうことじゃない?ってトリックを見破るのが好きな人にはもってこい!

すべて読み終わってから冒頭の手記を読むとなるほど圧巻。

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Posted by ブクログ 2023年04月01日

法月綸太郎の長篇ミステリ作品『新装版 頼子のために』を読みました。
『ノックス・マシン』に続き、法月綸太郎の作品です。

-----story-------------
「頼子が死んだ」。
十七歳の愛娘を殺された父親は、通り魔事件で片づけようとする警察に疑念を抱き、ひそかに犯人をつきとめて刺殺、自ら...続きを読むは死を選ぶ――という手記を残していた。
しかし、手記を読んだ名探偵法月綸太郎が真相解明に乗り出すと、驚愕の展開が。
著者の転機となった記念碑的作品。
長く心に残る傑作!
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著者と同名の探偵・法月綸太郎が活躍するシリーズの3作目で1990年(平成2年)に刊行された作品です。

 ■第一部 西村悠史の手記
 ■第二部 余波
 ■第三部 再調査Ⅰ
 ■第四部 再調査Ⅱ
 ■第五部 真相
 ■文庫版あとがき
 ■新装版への付記
 ■拝啓 法月綸太郎様 池上冬樹
 ■追伸 法月綸太郎様 池上冬樹

愛娘の頼子を殺された父親は、相手を刺殺する――との手記を残していた… しかし、法月綸太郎が真相解明に乗り出すと、驚愕の展開が!

14年前の交通事故をきっかけんして歪んでしまった家族の愛情… ミステリとして愉しめる作品ですが、愛したい愛されたいと思うが故のエゴイズムや愛憎を描いたドラマとしても秀逸な作品でしたね、、、

そして、終盤で法月綸太郎が、再度自殺を図ろうとする頼子の父・悠史に自殺を止めない理由を問われ「頼子さんのためです」と語るシーンが印象的… タイトルの『頼子のために』が余りにも皮肉で哀しく感じましたねー 誰も「頼子のため」なんて考えていなかったなんてね。

作品中、頼子の部屋で見つかったジョイ・ディヴィジョンの『クローサー』がダビングされたセットテープが、頼子と友人の松田卓也を繋げる小物として登場します… 久し振りに『クローサー』を聴きたくなりましたね、、、

そして、『第一部 西村悠史の手記』に自らの行動と類似した物語として、最愛のひとり息子を轢き逃げされた父親が犯人を独力で探し出し、自らの手で復讐を果たそうとする捜すニコラス・ブレイクの『野獣死すべし』が登場してました… いつかは読んでみた作品なんですよね。

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Posted by ブクログ 2023年03月12日

☆4.0

「頼子は死んだ」から始まる娘を亡くした父親の手記。
それには、娘の死は殺人なのに警察の捜査はどうも様子がおかしく、まともにされているとは思えないことや、自らの手で犯人を見つけ出し殺すことを決めていた心情が書かれていた。
父親の西村悠史はある男を殺害し、その後すぐに自殺を図ったが、辛くも一...続きを読む命をとりとめ昏睡状態であるという。
推理作家の法月綸太郎の元へ、この一連の事件の再調査の依頼が舞い込んだ。
手記を読み事件について調べ始めた綸太郎は、この事件に隠された真実と真っ向から向き合わされることとなる。

この作品は最初に手記が配置されたことが肝要だったと思う。
読者がどんな立ち位置で事件を見るか、何を前提に思考するかを上手く作品に乗せている。
頼子は本当はどんな娘なのか。誰が何を考えて、本当は何を望んでいたのか。
すべての真実が見えたとき、決定的な敗北感に打ちのめされた。

これはちょっともう一度読まねばならんと、ページを捲った。
読み返したときの各所に漂うエゴイズムがこちらの心を苛んでくる。
二度目は全然精読じゃなかったけど、苛まれすぎてちょっと吐き気がするくらいだった。
なのにタイトルは『頼子のために』なんだよなぁ。
これしかないってタイトルなのでは。

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Posted by ブクログ 2022年02月19日

法月綸太郎シリーズに3作め。
冒頭の手記の真相を探る構成はとても面白かった。ただ、ただ!真相がけっこう胸くそ悪い…。

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Posted by ブクログ 2021年09月15日

古臭さがどうしても付きまといますが良作でした。
終盤の病院での展開は予想外で度肝を抜かれました。
ただ…賛否の内、賛の声が多いみたいですが私は最後の最後は蛇足かなぁ…と感じました。色んな意味で展開が読めない作品ですので、未読の方は是非。

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Posted by ブクログ 2021年03月06日

まさかと感じてしまった。途中までは「あぁ、こうなるんだろうな」と言う風に思いながら読んでいたが、最後の最後でとても信じがたいことを知ってしまった。この結末は気持ちの良いものではないが、家族とは何なのかを感じている。

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Posted by ブクログ 2020年10月18日

めちゃくちゃ面白い、そして、おぞましい。
ほんとに傑作なのだけど二度は読めない後味の悪さがある。
二転三転する展開に夢中になり、ついつい物語に入り込んでしまう。
その結果、主要人物たちの歪な愛をもまともに食らうことになるためかなり気力をもってかれた。
ラスト一行の法月氏に共感せずにはいられなかった。...続きを読む
家族愛って何なんだ、と問いたくなる。

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Posted by ブクログ 2018年10月29日

「新装版 頼子のために」
果たして手記は正しいか。


到叙とは、ミステリで最初に犯人が明かされ、主に犯人の視点で物語が展開されていくタイプのもの。通常の到叙では、最初に犯人や犯行が明かされながら、もう一方の視点(探偵や警察)も描かれ、ミステリか深掘りされていく。古畑任三郎の様に犯人を徐々に追い詰...続きを読むめて行ったり、対峙する程に緊張感が増していくと思う。


だが、本書はちょっと違っている。愛する娘である頼子を失った父が、その娘を殺した犯人に復讐したことを手記にて告白する形式を取っている。到叙ものでは、犯人の視点で描かれる内容は正として進める場合が多いので手記を正にしていくと思いきや、「頼子のために」はそうでは無かった。


探偵役の法月綸太郎は、まず父の書いた手記を何度も読み返し、気になる点をあぶり出しながら事件の真実を確認しようとするのだ。法月綸太郎のこの行為により、父の周りの関係者もぽつぽつと気になることを述べていく。


そして、手記通りの真実であったかどうか明らかになるが、それだけでは終わらなかった。結局、上手く騙されたなぁ〜と。手記にもちゃんと伏線や矛盾を感じれる様な記載があるだけに。


ポイントは愛。頼子を失ったことから行き場の無い愛だけかと思ったら、別の愛も絡んでいて、で、それだけかと思いきや、実はもう一つ愛を上手く利用していた。


父、娘、母それぞれが持つ愛は正しい方向に行くとは限らないなと。騙された感もあるが、愛って怖いなとも思わされる。到叙ものとしておススメの一つになった。これを若い時に頭で作っちゃうんだものね。凄い。

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Posted by ブクログ 2023年12月30日

 ミステリーというのは様々な形が色々あると思うんです。今回は復讐も重なってきますね。 家族を殺されたら自分だったらどうしますか? 復讐は基本的にありですか?ミステリーって色々面白いですよね。 '233/27 '2311/20

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Posted by ブクログ 2023年11月07日

惜しい。何が一番惜しいって、タイトルにもなっている頼子の人物像がぼやっとしているから。

まず、ミステリー小説はミスリードにまんまと引っかかっていたことに気づく瞬間が楽しいと思っているタイプなので、序盤の手記を読んでいる時点でおかしな点が複数あることに初読で気づき、「ミステリーなのにこんなに推理がガ...続きを読むバガバでいいのか」と正直途中で積むところだった。(読み進めるうちに手記のおかしな点から事件の真相を明らかにする話だとわかった)
また、ページ数が内容に対して多すぎる。多分半分から3分の2くらいの分量でまとめた方が話的にも綺麗にまとまったように思える。
そして何より頼子の人物像がぼやっとしすぎている。頼子に二面性があることまでは理解できたが、その二面性が上手く結びつかず分断された2人の記号化されたキャラクターを見せられているみたいだった。
頼子の心情の揺れがこの話で起こる事件の引き金となっているので、他者の口から語られる頼子ではなく、頼子自身の心情が直にわかるもの(例えば頼子の手記をそのまま載せるなど)を組み込めば、頼子をよりリアルで魅力的な人間として理解出来たのではと感じた。
頼子に限らず登場する女性全般が誇張された人物像だったり言動に無理があったりするので、女性を書くのがそもそもそんなに得意でないのではと思う。
一方で主人公は非常に個性が立っていて印象的なので、アニメ化などされたらウケそう。

ハードボイルドと言われているが、どちらかといえば厨二感のほうが強い。

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Posted by ブクログ 2023年05月16日

面白かった。
解説にもあるが、ある一家の一人娘の死の真相に迫るというミステリ要素のみならず、政治家などの有力者にも屈せず行動する硬派な側面、あるいは人間という存在の複雑さやそれが抱える業を主題に組み入れていることによって、たんにミステリを読み終わった時とは異なる読後感がある。
トリックに感心した、と...続きを読むいう部分もなくはないが、小説を読んだな、という感じの方が強い。
星の数は多くはないけど、やっぱり法月綸太郎は良いなと思った。

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Posted by ブクログ 2023年04月28日

多分20年くらい前に読んでるかもだけど、すっかり忘れていて新装版で再読。

一人娘の頼子を殺された父親が、犯人の思しき男を殺して自殺未遂。その父親の手記に残された秘密を探る法月。

うー、こんなにイヤミスな展開だったとは…。第5章からの真相が切ないしモヤモヤするでした(モヤモヤは犯人や周りの心理につ...続きを読むいてです。ミステリ的には好きです)。

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Posted by ブクログ 2023年02月13日

法月綸太郎はシリーズとしても著者としても初読(面倒だな…)
所々独特な言い回しがあって面白かった

■イヤミス
叙述トリックと知った上で読んでたから、父親が頼子を愛してるのは多分嘘だろうと思って実は血が繋がってないのか?と勘ぐったけど…
血は繋がってるけど奥さんの方が大事なんかい!
むしろそんなに大...続きを読む事な人との間に産まれた子なんだから何故愛情を向けられなかったのか…
じゃあ妙子にもなびくなよ…
気持ちがわからん…

■犯人の自殺
犯人が自殺するとわかっていて黙認した法月。
日本の探偵でそういう展開読んだこと無い気がするなぁ(自分が知らないだけかも)
そんなに沢山読んで無いけどホームズとかポアロとか海外の探偵は罪を暴いた後は犯人の好きにしろというか判断に任せるみたいな風潮なのかな?
日本は罪を償わせるために自殺はさせないし、必ず捕まえるのイメージ。
お国柄なのかな?


著者の別作品もオススメでよく見かけるので読んでみたい

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Posted by ブクログ 2022年07月30日

物語小説としては、何とも悲しく儚い物語なんだと感心した。複雑な人間心理。手記を最初に出し、それで一つの物語になっているのに、そこからさらに真実を暴く。ミステリとしての驚きはあまりなかったが、いい意味で騙された。

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購入済み

2020年12月19日

読もうかどうかずっと迷っていて、ついに思い切って読んでみました。
暗い話です。嫌~な感じのミステリ。ちょっと長かったかも。
法月作品、もっと読んでみよ!

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Posted by ブクログ 2020年02月29日

確かに意表を突いた展開、というかどんでん返しではあろうが、話が長い。後書きを読んで納得したが、元々が中編で会った小説を加筆したらしい。前半の”遺書”から真実を導いていくという過程は面白いのだが、とにかく文章が無駄が多いし、キャラも魅力が無いだけでなく、不要な設定・登場人物が多い。何より文章がまだるっ...続きを読むこしくて退屈だった。

これは中編のままの方が面白かったのでは?

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Posted by ブクログ 2018年02月20日

トリックは二の次、心情描写や人間を描くことに重視を置いた昨今のミステリーは置いといて、そろそろ本格ミステリーを読んでみたいと思い、「衝撃のどんでん返し」「著者の記念碑的作品」という言葉につられ読んだ本作。
久々の本格ミステリーに心躍るが、「法月綸太郎」という作者と同じ名前の素人探偵がいまひとつキャラ...続きを読むが弱く、主人公にも魅力を感じず、結局、登場人物の誰一人として好きになれないままに終わった感じ。
肝腎の真相も、どんでん返しとうたうほどの意外感もなく、予想された範囲。なんとも残念な感じだった。
ただ、名探偵が真相を解き明かす小説の面白さは、ひとえに名探偵のキャラによるところが大きいので、探偵「法月綸太郎」シリーズはも読まないかな・・・

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