法月綸太郎のレビュー一覧
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ネタバレ名探偵としての苦悩を抱える法月のもとにかかってきた、一本の電話。
ふたたび、赤い悪夢が繰り返されることになる。
この"繰り返す"という構図がとても秀逸。
それを見破る「服に付着した多すぎる血」
「冷たい血」「血がついたナイフ」といった手がかりも見事。
重厚でいて清々しい、読み応えのある大作。
惜しむらくは、自分がまだクイーンの作品を国名シリーズの途中までしか読んでいないことと、『頼子のために』を読んでから間を空けずに本書を読まなかったこと。
それにしても、(あとがきも含め)二人の法月綸太郎のクイーンへの憑かれっぷりがよく分かる... -
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ネタバレ新本格30周年の記念アンソロジー。
新本格に夢中になってたのが20年前くらいなので、思えば自分も年をとったものだなあと。あと、出産~育児で読書から離れていたのもあり、これで久しぶりに読んだ作者も結構いたりして懐かしくなった。
全体を通して、ストレートな本格の割合が低くて、結構意外だった。全員の個性が良く出ているというか。意外とみんなゴリゴリの本格というわけではないんだねえ、なんて思った。でもそれがつまらないわけでは無くて、それもとても楽しめた!!
○「水曜日と金曜日が嫌いー大鏡家殺人事件―」
麻耶雄嵩らしい。「7人の名探偵」と言われてメルカトル出してくるのがすごいと思ってしまった。でもやっぱ -
ネタバレ 購入済み
他の二人、御手洗と火村が普段から難しい顔をしてるイメージなのに比べて、綸太郎は穏やかな顔をしてる感じがして、同じ名探偵でも親しみやすそうと思った。
何かに気付いたと思ったらじっと考え込む閃き型の天才タイプと違って、穂波嬢や親父さんとディスカッションしながら謎を解いていくスタイルも面白かった。
最初の「過ぎにし薔薇は……」が人情モノの日常の謎だったので、続く「背信の交点」もなるほどこのシリーズはこんな感じかと思っていたら、心中からさらにもう一捻りあって驚いた。 -
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ネタバレ『ノックスマシン』 ★★★★★
* 実在の文章である「ノックスの十戒」の第五項に「探偵小説には、中国人を登場させてはいけない」と書かれていた。この不可解な一項から発想を広げたんだろう。
* タイムマシンで過去に戻った時、世界は分岐してしまうという「多世界解釈」の通り、過去に行った人間が(元の世界の人間目線で言えば)戻ってきた例がないという。しかしある特定の日付だけは特異点として世界の分岐が起こらず移動できるという。その日はまさにノックスが「ノックスの十戒」を執筆した日だった。チンルウがノックスを訪れた際、ノックスはそのような項は書いていなかったが、未来から現れたチンルウを見て追加してしまったの -
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ネタバレ2018年3冊目。
そして、法月綸太郎作品は「一の悲劇」「頼子のために」に続いて3冊目。
・・・完全にやっちまいました。
法月綸太郎作品めっちゃ面白い!!コンプリートするぞ!と意気込んでまずコレを選んだけど、『冒険』『新冒険』『功績』の中からの傑作選だったのね。どうせコンプリートするなら最初からその3冊を買えば良かったわー(ノ∀`)
でも、傑作選だけあってどれもめっちゃ面白かった。
うーん、その中でもやっぱり「背信の交点」と「都市伝説パズル」は最高!!
短編とはいえ、どれも本当によく出来ているなぁ・・と感心せずにはいられない。
実はミステリー好きとはいいながら、エラリー・クイーンをまだ読んだ -
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このミス2013年版8位。四重交換殺人という今までになかったパタンを扱った本格ミステリー。設定が斬新だけど、しっかりと事件が構成されている上に、それらが語られる順番が良く練られており、事件が発生する過程、解決していく過程がそれぞれ楽しめる。フーダニット(誰が犯人か)に加えて、何が起こっているのかという興味が続く。テンポの良い展開で一気読みできる娯楽小説の最高峰です。パズル的な複雑さがあるんだけど、解決していく手順で丁寧に説明されていくのでわかりやすい。普通はトリックが優れている良くできた小説でも、面倒くさいので、小説読みながらページを戻ったりしてまじめに推理する気にはならないのだけど、この小説