法月綸太郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
法月綸太郎によるミステリにまつわる話をSF仕立てにした短編集。
本作はいろんなところで言われているように、決して万人向けではない。むしろ、クリスティやクイーンといった古典ミステリをこよなく愛し、かつSFもある程度読みこなしている人が、そこかしこに仕掛けられた遊びを楽しむ、という側面がかなり強い。そういった意味で、「このミス」一位という評価だけによって本書を手にするとなんだこりゃとなる可能性も高い。かくいう自分も、古典ミステリはかじる程度しか読んでいないため、ネタ元がわかるものとわからないものがある。様々な作品に触れた後で読み返すとおそらく今とは違った感想を持つだろう。
古典ミステリへの愛が如実にあふれた作品として「引き立て役倶楽部の陰謀」が収録されているが、ミステリの歴史の体系的なまとめとも言える作品で、それと知らずに読んでも非常にコミカルな作品でもある。
また、本作は「紙の書籍」への愛着もそこかしこに感じられる。特に電子書籍版には収録されていない「バベルの牢獄」はその最たるもので、絶対に電子書籍化できない仕掛けが仕組まれている。
表題作とその続編もふくめ、よくもこんなことを思いつくものだと感心することしきりで、ある意味論理の煙に巻かれたような読後感もあり、そういう意味でミステリにも通じるが、あくまでも本作はミステリではなくSFテイストの作品集だ。 -
Posted by ブクログ
ずっと読みたかった「このミス」1位だった法月綸太郎シリーズ
連続殺人とか、派手なトリックとか、そう言うのは無かったのですけど、納得の本格だったのです。
彫刻なんて、フツーの読者はサッパリだけど、分かるようにちゃんと大事な所を解説と言うか、法月探偵と共に「ふーん。なるほど」と言う位には掴めて良いのですよね
だから、「あっと驚く展開」が予想以上に鳥肌だったのです。
しーなの好きな法月親子の関係と言うか、お母さんの事とかもチラッと出て来て、今後の展開や何かの事件に関係してくるのでは……?とちょっとwkwkしてしまったのです。
闇は闇なのでしたが。
緻密な伏線……とゆーのが感想には必ず出てくるのでは?と思う位あれもこれも後々「ああー……!」と頷いたり、悔しかったり。
よくよく考えてみると、要らない設定とかもあるのですけど(例えば、1だけで良くない?2とか3とかそれ以降とか……要る?)躓いたり迷ったりする法月探偵は好感が持てるのです。
巻末のインタビューにもあったのですけど、完全無欠の名探偵はやっぱりカッコイイし、江神さんも鳴海雄一郎(?)も大好きだけど、やっぱり間違ったり後悔したりしながらの法月探偵も好きなのです
探偵が一人でワトソン役が居ない場合は、多重推理が成り立ちにくい分けだから、法月探偵みたいな読者と一緒に間違って行く探偵になるのでしょうか。
そう言う面から見ても、探偵と読者とストーリーがちゃんと一緒に進んで行くのですよね。
つまりそれって、読みやすい?のでしょうか。多分そういう事なのですよね。
読みやすい。理解しやすい。突然名探偵が思い付くトンデモ推理に着いていけない……とゆー事態に陥りにくいのですよね。
解決や結末は「鮮やかー!」と言うよりもシリアスな展開で余韻もしんみり。
他の法月探偵シリーズを読みたいな……読み返したいな……と思ったのです。
次にまた未読のものを見かけたら、迷わず買ってしまいそうなのでした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ2014年版このミス第1位など、各種ランキングで上位にランクイン。法月綸太郎さんの作品は未読だったが、文庫版が薄かったので、手に取ってみたわけである。
結論から言うと、一般向け娯楽小説とは言いがたい難物だった。探偵小説研究会のメンバーでもあり、評論家としての顔も持つ法月さん。なるほど、業界人の評価が高いのはわかる。これは、ミステリーでもありSFでもあり評論でもある。
「ノックス・マシン」。一応本格ファンであるから、「ノックスの十戒」を聞きかじったことはある。その5番目に、「探偵小説には、中国人を登場させてはならない」とある。真意はともかく、古典ミステリに精通していなければ、これをネタにしようとは考えないだろう。
「引き立て役倶楽部の陰謀」は興味深い。引き立て役倶楽部とは、ワトスンに代表される名探偵のパートナーたちの団体である。某女史の某作品が、彼らにとって由々しき事態だというのだが…。虚実入り乱れた内容であり、本作中最も評論色が濃い。僕は彼女の作品を未読なので、本当の面白さはわかっていないのだろう。
「バベルの牢獄」は、専門用語を散りばめられて煙に巻かれたような、日本語論でもあるような…つまり難解でした。その作品はもちろん知りませんでした。
「論理蒸発──ノックス・マシン2」。以前、北村薫さんの『ニッポン硬貨の謎』に手を出し、痛い目を見たが、その後にクイーンの国名シリーズを読破したので、何とかついて行けた…のだろうか。量子化されたテキストが、「燃えた」という。つまりは改竄である。仮想空間における発火点とは、何か? これは現代にもあてはまるテーマだろう。
古典ミステリに疎いことに加え、量子力学やホーキングの宇宙論まで出てきては、正直お手上げだが、設定に惹かれる点はある。物語はアルゴリズムで自動生成され、あらゆるテキストがデータベース化された時代。長期的には、電子書籍は普及していくだろう。でも、紙の本が愛おしい。難儀しながら本作を読み終え、そんなことを思った。