齋藤孝のレビュー一覧
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著者は、戦前に比べ日本人の心は格段に弱くなったと主張する。たとえば自殺者は、もう13年連続で3万人を超えている。その背景の一つには、心の肥大化があるのではないか。この本の副題は精神バランス論である。心の肥大化とは、心と精神と身体(習慣)のバランスが崩れて、心の働きが相対的に大きくなり過ぎたことをさす。
心と精神はまったく別物だ。心は個人的だが、精神は、共同体や集団によって共有される。民族の精神のような大きなものもあれば、会社や学校の精神もあり、多かれ少なかれその精神は、所属する個人に内面化される。
人間は、心と精神と身体(習慣)の三つにより成り立ち、それらがバランスよく伸びることで真っ直ぐ -
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西郷隆盛が座右の書とし、幕末維新の志士たちもみなこれに学んだという佐藤一斎の『言志四録(げんししろく)』の解説書です。
少にして学べば、則ち壮にして為すこと有り。
壮にして学べば、則ち老いて衰えず。
老いて学べば、則ち死して朽ちず。(晩・60)
って聞いたことありますよね。
それに対して、
少年の時学んでおけば、壮年になってそれが役に立ち、何事か為すことができる。壮年の時学んでおけば、老年になっても気力の衰えることがない。老年になっても学んでいれば、見識も高くなり、より多く社会に貢献できるから死んでもその名の朽ちることはない。
と、現代語解説を載せ、さらに、齋藤 孝 -
Posted by ブクログ
大学生の知的レベルの低下が叫ばれて久しい。しかしそれよりも日本人の知的レベルが落ちいているのではないかと著者は言う。特に強調するのが、読書量の低下である。自分もそれほど大学時代に本を読んだ方ではない。しかし、明らかにそれとは比較にならないくらいまわりの人は本を読んでいない。
さらに思考能力のレベルの低下も著しいように思う。そもそも議論・討論・対論の方法さえ未熟である。論理力が弱いことも感じる。
今の日本の学校教育に必要なのは書く力と技術、議論する力と技術、読書力である。これらは教える方にも技量が求められるが、皮肉なことにこれらの能力を一番持っていないのが日本の教師である。書く力がないから書 -
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ゲーテの言葉は孔子の言葉と重なることが多い。
「人間が自分に与えることのできる最も驚くべき教養は、他の人たちは自分のことなど求めてはいないということである」
これは「人の己れを知らざるを患えず、人を知らざるを患えよ」と重なる。
他人が自分のことを全く求めない、気にしないということは所属欲求、名誉欲求が充足されないという欲求不満につながる。反面、人は他人の目を気にしないでもいいことも意味する。だから自分の思うがままに生きていい。世の中にあなたを必要とする場所も役割も存在することはない。陳腐な言い方をすれば「あなたがいなくても地球はまわる」。
あなたは地球にとって、宇宙にとっても無価値な