近藤史恵のレビュー一覧
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初めての食べ物、初めての旅行先、初めての出会い、色々な初めてが美味しいご飯と土地にあるアンソロジー
坂木司「下田にいるか」
適量が苦手な主人公が勢いで下田にプチトリップするお話
誰かが適当に適量にしてくれるから、好きなものは好きなだけ詰め込んだって良いじゃないか
松尾由美「情熱のパイナップルケーキ」
福引で当てた旅行券で初めての台湾旅行、現地の人や会社の台湾オフィス人との交流を通して少し周りから浮いていると感じていた自分だからこそ気付けることがあると知る
パイナップルケーキに関する謎に気付けたこともきっとそう
近藤史恵「遠くの縁側」
海外出張での大仕事を終えた日、パスポート財布など一切を紛失し、アムステルダムに足止めをくった主人公
激しく落ち込むが、足止めによる思いもかけない数日で街を散策し立ち止まることの大切さに気付く
松村比呂美「糸島の塩」
詐欺まがいの手法で旅行プランを販売する主人公、騙されていると気付いている相手とひょんなことから旅行するハメに
他の短編とは毛色が異なる雰囲気だが最後は前向きになれる -
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ネタバレこれはなかなかの問題作…。
子供がいる立場上水絵の気持ちもわからなくはないけれど、それでもものすごくイライラしてしまった。
脚本家として活躍をする鈴音のもとへ10年ぶりに高校の友人の水絵から連絡が入る。
子連れの水絵は、1週間だけ居候させて欲しいと頭をさげる。
渋々ながらも応じた鈴音。ところがこの関係は1週間では終わらず、ずるずると続いていく。
施す側は、相手からは些細なことに思われるかもしれないけれども、自分の一部を相手に差し出しているわけで、感謝とわきまえを求めてしまう。
施される側は感謝はあるものの、相手は恵まれているのだからこれくらい当たり前、とどこかで思っている。
ボランティアでとよくあるすれ違いのようだけれども、今回は鈴音が望んで施したわけではなく、頼み込まれてやむなく手を差し伸べたもよであって、水絵側に冷たいだのなんだの言われる筋合いはないよな…。
しかもあれだけ大切にしていた子供を置いていくのは本当にありえない。
子供がとても大切で、失うことが怖いと泣いていた姿には共感したのに、その場の感情で飛び出してそのままにするってありえるのだろうか…。
最後子供がまともに育っていてよかった。 -
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ネタバレ読みやすい文章でさくさく読めた。
最後の最後に、どう考えてもうまく行っていないこの状況に対して盲目的な遼子が疑問だったが、作中の
「立派なお父さんに育てられた自分が誇らしくて、父の独善的な部分や、自分勝手な部分から目をそらしてきた。
仲のいい家族が自慢だった。家族とうまくいっていない友達を見ると、少しだけ優越感を覚えた。そうやって、自分の目にフィルターをかけてきた。
自分が見たい父の姿だけ見て、それを誇りにしてきた。
情けないのは父だけではない。わたしも同じだ。」
という部分が、全てを物語っているのだと思う。遼子はいまだに自分の目にフィルターをかけている。結局人は変われないということなんだろうな。 -
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シリーズ3作目。本作は短編集となっている。
「吉原雀」
吉原で立て続けに(見世の違う)3人の遊女が病気でなくなっているという。気になった千蔭が調べてみると,3人共何か「雀」に関わりがあったらしいことがわかる。そして巴之丞が吉原雀を演じたときの錦絵にその3人にそっくりの女が描かれていた。3人の遊女の死は本当に病気なのか? 巴之丞との関わりは?
「にわか大根」
大阪巡業から戻ってきた市村座のかつての人気若手女形達之助が,何故か大根役者に成り果てていた。周囲が首をひねる中,ある夜達之助の一人息子が転落死する。すると不思議なことに達之助の演技が元に戻った。達之助の演技の変容と息子の事故死には何か関連があるのか?
「片陰」
人混みでまんまと金の詰まってそうな財布をスりとった掏摸の常習犯が発覚を恐れて手近な天水桶に財布を隠し,後で取りに戻ったところ同じ天水桶に死体があるのを発見する。その死体は折しも巴之丞が探していた船芝居の役者与四郎の相方円蔵だと判明する。誰からもスカれ恨まれるはずがないという円蔵はなぜ殺されたのか?
短編集ということでそれぞれはシンプルな話になっているが,一方で前作から続く,お駒の従姉妹おふくの話も縦筋として展開される。さらに,たびたび強制的な迎えの駕籠をよこす,吉原の花魁梅が枝もちょくちょく登場し,千蔭の調べにヒントを与える。シリーズ物の楽しみの一つと言えるだろう。 -
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猿若町捕物帳シリーズ第2作。
第1作に登場した面々も引き続き登場する。
吉原に若い女の幽霊が出るという噂を中村座の若手作家・桜田利吉が玉島千蔭の耳に入れる。
千蔭には与力・青島が姪との縁談を持ちかけていており,円満に破断にすべく,吉原で遊び呆けてる姿を偽装するために吉原の茶屋・叶屋に行って,知り合いの花魁,梅が枝を呼ぶ。しかしそこで千蔭は幽霊騒動に出くわす。そしてその後,叶屋の主人と女将が揃ってめった刺しにされて殺されるという事件が起こる。幽霊の仕業だと噂になる理由がその女将にはあったのだ。しかし本当に犯人は幽霊なのか。そして川岸に出没する謎の白髪の老婆の夜鷹の正体とは一体。千蔭の破談は無事達成できるのか。200ページ程度のコンパクトな作品ながら様々な要素が盛り込まれ読み応え十分,ラストには思わぬところから(いや実は途中から予感はしていたのだが)サプライズも用意されている。緻密に計算されたエンターテインメントになっている作品。