近藤史恵のレビュー一覧
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推理小説でも度々用いられる「クローズド・サークル」。外部との接触が断たれた空間に何人かが残され、そこで殺人が進行していくというもの。アガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」や綾辻行人の「十角館の殺人」などが有名なところ。
本作では、舞台を行う人たちが山奥のペンションに集められ、その練習する劇中でもクローズド・サークルが用いられている。つまり、二重のクローズド・サークルが仕掛けられている。そして、その劇に近い形で現実の殺人も進行していくという展開。劇というところが本作のポイントを占めている。役者には誰が犯人で誰が殺されるのかなどが記されておらず、少しずつ分かっていくようになっている。当 -
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ネタバレ【収録作品】「もうひとつある」 大崎 梢/「孤独の谷」 近藤 史恵/「扉を開けて」 篠田 真由美/「猫への遺言」 柴田 よしき/「キノコ煙突と港の絵」 永嶋 恵美/「十年日記」 新津 きよみ/「そのハッカーの名は」 福田 和代/「みきにはえりぬ」 松尾 由美/「青い封筒」 松村 比呂美/「黄昏飛行 時の魔法編」 光原 百合/「たからのちず」 矢崎 存美
さまざまな形で残された「ラスト・メッセージ」を巡る短編集。どれも味わい深い。
「もうひとつある」隠された幻の家訓。鷹宮家には4つの家訓が残されていたが、もう一つ隠れた家訓があるという。大学院で歴史を研究する高校時代の先輩に請われて、鷹宮家の傍 -
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蓮美は19歳のアイドル。主にグラビアやCMで活躍していた。
同じ事務所に所属するアイドルのうち、ダントツに売れていたのは沙霧だったのが、蓮美は二番手の位置を占めていた。沙霧とも親友と呼べるくらい仲が良かった。
ところがある日、沙霧がマンションから飛び降り自殺した。それだけでもショックだったのに、数日後沙霧が書いたと思われるブログがネット上に出回る。そこに書かれていたのは…蓮美のいじめに耐えかねて沙霧は自殺した!
事務所は否定してブログも削除されたにも関わらず噂は消えない。
根も歯もない、身に覚えもない噂のために蓮美は仕事も無くなり、周囲の人達にも信じてもらえず、心身にダメージを受け引きこ -
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ネタバレ家業の和菓子屋を継ぐつもりの小梅は、取り柄もやりたいことも特にない自分にひきかえ、意志が強く、目標を持ってやりたいことにチャレンジしていく妹のつぐみに、なんとはなしの引け目を感じている。ある日、既に亡くなっている曽祖母の魂がつぐみの身体に乗り移り、手紙を探し始める。浮気相手が持っているかもしれないから、取り戻してほしいという頼みを断りきれず、相手を探し始める。
「女だから」と生き方をせばめられていた時代を生きていた曾祖母との会話や、相手の女性を捜す過程での人々との出会いを通して、小梅は世の中の偏見と自分の中にもある偏見に気づいていく。
今は声高にハラスメントが叫ばれているけれど、人間の心の底に