近藤史恵のレビュー一覧
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「下着は自分を大切に扱うために纏う」という感覚はとてもしっくりきます。お話はシビアでしたがそのまま終わらないのでちょっと良い気持ちで読み終わりました。
前半2話はお客さんのお話、後半2話は店長さんのお話。
第一話の、所謂毒親から開放される女性のお話がとても好きでした。性的なのはいやらしいこと、と娘を罪悪感で抑えつけておいて、支配して家庭を切り盛りさせているのに、「結婚も出来ないのは恥ずかしい」って臆面もなく言えるのは娘を舐めきってるよな。佐菜子さんには幸せになってほしいです。
親と子どもの確執もテーマのひとつなのかも。自分の思い通りに生きなかったからと、乳癌になった娘に「罰が当たった」って言葉 -
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ネタバレ小説家でレズビアンの織部が、新人賞を取った橋本さなぎに興味を持って関わっていく様子。
パーティーで出会った橋本さなぎは誰が見ても美しく、明るい愛想で溢れていた。
同じ場所にいたのは橋本さなぎの秘書という、橋本と容姿が真逆の初芝だった。
華やかな橋本よりも、地味だけど自然な本音を言ってくれる
初芝に織部は惹かれていくが
橋本と初芝には二人だけの秘密があった。
ネタバレ。
小説を書いているのは初芝で、橋本さなぎを外で演じているのは速水という名前。
二人とも外見にコンプレックスを持ちながら生きている。
最後が清々しい感じ。
自分らしく生きていくと決めた二人の決意が気持ちい。
同性愛者の人が -
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清掃作業員キリコのシリーズ第一作。
とある会社に新入社員として入社した梶本大介がある日社内で出逢ったのがおよそ清掃作業員に似つかわしくない姿のキリコ。
大介に起きた謎の事件をきっかけに親しくなった2人が社内で起こるちょっとした事件を解決していく物語。解決に当たっては,清掃作業員ならではのスキルが活かされるというより,日頃キリコがごみを回収する中で,ごみから浮かび上がる各社員の秘めた問題などがヒントになる。
今どきの会社なら,個人の捨てるごみにももっとセキュリティ意識が上がってると思うが,まぁそれは良いこととしよう。
しかし,自分が働いている会社のみの周りにこれほど悪意や愛憎が吹き荒れていたらと -
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ビストロパマルのシリーズがとてもよかったので、
作家読みしようとウロウロしていたらこちらを発見。
まさかの、ホラーじゃん!!??と大喜びした私。
中高生むけの良質ホラー、随時募集中です。
直接的な怖さというより、
じわじわくる表現が怖い、ミステリホラーでした。
いやたまにぎょっとするほど怖い描写も出てくるんだけど、短編集なので、こう、中和されつつ読めるというか。
「境界が曖昧になる」って、さらっと書いてるけど、めっちゃ怖いとおもう…ここを読み取って欲しいなあ…。
あと最初と最後のお母さんのパート、
あれなに?どういう意味だったんだろう?
あそこが1番怖いよ。
結局、種明かしされないの -
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騙されても、良いときの思い出だけを残しておきたいと思うぐらいのハンサムってすごいな。どんな良い男なんだろ。(書いてて思ったけど、ハンサムって言葉、この頃聞かないな…。)
まぁでも実際問題、どうせなら自分好みの容姿の異性と恋に落ちたいって願望はわからないでもないかも。とはいえ、ちょっとヒロインの思考はわからないですが。
ハンサムくんも彼女が過去を忘れたらもう一度…と思う辺りも分からないし、お兄さんが彼女に固執する理由も今一つよくわからなかったです。でも新しいパートナーとハンサムくんの暗躍は知りたいような知りたくないような感じではあります。 -
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キスすることでしか感染しない謎の伝染病。この病には大きな特徴がある。一つは感染したら致死率は100%ということ、そしてもう一つは元々キャリアの人は発症しないことである。しかし、現在の医療では自分がキャリアかどうかは判断できない。
ある全寮制の学園で一人の少女がこの病を発症して死んだ。なぜ彼女は死んでしまったのか、彼女を死に至らしめたのは誰なのか。真相を追っていくとそこには思いもよらない真実が待ち構えていた。
自分がキャリアかもしれないという恐怖、誰かがかかると突然起こる犯人捜し、疑心暗鬼の渦、まるで現在のコロナ禍を彷彿とさせる展開である。