近藤史恵のレビュー一覧

  • シャルロットの憂鬱

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    元警察犬のジャーマンシェパードを飼うことになった共働きの池上夫婦。
    初めて犬を飼う夫婦の日常と、周囲で起きるさまざまな事件を描いたミステリ連作短編集。

    躾もきちんとされてて賢いけど、人懐っこくてちょっと臆病な元警察犬のシャルロットがとにかく可愛くて、わんこかわいい~愛しい~!って読んでたらすぐ読み終わっちゃいました。

    もちろん可愛いだけではなく、飼い主同士の暗黙のルールや犬の習性を理解した上でのしつけの重要さ等々、犬を飼ったことのない私には初めて知ることばかりで、新鮮でした。
    動物を飼うことの責任の重さや、動物を利用し改良してきた人間の歴史などなど、人間のエゴについて考えさせられるエピソー

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    2025年02月24日
  • 天使はモップを持って

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    清掃員キリコが主人公の短編集。
    読みやすくて女の子のキャラが立ってて、ラノベみたいな感じ。
    NHKの30分枠ドラマでありそうな話だな〜と思いながら読んでたら、もうとっくにNHKの30分枠でドラマ化してたみたい。

    著者の近藤史恵さんは、小説家デビュー後、ビル清掃の仕事をしてたことがあるそうな。
    掃除は綺麗にする達成感があるけど、また汚れる、終わりのない仕事…まさにその通り。掃除嫌いな人って、結局その終わりのなさが嫌なんだよね。
    キリコみたいに、楽しく、使命感と喜びを持って掃除できたらなぁ。

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    2020年06月17日
  • 震える教室

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    とてつもなく怖いという類ではない。「あぁそれは霊だね」といった感じ。そういった意味ではミステリ側に位置している気がする。
    あらすじ(背表紙より)
    伝統ある女子高・凰西学園に入学した真矢は、人一倍怖がりの花音と友達になる。「出る」という噂のあるピアノ練習室で、虚空から伸びる血まみれの手を目撃した2人は、その日を境に、手をつなぐと不思議なものが見えるようになってしまう。保健室に横たわる首のないびしょ濡れの身体、生徒の肩に止まる白い物体、プールの底に沈むもの……。少女たちが学園にまつわる謎と怪異を解き明かす、美しくも繊細な6篇の青春ホラーミステリー。

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    2020年05月04日
  • キアズマ

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    シリーズ第四段。
    前作まではプロのロードレースだったが、本作はスピンオフ。大学生が、とある事故をきっかけにロードレースにのめり込んでゆく青春もの。

    とは言うものの、青春ものではあるが、爽やかさ溢れるというよりも、本作は内的な含みが強く感じた。

    誰しも傷は持っている。多かれ少なかれ。
    齢の過多ではない。歳が若くても苦労している者もいる。人には語れぬような、重い十字架を背負う者もいる。中年を過ぎてもスカスカの者もいる。
    一つの物差しでは測れないが。
    抱えた傷との向き合い方というか、蓋の仕方、折り合いの付け方、そんな描写がなんとも言えない。

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    2020年04月06日
  • サヴァイヴ

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    シリーズ三作目。
    相変わらず、選手の倫理描写は巧みだ。
    数十キロの速度でかっ飛ばし、落車すれば命を落とすこともある自転車レース。
    団体競技でありながら、レコードに残るのはエースの一人のみ名前。その他のアシストはエースを勝たせるために、ひたすらに支え続ける。

    秀逸な作品ではあると思うものの、多少マンネリ化してきた感は否めない。
    やはり、シリーズものにするのは楽な芸当ではないな。スポーツネタでシリーズ物って、そういや、あんまり読んだことないな。

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    2020年03月23日
  • 桜姫

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    ネタバレ

    真実を知った時の驚きはさほどなかったというか、あ、そういうやつね...という感じだったが、歌舞伎に詳しくない私でも、その雰囲気を楽しめたし、全体としては面白かった。
    性別を2種類しかないものとすること自体は本気で見直す時に来ているだろう。
    この小説では歌舞伎という特殊な世界の話として描かれていたけれども、結局2種類のみの性別に押し込めようとすれば、どこであってもこういった悲劇は起きるのだから。
    子供の性別や能力によって親の愛情が左右されることも多々あるのだろう。
    母親の愛情が深かったことが分かるだけに辛い。
    最後は希望のある終わり方で良かった。

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    2020年03月07日
  • 巴之丞鹿の子~猿若町捕物帳~

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     時代ミステリー「猿若町捕物帳」シリーズの第1弾。
     時代物ではあるが、ミステリー要素が強く、また人物描写や人物相関も丁寧に描かれているため、時代物をあまり読まない人にもおススメの作品。ページ数も200ページ弱といったところなので、割と短時間で読み切ることができる。個性的な登場人物が多く、その人物像を考えるのも一つの楽しみ方であるように思える。
     ミステリーではあるが、硬質な謎解きというよりは、読後にハートウォーミングな印象を受ける作品となっている。

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    2020年02月24日
  • 岩窟姫

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    業界あるあるのアイドル枕営業をテーマにしたサスペンスものでなかなかテンポも良く分かりやすく読みやすかった。
    同じ事務所であっても椅子取りゲームな勝ち残り戦の厳しさもよく書かれていた。
    最後の7桁番号だけが安易過ぎてもう一捻りお願いしたかったなぁ

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    2019年11月13日
  • エール!(1)

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    働く女性たちを描くアンソロジーの第1弾。
    第3弾から読んでしまったせいか、第3弾ほどのワクワク感はなかった。
    どちらかと言うと、今作に収められた6編は挫折からの立ち直りがメインであり、「そんなに世の中、上手くいかないよ」と言うのが、一番最初に出て来た感想。
    通信教育の添削の仕事は、今まで全く想像もしたこともなかったので、それだけは少し面白く読んだが、ラストがちょっと悲しかった。
    近藤史恵の得意分野である旅を描いたツアー・コンダクターの話を一番楽しみにしてたけど、落ちがイマイチだったのが残念…

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    2019年10月21日
  • ほおずき地獄~猿若町捕物帳~

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    かなり薄く、さらりと読めてしまうのに、
    長編を読んだ読後感。

    シリーズ2作目、間違って3作目から読んでしまったのでラストの展開には惜しくも驚かなかったけれど、
    お馴染みメンバーが事件を丁寧に紐解いていくのは安定の面白さ。

    ほおずき事件が起きている現在と、
    幽閉されている少女の話がクロスカッティングしつつ、
    徐々につながっていく。

    夜鷹として生きる女性の強さが印象的なラスト。

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    2019年10月12日
  • [新版]モップの精は旅に出る

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    ネタバレ

    流行のファッションに身を包むキリコは清掃の仕事のついでに事件も人の心もクリーンにしてしまう――。
    お掃除ミステリ第五弾にして最終巻。

    四篇の連作短編集ですが、最初の二話は英会話学校、三話目はコワーキングスペースで起こった事件のお話。
    例によって、掃除の派遣で働くキリコの深い洞察力によって事件とそれに関わる人の心を解きほぐしていきます。
    軽く読める肩の凝らないミステリですが、真相の裏に隠された悪意や嫉妬の熱量は結構重みがあり、認知の歪みやいじめでは済まされないビターな内容でした。

    特に三話目の「重なり合う輪」の女性が受ける悪意のない嫌がらせは、胸がつまり苦しくなります。
    その上、自分の見たい

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    2019年10月06日
  • モップの精と二匹のアルマジロ

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    ネタバレ

    清掃作業員キリコのシリーズ第4弾。
    3冊目を飛ばして買ってしまった…。
    キリコ初の長編。

    結婚3年目となる大介とキリコ。早朝勤務のキリコと普通の会社員勤めの大介が同じビルで勤務することに。
    そこで知り合った超美形のガスコンロ王子こと越野友也とその妻真琴。真琴は友也が残業していると嘘をついて外出している事実を知り、キリコに調査を依頼する。
    友也が別のマンションを契約して通っている事実を突き止めたが、その矢先に交通事故に逢い、過去3年の記憶を失う。自分が結婚している事実も、別のマンションに通っていた事も。

    …今回はキリコのお掃除スキルが発揮される場面が少なかったなぁ。
    こういう時に、知らない方

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    2019年09月25日
  • 岩窟姫

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    芸能界の闇を描く小説というと、この小説の他に綿矢りさの夢を与えるを思い出す。
    あちらは芸能人(主人公)のリアルな心情・まさに堕ちていく様子が細やかに描かれているが、この小説はミステリーとして描かれている。
    最後はあっと思わせる事実が明らかになるのに、正直そこからあっけなく終わってしまった印象を抱いた。

    蓮美には意思の強さを感じた。
    ただネガティヴなので、大部分は鬱屈とした感じ(´∀`; )
    チホや斎木、早瀬達が協力してくれた事が幸い。
    蓮美は助けられてるな、と思う。

    こういう芸能界の闇的な話は取材とかするんだろうか…。
    読み終わった後で表紙の絵を見ると、なんだかゾッとする。

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    2019年08月11日
  • にわか大根~猿若町捕物帳~

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    3編の連作。タイトルは2編目。

    吉原雀 ー 連続遊女不審死、「雀」が鍵のミッシングリンク。
    にわか大根 ー 人気役者が突然大根役者になり、その息子が死亡。するとまた演技が上手になり…
    片陰 ー 誰が見ても「優しくて良い人」が殺された。殺された動機とは…?

    水戸黄門的な安定感がありつつも、
    事件は一級の本格ミステリー、
    でもどこかほのぼのとした温かさを感じる。

    「おしげは、亭主の帰りが遅いからといって、腹を立てて拗ねるような可愛い女ではない。さっさとひとりで布団を敷いて、大きな尻を引き戸に向けて寝てしまうような女である。」
    事件と無関係なこんな記述にも、脇役への愛が溢れていてほんわかした気

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    2019年06月16日
  • ダークルーム

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    サスペンスというか恋愛ものの短編集ですな。するすると読めた、という意味ではよかったけど、近藤さんの本をもう少しいろいろ読んでからこれに出会えた方がよかったかもしれない。

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    2019年04月28日
  • 私の命はあなたの命より軽い

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    私きょうだい居ないので…

    理想の家族像の壊れ方怖いなって。
    もうちょっとこうなんか、そういうものでなくて違う怖さを想像してたんだけど、、、
    最後のなにか示唆するものもすごく怖かった。

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    2019年01月01日
  • 賢者はベンチで思索する

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    短編3作からなる本書の、3作目のために前の2作があると感じるくらいに3作目が際立っている。少し無理矢理感はあるけど先が全くよめず楽しめた。賢者である老人が元詐欺師という設定にはなにかまだまだ裏があるのだろうか。色々と伏線が張ってあり深い印象。続編かあるとの事で探して読もうと思います。

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    2018年12月22日
  • 賢者はベンチで思索する

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    専門学校を卒業した七瀬久里子は、思うような仕事につけず、人生が見通せない不安を抱えながら、ファミリーレストランでバイトをしていた。
    いつも同じ席でコーヒー一杯で長居する老人と関わりあうようになり、彼女の人生は動き始める。
    七瀬久里子も謎の老人も非常に魅力的。等身大で、すぐ隣にでも居そうな彼女に共感を覚えます。
    彼女と老人で、周りに起きる事件が、ミステリー仕立てで次々と解決していきます。
    サクサク読めて、引き込まれてしまい、次の作品がよみたくなる。いい小説だと思います。

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    2018年12月01日
  • モップの精と二匹のアルマジロ

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    ネタバレ

    ある日キリコは、見知らぬ女性から「夫の浮気を調査してほしい」と頼まれる。
    その越野真琴という女性によると、夫の友也は残業は無いのに毎日遅く帰ってくるという。
    調査を始めたキリコと大介だったが、ある日友也が交通事故で記憶喪失になり問題は思わぬ方向に…。
    清掃人探偵キリコシリーズの第4弾。

    シリーズ初の長編。
    今回は初めてキリコと夫の大介が協力して謎の解決に取り組んでいます。
    久しぶりに大介の視点から物語が進んでいくのですが、キリコとの日常生活が初めて描かれていて、何だかほっこりします。
    二人の仲が良すぎて、羨ましくなるほど。

    肝心の謎解きは正直…微妙でした。
    途中で結末が何となく予測できちゃ

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    2018年11月24日
  • 昨日の海と彼女の記憶

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    夏休みのある日、海辺の田舎の町で暮らす光介の家に、母の姉、芹とその娘の双葉が東京から引っ越し、一緒に暮らすことになった。
    光介は芹から、25年前の祖父母の死が無理心中であったことを聞かされる。

    光介は真相を探り始めるが!

    文章も読みやすく、物語も引き込まれるのだが、ついつい期待をし過ぎてしまった。

    十分に読み応えがあるし、惹きつけられる作品だったが、すみません、辛めの★★★で(^_^;)

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    2018年11月04日