近藤史恵のレビュー一覧
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推理小説でも度々用いられる「クローズド・サークル」。外部との接触が断たれた空間に何人かが残され、そこで殺人が進行していくというもの。アガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」や綾辻行人の「十角館の殺人」などが有名なところ。
本作では、舞台を行う人たちが山奥のペンションに集められ、その練習する劇中でもクローズド・サークルが用いられている。つまり、二重のクローズド・サークルが仕掛けられている。そして、その劇に近い形で現実の殺人も進行していくという展開。劇というところが本作のポイントを占めている。役者には誰が犯人で誰が殺されるのかなどが記されておらず、少しずつ分かっていくようになっている。当然、被害者は以降の出番がなくなるわけで、それはつまり演劇者としての終わりを意味している。殺人の恐怖に追い詰められるばかりではなく、そうした演者間の微妙な心の揺れも描かれている。 -
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ネタバレ【収録作品】「もうひとつある」 大崎 梢/「孤独の谷」 近藤 史恵/「扉を開けて」 篠田 真由美/「猫への遺言」 柴田 よしき/「キノコ煙突と港の絵」 永嶋 恵美/「十年日記」 新津 きよみ/「そのハッカーの名は」 福田 和代/「みきにはえりぬ」 松尾 由美/「青い封筒」 松村 比呂美/「黄昏飛行 時の魔法編」 光原 百合/「たからのちず」 矢崎 存美
さまざまな形で残された「ラスト・メッセージ」を巡る短編集。どれも味わい深い。
「もうひとつある」隠された幻の家訓。鷹宮家には4つの家訓が残されていたが、もう一つ隠れた家訓があるという。大学院で歴史を研究する高校時代の先輩に請われて、鷹宮家の傍流に属する絵茉は共にその家訓を探す。
「孤独の谷」ある一族の謎めいた掟。誰かが謎めいた死を遂げると、一族は離散しなければならないという。教え子から相談を受けた大学講師がその謎を探る。
「扉を開けて」『万国古物取扱 銀猫堂』を訪れた「私」。店主に、鍵の掛かった遺品を見るために開けようとする女性を止めてくれと頼む。
「猫への遺言」コロナ禍で死んだ夫の遺言状を読んだ妻の思い。
「キノコ煙突と…」戦時中の樺太から話が始まる。そして現代へ。
「十年日記」九十歳で亡くなった祖母がずっと付けていた日記。心残りは拾った指輪を返せなかったこと、と書かれていた。
「そのハッカーの名は」警視庁サイバー犯罪対策課の増崎はハッカーの「豆歌」を追い、自給自足の生活をしている老人の元を訪れる。
「みきにはえりぬ」亡き母が歌っていた歌に隠された秘密。
「青い封筒」真穂子は、高校生の息子と頻繁に夕食を食べに来る友人たちとの距離感を図りかねている。
「黄昏飛行」コミュニティFMに勤める永瀬真尋の元にはさまざまなリスナーから手紙が送られてくる。
「たからのちず」亡くなった祖母の遺品から出てきた、自分が書いたと思しき「たからのちず」。覚えのない香月はその場所を探す。 -
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蓮美は19歳のアイドル。主にグラビアやCMで活躍していた。
同じ事務所に所属するアイドルのうち、ダントツに売れていたのは沙霧だったのが、蓮美は二番手の位置を占めていた。沙霧とも親友と呼べるくらい仲が良かった。
ところがある日、沙霧がマンションから飛び降り自殺した。それだけでもショックだったのに、数日後沙霧が書いたと思われるブログがネット上に出回る。そこに書かれていたのは…蓮美のいじめに耐えかねて沙霧は自殺した!
事務所は否定してブログも削除されたにも関わらず噂は消えない。
根も歯もない、身に覚えもない噂のために蓮美は仕事も無くなり、周囲の人達にも信じてもらえず、心身にダメージを受け引きこもり状態になる。
一体誰がなんのために?! 真実を探りだすために蓮美は立ち上がった。
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近藤史恵さんはビストロ・パ・マルのシリーズが印象的だが、これは東海テレビの昼ドラみたいな俗っぽい面白さがあった。いわゆる芸能界の闇…みたいな事が書かれているが、主人公がちょっと天然で鈍いので、そこに気づかない。私でもわかっちゃったのにね。
悪意がチクチクする話だけど、最後は一応いい結末を迎える。詰まる所、人間は基本自分勝手なんだな -
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ネタバレ家業の和菓子屋を継ぐつもりの小梅は、取り柄もやりたいことも特にない自分にひきかえ、意志が強く、目標を持ってやりたいことにチャレンジしていく妹のつぐみに、なんとはなしの引け目を感じている。ある日、既に亡くなっている曽祖母の魂がつぐみの身体に乗り移り、手紙を探し始める。浮気相手が持っているかもしれないから、取り戻してほしいという頼みを断りきれず、相手を探し始める。
「女だから」と生き方をせばめられていた時代を生きていた曾祖母との会話や、相手の女性を捜す過程での人々との出会いを通して、小梅は世の中の偏見と自分の中にもある偏見に気づいていく。
今は声高にハラスメントが叫ばれているけれど、人間の心の底にある差別意識やマウンティングしたがる気持ちは変わっていない。表に出しにくくなっただけで、気にしない人はやっぱり出してくるし。
物分かりのいい顔ばかりしているわけにはいかないな。 -
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「下着は自分を大切に扱うために纏う」という感覚はとてもしっくりきます。お話はシビアでしたがそのまま終わらないのでちょっと良い気持ちで読み終わりました。
前半2話はお客さんのお話、後半2話は店長さんのお話。
第一話の、所謂毒親から開放される女性のお話がとても好きでした。性的なのはいやらしいこと、と娘を罪悪感で抑えつけておいて、支配して家庭を切り盛りさせているのに、「結婚も出来ないのは恥ずかしい」って臆面もなく言えるのは娘を舐めきってるよな。佐菜子さんには幸せになってほしいです。
親と子どもの確執もテーマのひとつなのかも。自分の思い通りに生きなかったからと、乳癌になった娘に「罰が当たった」って言葉を吐ける親もどうかしてる。。
私事ですがわたしの親もここに描かれるような固さを持ってるので、少し心が軽くなりました。綺麗な下着を着けると気分が上がります。