近藤史恵のレビュー一覧
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ハートフルオカルトミステリーですね。
大阪の和菓子店「凍滝」は七十年前から営業を続けている。
店の若き姉妹が主人公。
姉の「小梅」はのんびりした性格で高校を卒業して「凍滝」の仕事を手伝っている。跡を継ぐか思案中。
妹の「つぐみ
」は大学に行き、エジプト留学が夢でアラビア学科を選考、演劇も好きで将来自分で劇団を持つと豪語しているハリキリ娘。
ある時、つぐみに『ひいお祖母ちゃん』が憑依した事から物語が始まる。
「ひいお祖母ちゃん」の「ひいお爺ちゃん」の浮気に対する蟠りから甦った事が物語のキーワード。
家族のしがらみと成長する姉妹の心温まるドラマをユーモアを交えながら、近藤節で鮮やかに描かれています -
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Posted by ブクログ
ネタバレ読み手の神経を逆撫でしてくるような、間近にありそうなサスペンス。主人公、鈴音が夜中に頼ってきた古い友人、水絵にいきなり居候されるが、生活を侵食される主人公がお人好し過ぎて苛々する。作者の作品にみられる捻りを期待して読むうちにページが少なくなり、水絵の破天荒とも言える行動のきっかけとなる心理など、納得感のない終わり方と感じた。水絵が鈴音からものを盗らなかった理由もいまいち分からない。
テーマは友人どの付き合い方なのだろうが、付き合いに足りる人がどうかを判断するしかないと思うし、水絵は明らかに関わってはいけない種の友人とはっきりわかる。
水絵目線で描く小説のほうがより切実なストーリーで共感出来そう -
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サクリファイスシリーズのスピンオフと言った感じ。サクリファイスの登場人物には不思議と親近感を感じている。小説を読んだだけで、なんか勝手に一緒にレースを戦った仲間の様に思っちゃってるのだ。丹念な人物描写のなせる技だろう。
そんな彼らの前後譚。ヨーロッパに渡ったチカや日本に留まった伊庭の気になっていたその後が取り上げられており、うれしい限りだ。
しかしなんといっても出色は謎に包まれていた石尾豪の若かりし頃。それが3話も描かれている。なんて贅沢。
本人ではなく赤城が語るスタイルも良い。修験者のような振る舞いの中、時たまみせる人間臭さ。友達にはなれないが、石尾豪は小説の主人公としてかなり魅力的な人物だ -
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男性を外見の良さで選ぶと、目の曇った人間のように扱われることが多いが、見た目はわたしを決して裏切らない。
なにも全財産を管理する人や、自分の弁護士を選ぶわけではない。
その場合は、いくら美しい人が好きだといっても、無能な人を選ぶわけにはいかない。
だが、つかの間楽しく過ごす人を選ぶのなら、外見で選んでなにが悪いのだろう。
話がおもしろい人と一緒にいるのは楽しいと思うけれど、見かけが悪いことがそのまま話題が豊富なことや優しいことと同じではない。
世の中には、自慢話しかできない上に、見てくれもよくない男だってたくさんいる。
少なくとも、美しい人を選べば、一緒にいる間、その美しさを楽しむことができる -
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アミの会の11人の作家さんによる短編集
「アミの会(仮)」のアンソロジー第9弾
この本で初めましての作家さんは
永嶋恵美さん、松尾由美さん、光原百合さん
さらさらと楽しみながら読めました。
ところで、なぜ「アミの会(仮)」?と思っていたら
「アミの会」の名前の由来を書かれた記述がありました。
以前、「雨の会」という若手作家集団があり
”雨の会編”のアンソロジーが出版されました。
その「雨の会」へのリスペクトも込めて、
とりあえず仮の名を「アミの会(仮)」ということにしたら
なぜかそれが一番しっくりきてしまったということなのです。
網のように広がる交友関係だとか、
フランス語でamiは -
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アンソロジーの中に「アミの会(仮)」というものがあるのを知ったのは、この【迷 まよう】だった。
アミの会(仮)のアンソロジー企画は『捨てる』『毒殺協奏曲』『隠す』
そして、第4弾が『迷』と『惑』
ところで「アミの会(仮)」って何?
と疑問に思ったら、「アミの会」には公式ページ "Facebook" があり、
活動も2015年からだと知って驚いた。
それによると、「アミの会(仮)」は女性作家の集まりで、会の目的はアンソロジーを出すこと。
たまに集まってお茶を飲んだり、ご飯を食べたり(お酒を飲んだり)すること。
2015年、GWの東京で、5人の作家が集まって食事会をして -
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小説家の織部妙は、今話題の小説"やさしいいきもの"を読み、内容の面白さや、美人という事にも"橋本さなぎ"と言うペンネームも、やけに目についてしまった。
ある日妙は、文学賞のパーティーで、対面した橋本さなきの完璧すぎる受け答えに、幻滅した。
反対に、興味を覚えたのは、決して美人とは言い難い、橋本の秘書の初芝祐という女性だった。
やがて妙は「橋本さなぎ」の存在に違和感を抱くようになる。
同性愛者で、不器用な恋しかできない女性。
才能はあるのに、容姿に劣等感を持つ女性。
誰かに寄生しないと生きられない女性。
三人の女性が繰り広げる物語。
ちょっと、理 -
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静かな青春ミステリー作品ですね♪
四国の鄙びた海辺の町で、進学校の高1になった光介は母の両親だった祖父母の旧家に両親と3人暮らしだったが、夏休み中に不意に母の姉という女性が8歳の娘連れで東京からやって来て同居することとなる。
四十代の若さで亡くなった祖父母が実は心中だったという噂も小さな町なので耳にするが実感が湧かない光介だったのに、ひょんなことから祖父母や伯母や母の知らなかった事実を掘り起こして行くことになる。
終盤の二転三転の展開もなかなか良くて一気読みでした。
知らなかった家族の真実を探ることが光介の成長する糧にもなっていくさまが良いです。この著者の他の作品も読みたくなりました♫