鴻巣友季子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
数えてみたら高校生で読んで以来、ほぼ30年ぶりの再読である。数回読んではいるし、映画も観ているし、と思いつつ新訳で読み始め、旧訳・映画から受けていた印象がどんどんずれていくことに驚いた。
とはいえ、スカーレット像はそのままである。なぜか。スカーレットの心情は包み隠さず、あけっぴろげに語られるからである。誰かが何か示唆的なことを語り、読者も神妙な気持ちになったとたんに、スカーレットは心の中で”何の話をしているのか、さっぱりわからない”とばっさり切り捨てるものだから、私も、小賢しく頷いちゃっていた自分が恥ずかしくなったりもする。
ということで、高校生にも主人公の(単純な)心情は余すところなく理解で -
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訳者によってよみがえる名作
翻訳なんて誰がやってもだいたい同じ…と思っていましたが、鴻巣友季子さんの新訳は全然違う!
キャラクターはみずみずしく、ストーリーも臨場感に溢れ、風景もリアル。
大学の授業で他の訳との読み比べもしましたが、翻訳の力を最も感じさせてくれました。
有名だから題名だけは知っているしいつかは読もうと思っているけど…という人はぜひ鴻巣訳でどうぞ!
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Posted by ブクログ
「やみくも」を全面組み替え、加筆訂正、そして新しいものをプラス。
ということで、「やみくも」を買った人でも、損はなし。
翻訳や言葉についてのあれこれを真摯に突き詰めるかと思うと、日常で出合った出来事にプチあっと驚く結末?があったり、思わぬ切り口での考察で「そうなのか」と発見させられたり、かと思うとちょっとしんみりしてみたり。
どのエッセイも中身がギュッと詰まって、「いずれの地もそれぞれ」に楽しい。
青山南さんといい岸本佐知子さんといい鴻巣さんといい、翻訳家の人はエッセイの巧い人が多い、と思う。 言葉とじっくり向き合っているせいなのか、独りであれこれ考えることが習慣になっているせいか。
鴻巣 -
Posted by ブクログ
この物語は、アイルランドの恥部ともいえる歴史を下地にして綴られている。
舞台の地は、アイルランドの西南に位置する小さな町ニューロス。
主人公のビル・ファーロングの母は、資産家の未亡人ウィルソン婦人の屋敷で女中として働いていた。
その母親は16歳の時に、父親不明でファーロングを身ごもった。
子がなかったウィルソン婦人は産後も引き続き母親を雇い続け、赤子のファーロングを可愛がった。
そんなある日、母親が事故で亡くなるのだが、ウィルソン婦人は12歳に成長していたファーロングに教育を与え、結婚する時にはそこそこの大金を祝い金として渡してくれた。
ファーロングは石炭や薪を商う燃料屋を起業し、アイリーンと -
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こどもの時に憧れた海外の丁寧なくらし(摘んだベリーでジャムを作ったり、ハーブを摘んだり、動物のお世話をしたり)の描写と
主人公の感じている無力感や寂しさなどがないまぜになって
寂しいのにカラリというしている不思議な読後感がありした
現代の私たちの感覚で主人公のおかれた状況をみると、「この親はありえん!」と断罪したくなりますが、舞台となったアイルランドでは1980年代までカトリックの影響力がとても強く、避妊も中絶も困難なこと、農家では労働力として多子が望まれていたことなど今とは異なる背景があります
個人的には、優しい人も正しい人も心が豊かでない人も悪意がある人も、いろんな人がいるんだ、と主人 -
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ネタバレネタバレ全開の感想につきご注意です。
おもしろかったし、人生で読んでおいて良かったな〜と感じる小説だった。2回目読んだら1回目より面白かったという人もいる。
なんか演劇とかミュージカルぽかったな。美しい自然と荒廃した館の情景とか映画版のレ・ミゼラブルみたいな感じだったらすごく自分が好きそう。
登場人物たちみんな、語り手含めて激情型だったり、結構畜生な発言とかあって、モラル薄いのが結構笑ってしまった。
恋愛小説だと思って気軽に読むと結構重めの復讐劇、愛憎劇で心にずっしりとくる。
重い話なのだけれど、会話や行動がどこかコミカルなところもあってそのバランスと抑揚が絶妙だった。
小説に共感を求 -
Posted by ブクログ
本屋の棚に割と目立つように展示していたので、購入。
登場人物が考えていることが長々と綴られていく。いつの間にか、その叙述が別の人間の考えになっていたりする。その点については、あれ、と感じるが、読みづらくは感じない。
ただ、何かが起こるというより、登場人物の頭の中の考えをずっと読まさせていくのは、すごく疲れた。ページが進まない。前半はほんの半日の話なのに、だいぶ時間が掛かってしまった。
登場人物たちについて説明的な記述がある訳ではないので、哲学者ラムジー、美貌のラムジー夫人、その子供たち、夫妻の別荘に集う独身主義の画家リリー・ブリスコウ、学者、詩人達の人となりが判ってくるまで、ずいぶん時間が掛 -
Posted by ブクログ
求めているのに誰ひとり幸せそうではなくて、最後まで報われないのかもしれないと思った。
小説の大半は家政婦の語りで進んでいきますが、その家政婦の話していることは実は本当はすべてが嘘なんじゃないかと疑う気持ちも出てきたり、本当は破滅を望んでいるんじゃないのかと思ってしまったり、誰よりも優しく感じたり、でも嘘をついたり欺いたり。進むごとに不安が増していきました。
カズオ・イシグロさんの「信用できない語り手」と似た雰囲気を感じます。
人物に関しては、二つの邸に住む家族と使用人、医者以外は登場しないのにこんなに入り乱れて複雑な小説ってあまりないように感じます。構成が面白い!
解説を読むとさらに。 -
Posted by ブクログ
冒頭に「アイルランド母子収容施設で苦難を経験した人々へ捧げる」という献辞と、全国民に自由と平等を謳う「アイルランド共和国宣言」が引用されている。
この部分で「こんな宣言しておいて、実態はこんなことをやっていたではないか」という問題提起小説で、登場人物にはきっと不幸が訪れるんだろうなあ、と気持ちを引き締めながら読み始める。
時代は1980年代のクリスマス前の数日間で、主人公はアイルランドの南東部のニューロス町で石炭と木材を商う中年男ウィリアム(ビル)・ファーロング。ファーロングは自分の父を、というより当時16歳だった母を妊娠させた男を知らない。町では母のような女はふしだらな女と見られるが、母