鴻巣友季子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
1996年までアイルランドに存在していた「マグダレン洗濯所」。ここは政府からの財政支援を受け、協会が運営していた。未婚や婚外関係で妊娠した女性が無償労働を強いられ、ひどい女性虐待が行われていたという。
この物語には、この洗濯所をモデルとした施設が登場する。主人公ビルは、女子修道院に石炭を配達しにいった時にある少女と出会う。彼女がそこでずさんな扱いを受けているのを目にするのだ。
彼自身、母親は未婚で彼を産み、父親を知らない。しかし運よく母が女中をしていた屋敷で育てられ、キリスト教徒として真面目に生きて来た。
生活は決して豊かではないが、妻や娘たちに誠実なビルのセリフはいちいち心温まる。
ラストは -
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Posted by ブクログ
意識の流れ文学というジャンルがあることを知らず読み始めたので20ページくらいまでは全然内容が入ってこず、挫折しそうになった。あまりにも難しくてネットで調べて、予備知識を入れてから読み始めるとかなり読みやすくなった。
語り手の内面描写(心情、回想、幻想)がグラデーションのように滑らかに描かれ、あえて語り手が判然としない文章がはさまったり、いつのまにか語り手が変わっていたり、斬新な比喩が出てきたり、集中して読まないと話がわからなくなってくるが、集中して読んでいるとどんどん話に引き込まれて、読むのがやめられなくなる。
普段、自分の思考の流れを意識したことはないが、何かを考えているときに他に意識がそ -
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