鴻巣友季子のレビュー一覧

  • ギンガムチェックと塩漬けライム 翻訳家が読み解く海外文学の名作

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    学者やその道のプロが素人向けに書いた本を読むのが好きだ。愛を感じられるのが心地よい。本書もそんな1冊。
    私は知識も語学力もないから、翻訳されたものをタダの話としてしか読めないけれど、原文の細かいニュアンスや当時の時代背景などを知っていると面白いだろうなぁと思う。

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    2026年01月23日
  • なぜ日本文学は英米で人気があるのか

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    1on1と言うYouTube番組が面白かったので、気になって買って読んだ。『バター』だけじゃなかったんやね。日本文学だけでなく、世界的に英語圏以外の言語を英語に翻訳したものが読まれつつあるそうだ。英語圏では翻訳者の名前を表紙に載せないなどの悪弊があるそうだが、日本なら信じられない話だ。むしろ翻訳者の名前で読むこともあるくらいなのに。と、そんな話もたくさんあって、面白かった。

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    2026年01月18日
  • なぜ日本文学は英米で人気があるのか

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    ネタバレ

    日本の女性作家たちがこんなに翻訳出版されていることに驚き。知らなかった。もっと日本はこの状況を日本中に知ってもらった方がいいと思う。誇るべきこと。恥ずかしながら川上未映子さん、村田沙耶香さんたちの小説はまだ読んだことがなかったので興味が湧いた。読もうと思う。
    日本や他言語の翻訳小説を読んでいるのが若い読者ということも意外だった。
    これからどうなっていくのか翻訳業界に興味が湧いた。

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    2026年01月18日
  • なぜ日本文学は英米で人気があるのか

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    実はしばらく時間を置いてから感想を書き始めました。内容が難しかったからではなく、「自分はもう答えを知っていると思い込んでいた」問題を改めて見直すきっかけになったからです。

    私たちの直感では、日本文学が英米で人気な理由は、村上春樹、異国情緒、禅的感覚、孤独、美学の違いなど、いくつかのキーワードに集約されがちです。しかし、この本の素晴らしいところは、結論を急がず、こうした「一見合理的だけれど過度に単純化された」説明を丁寧に分解していく点です。読み進めるうちに、著者が本当に関心を持っているのは「日本文学がどれだけ特別か」ではなく、「英米の文学体系がどのように日本文学を読み、必要としているか」である

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    2026年01月17日
  • 誓願

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    前作『侍女の物語』より読みやすかった。女性の権利が徹底的に奪われたキリスト教原理主義国家ギレアドに暮らす三人の女性の手稿や証言が立体的に物語を進めていく。「悪魔でも聖書を引用することができる」という言葉を思い出す。権力者が女性のリプロダクティブ・ヘルス/ライツを抑圧しようとするのは今日の社会を鑑みると他人事ではなく、非常に示唆的。

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    2026年01月09日
  • 緋色の記憶〔新版〕

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    ネタバレ

    チャタム校に赴任してきた女性教師エリザベス・チャニング。懸想するリード。そばで彼らを見続ける主人公ヘンリー。老ヘンリーの回想で物語が進んでいくのだけど、この「におわせ」が苦手な人もいるだろうなと思いながら読んだ。
    結局、男のロマンと女の嫉妬で正気のチャニングは破滅してしまうんだけど、一番かわいそうなのは前向きに勉強していたサラかなと。しかも主人公サラと良い仲になってるにも関わらず、事件が過ぎた後もチャニングのことばかり考えててなかなか理解できない。男尊女卑の時代の話なので貧乏くじを引くのは女性、というのはわかるけどあまりにも救いがないなあと思う。メアリとの最終章も男(ヘンリー)にやさしいだけ。

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    2026年01月08日
  • ギンガムチェックと塩漬けライム 翻訳家が読み解く海外文学の名作

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    タイトルがいい。
    確かに子供のころ読んだ海外作品の中には、なんだかわからないけど、おいしそう、素敵っぽいと思った言葉がたくさんあった。
    昔の作品から最近の作品まで紹介されている、内容も翻訳家さんならではの内容で、訳し方やその時代の背景なども書かれていて興味深かった。
    youngを若きと訳すのか若いと訳すかでニュアンスが変わるという部分は、なるほど!と思ってしまった。翻訳家は日本語にも通じていないとできない職業だと感じた。

    あとがきに書かれていた、読書は本を閉じておしまいではない。私たちの中に入ってから育ちつづけていくのだという部分にはおもわず頷いてしまった。確かに、本を閉じた後も、その本につ

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    2025年12月26日
  • 灯台へ(新潮文庫)

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    ネタバレ

    文学史に燦然と輝く、モダニズム文学の傑作。
    本当に読んでよかった。

    第一部では、主にラムジー夫人の視点から、孤島の別荘を取り巻く人間模様と夫人の思考(意識の流れ)をひたすらに描写し続ける。描かれるのはたった1日なのに、情景と思考の記述が膨大で、この時点で文字どおり「実写化不可能」な作品だと思い知らされる。
    1920年代に書かれた作品にも関わらず、男性像と女性像に対して赤裸々な描写が見られ、フェミニズム文学としても記念碑的作品だと言える。
    読み始めてしばらくは面白さが全然わからなかったものの、チャプター17の全員での会食から突然面白くなった。ここで描かれる人物像がとても丁寧で、「どこかが残念な

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    2025年11月27日
  • ほんのささやかなこと

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    かつてアイルランドにあった「ふしだらな娘」の収容所に閉じ込められた少女をみた主人公が……の話。

    アトウッドの「侍女の物語」とは違って、これは100%真実。
    最近も、この種の施設から乳幼児数百人の遺体が見つかったらしい。
    1996年まで実在していたそうで、私が最初の妊娠をした時にもあったんだと思うと恐ろしい。

    自分の家族が不利益を被るとしたら、私はどう行動するだろうか……と思う。

    ファーロングは、自分自身が「助けられた」ことを理解していたからこんな行動ができた。
    「ウィルソンさんがいなければ、うちの母さんは十中八九、あの施設に入れられていただろう。自分がもっと昔に生まれていたら、いま助けよ

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    2025年11月27日
  • ほんのささやかなこと

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    訳者の鴻巣友季子氏が好きなので手にとった。
    1985年のアイルランドで商売をする石炭商ビルが主人公。働き者の妻と5人の娘と苦しい家計ながら「真っ当に」暮らしている。善良で物欲に囚われないビルが配達に行った修道院で逃亡を図る少女と会う事で自らの出自や取り巻く環境に改めて想いを巡らす。史実に基いた中編小説。1996年までこの修道院はカトリック教会とアイルランド政府の結託の元、女性虐待や強制労働を強いてきたらしい。 ビルのその後が気になる所、余韻を残す作品。

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    2025年11月23日
  • 英語と日本語、どうちがう?

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    お気に入りシリーズの最新作。by鴻巣さんってことで期待度も大。そして面白かったのでした。読むのが9割ってのはよく分かるし、授業での対訳とは意味合いが異なるってのもごもっとも。人称とか時制とか、日本語と考え方が異なる部分の役が大変ってのもむべなるかな。いと興味深し。

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    2025年11月20日
  • 灯台へ(新潮文庫)

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    ウルフ初かも。いや初じゃないかも?
    二部の、寂寥たる屋敷の描写が本当に素晴らしくて、大人になって良かったなと思った。
    解説読んでへえ~となったけど、それはそれ。小説は理由で読むものじゃないもんね!

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    2025年11月13日
  • 恥辱

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    社会的に地位がある人の転落に次ぐ転落と複雑な親子関係を描いた作品。酷い目に遭いながらも、現実路線でそれでも生きていくことの大変さ。選択の難しさ。罪と罰、そして恥のあり方。こういったことをテーマにしながら南アフリカに残る白人と黒人の微妙な空気感までを浮かび上がらせる。文体は簡潔でリズム良く話が進む。非常に良かったです。

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    2025年11月11日
  • ほんのささやかなこと

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    妖精や魔女の国、アイルランドのクリスマス。
    カトリックの絶対支配の階級社会。
    その中で誠実に生きる労働者の男性。
    寒くて暗い中の仄明るいアイルランドのクリスマス。幻想的にも見えるクリスマスの様子が実態として浮かんでくる筆致がよい。
    精一杯労働し、家族との生活を守る1人の男性の虐げられた女性の救済への葛藤が読んでいて苦しい。(これまで必死で守ってきたものが絶対的な権力に抗うことで失ってしまうかもしれない、これは普遍的なテーマだろう。)
    キリスト教の暗部と共同体としての機能を明示しており、辺境の文学としての面白さもあった。アイルランドの空気感がよい。(イギリス児童文学への系譜を感じる。)

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    2025年11月01日
  • ギンガムチェックと塩漬けライム 翻訳家が読み解く海外文学の名作

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    小学校時代に読んだ児童文学がいっぱい。
    「あしながおじさん」「若草物語」「ジェイン・エア」
    「嵐が丘」は好きすぎて3回くらい読んだ。
    「風と共に去りぬ」は恋愛小説の枠を超えて、土地をめぐる不動産小説であり、世界が’ひっくり返る敗戦小説であり、女性同士の複雑な友情関係を描くシスターフッド小説であり、血縁関係にない家族を抱える介護扶養小説でもある、という分析にめっちゃ納得した。
    最近はもっぱらしか読んでないけど外国文学もまた読んでみたくなった。
    特にオースティンの「高慢と偏見」エドガー・アラン・ポーの「アッシャー家の崩壊」
    タイトルの塩漬けライムとは、酢漬けのピクルスの意。
    この頃まだピクルスは日

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    2025年10月21日
  • 灯台へ(新潮文庫)

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    結構長くてまじめな感想を書いていたのに誤操作で消えてしまい、心が折れて放置してしまった……
    改行は少ないわ主語は分かりにくいわ、読みやすさとは程遠い文体だし続きが気になるタイプの作品でもないのだが、鋭い人間観察眼があり、精細に描写された登場人物像は現代にも通じるところがあって、面白かった(と思う)

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    2025年10月11日
  • ほんのささやかなこと

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    ネタバレ

    自らが過去に受けた恩恵と助けを思い返し、「最終的に、この町の不正と犠牲を見てみぬ振りをしたまま、キリスト者として生きていけないとビルは結論する。自らの良心に従わず、沈黙を通して声をあげずにいるなら、個人の幸福は成り立たないと考えたのだ。」(「訳者あとがき」P.154)「…ファーロングはあらゆる感情を圧倒する恐れを感じつつも、おれたちならやり遂げるさ、と心のどこかで愚かしくも楽観するどころか、本気で信じているのだった。」(P.137)

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    2025年10月11日
  • ほんのささやかなこと

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     1985年、不景気で閉塞感漂うアイルランドの小さな町が舞台です。政治・宗教的な背景があるものの、簡潔な文章で分かりやすく、本編が130ページほどの中編小説です。その割に奥深く、当時の時代の空気感が上手く表現されていると感じました。

     当時のアイルランドには、カトリック教会が運営する母子収容施設と洗濯所があり、洗濯場では恵まれない少女や女性が監禁、労働、虐待を受けていた史実(「マグダレン洗濯所」の闇)があったようです。

     主人公は、40手前の石炭商を営むビル・ファーロング。妻と5人の娘がいて、家族思いで真面目に慎ましく暮らしています。ただ、彼の母親が未婚の母で、父親を知らないという出自があ

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    2025年10月10日
  • 恥辱

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    これすごい本かも。「恥辱」のレベルが二段階どころか三段階くらいに分けられていて、原始的共同体や女性の受動性の無条件の肯定さえも許さぬような気迫を感じた。

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    2025年10月01日
  • 老いぼれを燃やせ

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    どれも練られた短編で、最初はちょっととっつきにくいけど、アトウッドだから、このくらい読めなきゃとちょっと我慢してるとじわっと面白くなってきて、「ダークレディ」でレールに乗れた感じ
    にやにやしたり

    文学の素養があるともっと楽しめるんだろうとひしひしと感じられ、改めて古典も勉強したいと思わせてもらいました

    という真面目な話ではなく、軽いノリだと、老いぼれってこのくらい意地悪でもいいのね〜、とちょっと嬉しくなったりも

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    2025年09月25日