鴻巣友季子のレビュー一覧

  • 灯台へ(新潮文庫)

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    小説の技法?が斬新すぎて少しだけ難解に感じた。
    たった2日間の出来事に細かすぎる情景描写、心理描写、人間関係が詰め込まれていた。

    たいてい小説を読むと、ここが印象に残った!っていうシーンがあるんだけど、本作品にはそういうのがなくて作品全体を通じてぼんやりと印象深く、なんとなく古臭く、自分の子供時代をふわっと思い出すような、なんとも言えない読後感があった。

    小説の翻訳本っていのも初めてだったし、これからも少しずつ色んな作品を手に取って、その良さに触れられるといいな〜

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    2025年10月06日
  • 嵐が丘

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    ロマンス小説だと思って手に取ったが、ドロドロの愛憎劇だった。ヒースクリフの復讐がとにかく胸糞悪いが、それも含めて面白い。「嵐が丘」を読む前に「ジェーンエア」を読んだが、「嵐が丘」の方が壮大だった。たった2軒の屋敷が舞台で1人称小説だが、3世代分の人生は読み応えがある。再読したい。

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    2025年10月02日
  • ほんのささやかなこと

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    自分の近くに社会的の闇があることに気づいたとき、どのような行動をとるべきなのだろうか。
    果たして自分は、正しいコトができるのだろうか。『ほんのささやかなこと』を読んでそんなことを考えた。

    1985年のアイルランドの小さな町のクリスマスシーズンの数日間を描いた物語である。
    石炭と木炭商人のビル・ファーロングが配送先の修道院で見窄らしい恰好で働く女性を見つけて助けを乞われることで、その社会の闇に気づき、といった話である。

    アイルランドの「マグダレン洗濯所」という悲劇をモデルにした物語であり、恵まれない境遇の女性を取り上げている。
    本書を読むまでは「マグダレン洗濯所」という悲劇を知らなかった。ま

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    2025年09月30日
  • ほんのささやかなこと

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    1985年、アイルランドの小さな町
    クリスマスが近い十二月の話



    主人公の石炭販売店を営むビル・ファーロングには、妻と五人の娘がいる。
    これまで苦労も多かったが、今は何とかささやかで平穏な日々を手に入れている。
    ところが配達先の女子修道院で目にした光景をきっかけに、どうしようもなく心が動いてしまうのだ。

    その光景とは修道院の附属施設の〝洗濯所〟



    これはアイルランドに1996年まで実在した教会運営の母子収容施設と「マグダレン洗濯所」をモデルにしているらしい。

    洗濯所は政府からの財政支援を受けてアイルランド各地で営まれていたもので、ひどい女性虐待がおこなわれていたという。

    こんな恐

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    2025年09月28日
  • 灯台へ(新潮文庫)

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    ジョイスやプルーストと並び称されるモダニズム作家の珠玉の名作。
    第1部と10年後の第3部はラムジー家の夏の別荘でのそれぞれの1日。それを結ぶ第2部は10年という2つの時間を家人が不在の中で語られる個人的な出来事や第一次大戦を交えた短いエピソードの中で深い悲しみとともに濃密に結びつける。
    主人公一家とその知人たちの移り変わる心模様を木々や風、海や芝などと時間の流れに合わせて淡々としながらも豊かに表現された言葉の数々に心が揺り動かされ、いつのまにか心の片隅にじんわりと残る不思議な作品。
    舞台となったスカイ島のスコッチウイスキー、タリスカーとともに愉しんだ一冊。

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    2025年09月20日
  • 誓願

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    「侍女の物語」の15年後を描く続編。
    こちらは前作と立場がまるで違う3人の女性それぞれの視点から全体主義国家「ギレアデ共和国」がいったいどのような国で、監視社会としていかに女性の人権を蹂躙していたのか、その隆盛から崩壊するまでが描かれる。
    前作から35年後に書かれたこともあり前作の閉鎖的で陰鬱な文体から一転しアップテンポなスピード感のあるポップな文体でエンターテインメント性に溢れ、登場する女性たち全てのその懸命な生き様に魅了され、本から読む手を離させないエキサイティングな展開でワクワクさせられた。
    前作を読み終えた時には喪失感に胸が苦しくなる思いがしたが、今回は「救い」があり穏やかな読後感を得

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    2025年09月20日
  • 誓願

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    リディア小母、デイジー、アグネスの視点で描かれる、「待女の物語」の15年後のギレアデ、その腐敗と崩壊について。前作はオブフレッドの独白という形だった為見えなかった、ギレアデの全体像と細部、そのなかで生きる人々がしっかりと描かれていて、非常にエンタメ感があり、本当にかなり、とにかく、面白かった!!立場が違うと見え方が違うので、読んでいるほうもたくさんのカメラで見ている感覚になり、700ページの長編だが最後まで全く飽きることがない。

    感想を書く為に読み返していてまた何回も泣いた。
    シスター・フッドここに極まれり!570ページ「心臓止め」からラストまでの量みかけるような
    激動の描写は特に圧巻だっ

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    2025年09月19日
  • 誓願

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    あの『侍女の物語』の続編。
    解説まで全部読むと700ページある。久々にこんな長い本を読んだ。ただ、割と短いスパンで視点が変わるのでするする読める。
    人が人を追い込んで支配する時の手法がすごい。徹底的に地獄を見せた後に天国に招待されたら、もう戻れない。

    あとは《信仰》ってなんなのかなって考えさせられた。
    ある日突然自分の芯だと思っていたものが、当たり前が、世界が、音を立てて瓦解する。そのリアリティもすごかった。
    今はアグネスに感情移入して読んでたけど、また年月が経ったらリディア小母のことももっとよく分かるようになるかもしれない。

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    2025年09月18日
  • 風と共に去りぬ 第1巻

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    未だ読んだことの無かった名作。訳者との相性も良く楽しく読める。まだ1巻のみですでに面白い。スカーレットの凄さはまだまだ片鱗くらいにしか現れないものの、この先、力強く生きていくことを予感させるに充分。

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    2025年09月14日
  • 誓願

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    前作「侍女の物語」につづく続編ですが 感銘をうけた前作をはるかに超える大傑作でした。おそろしいディストピア国家の 内側の上下二つの視点と 国の外からの視点を巧みに組み合わせて それぞれ共感します。特に国家内の権力者が全く意外にも克明に冷徹にポリティカルに深く描かれています。前作の閉塞・背徳・絶望感から 今作は特に後半ワクワクドキドキのエスピオナージの傑作です。アトウッドすばらしい!

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    2025年09月12日
  • 灯台へ(新潮文庫)

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    本当に凄い、人生ベストブックの一つ
    なんで凄いのかは言語化するのが難しいけど、結局自分は個人的・私的・内省的な作品が好きなんだなと
    あと「瞬間を永遠にする」という芸術観がめちゃ刺さる
    まだ何回も読み返すだろうな

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    2025年09月09日
  • 誓願

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    人間の嫌らしいところ…人を陥れる心の動き、卑屈な精神とその態様、驚くほど残酷な側面、、リアルに表現されてた。それは人のネットワークを制限され、文化との接触を極限まで限られた不自由な暮らしを受忍させられてる人間の、どうしようもなく人間らしい歪み方、生き方なんだと思う。同じ状況なら自分もそうなると思う。
    それでも、そんな中でも状況を変えるために自分が犠牲になることを分かっていて、国家の敵になる危険な行為をする知恵と勇気を持てるのもまた人間なんだよね。
    そんな社会にならないように、〇〇ファーストとか、差別を助長するような(人間区別しだすと際限がなくなるのは歴史が証明済)言説にノーと言っていくことが、

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    2025年09月04日
  • 嵐が丘

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    ネタバレ

    以前から気になっていたけれど、モームの読書案内で取り上げられていたことに背中を押されて手に取りました。(三浦しをんの初期のエッセイでも紹介されていたような)

    物語の舞台は200年以上前、重苦しい表紙をみて恐る恐る読み始めたけれど、作品の世界にどっぷり浸かってしまいました。

    どの登場人物も安易に感情移入させない癖と強さを持ち、(こんなにたくさんの登場人物がいても好きと思える人がいない)ぎらぎらした感情表出やぶつかり合いに思わずひるんでしまう。
    これは時代性なのか、国民性なのか、特異な気質なのか、とにかく馴染みがなくてしげしげと眺めてしまいます。
    一方で、訳者の解説にもあるように、そこへユーモ

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    2025年09月01日
  • 誓願

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    女性差別は必ず打倒されるという希望の光を心に差し込むような本だった。
    先日、神戸で若い女性が何の接点もなかった男性につけられ、エレベーターで刺殺された。この数日前には未遂で通報されているのに対応が取られてなかった。
    選挙のときには家制度を復古させるようなことを平然という政党が支持を集めた。
    アフガニスタンでは、もう何年も女性は教育を受けられず、要職から排除され、身を隠すことを強要されている。
    ギレアデはすでにあるこの現実世界のことを書いているということを読み進めるほどに感じ、ディストピア小説といってよいものかとさえ思う。
    しかし、最後には女性が勝利した。
    私たちフェミニストも必ず勝利を掴むべく

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    2025年08月28日
  • 誓願

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    ネタバレ

    「侍女の物語」から34年後に出版された続編。解説によれば、TVドラマになったことともリンクしているようだ。

    アメリカのトランプ政権を見ていると、この小説の世界が、あながち架空の世界に思えなくなってくる。実際、これまで歴史上や現実社会に存在しなかったものは書いたことがないと、アトウッドも述べているようで、これはとても恐ろしいことだと思う。

    最後の逃亡劇、途中の記述で、チップを落としてしまったのでは?とハラハラさせられたが、結局、どちらの話も最後には希望が描かれる。その点、歴史上に存在してないんじゃないの?と言ったら皮肉過ぎるね。

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    2025年08月09日
  • ほんのささやかなこと

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    この淡く優しくそして決して消えることのない光を放つ小説は、低く雲が垂れ込めた空の下厳しい冬を迎えたアイルランドのスモールタウンを舞台として、四十歳の節目が近くなった男が主人公だ。
    12月の第一日曜日から、クリスマスイヴまでの1か月足らずの間に、ビル・ファーロングの心が彷徨い、静かにそして大きく揺れ動いてゆく様子が綴られる。
    その心模様に寄り添うように、丁寧にそして細やかに小さなディテールを積み重ねて日々の暮らしが描写されるのだが、これがとてもチャーミングなのだ。

    きっとアイルランドの人々にはお馴染みなのだろう家電や食品、テレビ番組などが彩りを添え、一家がクリスマスの準備をして過ごす夕べの場面

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    2025年07月27日
  • ウーマン・トーキング ある教団の事件と彼女たちの選択

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    タイトルのとおり「女同士でおしゃべりをしている」場面がほとんどなので始めはちょっと冗長な気がしてページをめくる手が進まず、リタイアしてしまうかと思ったけれども途中から目が離せなくなってきた。

    他の方の感想を見ると、面白かったというのと期待外れだったというのの半々に分かれているけれども、実際にボリビアで起きた事件のショッキングさと比べて本作でのwomen talkingがただ繰り広げられるだけなのがそうさせるのかも。自分はその家族・親戚間でのおしゃべりでひたすら交わされる真剣で侃侃諤諤な話と親戚ならではのカジュアルな話の緩急が面白く、むしら映画ではなくて小説の方を先に読めてよかったと思いました

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    2025年07月13日
  • ほんのささやかなこと

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    なんだろう。読み終えた時は、そこで終わるのという感じだったが、少しづつなんとも言えない気持ちになってきた。
    これからが大変になるのは目に見えるだけに、とても心に刺さる小説でした

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    2025年07月02日
  • 誓願

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    おもしろい。前作「侍女の物語」が、序章に過ぎなかったと思えてくるほど。他に読んでいた本を一旦やめて、この分厚い本を読んでいる。
    3人の女が登場する。侍女の物語にも登場した、リディア小母もそのひとり。凄まじい過去があかされる。精神に変調をきたさず、これを耐えて生き延びてきた女だったとは。なんと強い人だろうと思う。

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    2025年06月29日
  • ギンガムチェックと塩漬けライム 翻訳家が読み解く海外文学の名作

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    海外の小説は著者が書いておられるように時代背景、文化の違いで、とっつきにくく苦手でした。そして、名作くらいは読んでみたいという、気持ちもあり本書に出会いました。とても丁寧な解説で、初心者が読んでみようと思える、後押しになります。

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    2025年06月22日