鴻巣友季子のレビュー一覧
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主人公の男はアイルランドの地で、メイドの私生児として生まれ、女主人の厚意により奉公先で育てられた。十分な教育を受け、社会に出た男はまじめに働くこと、誠意を持ち他人と接することを信条に、燃料店を営み家族を持つに至る。本書ではその男の働きぶりや心の持ちようが描かれ、ささやかなことを積み上げる大切さが伝わってくる。その様子はクリスマスイブに従業員たちと訪れた食堂の女主人にかけられた言葉に良くあらわされている 『あんたはわたしと同じで一生懸命働いて、その場所にたどりついた。…』
主人公の男は燃料の配達時に修道教会が運営する洗濯所の過酷な労働状況を目にする。町の人々はうっすらと何が行われているか気 -
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家族には絶対的な存在で逆らうことが許されない哲学者ラムジー氏、偉大な家長として頼られ崇められ、時には反発される。海の向こうに見える灯台へいこうという息子のジェイムスに、にべもなく「明日は晴れないだろう」という。美しくしっかりもので周囲からあがめられる8人の子持ちの理想的な母親ラムジー夫人、独身女性には結婚しなければいけないと解き、身近に集う若い男と女を結びつけようとする。
独身の女性画家リリー・ブリスコウやウィリアム・バンクス、チャールズ・タンズリー、オーガスタス・カーマイケルなどもラムジー家のスカイ島の別荘に一緒に滞在している。
第一部では、そんなラムジー家の別荘に集う人々の一日が描かれ -
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この物語は、アイルランドの恥部ともいえる歴史を下地にして綴られている。
舞台の地は、アイルランドの西南に位置する小さな町ニューロス。
主人公のビル・ファーロングの母は、資産家の未亡人ウィルソン婦人の屋敷で女中として働いていた。
その母親は16歳の時に、父親不明でファーロングを身ごもった。
子がなかったウィルソン婦人は産後も引き続き母親を雇い続け、赤子のファーロングを可愛がった。
そんなある日、母親が事故で亡くなるのだが、ウィルソン婦人は12歳に成長していたファーロングに教育を与え、結婚する時にはそこそこの大金を祝い金として渡してくれた。
ファーロングは石炭や薪を商う燃料屋を起業し、アイリーンと -
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こどもの時に憧れた海外の丁寧なくらし(摘んだベリーでジャムを作ったり、ハーブを摘んだり、動物のお世話をしたり)の描写と
主人公の感じている無力感や寂しさなどがないまぜになって
寂しいのにカラリというしている不思議な読後感がありした
現代の私たちの感覚で主人公のおかれた状況をみると、「この親はありえん!」と断罪したくなりますが、舞台となったアイルランドでは1980年代までカトリックの影響力がとても強く、避妊も中絶も困難なこと、農家では労働力として多子が望まれていたことなど今とは異なる背景があります
個人的には、優しい人も正しい人も心が豊かでない人も悪意がある人も、いろんな人がいるんだ、と主人 -
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ネタバレネタバレ全開の感想につきご注意です。
おもしろかったし、人生で読んでおいて良かったな〜と感じる小説だった。2回目読んだら1回目より面白かったという人もいる。
なんか演劇とかミュージカルぽかったな。美しい自然と荒廃した館の情景とか映画版のレ・ミゼラブルみたいな感じだったらすごく自分が好きそう。
登場人物たちみんな、語り手含めて激情型だったり、結構畜生な発言とかあって、モラル薄いのが結構笑ってしまった。
恋愛小説だと思って気軽に読むと結構重めの復讐劇、愛憎劇で心にずっしりとくる。
重い話なのだけれど、会話や行動がどこかコミカルなところもあってそのバランスと抑揚が絶妙だった。
小説に共感を求 -
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本屋の棚に割と目立つように展示していたので、購入。
登場人物が考えていることが長々と綴られていく。いつの間にか、その叙述が別の人間の考えになっていたりする。その点については、あれ、と感じるが、読みづらくは感じない。
ただ、何かが起こるというより、登場人物の頭の中の考えをずっと読まさせていくのは、すごく疲れた。ページが進まない。前半はほんの半日の話なのに、だいぶ時間が掛かってしまった。
登場人物たちについて説明的な記述がある訳ではないので、哲学者ラムジー、美貌のラムジー夫人、その子供たち、夫妻の別荘に集う独身主義の画家リリー・ブリスコウ、学者、詩人達の人となりが判ってくるまで、ずいぶん時間が掛 -
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求めているのに誰ひとり幸せそうではなくて、最後まで報われないのかもしれないと思った。
小説の大半は家政婦の語りで進んでいきますが、その家政婦の話していることは実は本当はすべてが嘘なんじゃないかと疑う気持ちも出てきたり、本当は破滅を望んでいるんじゃないのかと思ってしまったり、誰よりも優しく感じたり、でも嘘をついたり欺いたり。進むごとに不安が増していきました。
カズオ・イシグロさんの「信用できない語り手」と似た雰囲気を感じます。
人物に関しては、二つの邸に住む家族と使用人、医者以外は登場しないのにこんなに入り乱れて複雑な小説ってあまりないように感じます。構成が面白い!
解説を読むとさらに。 -
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冒頭に「アイルランド母子収容施設で苦難を経験した人々へ捧げる」という献辞と、全国民に自由と平等を謳う「アイルランド共和国宣言」が引用されている。
この部分で「こんな宣言しておいて、実態はこんなことをやっていたではないか」という問題提起小説で、登場人物にはきっと不幸が訪れるんだろうなあ、と気持ちを引き締めながら読み始める。
時代は1980年代のクリスマス前の数日間で、主人公はアイルランドの南東部のニューロス町で石炭と木材を商う中年男ウィリアム(ビル)・ファーロング。ファーロングは自分の父を、というより当時16歳だった母を妊娠させた男を知らない。町では母のような女はふしだらな女と見られるが、母 -
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今年公開された新たな映画版「嵐が丘」を観たので、原作が気になり読んでみた。
映画はかなり改変されていると聞いたが思った以上に全然違ってびっくり!違うというか、原作の要素をかいつまんでまとめるとああなったというか。
みんな性格に難ありだな〜と思っていたけど、原作は映画の倍くらい難ある登場人物が出てくる(笑)
キャサリンは新旧どちらもヒステリーすぎてマジで一回ちょっと落ち着けよと思うし、ヒースクリフはサイコパスすぎるし、ジョウゼフも気狂いジジイだし、淡々と喋ってるネリーも絶対自分では語らないヤバい部分山ほどありそうだし、一行も気が抜けなくて楽しめた。 -
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ネタバレ初めはすごく好きだったスカーレット、戦争の中メラニーの出産を助け、その後のヤンキーたちからタラを守る姿はカッコ良すぎて痺れた。だが、そこからのスカーレットには感情移入できる部分が少なかった。特にレットと結婚した後のスカーレットに対しては作中で最も嫌いなキャラになってしまった。
ラストシーンではレットのスカーレットへの愛情とレッド以外を失ったスカーレットの対話は素晴らしかった。
最後の1日はメラニーとアシュリ、レットの最愛の人3人を失ってもまだ明日にはなんとかなると考える。
スカーレットはきっとこれからも自分を支えてくれた人や自分が愛した人がどんどんいなくなってもそれに気づくことなく人生を歩ん