鴻巣友季子のレビュー一覧
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ネタバレ1985年クリスマス間近、アイルランド南東部の町ニューロスで燃料屋を営むファーロング。
婚外子の自分を身ごもった女中の母だったが、仕えていたウィルソン夫人の計らいにより、その出自に比して最低限の困難で今の生活にたどり着くことが出来た。
決して大金持ちでも大物でもないが、この不況の中、それなりの稼ぎもあり5人の娘にも恵まれ、望む教育を与えることができ、和やかで心温まるクリスマスを迎えることができている。
ある日、燃料を届けに行った女子修道院で出会った少女達の姿に、この町の暗部に気付いてしまう。。。
訳者鴻巣さんのあとがきでは5人の娘を育てる家庭像から若草物語への言及があったが、
自分的には直近 -
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上野千鶴子の担当する章が興味深かった。
ホモソーシャルな集団(往々にして男性中心のコミュニティを指す)では、同性愛嫌悪(ホモフォビア)とミソジニー(女性蔑視)を持つことで成員資格が与えられる。つまり、異性愛者として女性を性の対象として扱うことができてはじめて「仲間」として認められる。
ホモソーシャルの考え方を使えば、非モテ男性や弱者男性、インセルといった現象も説明できる。
冷静に考えたら別にモテなくて落ち込む必要はないのに女性に性的にモテなくて落ち込む人が存在する。
それは実は女性にモテないのではなく、自分が男社会で「仲間」と認められないから落ち込むのではないだろうか?
そういうのは本当 -
Posted by ブクログ
翻訳家の鴻巣友季子さんが海外文学の名作を紹介している。小説の形態や技法、時代背景などはもちろんのこと、翻訳家なので原文の英語についても説明されていておもしろい。little 、young といった簡単な単語やwish+仮定法過去完了が持つニュアンスを知ると、印象が少し変わったり、より深く作品を味わうことができて興味深かった。
これらの作品は、著者にとってはなつかしい再会の書が多いそうで、30年ぶりに読み返してやっと真意がわかったということもあったそうだ。その感動をこの本で伝えてくれている著者の「『わからない』は一生の宝」という言葉には説得力があるなあと思う。ほとんどの作品は、読み返したくなった -
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Posted by ブクログ
1996年までアイルランドに存在していた「マグダレン洗濯所」。ここは政府からの財政支援を受け、協会が運営していた。未婚や婚外関係で妊娠した女性が無償労働を強いられ、ひどい女性虐待が行われていたという。
この物語には、この洗濯所をモデルとした施設が登場する。主人公ビルは、女子修道院に石炭を配達しにいった時にある少女と出会う。彼女がそこでずさんな扱いを受けているのを目にするのだ。
彼自身、母親は未婚で彼を産み、父親を知らない。しかし運よく母が女中をしていた屋敷で育てられ、キリスト教徒として真面目に生きて来た。
生活は決して豊かではないが、妻や娘たちに誠実なビルのセリフはいちいち心温まる。
ラストは -