鴻巣友季子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
感動という言葉以外の何物でもなかった。
一巻だけを読んだ人からすれば、この「風と共に去りぬ」は単なる恋物語で、スカーレットのこともわがままで子供っぽいお嬢様、というイメージで終始しただろうと思う。
実際私もそうで、スカーレットのアシュリーへの思いも、あの自由奔放な性格も本当に本当に愛しているし大好きなんだけど、この第二巻はまたそれとは全然違った魅力があってもうずーっと感動のため息をつきながら読んでいた。
何より、スカーレットという女性の強さ。
勇敢さ。
壮絶な経験をしながら少女から女性へと成長していく、彼女の姿に胸を打たれない人などいるの?
本当に、今でも十分有名な小説だけどもっともっと有名に -
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Posted by ブクログ
これは恋愛小説ではない。局所的には人間の醜さ、ーー身勝手、意地悪、嫉妬、強欲、怯弱ーーが随所に現れているが、それを繋ぎ合わせると何故か美しい、そんな奇妙な、迫力ある作品。
アーンショー家に引き取られた孤児ヒースクリフはその家の娘キャサリンと共に育つ。キャサリンの父亡き後、彼女の兄によって虐待され、下男に貶められたヒースクリフは、いつしか彼女と愛し合うようになる。しかし、キャサリンは現実的な理由から裕福な隣家のエドガー・リントンと婚約し、それを知ったヒースクリフは出奔する…
これだけ読むと、単にお嬢様と使用人の恋愛物なのだけれど、キャサリンが自由気ままで傍若無人で支配的な性格なので話が大変面 -
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「嵐が丘」はリア王と並んで、英国三大悲劇のうちのひとつ。
あまりに壮絶、あまりに苦々しい復讐劇
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【孤児であるヒースクリフは、身分違いの娘に焦がれながら、主人の虐待を忍んできた。
屋敷から逃げた後、莫大な富と知恵を得て、復讐に燃え戻ってくる。※一部引用】
初め彼の復讐心は全て醜悪からきているのかと思っていたけど、最後の最後の彼の告白から、全ては愛する人への想いと焦がれからきていると気付いた。
愛は盲目。愛することが、人を憎むエネルギーに代わってしまう。
そんな醜い主人公だけど、なぜか彼の言葉にロマンスを感じてしまうのです。
「俺の未来は言葉ふたつで云いきれる。死と地獄さー彼女を失っ -
Posted by ブクログ
「一世紀半にわたって世界中の女性を虜にした恋愛小説」と背表紙にあるが、私は本作を恋愛小説として読むことはできなかった。大人と子供のズレを描いたジューブナイル小説である。
主人公の男女は揃って素直な気持ちを伝えられず、相手の言葉を額面通りに受け取れない性格で、互いに愛しているのに愛されていないもどかしさに苛まれる。相手の言葉の自分に都合の悪いところだけを切り取って悩み喚く様は中学生のようである。
そこに介入するのが所謂「大人な」人々である。女はその大人な男に憧れを抱くも、同じ子供である主人公の男に同情し、二人の板挟みになる。
大人な男と子供の男は相容れず、激しい応酬を繰り広げることになる。
主 -
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ネタバレタラへの税金を支払うために妹スエレンの許嫁だったフランクと結婚したスカーレット。リアリストぶりを発揮し、材木商のとしてビジネスを成功させる。南部の名誉のにしがみついて生きる男たちとの対比が印象的。特にスカーレットが思いを寄せるアシュリはタラで畑仕事をさせても、アトランタでビジネスをやらせてもダメ。そんなアシュリでもスカーレットは本来こんなことをさせるべき人ではなく文化的に生きるべきと言って庇う。この点、工業力があるが文化のないヤンキーと、豊かな文化があり、元々は上流階級であった南部の価値観の対比になっている。
第4巻では、解放奴隷やヤンキーから南部の人々(特に女性)を守るためという大義名分を掲 -
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3巻まででも十分すぎるほど激動なのに、まだ嵐が訪れるのかと、一息もつけない展開に、読み手も心を落ち着ける暇がない。
アイルランドの血をまっすぐに受け継いだスカーレットの商売人としての才能が光る反面、人間関係の構築や世渡りの不器用さが露呈してきてしまう…ほんとうに、不器用な人だ。。
愕然としたのはメラニーの変化。あれほどお淑やかで穏やかな性格だったのに、いつからこんなに強く逞しい一面を備えたのだろう。
アシュレに襲った悲劇のシーンでは、果敢に立ち向かうメラニーの姿が必見。お人好しな優しい面を残しながら、愛する者を守ろうとする意志がしっかり見えてくる。
メラニーに関しては、本当に、読み進めるごと -
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再読しているときは、それこそ夢中で読み終えた『風と共に去りぬ』。
その謎とき、深掘りに本書は大成功している。
何が書かれているかではなく、どう書かれているかに注目するのは翻訳者ならではの視点。そこに注目するとき、とびっきりのドライブ感がなぜ生まれるか明かされる。
スカーレット/メラニーの分裂・協調、アシュリの性欲への着目、エンディングの評価、そして主要4人の密接度などどどれも冴えている。全体的におぼろげに夢中で読んだ原著の輪郭がはっきりした。
結語の「この傑作のテクストの下に、発動機の危うい喘ぎや細かい震えを、いまのわたしは感じざるを得ない」には、わたしは恐れをも抱いた。 -
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Posted by ブクログ
2巻で大激動の戦争最中を読み、ここがピークかと思いきや、ここからが闇のスタートになるとは。
タラを襲う北軍のヤンキー、重税の圧力、帰ってきたアシュレやレットとの交わりの中で経験する絶望。とにかく世の流れもスカーレットの人生の流れもここ半年の内に目まぐるしく変化していく。
戦争を経験したことのない身としては、歴史で語られない敗者側のリアルな実態とプライドに初めて触れた気がしてならない。
打ち負かされても、打ち負かされたと認めず、毅然としていて昔の形式を忘れず誇り高き人としてなり振る舞う。微笑の仮面を身につけて…。
スカーレットの精神力や生命力の漲りは衰えないけれど、明らかに変化していく価値観 -
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Posted by ブクログ
「どうして自分がちっとも幸せに思えないのか分からなかった。でも――なんなの、わたしたち、こんな年寄りみたいな話し方して!」
このスカーレットの叫びが、この小説の全てだった。
これぞアメリカ。これぞ青春。いや、これぞ人生。
たくさんの感想より一読するのがベスト。
大人になり、発売から80年以上も経過した、そんな今、読むからこその、大きな味わい深さがありました。
個人的には、主人公はスカーレットでもなく、レットバトラーでもアシュレーでもなく、途中からメラニーだと思って読み進めている自分がいました!
他人をどこまでも信じる力と、自分の力しか信じてやまない、そんな二人が物語をグイグイと引っ張 -
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Posted by ブクログ
激動の2巻。
南北戦争が佳境に入り、読み進めるごとに事態は悪化の一途を辿る。戦争最中の人間の感情の動きやアトランタの変貌ぶりが手にとるように描かれていて、映画を一本観たかのごとくイメージされる。
アシュレとの別れのシーンではまさかスカーレットが良い意味に捉え舞い上がるシーンで、つくづく自己肯定感が強い人だとドン引きしそうになったけれど、笑 2巻最後のシーンでは、その自己肯定感と、アイルランドの血を受け継いだスカーレットの並々ならぬ覚悟と強さ、逞しさが溢れんばかりで圧倒させられる。スカーレット、がんばれーー!
「興奮と、パーティと、そして感激!万歳!ジョンストン将軍は二十二マイルのかなた -
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Posted by ブクログ
アメリカの南北戦争の時代。南部のタラやアトランタが主な舞台。
世界史で南北戦争の経緯や結果を知っていながら、スカーレットを取り巻く人生の細かな描写を読み進めていく。
歴史で取り扱う南北戦争は2行にも満たないかもしれないけれど、この作品には、今の自分と何ら変わらないほどの濃い1日1日が豊かな表現で綴られている。
とにかくスカーレットの自己肯定感の強さには多少羨ましい気持ちもあるけれど笑、メラニーの芯からの優しさや柔らかさがもっと評価されてもいいのにと思わずにはいられなかった。
5巻まであり、長旅を始める前の覚悟と同じような腹括りがなかなか出来ず、やっと読み始めたものの意外に読みやすく、面白くて