あらすじ
トランプ政権誕生で再びブームとなったディストピア小説、ギリシャ神話から18世紀の「少女小説」まで共通する性加害の構造、英語一強主義を揺るがす最新の翻訳論――カズオ・イシグロ、アトウッドから村田沙耶香、多和田葉子まで、危機の時代を映し出す世界文学の最前線を、数々の名作を手がける翻訳家が読み解く。
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Posted by ブクログ
「ディストピア」「ウーマンフッド」「他者」。
著者がこれまで執筆した書評や時評から浮かび上がってきた三つの大きな主題。それを章タイトルとして意識しながら、大幅に加筆修正をほどこして新たに編まれたのが本書。紹介される作家や作品はカズオ・イシグロや小川洋子、川上美央子など元々大好きで既読のものも多くあるが、多和田葉子、奥泉光など評判は聞いていても未読だったもの、古典文学、「100分で名著のフェミニズム特集」で初めて知った『侍女の物語』など‥次から次へこれは読まねば!と思わされるものばかり。読書案内としても手元に置いておきたい。
Posted by ブクログ
いや〜おもしろかった!
課題図書として『侍女の物語』を読んでおいて正解だった。
そもそも第一章の「ディストピア」が読みたくて買った本だったのだが、「翻訳」について書かれた部分が本当に勉強になった。蒙を啓かれるとはこのことかと。今まではなんとなく翻訳で読むというのは原文で読む体験に少しは劣るんだろうなとボンヤリ思っていたんだけど、全然そんなことはなく、それどころか翻訳によって新たな価値を得る作品があったり、翻訳は原作から独立した創作物と見る考え方もあったりして、全く翻訳というものをわかっていなかったのだなと感じた。
また、昨今の
Posted by ブクログ
古今の名著と当時の社会を照らし合わせながら読み解き、その作品がのちに現実のものになった事例も指し示す。
作家の想像力は、世界の行く末をも見通す。
それはひとえに作品を生み出す過程で蓄積された広く深い知識見識の賜物なのだろう。
またそれらを踏まえ、「物語」として後世に語り継がれるものを編み出す類まれな力も要るのは言をまたない。
読みたい本もたくさん増えた。
Posted by ブクログ
ディストピア、シスターフッド、他者の視点からまとめられた文学論。
散発的な印象はあるが、それがアクチュアルという意味でもあるのだ。
文学、大事だな。
この本のおかげで読みたい本がまた増えた。