鴻巣友季子のレビュー一覧
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アメリカの南北戦争の時代。南部のタラやアトランタが主な舞台。
世界史で南北戦争の経緯や結果を知っていながら、スカーレットを取り巻く人生の細かな描写を読み進めていく。
歴史で取り扱う南北戦争は2行にも満たないかもしれないけれど、この作品には、今の自分と何ら変わらないほどの濃い1日1日が豊かな表現で綴られている。
とにかくスカーレットの自己肯定感の強さには多少羨ましい気持ちもあるけれど笑、メラニーの芯からの優しさや柔らかさがもっと評価されてもいいのにと思わずにはいられなかった。
5巻まであり、長旅を始める前の覚悟と同じような腹括りがなかなか出来ず、やっと読み始めたものの意外に読みやすく、面白くて少しでも時間があったらこの本を捲る日々。
本の端々から、当時の常識や美徳や文化が汲み取れる所も興味深い。
「このすべては、小柄で、実際的で、粗野なジェラルド・オハラがつくりあげたものなのだ!」
「南部の大地主の家に働く黒奴たちは、貧乏白人(プアホワイト)に対して優越感を持っていたため、その露骨な侮辱がプアホワイトの自尊心を傷つけ嫉妬心をかきたてた」
「英国によるアイルランド人迫害によって土地を奪われ、小作人にされた彼らは土地に対して深い渇望を持っていた。初めてタラに足を踏み入れた瞬間から、自分がこの地方の社会に属する人間であることを少しも疑いはしなかった」
「男たちが満足し、誰からも逆らわれず虚栄心を傷つけることもない土地は、女たちにとってもまた住み心地の良い土地であった」 -
Posted by ブクログ
ネタバレ嘘でしょ…。まさかの終わり…。
スカーレットに感情移入していたから、絶望。
全てを失ったじゃない!それでも「明日考えよう」なのね。
初期のスカーレットの世界は風と共に去ってしまったんだ。あのキラキラしていたスカーレットも。
多分彼女の変化は仕方なかった。でも、「明日考えよう」が良くなかったのかなあ。
メラニーとレットという素敵な2人に出会いながら、孤独になるなんて…。
この結末を迎えるお話が世界中で人気なの面白い。
作者とは別の方が続編を書いたみたいだけど、無い方が良くない?衝撃的だけど素晴らしい終わり方。
風と共に去りぬはフェミニズム的な観点で見ると偉大だし、黒人差別の歴史を知る上でも興味深かった。長いけど、スカーレットの波乱万丈の人生は面白かったし。 -
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重い、これは告発小説なのだろうか?
圧倒的な力の不均衡のもとにループしてゆく暴力、暴力。
男と女、白人と黒人、若者と老人、人間と動物。
欲望と憎悪と復讐心と。
これはアフリカーナーの懺悔録なのだろうか。帝国主義のもたらした残滓としての「恥辱」が重層的に描かれる。52才にして未だ枯れやらぬ男であるが故に社会的に抹殺されるデヴィッドと、要らない生き物として殺処分される犬の運命が重ね書きされているところに、この作品の救いのなさがある。色好みの中年男性が年下の女性に入れあげて失敗し、都落ちして現地の女性と関係する、というストーリー自体は、一種の英雄流離譚とも読めなくも無くて、日本なら『伊勢物語』『源氏物語』あたりがよく知られている。そのプロットをアパルトヘイト後の南アフリカに置換えた結果、英雄流離譚が暗黒変換されたものとも読める。
では、英雄を駄犬に変えてしまうものとは何なのか?
移民、ではなく、主人、として植民地に乗り込んだ人々の後ろ暗い思いと戸惑い、なのだろうか?現代社会が説く「平等」や「博愛」、「自由」を思う様蹂躙した先祖たちの過去を、謂れもなく精算させられる側の。とするならば、これは、日本人の物語でもあるのではないのか?朝鮮の、中国の、台湾の、南洋諸島の人々の視線を無邪気にかわし、無知に遊ぶ日本人の恥辱を暴く小説ではないのか?
『今ここに在ることの恥』という辺見庸さんの著作を思い出す。
私たちは知らない間に、あるいは意図的に、いつも誰かの足を踏んでいる。 -
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ネタバレ2人がもう少しでも素直だったら、別れることは防げたはず。特にスカーレット。好意を持ってるなら「好き」、何かしてもらったら「ありがとう」、自分に非があったなら「ごめんなさい」。何かしら友好的な反応をしていたら、レットは愛されていないと思い悩むことを防げた。
まあ両者ともプライドが高くて素直さに欠けていたからできなかったのだろうけど。この小説では似た者同士だけが安定した結婚生活を送れる論を推すけど本当か?似た者同士は似たような短所をもつことも意味する。共通の短所を原因とした問題が発生したときにうまく対処することができない。スカーレットとレットはその際たる例。
作者はこの作品に10年かけた。長い時間をかけ作られた作品だけあって、どの巻も丁寧に抜け目なく描写されている。そして読書に没頭させる。一度読み始めたら止まらなくなり徹夜で2巻連続読んでしまうほど。この小説は言葉では表現できない興奮と刺激を与え読者に忘れさせない強烈な印象を与える。小説の快楽を存分に堪能させてくれる作品。出会えてよかった。 -
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ネタバレ上巻の半分くらい読んで、まだ何の話なのかが掴めない。北米大陸の赤狩りの話?
全体的に陰鬱な調子で物語が進む中、庭を始めとした自然の描写が美しいのが印象的。
上巻の後半から物語が加速してくる。「昏き目の暗殺者」の男女が指すのがアレックスとローラだと思ってたけど、リチャードが絡んでくる辺りから、ローラじゃなくアイリスなのかも、そして、作者もローラではなくアイリスなのではないかと思われてくる。
にしても、回想で語られるアイリスの無知と無力に比べて、老境にあるアイリスの皮肉屋にして頑迷ぶり、そのギャップに時間の残酷さを思い知らされる。そして、アイリスにそれ相応の教育がなされ、母や祖母の後ろ盾があったなら、と思わずにはいられない。
あと、カナダを舞台にした小説を『赤毛のアン』しか知らなかったことに気づいた。ギャップすごい。
ウィにフレッドは、あれだ、朝ドラのいびり役。ムカつくんだけど、ドラマの盛り上がりには欠かせない。 -
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ネタバレこの話はスカーレットとメラニーのダブルヒロインですな、というくらいメラニーの存在感がすごい。そして魅力的。
もし私が女優で、どちらの役をやりたいか、と言われたら、メラニーを選ぶかな。
スカーレットもやっと自分の本当の気持ちに気がついて、一気に大団円に行くかと思ったらすれ違い……。
それにしてもスカーレットの子供に対する愛情のなさはすごい。
ボニーじゃなくてエラが死ねばよかったのに、くらいなこと言ってるし。
これはつまり、その子たちの父親を全く好きじゃなかったというところにつながるのかな。
アシュリへの愛のさめ方がウケる(笑)。 -
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スカーレットからみたアシュレとレットの比較が、克明に記載されていて面白い。
アシュレとレットは、実は勝ち目のない戦争に巻き込まれている現状を把握できている似たもの同士なのだが‥レットは憤然と周囲に立ち向かうけど、アシュレは諦め半分に運面に流されていく夢追い人‥
そのことを考えるとスカーレットは訳が分からなくなるのだ。
しかし、なんといっても2巻の、スカーレットの燃え上がるような強さは、読んでいてスカッとする。戦争の外にいるアウトサイダーであるのに、自分のこと、自分の希望、ひいてはアシュレへの想いを第一に考えながら、メラニーを守り、プリシーをこき使い、タラのみんなを取り仕切っていく。
相変わらず素晴らしい訳で、どんどん読み進めてしまう。