鴻巣友季子のレビュー一覧
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『ほんのささやかなこと』に続き、この著書を読んだ。全編を通じて語りすぎず、かと言ってそこはかとなくメタファーやが散りばめられていて、想像の翼を広げることができる。きつい労働、厳しい自然に黙々と生活する大人たち。そんな中で「手をかけられなかった」女の子が、悲しみの中に生きる夫婦に預かられ、自分に手をかけることの始まり知ってゆく。それは完璧な愛でもなく、むしろ不器用な、行ったり来たりの揺れる愛だ。それゆえにこの夏が、彼女の不思議な気持ちへの気づきに繋がり、人間味ある情緒の芽生えになったと分かる。読後は何やら暖かい気持ちが、自分の中に滲み出てくる。果たして彼女は今後どうなるのか、わからない、そして私
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鴻巣友季子さんの深掘りが、とてもおもしろかったです。さすが、翻訳家さん。マーガレット・ミッチェルもびっくり!
“ヘェ〜”と思ったところ多数。(以下、本書より)
・スカーレットとメラニーのダブルヒロイン論。
・スカーレットの容姿、スカーレットの実家〈タラ〉の外観が、原作と映画は違う。
・作者は、本作品を結末から冒頭に向かって書いた。
・アシュリとメラニー、レットとスカーレット、2組のカップルの夫婦生活にも言及。(4人の複雑な心理、行動の考察がスゴイ)
・本質は「恋愛小説」ではない。土地をめぐる「不動産小説」、米国の南北分断の根本を浮き彫りにす「戦争小説」、女性同士の複雑な友愛関係を描 -
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翻訳家の鴻巣友季子さんによる海外小説のブックガイド。いっとき、何も意識せず読みたい本を選んでいたら鴻巣さんの翻訳が続いていたことがあり、それまで翻訳家の方を意識したことがなかったが以来気になっていた方。
読んだことのある作品もまだ知らぬ作品もあり、ページを進める時のドキドキした気持ちや、人間の悍ましさに直面した時のような恐ろしい気持ちが一気に呼び起こされた。海外文学への憧れがぎっしり詰まっていて、自分が何故こうも海外の小説に惹かれてしまうのかもよく分かった。同時に、翻訳家の偉大さを改めて知る。
このあと、紹介されていた『灯台へ』、『ねじの回転』、『若草物語』を読んだ。『ジェイン・エア』、『 -
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Twitterで話題になっていたので購入。最初はなんか思ってた感じと違う!読みにくい!これ耐えられるかな?と思ってたけど、読み進めていくうちにどんどん夢中になっていった。
この本の1番の特徴は、色んな登場人物たちがその瞬間頭の中で考えている細かなことが、ほとんどそのまんまと感じられるほど正確に淡々と書き続けられていくところ。
ほんの一瞬の間にも周りにいる人間たちは各々全然違うことを考えているんだな、同じものを見ても目の前にいる人間と自分とでは全く違うことを考え、お互いに対しても常に何らかの印象を覚えているのだなと、色んな人たちの心の声を聴きながら、それぞれの脳内に瞬時にワープし続けながら考え -
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第一部は「明日晴れたら灯台に行こう」という母と子の会話から。別荘に集まって食事を楽しむ家族と友人の、たった一晩のやりとりで200ページを超えます。
食事のシーンでのごく自然な会話、その奥でそれぞれが何を思っているかが全部!(ホントに全部)書き出されてます。
会話の間で思考がぐるぐる、話を振られたら次はそこからぐるぐる…(「意識の流れ」というらしい)
すなわち腹の中までお見通しなので、登場人物のキャラがハッキリ。海外文学あるある「この人なんだっけ」が起こりにくくありがたい。
そして忘れた頃に、まーだ灯台の話してる!
第二部はその日の真夜中。ロウソクを消してから〜朝起きる頃にはダダダッと10年の -
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ケルティッククリスマスというコンサートに行き、アイルランド関連本として会場で販売されていて、売り子さんがイチオシだったので手に取って読んだ本。ただ、ただ良かった。贅沢な暮らしをしているわけではないが、愛する妻と娘たち、重労働だがやりがいのある仕事をする主人公に、ふと、こことは違うが地続きの、裏の世界が見えてくる。それは自分の生い立ちにも関わる世界だった。そこに一歩を踏み出すことは、幸福な自分の足元が崩れてしまうかもしれない危うさを含んでいる。。。クリスマスのこの時期に読んで本当に良かった。ディケンズの『クリスマス・キャロル』を彷彿とさせる、新しいクリスマスの物語。日本語訳の素晴らしさは言うまで
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ひろさんの本棚から
作品名もかわいいし、表紙も素敵
翻訳家の鴻巣友季子さんが自らを形作った本として海外文学を紹介しています
第一章 青春の輝き
第二章 真実の愛
第三章 奇妙な夢と苦い挫折
第四章 大人のための童話
第五章 強く生きる女性たち
第六章 未来の予言
各章に4〜5冊の本が紹介されています
コンパクトな見出し、著者の紹介は親切で、翻訳家ならではの本の内容紹介は興味深いです
私の読みたい本を各章1冊ずつご紹介します
『あしながおじさん』ジーン・ウェブスター
『高慢と偏見』ジェイン・オースティン
『黒猫』エドガー・アラン・ポー
『ハックルベリー・フィンの冒険』マーク・トウェイン -
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ネタバレ100年前に書かれた小説の中で、過去の人として描かれるラムジー夫人。
それでも、詳細に描かれる心の動きを読み進める中で、「その気持ち知ってる」と、ドキリとする。
幼い子供と気持ちのケアを求める夫に対する気持ち、夫と通じ合える部分と通じ合えない部分、集団の中で気持ちを奮い立たせる振る舞い、どれも普段意識していないもしくは意識することを躊躇うことを、克明に書き出している。何気なく通り過ぎていく気持ちの機微を掬い上げ、言語化する筆者の手腕に驚く。時代が、文化が、世代が違くとも共有できる気持ちがあることに新鮮に驚いた。
第一部は意図せず個人に立ち入りすぎてしまったような、どこか気まずい気持ちで読み終え -
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ネタバレ短い物語ですぐ終わってしまうので、大切に丁寧に読んでいく。
はじめから、心に響く文章がいくつも登場する。
秘密は恥。
黙っていることは良いことだ。
信じて良い人は見極める。
手をかけて育てる。
丁寧な言葉遣い。
礼儀正しく。
嘘をつかない。
ギャンブルをしない。
噂話をしない。
教養。
子供を亡くした夫婦で、崩壊する話はたくさんあるが、ここでは夫婦のお互いの愛情と優しさで支えあっている。
周りに噂好きの友人達がいても、自分さえしっかりと愛を持って生きていたら、腐らない。
黙っとく。
人生って、苦行ではなく、心のままに愛を感じる素晴らしい日々。
腐ってる人の家は散らかっていて、顔もキツい。
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まずタイトルにそそられた。子供の頃、エニドブライトンのおちゃめな双子やはりきりダレルを読み、美味しいに違いない未知の食べ物を頬張る少女たちの描写にワクワクした私。赤毛のアンを読んで、素敵に違いない未知の生地のお洋服の描写にうっとりした私。あの頃読んだ外国の本は、よくわからないけど素敵そうなもので溢れていた。その感覚を思い起こさせるようなタイトル。ギンガムチェックと塩漬けライム…!
どうやら同じような子供時代を過ごしていたらしい著者は、翻訳家で文学評論家。本書では彼女が子供の頃や若い時分から読んできた外国文学の解説が載っていて、外国文学への良い入り口になると思う。堅苦しくなく親しみが持てる語り