あらすじ
小説の読み解き方がわかる。知ってるつもりだったあの名作の、新たな顔が見えてくる!
『嵐が丘』は、相続制度と法律知識を駆使した「不動産小説」だった?
アトウッドの『侍女の物語』は現代アメリカがモデル?
不朽の青春小説『ライ麦畑でつかまえて』は、太宰の『人間失格』に似ている?
これからのポストヒューマン時代に必読の作家、カズオ・イシグロー
当代一の翻訳家・文芸評論家である著者が、誰もが知る名著を全く新しい切り口で解説し、小説のあじわい方を指南する大人向けブックガイド。
あの名作の知られざる“顔”が見えてくる!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
まずタイトルにそそられた。子供の頃、エニドブライトンのおちゃめな双子やはりきりダレルを読み、美味しいに違いない未知の食べ物を頬張る少女たちの描写にワクワクした私。赤毛のアンを読んで、素敵に違いない未知の生地のお洋服の描写にうっとりした私。あの頃読んだ外国の本は、よくわからないけど素敵そうなもので溢れていた。その感覚を思い起こさせるようなタイトル。ギンガムチェックと塩漬けライム…!
どうやら同じような子供時代を過ごしていたらしい著者は、翻訳家で文学評論家。本書では彼女が子供の頃や若い時分から読んできた外国文学の解説が載っていて、外国文学への良い入り口になると思う。堅苦しくなく親しみが持てる語り口で、あしながおじさんから若草物語からレベッカからアッシャー家の崩壊からハックルベリー・フィンの冒険からクララとおひさままから…とにかく様々な外国の物語の楽しみ方を魅せてくれる。
さすが文芸評論家、時代背景や、文学史上の作品の意義の解説もあり、読むうえでの新しい視点も紹介してくれる。また、翻訳家ならではの、原文の解説や翻訳の工夫についてを垣間見られるのも目新しい。著者ならではだと思う。女性だからか、女流作家たちの取り上げ方も結構好きな感じだった。
なんだかんだ、有名どころだけど読んだことがない作品というのもいくつもあり、大分大人になってしまったけどやっぱり読んでおこうかな、と思ういくつものタイトルとの再会もあった。
各章の冒頭にある3行ばかりの簡単な作者プロフィールでその作者の生きた年月を読んでは、こんなに短い生涯でこの時代にこの作品を残したんだ…どんな人生だったんだろう、という読み方もした。
読みやすいのに幾重のも楽しみ方ができて、かなり好きな本だった。
Posted by ブクログ
「名著への招待」、NHkラジオ英会話に連載されたコラムの単行本。
翻訳家ならではの、原作者の繊細な表現、日英米の文化の違いなど、翻訳家ならではの楽しい解釈の数々が楽しめる。
Posted by ブクログ
スローリーディング!いいですね。
以下、名作たちをメモ。
あしながおじさん、若草物語、若い藝術家の肖像、ライ麦畑でつかまえて、ロミオとジュリエット、高慢と偏見、嵐が丘、ジェイン・エア、レベッカ、アッシャー家の崩壊、黒猫、ドリアン・グレイの肖像、老人と海、雨のなかの猫、ハックルベリー・フィンの冒険、クリスマス・キャロル、幸福な王子、賢者の贈りもの、最後のひと葉、ピグマリオン、ねじの回転、灯台へ、風と共に去りぬ、一九八四年、侍女の物語、誓願、クララとお日さま、闇の奥
Posted by ブクログ
海外の小説は著者が書いておられるように時代背景、文化の違いで、とっつきにくく苦手でした。そして、名作くらいは読んでみたいという、気持ちもあり本書に出会いました。とても丁寧な解説で、初心者が読んでみようと思える、後押しになります。
Posted by ブクログ
小学校時代に読んだ児童文学がいっぱい。
「あしながおじさん」「若草物語」「ジェイン・エア」
「嵐が丘」は好きすぎて3回くらい読んだ。
「風と共に去りぬ」は恋愛小説の枠を超えて、土地をめぐる不動産小説であり、世界が’ひっくり返る敗戦小説であり、女性同士の複雑な友情関係を描くシスターフッド小説であり、血縁関係にない家族を抱える介護扶養小説でもある、という分析にめっちゃ納得した。
最近はもっぱらしか読んでないけど外国文学もまた読んでみたくなった。
特にオースティンの「高慢と偏見」エドガー・アラン・ポーの「アッシャー家の崩壊」
タイトルの塩漬けライムとは、酢漬けのピクルスの意。
この頃まだピクルスは日本に浸透してなくて塩漬けライムと
訳したらしい。
翻訳者さんも苦労したのね〜。
Posted by ブクログ
翻訳家である著者が、海外文学の名作・代表作を紹介、名作たる由縁を解説する。
翻訳家であるがゆえに、原作の英文が当時どのような背景があってこのように日本語に翻訳されたかなども述べられており、非常に興味深く、おもしろかった。
海外文学好きには是非読んでいただきたい一冊だった。
Posted by ブクログ
翻訳家の仕事は改めて大変そうだと思った。翻訳するには歴史的背景や原作者の意図することを読み解いていかなければならない。そんな翻訳家の英語文学の解説なので、大変参考になった。改めて全部読み直してみたくなった。
Posted by ブクログ
翻訳家の鴻巣友季子さんが海外文学の名作を紹介している。小説の形態や技法、時代背景などはもちろんのこと、翻訳家なので原文の英語についても説明されていておもしろい。little 、young といった簡単な単語やwish+仮定法過去完了が持つニュアンスを知ると、印象が少し変わったり、より深く作品を味わうことができて興味深かった。
これらの作品は、著者にとってはなつかしい再会の書が多いそうで、30年ぶりに読み返してやっと真意がわかったということもあったそうだ。その感動をこの本で伝えてくれている著者の「『わからない』は一生の宝」という言葉には説得力があるなあと思う。ほとんどの作品は、読み返したくなったり、知らなかったけれど読みたくなったりしたので、「わからない」を楽しみながら読んでいきたい。
Posted by ブクログ
そうそう、『レベッカ』ですけどね、私も、主人公は〇〇なんじゃないの?!と思いながら読んでいたので、なんか我が意を得たりと嬉しかった。
名作の紹介ということで定番揃い。気がつけばたぶん全部読んだことがある作品だけれど、再読したくなる。
読んだことのない人も、入りやすく、読みたくなるんじゃないかな。
Posted by ブクログ
翻訳家である著者が海外文学を原著の引用も交えながら紹介する書籍。英語アレルギーがあるので、ところどころ英語の参考書みたいになるのがやや苦痛だった。
Posted by ブクログ
翻訳家・鴻巣友季子さんによる、海外文学を原語の視点を絡めながら読み解くというもの。
若草物語やジェイン・エアなどなど、大昔に読んだことはあるが、細かいところはうろ覚えなので、「こういう事ですよ」と言われても、『そうだった…け?』ぐらいの感想しかないのが少々恥ずかしい。「嵐ヶ丘」も「高慢と偏見」も確かに読んだはずなのに…。
シェイクスピアも、ロックダウンを経験しそこがあったからこそ、名作が生まれたとも考えられるというのは、現代に置き換えることもできて、共感があった。